徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル』(講談社文庫)

2018年12月12日 | 書評ー小説:作者カ行

「ST 警視庁科学特捜班」の色シリーズ第三弾『黄の調査ファイル』は第二化学担当で曹洞宗僧侶でもある山吹才蔵が活躍するエピソードです。

あるマンションの1室で若い男女2人ずつが一酸化炭素中毒で死亡しており、検死官の川那部は例によって「集団自殺」ということで済ませようとしますが、STは所轄の綾瀬署と他殺の可能性を捜査します。死亡した4人は新興宗教団体「苦楽苑」の信者でした。苦楽苑のトップとナンバーツーの意見の対立など、入り組んだ宗教団体内の人間関係と、揺れ動く人間心理が浮き彫りにされます。曹洞宗僧侶が捜査する宗教団体の関係する事件ということで、自ずと宗教的議論に多くページが割かれます。そして山吹が、事件だけでなく人の心の裏側を解き、多少なりとも癒しを提供してます。

百合根警部が山吹の実家の寺に容疑者の監視という名目で座禅を試しに入り、結構座禅にはまっちゃうところが面白いです。意外に早くコツが掴め、うまく力を抜くことができる彼は、勘がいい人なのでしょうね。


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