徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:石角完爾著、『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』(集英社ビジネス書)

2022年04月28日 | 書評ー歴史・政治・経済・社会・宗教

『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』は、ユダヤ教のウルトラオーソドックスの宗派に改宗した著者が、世界最古にして最大の議論集「タルムード」にある数々の説話とそれらの根底にある知恵を紹介しています。

【目次】
はじめに――タルムードに満載されているサバイバルの知恵
第一章 お金を引き寄せるユダヤ哲学
「この世には人を傷つけるものが三つある。悩み、諍い、空の財布。三つのうちからの財布が最も人を傷つける」
  • 魔法のザクロ~「ノーペイン・ノーゲイン」ー犠牲なくして成功なし
  • 七匹の太った牛と七匹の痩せた牛~豊かさの次には必ず対貧困が襲ってくるーしかし貧困の次に豊かさが来るとは限らない
  • お金を恵むなら全員に~借りたものを惨めに扱うなかれー尊厳を傷つけない貸し方をせよ
  • 土地は神が与えたもうもの~土地は誰のもの?ー土地の所有は50年でご破算に
  • ナポレオンとニシンの話~小さな儲けにとどめよーそれを繰り返せ
  • 金の冠をかぶった雀~財産を見せびらかすと身を滅ぼすー人目には普通の雀と映るのが安全
  • 正直な仕立て屋~偽装商法は幸せを遠ざけるー正直な生き方にお金は宿る
  • ソロモン王のウィズダム~懸命で賢明な生き方(ウィズダム)こそお金を引き寄せる
  • ウィズダムを売る老婆~ウィズダムにはお金を払うー対価(犠牲)なしで賢明さは身につかない
  • 悪魔と助産婦~人のためにお金を使えば、長く幸せになれる
「今日のあなたは、自分の穀物倉庫を見て穀物の量を数えようとした。その瞬間にあなたは神から見放される」
第二章 タルムードの知恵をビジネスに活かす
「なぜユダヤ人の目は中心が黒くてその周りは白いのか?」
「世界は暗い面から見た方が、物事がよく見えるからだ」
  • 神との交渉~しつこい交渉と少しの成果の積み重ねーユダヤの漸進主義を仕事に活かせ
  • デボラの闘い~権力者にも臆するなー日頃から議論の勉強を積め
  • 手と足と目と口、一番偉いのは誰?~口こそ最大の武器であるー日本人はプレゼン力を磨け
  • モーゼの反論~疑問の精神こそ道を拓くー「No」、そして「because」を言う訓練を
  • キツネと葡萄畑~何でも自分でやろうとすると危険がいっぱいー「サブコントラクト」と「ブラックボックス」
  • 用心しすぎたアラブの商人~過剰な要人は良い結果を生まないー「心配」ではなく「適性判断」をせよ
  • 難破船の三人の乗客~適正なリスク計算ー冷静に計算できる人間が生き残る
  • 明日に種を蒔け~企画・立案ができる人材養成をー売れる商品にはダイバーシティが必要
  • 二人の乞食~人とお金を動かす「仕組み」を作るープラットホーム作りは人の心理を読んで動け
  • ユダヤ人の黒い瞳~好調な時こそ、苦境への準備をせよー時に全部捨てる「レハレハ」の勇気を
  • あるラバイの最悪で最良の災難~最悪の事態はそれよりももっと悪いことから救ってくれることかもしれない
  • 道に迷ったお姫様~多くの失敗から学ぶー悪い時の経験が成功に導く
「最も良い教師とは、最も多くの失敗談を語れる教師である」
第三章 すべてを捨てる覚悟が道を拓く
「From Dust to Dust
人はDust(塵)から生まれてきた。生まれてきてから得たものに執着するな。いずれは人はDust(塵)に戻っていくのだから」
  • 青年アダムスの疑問~神の視点で物事を考えよー人間の及びもつかない見方で見よ
  • 悪いのは誰?~情報は疑って見よー思考停止が判断を誤らせる
  • ノアの方舟の真実の話~善と悪は、別々に存在しない。いつも一緒にいる。
  • 追い詰められたユダヤ人の奇策~命を奪えるのは神のみー命をあきらめない
  • 兵士とパスポート~決してあきらめないー起死回生の一打を必死で考え実行せよ
  • 小魚と水~目に見えないものこそ大切なものー日本人はものに囚われている
  • グルメは死罪だ~貧者のように食べよーグルメに走る者は神を忘れる者
  • パラダイスを見つけた男~幸せは単調な今の中にあるー「あなたのいる場所」を大切に
  • ヘブライの王の助言~幸福と幸福感は別のものー幸せの価値を見極める
  • 母鳥と三羽のヒナ~教育とは「教育することを教育する」ことだーユダヤ式教育の真髄
  • 一〇個のクッキーの与え方~子どもに苦労を教えるー人生は良い時ばかりではないという教育
  • 鶏の卵の運び方~子どもに教えるリスク分散ー答えは子ども自身に見つけさせる
  • 愚かな農夫~子どもの個性を大切にするー横並びの教育の重大な問題点
  • メロディーを買った青年~「形のないもの」に目を向けるー知的価値は物的価値に優る
  • 村人の三つの願い~今も生きる助け合いの精神ー持続してこその相互扶助
「どんなに裕福な金持ちであっても、助け合いの心を持たない人間は、豪華な料理に塩がないのと同じである」
あとがきにかえて

 この「タルムード」を介してユダヤ人がいかに考える習慣や質問するまたは議論することを身につけ、適正なリスクを取り、考えられるリスクに対応するための対策を講じるか等々が説かれています。

その中で、ユダヤ人の教えがいかに優れており、現代日本人がいかに考えなし、備えなしで損をし、自らの未来を危うくしているか警鐘を鳴らしているのですが、この辺りは少々度が過ぎているように思えます。というのは「ユダヤ人」というくくりと「日本人」というくくりを作って比較対照している時点で一面的な一般化・単純化をして、一方を礼賛し、他方を貶めているからです。

「だから日本・日本人はダメなのだ」的な論調に目をつぶれば、紹介されている説話は非常に興味深く、教訓・示唆に富んでおり、それらに含まれる知恵は確かにビジネスに有効活用できるものです。
目次を見るだけで教えのエッセンスがすでに分かりますが、1つ1つの説話も読み物として面白いので、お勧めです。

書評:両@リベ大学長著、『お金の大学』(朝日新聞出版)

2022年04月26日 | 書評ー歴史・政治・経済・社会・宗教

大分前に紙書籍で日本から送ってもらってそのまま積読本になってしまっていましたが、ようやく読むことができました。

著者はYouTubeのお金の教養チャンネル〈リベ大〉で日々日本人のマネーリテラシーを高めようとたくさんの動画を発信しており、本書はそれら多数の動画に通ずる基礎がまとめられています。
このため、詳細を知りたい読者のためにそれぞれの項目でQRコードをスキャンして該当動画に飛べるようになっています。

お金のハウツー本は数多くありますが、本書(およびリベ大)の特徴は、バランスのよい再現性の高さにあります。つまり、誰が真似してもそれなりの結果が出せる方法とそれに必要な知識、さらにそれに伴うリスクとリスク対策がマンガ的に優しく解説されているので、真似しやすいのです。

煽りに明示されているように、著者のお金にまつわる思想は「貯める力」「稼ぐ力」「増やす力」「守る力」「使う力」の5つの力に集約されます。
本書ではその5つの力のうちの最初の3つの力を重点的に扱い、「守る」と「使う」の2つはある程度の資産が築けた後に重要度が増すため、最後に短く要点だけをまとめてあります。

固定費(通信費・光熱費・保険・家・車・税金)などを見直して支出を抑えてお金を貯め、稼ぐ力を身につけて収入を増やし、余剰金をさらに投資に回して資産を増やし、資産を減らさないように守りを固め、人生を豊かにすることにお金を使うという5ステップで経済的自由を手に入れる、というのがその5つの力による道筋です。

具体的なアドバイスは利用できる公的制度にも及ぶので、一家に一冊置いておく価値があると思います。
また、「稼ぐ」や「(資産を)増やす」にまつわる様々な詐欺行為や落とし穴が分かりやすく紹介されており、相場を知って「うまい話」に騙されないように何度も警告しているところが大変良心的です。

また、貯めるために極端な節約を奨励しているわけではなく、「人生を豊かにすることにお金を使う」というように、使うことも前提としている点でバランスのよい考え方と言えます。
FIRE(経済的自由、早期リタイヤ)を目指すために修行僧のようなミニマリスト的生活をして貯蓄に励む路線にはあまり再現性はありませんが、「無駄を見極めて節約し、本当に大切なことにお金を使う」であれば、本人が頭を使って行動することが必要ではありますが、そのためのアドバイスが盛りだくさんに提供されているので、再現性が高くなります。

非常にカラフルな図解やイラストがふんだんに散りばめられ、大部分が対話形式(一介のサラリーマンの不安や質問に著者が回答)で進行していくため、普段本を読まない人でもとっつきやすい構成になっているところが魅力です。
著者が多くの人に幸せになるためのマネーリテラシーを身につけて欲しいと本気で願っていることが伝わって来る一冊です。

海外に住んでいる私には実際に役に立たない情報も多々ありますが、基本的な考え方は参考になりました。



書評:堀元見著、『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』(徳間書店)

2022年04月26日 | 書評ーその他

例外的に紙書籍をAmazonで予約購入したのが本書『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』でした。
その理由は、著者と田中泰延さんとの対談の「ぶっちゃけ」たほうの後半ライブを視聴できる条件がそれだったから。

対談は非常に楽しかったし、ようやく届いた本書も面白かったです。
堀元見氏はYouTubeの『ゆる言語学ラジオ』の出演・プロデュースしており、私はこのチャンネルで彼のことを知りました。慶応義塾大学理工学部卒業後、就職せずに「インターネットでふざける」を職業にしたという変わり種で、著書に『教養悪口本』(光文社)があります(そちらは未読)。

さて、そのような著者がビジネス書ベストセラーを100冊読んで、教えをスプレッドシートにまとめて行くプロセスをYouTube公開しながら執筆したのが本書なわけですが、このようなノリの著者がまじめな「ビジネス書まとめ本」を上梓するはずがありません。
結論から申し上げますと、本書は「現代アート」です。

とはいえ、装丁といい、中身のレイアウトといい、最後に合宿セミナーの宣伝ページがあることといい、作りはビジネス書そのもの。
うっかり騙されて買ってしまって怒り狂うビジネス書愛読者たちの反応も込みで「作品」なのだそうです。

パロディの本気度と全力でふざける芸は、確かに「アート」と言ってもいいと思います。
通常であれば本を読んだら目次も書評に収録しますが、本書に限ってはそれは無意味なので止めておきます。

本書を通じて、いかに矛盾に満ちたいい加減な主張が本になっており、またそうしたものをたくさん買う人々が多くいることがよく見えてきます。

著者はふざけてはいますが、実際にビジネス書100冊のポイントを抽出しているので、これ一冊で確かに「ビジネス書あるあるのポイント」を知り、それらを比較したり、著者のように変な繋げ方をして楽しむこともできます。

そもそも、「成功者の真似をすれば成功する」という考え方自体に問題があり、「自分はこれで成功したから、これが絶対正しい」というスタンスで書かれた書籍は「サンプル1」の話なので、大して参考になるような所見は得られないものです。

けれども、ビジネス書ビジネスはまさにその間違った幻想を土台にして成り立っています。そうした書籍たちを実際に100冊も読み漁ってデータを集め、結局「自分で考える」結論にしかならないことを証明する(ふざけながら)。

本書の「正しい」読み方や解釈の仕方などはなく、著者の言うように「お好きにどうぞ」という感じなのでしょうけど、私は一緒に笑い転げるのが健全な楽しみ方だろうと思います。


書評:ユヴァル・ノア・ハラリ著、『サピエンス全史』上下合本版(河出書房新社)

2022年04月25日 | 書評ー歴史・政治・経済・社会・宗教

いろいろと読書の寄り道をしたため、『サピエンス全史』の上下巻を完読するのに1か月余りかかりました。
概要は中田敦彦のYouTube大学の動画を見て、おおよそ知っていましたが、実際に読むとなるとかなりの量です。興味深い内容であることは確かですが、そのボリュームに相応しく膨大な詳細情報が記載されており、読んで咀嚼するのに時間がかかります。

目次
(上)
第1部 認知革命
第1章 唯一生き延びた人類主
第2章 虚構が協力を可能にした
第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
第4章 史上最も危険な種
第2部 農業革命
第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
第6章 神話による社会の拡大
第7章 初期体系の発明
第8章 想像上のヒエラルキーと差別
第3部 人類の統一
第9章 統一へ向かう世界
第10章 最強の征服者、貨幣
第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン

(下)
第12章 宗教という超人間的秩序
第13章 歴史の必然と謎めいた選択
第4部 科学革命
第14章 無知の発見と近代科学の成立
第15章 科学と帝国の融合
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
第17章 産業の推進力
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
第19章 文明は人間を幸福にしたのか
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
あとがき―神になった動物

目次を見ても分かるように、著者は人類史を認知革命・農業革命・科学革命の3つの分岐点で区切って考察します。
「産業革命」は?と疑問に思うかもしれませんが、これは科学革命(プラス資本主義)の結果として起こった変化であり、本質的な革命ではないということです。

人類史において認知革命を取り上げられることは稀だと思いますが、これによってホモサピエンスは、アフリカ大陸の取るに足らない動物から食物連鎖の頂点に立ち得る知能を獲得したので、一番本質的な変化と言えます。
ただ「革命」というと、通常は人間が引き起こす社会的変化を指すので、偶然の生物的な進化と言っていい「認知革命」はその名称に多少語弊があるとは思いますが。

1万5千年前に起こったこの認知能力の変化によってサピエンスはネアンデルタール人よりも大きな集団で協力して計画を立てて実行する能力を勝ち取ったので、他のホモ属を凌駕し、唯一生き残った人類種となりました。

こうして数千年の間狩猟採集民として世界中に拡散していきましたが、およそ7千年前に中東で農業革命が起こります。
この農業革命も「革命」と言うにはあまりふさわしくないと思うのですが、何はともあれ栽培化しやすい穀物に恵まれた土地に定期的に採集していたサピエンスは、そのうち種を蒔き、作物(特に麦)の面倒を見て収穫するようになり、徐々に季節的な移動を止めて、一か所に定住するようになりました。
それは今日的な感覚では非常に緩やかな変化でしたが、人類の歴史を俯瞰するならば、比較的急な変化と解釈できます。

農業革命の結果起きたのは人口増加で、人口増加がまた生産増加につながる性のスパイラルに突入したため、今までにない大きな共同体を形成し、社会を成り立たせる必要が出てきました。
ここで大きな役割を果たすのが「物語」です。
神話や伝説などは言うまでもなく、法律や国家といった概念もサピエンスの想像力の産物であり、そうした虚構を見知らぬ他人と共有することでそれらは集団的に構築された現実となります。
物語の共有とは言うまでもなく価値観・価値体系の共有であり、それに従って社会の階層や主従関係などが構築され、狩猟採集民では想像もつかないような規模の複雑な共同体「国家」の出現に繋がります。

現在、西側諸国を始めとする多くの国で共有されている物語が資本主義・自由主義・個人主義です。思想の土台はヨーロッパで形成されましたが、その価値観の多くは世界中で共有されています。こうした動きが著者の言う「統一に向かう世界」です。中でも最も普遍性がある虚構は、宗教でも思想でもなく「貨幣」です。

「貨幣」が信用に基づく虚構であることは、信用が崩壊して価値がなくなることがある事実からも明白です。これはあくまでも多くの人が紙幣・硬貨またはデジタルの数字を受け入れ、物品やサービスと交換してくれるという相互信用と貨幣発行元の保証によって成立しており、米国と対立しているイスラム教国家でも米ドルを喜んで受け入れるというように、強い通貨は国家ばかりでなく主義主張や宗教を超えて共有されている虚構です。この意味ではサピエンスが作り上げた虚構の中で最強のものと言えるでしょう。

次に訪れる科学革命は、貨幣の力、すなわち資本主義と領土の拡大を求める帝国主義の結び付きによって協力に推進されますが、その出発点は「Ignoramus(私たちは知らない)」という無知の認識です。
知らないからこそ「知りたい」という探求心が湧き、それが調査や研究の推進力になるわけです。
これは全知全能の神が存在する世界観では発展しないと著者は指摘しています。なぜなら、全ては聖書なりコーランなりに記されているはずであり、人間は神の言葉を理解するために努力すれば十分ということになるからです。

ヨーロッパは中世や近世において特別に強力でも豊かでもありませんでしたが、大航海時代に「知りたい」と「富を増やしたい」と「領土を広げたい」が初めて統合され、前代未聞の原動力となり、新しい世界を「発見」して植民地化し、富を搾取強奪することで、それまで強大だった中国やイスラム世界をも凌駕するようになったと著者は言います。

ヨーロッパ人たちはダーウィンの進化論のアイデアを受け入れ、自分たちが優れた人種であるから世界で支配的な地位を築いたという新たな「物語」を語り始め、自分たちの科学や価値観を世界中に拡散しました。
第二次世界大戦後は、特に個人主義と「人権」が新たな物語として語られていると言えます。

何かの宗教やイデオロギーを信じ、唱える人たちは決して認めようとしませんが、どれをとっても「自然の摂理」などではなく、サピエンスの想像力に基づく物語の共有であり、共有主観の虚構に過ぎません。
科学万能主義もその一種です。
「自然の摂理」とは人類が滅亡しても変化しないであろう万有引力などの現象だけであり、それが誰かに認知されるか否かに関わらず存在します。

著者のこの指摘は、宗教や思想的・政治的対立の空しさを的確に示していると思います。
しかし著者は「全ては物語(虚構)」という指摘だけにとどまらず、最後に幸福について考察しているのが興味深いです。

農業革命は、食料余剰と人口増加をもたらした結果、大きな社会と分業化を可能にし、全体的に見れば繁栄をもたらしましたが、個人個人を見ると、一握りの支配階級を除いて皆苦役が増えたり、病気が増えたりして、必ずしも幸せをもたらしたとは見えません。
科学革命も人類に未曽有の物質的豊かさをもたらし、現在のサピエンスの能力を超える超人すら遺伝子工学で作り出せるかもしれないところまで理論と技術双方が発展してきましたが、それで人々はより幸せになったのかと著者は問いかけます。

最後の2章とあとがきは著者の幸福についての考察で、本当はこれを語りたいがために膨大な前置きをホモ属の発生から始めたのではないかと思えるくらい哲学的です。
サピエンスは今また新たな物語を必要としている。



書評:松岡圭祐著、『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 IV シンデレラはどこに』(角川文庫)

2022年04月23日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 IV シンデレラはどこに』は前巻の『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 III クローズド・サークル』からわずか2か月後に発刊されています。こんなに速く次巻が出る小説シリーズが他にあるでしょうか。ラノベでも3・4か月に1度だと思うのですが。

今回の『シンデレラはどこに』編は、前巻のアガサ・クリスティーのパロディ風とは打って変わって、再び盗作(翻案)問題を取り上げているものの、ヒロインの杉浦李奈が脅迫によってなぜか『シンデレラ』の童話の原典が何かを調べる羽目になる非常に面白いストーリーです。シリーズ中最高の面白さだと思います。

『シンデレラ』の起源をめぐる研究だけでも相当興味深いのですが、これが他作家の作品をそっくり真似て、文体や名前を変えただけの小説を多数ハイペースで出版して著作権侵害・翻案だと批判を浴びている売れっ子作家RENと被害者作家たちの戦いのストーリーに巧妙に埋め込まれ、非常にエンタメ性の高いミステリーになっています。さすが松岡圭祐、と言える作品です。

李奈自身もRENのパクリの被害に遭っている上に、脅迫状への対処でストレスマックスになっていますが、これまでの経験でずいぶん逞しく成長したようです。



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書評:松岡圭祐著、『千里眼 ノン=クオリアの終焉』(角川文庫)



万能鑑定士Qシリーズ

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』(講談社文庫)

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特等添乗員αの難事件シリーズ

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グアムの探偵シリーズ

書評:松岡圭祐著、『グアムの探偵』1~3巻(角川文庫)


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書評:松岡圭祐著、『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論』(角川文庫)

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その他

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書評:松岡圭祐著、『出身成分』(角川文庫)


書評:今野敏著、『変幻』(講談社文庫)

2022年04月06日 | 書評ー小説:作者カ行

『変幻』は、『同期』シリーズ3部作の完結編です。
警視庁捜査一課刑事の宇田川が語り手ですが、初任科研修で仲が良かった同期の蘇我は表面上公安を懲戒免職となって隠密行動を取っており、さらにもう一人の同期・大石陽子は特殊班に属しており、この巻で「しばらく出向で会えなくなる」と言って同僚数人集めて夕食を一緒に食べた後、音信不通になります。
そこで殺人事件が起こり、宇田川ら捜査一課が関わることになりますが、死体を運ぶのに使われた車の持ち主を探す過程で、容疑者が関係するヤクザのフロント企業が大石陽子の潜入捜査先である可能性が浮上。
さらに、蘇我が大石陽子の救出に協力してくれるよう宇田川に頼んできます。

潜入捜査が本来非合法であるため、公に救出作戦を立てられないどころか情報収集も困難を極める中、果たして大石は救出されるのか?!

このシリーズの特徴は主要人物が同じ部署ではなく、話の展開が組織横断的に展開することと、正式には警察官ではない謎の立場の人間が重要な役割を果たすことです。蘇我の立場はシリーズ最終巻でも明らかにされないままです。
その点、特定の班や係に属する人物の活躍を描く他シリーズとは一線を画していると言えます。




安積班シリーズ
 
隠蔽捜査シリーズ

警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ

ST 警視庁科学特捜班シリーズ

「同期」シリーズ

横浜みなとみらい署 暴対係シリーズ

鬼龍光一シリーズ

奏者水滸伝

書評:今野敏著、『大義 横浜みなとみらい署暴対係』(徳間書店)

2022年04月05日 | 書評ー小説:作者カ行
『大義』は横浜みなとみらい署暴対係シリーズのスピンオフ短編集で、「タマ取り」「謹慎」「やせ我慢」「内通」「大義」「表裏」「心技体」の7編が収録されています。

「タマ取り」では常磐町の神風会組長・神野義治、通称「常磐町のとっつぁん」が「本牧のタツ」という70歳前後のヤクザに命を狙われているという噂から捜査が始まります。なぜ70代のヤクザ同士で今更そんなお礼参り的なことをするのか、その背景も動機も不明なので捜査します。
オチはふっと笑える微笑ましいものです。

「謹慎」でははヤクザ3人が殴られて負傷し、身柄確保した諸橋係長と城島係長補佐がヤクザに訴えられた事件が倉持の視点で描かれます。事件解決よりも倉持の捉え方に重きが置かれています。

「やせ我慢」は横浜みなとみらい署暴対係の一番の若手・日下部の視点で語られます。日下部と組んでいる横浜みなとみらい署暴対係ナンバースリーの城島が昔から暴対係の刑事らしかったわけではなく、若い頃はガタイばかりよくて気が弱かったという昔語りをします。

「内通」は倉持のパートナーであるITエキスパートの八雲の視点で覚醒剤売人の追跡を物語ります。売人を確保したら何も所持していなかったことから、横浜みなとみらい署暴対係から情報が漏れたのではないかという嫌疑がかかります。

表題作の「大義」は、シリーズ第5弾『スクエア』で神奈川県警本部長の佐藤警視が諸橋・城島を呼び出すことになる前振りエピソードです。
本部長の任を受けて笹川監察官がヤクザ同士の争いで抗争にまでエスカレートしないように取り締まる諸橋・城島に付き添います。『スクエア』で発足する諸橋・城島・笹川トリオがここですでに芽生えています。

「表裏」では暴力団関係専門のフリーライターになろうとしている増井治が常磐町の神野に取材を断られ、そこにたまたま訪ねてきた諸橋・城島コンビにつきまとい、その過程で出会った五十田組組長と意気投合し、今度は諸橋・城島のやり方に文句をつけだす、という訳の分からない行動を取ります。
ここでは「ヤクザにも人権がある」とか「ヤクザは日雇い労働者や港湾労働者を仕切ってきた」とか「ヤクザは神社等の祭りや戦後の興行などを仕切ってきた」などの歴史的社会的役割などを挙げて暴力団を肯定的に見ようとする意見にヤクザの被害を受ける一般市民たちの視点が欠如していることを鋭く指摘しています。
地域社会に根ざして住民から好かれているならともかく、人々を恐怖で支配し、搾取するのであれば害悪以外のなにものでもない。

「心技体」ではおよそ暴対らしくない外見の倉持にスポットが当てられます。見かけはひょろっとして少し童顔なので舐められやすいのですが、実は大東流合気柔術の達人なので暴対係の「秘密兵器」。
警察内部雑誌の好きな言葉企画で諸橋係長が倉持に話を振り、倉持は「心技体」と答え、それが好きになった経緯などを語ります。

どの作品もキャラクター紹介の趣があり、ファンとしては見逃せない短編集です。




安積班シリーズ
 
隠蔽捜査シリーズ

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横浜みなとみらい署 暴対係シリーズ

鬼龍光一シリーズ

奏者水滸伝

書評:今野敏著、『探花―隠蔽捜査9―』(新潮社)

2022年04月02日 | 書評ー小説:作者カ行

『スクエア』、『清明―隠蔽捜査8』に続いて、勢いで隠蔽捜査シリーズ第9弾『探花』も読んでしまいました。
それだけ今野作品は一度読み出すと止まらなくなるほどテンポの良い話運び、程よいディテールの説得力などの魅力にあふれているということですね。

今回は福岡から神奈川県警の警務部長へ異動になった同期入庁試験トップの八島という男が不穏な空気をまき散らしています。なんでも入庁試験の成績がトップだったことを殊更に誇っており、警察トップの椅子取りゲームを真剣にやっているようなタイプで、竜崎伸也の価値観とはまったく相容れない人物。
タイトルの『探花』は竜崎が入庁試験で3位だったことに由来しています。
中国の科挙の順位の名称で、1位は状元、2位は榜眼、3位は探花ということを竜崎の幼馴染で「榜眼」の同期入庁である伊丹が竜崎に教えるシーンがありますが、竜崎は自分の順位のことも科挙の順位の呼び名も初耳でした。実に彼らしい。

今回の事件は、横須賀のヴェルニー公園で死体が発見されたことで、近くでナイフを持って走っていく白人を見たという目撃証言があったため、米軍との折衝を竜崎が行い、米海軍の犯罪捜査局から特別捜査官が派遣され、竜崎の判断で捜査本部に加わることになる。横須賀署長を始めとする現場の反感は強く、捜査に支障が出るかもしれない。マスコミや住民感情などの問題が取り沙汰されます。

そして、プライベートではポーランドに留学中の息子が逮捕されたらしい映像がSNSに挙がっていたと娘から知らせを受け、外務省の知人に問い合わせることに。

警察組織内問題、捜査上の問題、プライベートの問題の3本立てなのがいつものパターンという感じですね。

隠蔽や忖度を嫌い、捜査を最優先する姿勢と「ただの官僚ではない。俺は警察官僚だ。」と誇りを持って国のため、国民のために働くという理想を本気で実践している竜崎の活躍は読んでいて胸のすく思いを味わえます。

彼のようなキャリア官僚が組織内では異端な状況はやはりちょっと嘆かわしいとは思いますが。



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書評:今野敏著、隠蔽捜査8『清明』(新潮社)

2022年04月02日 | 書評ー小説:作者カ行

昨日読んだ横浜みなとみらい署暴対係シリーズ第5弾『スクエア』 で扱われた事件の容疑者の身柄が確保されたタイミングで竜崎伸也が神奈川県警刑事部長に着任するところから隠蔽捜査シリーズ第8巻の『清明』の物語が始まります。
この小さなリンクがあるために続けて読んでみようという気になりました。
ファンにとって異なるシリーズのストーリーが交差したり、登場人物が重なったりすると、なぜか意外なところで知り合いに再会したときのようなワクワクとした嬉しい気分になれるものです。

神奈川県警の四角四面の流儀・風潮に慣れないなりに、「合理的でない」の一言でバッサリ切り捨てにしてしまうのではなく、そこそこ尊重する柔軟な態度を示す竜崎は少し丸くなったのでしょうか。

着任早々、県境で死体遺棄事件が発生し、警視庁の面々と再会するものの、どこかやりにくさを感じ、また、さらに被害者は中国人と判明して、公安と中国という巨大な壁が立ちはだかります。
一方で、妻の冴子が交通事故を起こしたという一報が入り、地元の警察OBの運営する教習所とのトラブルがあり、なかなか前途多難な様相を呈しています。

しかし、本音と建前を使い分けようとせず、本音の合理性と柔軟性を持つ竜崎節で多くの人の信頼を勝ち取り、最後にはハッピーエンドになるのがいいカタルシス効果です。

結局、人は自分を1人の人として尊重してくれ、正直に対応してくれる人を信用するものなので、何かを隠そうとしてもこじれるばかりで何もいいことはないという姿勢が清々しく、漢詩から引用したタイトルの『清明』がしんみりと心に沁みてくるような読後感を得られます。

 


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書評:今野敏著、横浜みなとみらい署暴対係シリーズ『スクエア』(徳間文庫)

2022年04月01日 | 書評ー小説:作者カ行

『逆風の街』『禁断』『臥龍』『防波堤』に続いて横浜みなとみらい署暴対係シリーズ第5弾となる『スクエア』ですが、なんと今野敏氏の著作200冊目でもあるそうです。記念すべき一冊に相応しいと言えるかどうかは分かりませんが、本シリーズの安定の面白さであることは請け合いです。

横浜みなとみらい署暴対係係長「ハマの用心棒」こと 諸橋とその補佐である城島は熱心に仕事をするあまり組織の枠組みから外れてしまうことも往々にしてあるため、警察の綱紀を正したいと自ら進んで県警本部監察官となったキャリアの笹川に目をつけられて、ことあるごとにそのやり方に対して文句を言われてきましたが、この巻ではその笹川が朝っぱらから横浜みなとみらい署にやって来て、神奈川県警本部長のお呼びだから一緒に来いと諸橋・城島を連れ出しに来ます。そんなお偉いさんの呼び出しは、普通に考えていいことであるはずがないので何か処分でも下るのかと思っていたら、新任の佐藤本部長は割とくだけた人で、自分の在任中に成果を上げたいからマルB関係では諸橋たちを頼りにしているから好きにやってくれと言う。
そして、早速横浜・山手の廃屋で起こった殺人事件で、被害者がマルBと繫がりがあるようだから捜査本部に本部長特命で入るように指示されます。
被害者は中華街で一財産を築いた中国人で、三年前から山手の自邸に籠っているという話でした。ところが、その屋敷を調べていると、さらに白骨死体が見つかり、 そちらの方が本物の資産家の中国人で、先日発見された死体はその中国人に成りすまして不動産売買の詐欺を働いていたらしいことが明らかになり。。。
という感じに事件が入り組んでおり、マル暴と不動産詐欺が絡んだ殺人事件であるため、捜査本部は捜査一課と捜査二課に暴対係を加えて捜査することになりますが、それぞれやり方が違うので衝突もあります。
また、今回は笹川監査官が諸橋・城島の補佐(監視?)としてくっついて回るので、ペアではなくトリオで結果的にいい働きをすることになります。

解説によるとこの作品は『清明 隠蔽捜査8』とリンクしているそうです。隠蔽捜査は7巻の『棲月』までしか読んでないので、これは8巻も読まねばと思った次第です。😅 


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