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書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』(講談社文庫)

2016年08月19日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』は『探偵の鑑定II』の続編に相当し、Qシリーズで最初に凛田莉子がお世話になった上に、贋金事件で対峙し改心させた瀬戸内陸が出所してくるばかりでなく、違う事件で関わり合った人たちが次々登場するうえに、探偵の探偵シリーズの紗崎玲奈、水鏡推理』シリーズの水鏡瑞希、そして最後には『特等添乗員α』シリーズの浅倉絢奈もチョイ役で登場。本当に【締めくくり】と言う感じのオールキャスト集合の態を示していました。

表紙のブライダル姿の二人は莉子と彼女と付き合ってるんだか違うのかよく分からない元雑誌記者で『探偵の鑑定』で探偵に転職した小笠原悠斗(26)。彼らは『万能鑑定士Qの事件簿 XII』で『週刊角川』と言う小笠原悠斗が関わっている雑誌のブライダル特集記事のためのグラビア撮影の際、経費節約のためモデルとなった経緯があり、そのグラビア写真のことがこの『最終巻』で何度も言及されます。最初の方は二人ともかなりすれ違っており、悠斗と彼の幼馴染だという三木本紗彩との関係が深まりつつあるような状態です。ネタバレになってしまいますが、表紙を見れば分かる人には分かってしまうことだと思うので、まあいいですよね?(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
このはっきりしない中学生の恋愛ごっこのような関係を続けていた莉子と悠斗は事件解決後ついにご成婚となります。松岡氏の作品としては珍しい恋愛面でのハッピーエンドです。

さて、この巻で莉子が追う事件は表題の通りムンクの≪叫び≫です。オリジナル油彩画の≪叫び≫は在日ノルウェー大使館の催し物のためにオスロ美術館から貸し出されてとある画廊に展示される予定で保管してあったところ、お披露目になる前に4つに引き裂かれ盗まれてしまいます。一度引き裂かれた絵画を奇跡のように修復できるという【万能修復家】植村寛雄が莉子に明治時代の幻の懐中時計メンフィスC62の鑑定を依頼したことで二人の縁ができ、引き裂かれた≪叫び≫も全てのピースが見つかり次第彼が修復にかかることに。修復できるタイムリミットは120時間。それまでに盗難犯人の出す難問を解かなければならない。。。

最終巻ということもあって、莉子の最大のライバルである超一流の贋作家と言われるコピアも暗躍します。どういう活躍かは読んでからのお楽しみ。

コピアは比較的新しいキャラなので記憶に残ってましたが、他のキャラはどの事件で出てきたのか記憶があいまいだったので、途中でQシリーズを読み返したい衝動に駆られました。が、しかし!Qシリーズは巻数が非常に多く、そう簡単に読み返せるものではありません。『事件簿』だけで12冊、『短編集』2冊、『謎解き』1冊、『推理劇』4冊、『探偵譚』1冊のトータル20冊。書評を書いておけばよかった、と悔やまれるシリーズです。。。

閑話休題。

話は『最終巻』に戻りますが、華々しいフィナーレです。ちょっと展開が遅くてじれったくなる部分も途中あるにはありますが、全体的に非常に面白い探偵ものだと思います。

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