徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

ドイツ:コロナ対策~メルケル首相のTV演説(2020/03/18)と最新情報(2020/03/23)

2020年03月23日 | 社会

3月18日にメルケル首相が珍しく行ったTV演説は大きな反響を呼んでいます。
私は18日の夜中に演説テキストを入手し、朝方までかけて翻訳し、ブログ記事を作成してシェアしたのですが(こちら)、その反響が私の予想をはるかに上回り、23日時点での総閲覧回数が20万8824回に達しています。ピークは20日でしたが、びっくりしました。さすがメルケルさん、としか言いようがありませんね。
彼女の演説の骨格は、実は安倍首相の14日に行われた記者会見での演説とそう大きな差があるわけではありません。
現状説明、政府の取った措置やこれからとる措置の説明、感謝の言葉など。
でも、肉付けが全然違います。
これは文化の違いでもあると思います。日本の政治家スピーチは基本的に官僚言葉、つまりかなり難しい単語が使われていて、聞いたり読んだりしてパッと分からないことが多いのに対して、ドイツでは政治家のスピーチは普通のドイツ語だということです。市井の平均的な市民の普段の会話に比べたらもちろんお行儀がいい話し方とか、多少教養が漂う単語を使う傾向はありますが、日本語での政治家・官僚の言葉と市井の人の言葉の乖離ほど大きくないのです。

肉付けの面でもう一つ根本的に違うのは、目線の問題じゃないかと思います。アベシの方はわりと具体的な救済措置について言及しているのに、なぜか「やってあげてる」感が強く、「一緒に乗り越えましょう」的なメッセージが説得力なく上滑りするのに対して、メルケルは政策に関しては抽象的にとどまり、それよりも普通の人の「気持ちに寄りそう」感が強く、一人一人が何をすべきかを具体的に訴えています。「一緒に」の部分になぜ説得力があるかと言えば、彼女がその言葉だけではなく、おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さん、パートナー、子供、孫、医師を始めとする医療従事者ばかりかスーパーのレジの人や商品棚担当の人のことにまで言及しているからでしょう。そういう人たちを「ちゃんと見てるよ、考えてるよ」というメッセージが先にあり、それを踏まえての「一緒に」なのです。
言葉の上での乖離が無いから、余計にダイレクトに人の心に刺さるものがあるんじゃないかと改めて思いました。
私はメルケルの演説を耳で聞いた通りの印象のまま日本語に翻訳しましたが、もしこれを日本の「文化」を尊重して日本の政治家の演説風に翻訳したら(私には語彙不足でできないけど)、なんか全然別物になってたんじゃないでしょうか。

さて、先日22日、各州首相と連邦政府がビデオ会議(!)を行い、州バラバラではなく、全国で一致したコロナ対策を行うことで合意しました。すでに週末から各州ごとに移動の制限や集会の禁止などが通達されていたのですが、今日、23日より全国的に同じ制限が勧告ではなく、罰則付きの規則として発効することになります。
詳しくはこちら



ドイツの冬のボーナス「Weihnachtsgeld クリスマス手当て」

2019年11月07日 | 社会


クリスマスが近づいています。11月は多くの企業でクリスマス手当てが支払われます。日本でいうところの冬のボーナスでしょうか。
86,9 Prozent der Tarifbeschäftigten bekommen Weihnachtsgeld
Der/Die Tarifbeschäftigte とは Tarifvertrag 賃金協定のもとに beschäftigt 雇用されている労働者を指し、形容詞変化するのでご注意を。「正社員」と了解してもいいかと思います。
tariflich beschäftigt  賃金協定に則って雇用されている。
これには賃金協定に含まれない管理職は入っていませんので念のため。
管理職の人たちは、außertariflich beschäftigt (賃金協定外で雇用されている)です。

そうしたまともな賃金をもらっている労働者の86.9%がクリスマス手当てももらっているという統計です。
クリスマス手当ての全業種平均は2632ユーロですが、Energieversorgung エネルギー業界の4923ユーロと Gastgewerbe 接客業の1034ユーロを比べると格差の激しさがはっきりとわかりますね。😢
クリスマス手当てはたいてい月給に相当し、das 13. Monatsgehalt 13番目の月給と呼ばれています。つまり、クリスマス手当ての格差は賃金格差をそのまま反映しています。

Information und Kommunikation 情報通信業界のクリスマス手当て給付率が59.7%と断トツに低いのも目を引きますね。もらっている人たちの給付額は3955ユーロで悪くないですが。この業界はクリスマス手当てではなく、成功報酬としてのボーナスが一般的です。会社の売上高や経常利益にリンクしていることが多いです。



EUの平均寿命は?

2019年10月19日 | 社会


Eurostatのデータを基にドイツ統計局が作成した2017年に生まれた人の平均寿命マップをご紹介します。
それによると、スペイン人、フランス人、イタリア人がEU内で最も高い平均寿命を示しています。ドイツは中間で81.1歳。
西ヨーロッパだけを見るとドイツとデンマークは最下位になります。それよりも平均寿命が少ないのは東ヨーロッパの加盟国のみで、どこも80歳未満です。中でもブルガリアが最も少ない74.8歳。

寿命は特に食事に関係していると言われていますが、地中海諸国の食事は魚介類が多く、また野菜、莢果、果物類が明らかにより多く使われています。
ドイツ人の食生活は比較的不健康で肥満および循環器系疾患の原因になりやすいというのが学者たちの見解です。

また、寿命を短縮する可能性がある因子として、貧困、少ない生活満足度、環境汚染、運動不足および日常的ストレスが挙げられています。

出典:
Statista, 17. Oktober 2019, So lange leben die Europäer

ドイツの労働事情~うつ病、適応障害、神経障害による病欠日(2018)

2019年08月04日 | 社会

最新の DAK Pszchoreport 2019 によると就労者の18人に1人がなんらかの精神的・心理的な病気で欠勤しており、該当者は全国推計220万人に上るそうです。

1997年と比較すると、精神的・心理的な理由による欠勤日数(被保険者100人当たり)は約3倍になっています。2018年度は初めて前年比でややマイナスとなりました。2017年度は被保険者100人当たり欠勤日数250日で最高記録を出しました。2018年度は5.6%減って、100人当たり欠勤日数236日でした。

精神的・心理的な理由は、ドイツ全国の欠勤理由の中で三番目に多い理由です。

精神的・心理的な理由の中で最も多いのはうつ病(Depressionen)で、欠勤日数93日、2位は適応障害(Anpassungsstörungen)で51日、3位が神経障害(neurotische Störungen)で23日、4位が不安障害(Angststörungen)で16日でした(いずれも被保険者100人当たり)。

中でも適応障害の増加が群を抜いており、2000年比で約3倍となっています。DAK代表取締役 Andreas Storm はこれを心の病に関してオープンになってきたことに由来すると説明しています。

バーンアウト症候群は2012年以降約半分に減って重要性を失ってきていますが、それでも2018年度は前年より0.7日増えて5.3日(被保険者100人当たり)になっています。年齢別に見ると60歳以上が一番多いそうです。

男女別でみると女性の方が男性の約2倍多く精神的・心理的な理由で欠勤しています。(女性298日、男性183日)

業種別でみると、公官庁(Öffentliche Verwaltung)および医療関係(Gesundheit)に精神的・心理的な理由による欠勤日が多く、公官庁では358日、医療関係では321日(いずれも被保険者100人当たり)の欠勤があり、全業種平均欠勤日数の236日を大きく上回っていました。

州別では、ザールラント州が最も多く、被保険者100人当たり312日、それにベルリンの279日、ブレーメンの218日が続きます。バイエルンが最も少なくて193日でした。

 

DAK-Gesundheit は加入者570万人を擁するドイツ最大の公的健康保険組合で、また、ドイツ最古の健康組合でもあり、その歴史は1774年にまで遡れます。

参照記事

DAK Gesundheit, "DAK-Psychoreport 2019: dreimal mehr Fehltage als 1997"

Statista, 26. Juli 2019, "Krankschreibungen wegen psychischer Erkrankungen in Deutschland"


2019年度欧州議会選挙~ドイツ事情

2019年05月12日 | 社会

欧州議会選挙の投票開始日まで残すところ2週間を切り、街頭でもテレビでも選挙の話題で持ち切り、とまではいかないまでもかなり話題になっています。

私は投票期間中(5月23日~26日)スペインにバカンスに行く予定なので不在投票用の書類を申請したのですが、投票用紙を開けてびっくり。

ドイツからはなんと41の政党が候補者を出します。私はリストの上位12位までの政党しか見たことも聞いたこともなかったのですが、よく見てみると結構面白そうな政党があります。名称を見た限りでの判断ですが。動物保護や環境保護を政党名に冠しているところが複数あり、なんで統一しないかなと疑問に思うばかりです。

死に票になるのが分かり切っているトップ10に入らない[その他]の政党は無視するとしても、トップ10政党のそれぞれの選挙公約を精読するのも面倒なので、欧州政治に関する38の設問を元に各政党との意見の一致度を見られるツール「Wahl-o-Mat」を試してみました。

以下がその設問です。

  1. EU全体で拘束力のある住民投票を導入
  2. EUはCO2排出量削減に関してもっと高い目標を掲げるべき
  3. EU加盟国は共同の軍隊を創設すべき
  4. EUはオーガニック農業を優先的に助成すべき
  5. ドイツはユーロの代わりに国民通貨を再導入すべき
  6. EUは地中海における民間の難破船救済イニシアティブをサポートすべき
  7. 金融取引税:株などの金融商品の取引に対して課税すべき
  8. 遺伝子組換え植物の栽培をEU内で許可すべき
  9. EU市民が他のEU国に移住した場合、そこで受けられる社会保障は制限されるべき
  10. EU市民は欧州議会選挙において、他国の政党にも投票できるようにすべき
  11. EUは途上国援助にもっと予算を割くべき
  12. EU加盟国は航空旅客のデータ保存義務を継続すべき
  13. EUは全加盟国がそれぞれの最低賃金を導入するよう働きかけるべき
  14. EUはトルコとの難民に関する合意を堅持すべき
  15. EUでは、監査役会における女性枠を設定すべき
  16. ドイツはEUから離脱すべき
  17. ドイツ以外のEU加盟国では原発が今後も許されるべき
  18. EUはEU以外の第三国からの技能者を積極的に受け入れるべき
  19. EUは報道の自由・メディアの自由を侵害する加盟国に対して財政的な罰を課すべき
  20. EU内の経済的に弱い地域に対する経済支援額を削減するべき
  21. 医学研究における動物実験は今後も許されるべき
  22. 欧州警察機関であるユーロポールは、権限を拡大すべき
  23. EU全体の法人税の最小税率を導入すべき
  24. EUは全加盟国が同性婚を合法化するよう働きかけるべき
  25. 国家債務制限のためのEU規則に違反する加盟国に対して罰則を徹底させるべき
  26. トラックに対するハイウェイ料金をEU全体で導入すべき
  27. EUはキリスト教的価値観の共同体であるべき
  28. 銀行はすべて国営化すべき
  29. 地中海を超えてEUに入って難民申請をしようとする者は全員祖国送還すべき
  30. EUはロシアに対する制裁措置を緩和させるべき
  31. 全EU加盟国においてプラスチック包装材に課税すべき
  32. EUにおいては、アンチ・セミティズム(反ユダヤ主義)に対抗するイニシアティブは経済的に支援されるべき
  33. EUにおける外交に関する意思決定は全会一致ではなく、多数決でもよい項目を増やすべき
  34. 難民申請者は全EU加盟国に均等に応能配分されるべき
  35. EUの漁獲量はさらに制限されるべき
  36. EU加盟国間の国境管理は常設されるべき
  37. EUは長期的には欧州合衆国になるべき
  38. 欧州議会選挙の投票可能年齢は16歳に引き下げられるべき
以上の設問に賛成・反対・どちらでもないで回答した後に41の政党の中から特に興味のある政党を8党選ぶと、自分の回答と選択政党との一致度が表示されます。
各政党の設問に対する回答の比較はこちら
 
私個人の回答は置いておくとして、2019年5月10日に発表された世論調査「Politbarometer」の結果によると、今回の欧州議会選挙は一般人の関心が前回(2014年、赤い線)に比べて35%から56%へと21ポイントも上昇しています。 
 
 
欧州議会選挙の投票先としては連立与党のCDU/CSU(キリスト教民主同盟+姉妹党)が32%で断トツの支持率を獲得しているのに対して、もう1つの連立与党のSPD(ドイツ社会民主党)は落ち込む一方(16%)で、野党のみどりの党の19%に負けています。
 

SPDの落ち込みには、先日青年部代表のケビン・キューナートが大企業の国営化を提唱して党内でも物議を醸したことも関係していると思われます。

また、みどりの党の伸びには毎週金曜日に行われる子どもたちのデモ「Friday for Future」で欧州議会選挙で環境保護に力を入れている政党に投票するように呼び掛けていることも影響していると思われます。

また、欧州議会選挙では「その他(Andere)」の割合が高くなっているのも特徴的です。すでに述べたように政党が41もあれば主要政党以外に投票してみようという人の割合も増えるというものです。

ちなみに「今度の日曜日がドイツ連邦議会選挙だったならどの政党に投票しますか」という質問では以下のグラフのように「その他」の割合は5%に過ぎません。

 

欧州議会選挙で盛り上がるのはいいのですが、そもそもの問題は欧州議会自体に対した決定権限がないということなんですね。各国政府の代表で形成される欧州委員会の方が強い権限を持っているため、EUの民主化は遠い道のりです。ロビイストの暗躍を抑制するためにもEUの透明化・民主化のための構造改革は必須です。AfDのように離脱して終わりにしようとするのではなく、積極的に改革を進めて、「ヨーロッパ」という平和プロジェクトをより完成に近づけるために真剣に努力するという政党があれば迷わず投票するのですが。。。

 

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ドイツ:ホームレス増加~2018年度は約120万人

2019年02月14日 | 社会

景気のいい話題の多いドイツにおける悲しい統計が、貧困率やホームレスに関する統計です。BAGWの最新の予想によれば、2018年のホームレス数は120万人にのぼることになるようです。


ホームレスとは賃貸契約などによって確保された独自の住居がない状態を指し、避難施設や保護施設、あるいは親戚・友人・知人などの家に居候している状態もホームレスに含まれます。路上生活者はホームレスのごく一部に過ぎません。


ホームレスに関しては公式の全国統計がなく、唯一のまとまった推定統計は連邦研究会ホームレス支援協会(BAGW)によるものです。全国統計がないのは政治的理由によるものと見られ、ホームレスなどを対象とした福祉は州およびその下の自治体の管轄であり、連邦政府による政策は不要であるというのがこれまでの政府の姿勢でした。もし公式な全国統計を取るようになれば問題が可視化されてしまい、なんらかの政治的対応を迫られることになるため、わざと様々な理由をつけて全国統計を取らないようにしていると考えられます。しかし最近では少なくとも大都市においては少しずつ政治的姿勢に変化が見られ、例えばハンブルクでは路上生活者の統計を取るようになり、現在約2000人いると公表しています。また、ベルリンは現状把握のためにそうした統計を取ることを計画しているらしいです。


現在統計として出ている最新のものは2016年度のもので、そこには新たに難民がカウントされています。それによればホームレスは約86万人おり、うち44万人が難民認定を受けた人たちだそうです。また、路上生活者は約52,000人で、2014年の39,000人から33%増加しています。


難民を除くホームレス42万人のうち約29万人(70%)が独身者、13万人(30%)がパートナーもしくは子どもと同居。子どもおよび未成年者のホームレスは約32,000人(8%)。


性別で見ると成人男性が全体の73%を占め、女性は約27%の10万人と男性に比べればまだまだ少数ですが、2011年から3%ほど増加しています。


国籍で見ると、難民を除くホームレスの約12%(5万人)がEU域内出身者で、その多くが路上生活を強いられています。大都市では路上生活者の約半数がEU域内出身者のようです。就職活動に失敗し、ドイツ人でないために生活保護のような福祉が受けられずに路上生活になってしまっているようです。就職できなかったEU域内出身者に対して帰国までの支援金を1か月支給する制度があるのですが、知られていないかもしくは帰国したくないまたはできない事情があるのでしょう。


ホームレスが増加している背景として、まずは大量に流入してきて施設に収容されている難民が一緒にカウントされるようになったこともありますが、貧困率が全体的に上昇していること、同時に貧困リスク率(「マイルド貧困」とも言えるかもしれません)が上昇していること(2000年の11%から2016年の17%)、公営住宅が減少してきたこと、家賃の高騰なども見逃せないファクターです。


貧困リスク率の定義は「正味等価収入(Nettoäquivalenzeinkommen)」の60%以下の収入しか持たない人の全人口における割合です。正味等価収入の算出方法は複雑ですが、おおよそ一人当たりの標準的収入(可処分所得)と考えればいいと思います。


参照記事:


Zeit Online, 14,02.2019, "Bald könnte es 1,2 Millionen Menschen ohne Wohnung geben(近々ホームレスは120万人に)"


BAGW, "Zahl der Wohnungslosen(ホームレス統計)


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ドイツ:貧富の格差はヨーロッパ最大


ドイツ:持たざる者ほど多い税等負担~ベルテルスマン財団調査


ドイツ:最新貧困統計(2016年度)


ドイツ:5人に1人の子供が継続的に貧困 ベルテルスマン財団調査報告(2017年10月23日)


ドイツ社会のスケープゴートの変遷~長期失業者から難民へ


ドイツ:難民の就業状況(2018年7月)


Brexitを嫌ってドイツに帰化するイギリス人

2019年01月23日 | 社会

メイ英首相がEUと交渉して合意に達したEU離脱ディールが議会で大差で否認され、しかし、続く不信任決議では解散総選挙を嫌う議員たちのおかげで辛うじて生き延びることになりました。とはいえ、EU離脱の延期や国民投票のやり直しには応じない構えで、今後どうなっていくのか不透明なままです。

こうした状況の中、在独イギリス人たちはどんどんドイツに帰化しています。2017年度は前年比162%増の7493人でした。2018年度の数字はまだありませんが、もしかするともっと増えているかもしれません。

BBCの2018.6.30の記事によると、2017年度はトータル13,141人のイギリス人がEUの他の国の国籍を獲得したとのことで、ドイツ国籍を獲得した7493人がダントツです。それにフランス国籍獲得の1518人、ベルギー国籍獲得の1381人、スウェーデン国籍獲得の1203人が続きます。
2015年度の英国籍離脱者はトータル1826人だったのが、EU離脱の国民投票のあった2016年は5056人に増えて前年比177%増、2017年は前年比160%増。

EU国2014201520162017
オーストリア 6 10 10 24
ベルギー 110 127 506 1381
チェコ 3 2 5 26
デンマーク 21 70 85 164
エストニア 0 0 0 0
フィンランド 13 26 31 147
フランス 279 320 439 1518
ドイツ 496 594 2702 7493
ギリシャ 43 46 31 56
ハンガリー 4 3 11 29
アイルランド 51 54 98 529
ルクセンブルク 63 74 128 366
ポーランド 0 6 5 7
ポルトガル 13 11 20 147
ルーマニア 2 0 1 2
スロバキア 0 2 0 1
スペイン 67 28 44 48
スウェーデン 436 453 940 1203
合計 1607 1826 5056 13141


私の同僚にも在独20年くらいのイギリス人がおり、彼も2017年にドイツに帰化しました。やはり、EU離脱によって不利益を被るのを避けることが帰化の目的だと言っていました。

また、私の元同僚で、イギリス人と結婚して渡英したドイツ人女性がいますが、彼女は逆にイギリスに帰化するのかな、と思ってます。

メイ首相は「ノーディール・ブレグジット」を相変わらず脅迫材料として使っているようですが、期日まであと2か月しかないので、現状のEUとの合意で議会からの承認を得られない以上、離脱の延期を申請する以外はないと思うんですけどね。残りのEU側にしてもノーディールでは実際に困るわけで、だからメルケル独首相は「妥協も必要」と言いだしてます。今後どうなるのか、要注目です。

参照記事:

Statista, Lieber German als Brexit, 16.01.2019

BBC News, Surge in Britons getting another EU nationality, 30.06.2018


ドイツ:2018年バイエルン州&ヘッセン州議会選挙~メルケルは次期党首選の出馬辞退

2018年10月29日 | 社会

昨日(2018年10月28日)はヘッセン州の州議会選挙でした。2週間前にあったバイエルン州議会選挙同様、今後のメルケル政権の運命を決する選挙として注目されていました。両選挙とも政権与党(CDU、CSU、SPD)がそれぞれ10ポイント以上得票率を失い、極右政党AFD(ドイツのための選択肢)と緑の党が躍進した点で共通しています。州議会選挙を戦った当事者たちの党本部に対する不満が大きく吹き出しています。というのは、州議会選挙で、州独自の課題が問題にされず、もっぱらベルリン中央政府に対する不満が投票行動に反映されたことがアンケート調査で明らかになっているからです。

この両州の歴史的に見ても壊滅的な選挙結果を受けてメルケル首相は今日、12月のCDU党首選には出馬しないことを表明しました。これまでメルケルは「首相職と党首職は一体」との考えで、首相任期中は党首の座も保持すると表明していましたが、さすがに2つの州議会選挙に連続で2桁台の敗北になんの反応もしないわけにはいかず、党内の圧力が強まる中、「出馬辞退」を表明するに至ったようです。

なぜここまで「国民政党」と呼ばれる伝統政党が大敗するに至ったのか、理由は短期的なものと中長期的なもののがあります。

短期的には現在の「大連立」による第4期メルケル政権発足自体にSPD(ドイツ社会民主党)の下部組織や支持層が反対して、党内投票が行われるなどのケチがついたこと、その後難民政策に関連してCSU党首マルクス・ゼーダーと現内相ホルスト・ゼーホーファー(元CSU党首)の見るに堪えないケンカ(レベルが低くて「議論」と呼べない)、その間のメルケルの沈黙(CSUに対する指導力なし)、テロリスト「アニス・アムリ」に関して失態を犯した憲法擁護庁長官ハンスゲオルグ・マーセンの進退を巡り、更迭ではなく逆に昇進人事を決定(後に厳しい批判を受け取り消す)、ディーゼルスキャンダルにおける消費者ないがしろの対応(不正車の必要装備の後付けの消費者負担など)、都市部の大気汚染が基準値を大幅に上回ることによって差し迫った「車両走行禁止令」(特にディーゼル車が禁止対象)、それに対してメルケルが打ち出した「法改正」(抜本的な改善策を打ち出すのではなく、基準が守れないから基準自体を変える)などといった、本当に「目に余る」としかいいようのない最近の状況があります。

中長期的な理由としては、本来なら保守対革新で対立する筈の伝統的国民政党による連立政権が長期化することによって、両陣営の違いが不透明になったこと、「妥協」政策によって支持層の党に対する期待が裏切られたことなどが挙げられます。本来の支持層でない有権者においても長期化によって、「何も変わらないこと」に対する飽きや倦みが強まっているという側面もあります。

極右政党AFD(ドイツのための選択肢)にとってヘッセン州議会選挙は「歴史的快挙」となりました。ヘッセンから始まったAFDは2013年の時点では5%の壁を突破することができませんでしたが、各州議会選挙で躍進を続けて議会入りし、ヘッセン州をもって全州の議会を制覇したことになるため、当初の得票目標は果たせなかったものの、「ミッション・コンプリート」であると祝賀ムードに包まれています。

同じく大きく躍進した緑の党は、「躍進できるのは極右ばかりでないことを証明した」「新しい国民政党としての役割と責任を果たす」などと政党としての自信を深め、希望に燃えているというところでしょうか。個人的には緑の党にいろいろと疑問を抱いていますが、AFDだけが躍進するよりは緑の党が成長する方がずっとましな社会状況であるとは思っています。ドイツ社会の右傾化を快く思っていない勢力がまだまだ強いことの表れであり、健全な民主主義社会の継続には必要なファクターです。

では具体的な選挙結果を見て行きましょう。

バイエルン州議会選挙

バイエルン州議会選挙の投票率は72.4%で、2013年度の投票率63.6%を8.8ポイント上回りました。

各党の得票率

CSU(キリスト教社会主義同盟) 37.2%
SPD(ドイツ社会民主党) 9.7%
FW(自由有権者) 11.6%
Grüne(緑の党) 17.5%
FDP(自由民主党) 5.1%
Linke(左翼政党) 3.2%
AFD(ドイツのための選択肢) 10.2%
その他 5.4%

2013年度の得票率との比較

CSU(キリスト教社会主義同盟) -10.4ポイント
SPD(ドイツ社会民主党) -10.9ポイント
FW(自由有権者) +2.6ポイント
Grüne(緑の党) +8.9ポイント
FDP(自由民主党) +1.8ポイント
Linke(左翼政党) +1.1ポイント
AFD(ドイツのための選択肢) +10.2ポイント
その他 -3.3ポイント

 

議席配分

総議席数205、絶対多数103。


最重要課題

難民/統合 33%
住宅市場/家賃 23%
学校/教育 13%
環境/エネルギー転換 12%
CSU 内部抗争/状態 10%

バイエルン州の単独政権与党であったCSUの内部抗争が「最重要問題」として挙げられていることには苦笑を禁じ得ませんが、実際元党首ゼーホーファーと現党首ゼーダーの抗争は目に余る醜さでした。後になって本人たちも「行き過ぎだった」「品位に欠けていた」などと反省表明してましたけど、後の祭りです。

政党に関するステートメント

「CSUは、何がバイエルン州にとって大事なのかという感覚を失った」― はい 65%、いいえ 33%

「緑の党バイエルン支部は現代的な市民政治を象徴している」 ― はい 55%、いいえ 41%

 

ヘッセン州議会選挙

ヘッセン州議会選挙の投票率は67.3%で、2013年度の73.2%を5.9ポイント下回りました。

各党の得票率

CDU(キリスト教民主主義同盟) 27%
SPD(ドイツ社会民主党) 19.8%
Grüne(緑の党) 19.8%
Linke(左翼政党) 6.3%
FDP(自由民主党) 7.5%
AFD(ドイツのための選択肢) 13.1%
その他 6.5%

2013年度の得票率との比較

CSU(キリスト教民主主義同盟) -11.3ポイント
SPD(ドイツ社会民主党) -10.9ポイント
Grüne(緑の党) +8.6ポイント
Linke(左翼政党) +1.1ポイント
FDP(自由民主党) +2.5ポイント
AFD(ドイツのための選択肢) +9.1ポイント
その他 +0.9ポイント

議席配分

総議席数137、絶対多数69。

 

最重要課題

学校/教育 33%
住宅市場/家賃 26%
難民/統合 22%
交通政策 16%
ディーゼルスキャンダル/車両走行禁止令 12%

メルケルが二酸化窒素のEU基準値を超過しているドイツの51都市に関して、超過分が微小であるためディーセル車両走行禁止令は過剰な対応であるとし、禁止令発布を難しくする法改正の提案をしたのは、ヘッセン州議会選挙までのカウントダウンが1週間を切った時点です。ヘッセン州の選挙をCDUに有利にするための一策であることがばればれで、また根本的な基準を満たせるようになるための解決策ではなく、基準自体をないがしろにしてしまおうとする後出しじゃんけんのような愚策のため、国内ばかりかEUからも厳しい批判が出ました。

私がVWまたはアウディのディーゼル車を買っていたとしたら、堪忍袋の緒が切れるほど憤慨するだろうと思います。なぜなら、ディーゼル車購入者はこれで2重に騙されることになるからです。彼ら彼女らは環境のことを鑑みて、「クリーンディーゼルだから」という理由で割高のディーゼル車を購入したはずです。ところが不正が発覚し、「クリーン」ではなかったため、実際の排気量に応じた車両税が上乗せされる羽目になり、不正を是正するために必要な装備の後付けはアメリカと違ってドイツでは自己負担という結論がメルケルと自動車企業間で取り決められました。その上大気汚染の基準値超過のため、ヘッセン州の首都フランクフルトなどではディーゼル車走行禁止令が発布される可能性が高くなり、通勤や営業などに必要なディーゼル車での移動に差しさわりが出ることを心配しなくてはなりません。そこで禁止令が出ないとなれば、確かに最後の心配だけはなくなるかもしれませんが、もともと大気汚染をひどくしたくて「クリーン」ディーゼル車を購入したわけではないので、このような欺瞞に満ちた小手先の小細工を喜べるわけがないですよね?

メルケルは元々「Industrienutte(産業界の売女)」と揶揄されるような政治家でしたが、それでもその時々の空気を読んで臨機応変に対応することに長けていたため、これまで人気を維持することができました。しかし最近は空気を読むことの連続して失敗しているようです。

参照記事:

ZDF heute, "Kanzlerin macht Platz frei- Merkel tritt nicht mehr für CDU-Parteivorsitz an(首相、権力の座を明け渡す。メルケルはCDU党首選の立候補を辞退)", 29.10.2018

ZDF heuteの選挙特集記事多数。


【フェイクニュースに要注意】「ドイツが東京オリンピックボイコットの可能性」はデマ

2018年10月15日 | 社会

しばらく前から「ドイツが東京オリンピックをボイコットするかも」というデマ・フェイクニュースがネットで拡散されています。真に受けないようにご注意ください。

とはいえ、「火のない所に煙は立たぬ」というように、このフェイクニュースの火元はなくはないです。その「火元」と思われるのが、Sayonara Nuke Berlinでも紹介されている、「IPPNWドイツ支部キャンペーン”2020年東京「放射能」オリンピック”」です。

呼び掛け文のドイツ語原文はこちらです。この呼び掛け文を全文読んでいただければお分かりになるかと思いますが、決してオリンピック自体をボイコットしようとするものではなく、オリンピックというマスコミ注目度の高い催し物を利用して、被曝の危険性に関する啓蒙キャンペーンおよび日本政府による「日常生活が戻った」かのような印象操作に対する抗議活動を行うというものです。

恐らくタイトルしか読まないネットリテラシーの低い方が「放射能オリンピック」という刺激語を見て「オリンピックボイコット」を連想し、それを拡散したということではないかと思われます。ほんの少し中身を確認すればそういう早とちりはしなくて済むものです。脊髄反射的に刺激的な内容の拡散をする人が多いのには呆れるばかりです。クリック数を稼ぐための意図的なフェイクニュース拡散なら、なおたちが悪いと思います。そのようなものに踊らされないように情報を吟味していただきたいものです。

ちなみに現在、ドイツのホットな話題が東京オリンピックでないことは明々白々です。オリンピックの「オ」の字すら話題になっていません。今、最もホットな話題は「ポスト・メルケル」でしょう。昨日(2018/10/14)CDUの姉妹党であるCSUがバイエルン州議会選挙で史上2番目に悪い結果を出して、CSU党首・現職バイエルン首相の今後の動向やメルケル退陣のタイミング(自らの意思決定の余裕のあるうちに辞任するか、退陣に追い込まれるまで在任し続けるのか)などが一層注目されています。

 

以下はSayonara Nuke Berlinの日本語紹介文の転載です。

IPPNW核戦争防止国際医師会議ドイツ支部のキャンペーンを日本語翻訳で紹介します。


2020年東京「放射能」オリンピック

2018年7月16日付
日本は世界各地からアスリートを招こうとしています。2020年に東京でオリンピックが開催されることになっているからです。私たちは平和でフェアなスポーツ競争を願うものですが、同時に大変懸念もしています。というのは福島県の県庁所在地でもオリンピック競技が開かれる計画だからです。野球とソフトボールの試合が福島市で開催されるということです。ここは原発事故のあった福島第一原発から50キロほどしか離れていません。2011年にはここで複数の原子炉事故が相次いで起き、放射能雲が日本と周辺の海を汚染しました。この災害と唯一比較できるのはチェルノブイリ原発事故だけです。

これによって生態系と社会は深く影響を受け、それらは日本ではまだ消滅していません。故郷を失ってしまったたくさんの家族、住民がこぞって避難して人のいなくなってしまった地域、汚染土を入れた何百万というフレコンバッグ、放射能で汚染された森林、川、湖。「通常な状態」などに日本は戻っていないのです。

事故を起こして破壊した原子炉もまだまだ危険が去ったわけではありません。今も変わらずここから放射能汚染が出続けています。海、空気、土の放射能汚染は日々増えているのです。大量の放射性物質は壊れた原子炉建屋に今もあるだけでなく、原発敷地にも屋外で放射性物質が放置されたままです。この状況では、もし次に大地震があった場合に人間と環境におびただしい危険を及ぼす可能性があります。放射線災害はまだ続いているのです。この警告はそして、当分解除されることがないでしょう。

2020年のオリンピックの日本での開催にあたり、IPPNWドイツ支部では国際キャンペーンを始めることにしました。私たちは、参加するアスリートと競技を見物する観客たちがフクシマ近郊で被ばくするのではないかと懸念しています。特に放射線感受性の高い妊婦や子供たちが心配です。

日本政府は、このオリンピック開催には最終的に120億ユーロかかると予測しています。しかし同時に日本政府は、避難指示解除後、故郷に帰還しようとしない避難者たちには支援金の支払いを止めると脅しています。

国際的に、放射線災害があった場合に住民は、自然放射線を除いて年間で1ミリシーベルトしか放射線を被ばくしてはいけないと規定されています。フクシマの帰還政策により帰還を促された地域では、住民はそれより20倍も高い20ミリシーベルトまでの被ばくは我慢するように求められているのです。すでに村や町が除染された場合でも、森や山は放射線汚染を「貯蔵」する役割を果たすため、風や天気次第ですぐにまた汚染させられる可能性は高いのです。

この国際キャンペーンを通じて私たちはまた、世界中にまだ一つとして放射線廃棄物の最終処分場すらないことも改めて訴えていく次第です。原子力産業が残す猛毒の負の遺産を安全に保管できる場所はないのです。

オリンピックに対しては世界のマスコミが注目します。これを利用して私たちは、日本の脱原発の市民運動を支援し、世界的なエネルギー政策変換を訴えていきたいと思います。化石燃料と核燃料に別れを告げ、再生エネルギーへ向かわなければならないと訴えます。

キャンペーンでは、世界中の政治家がいかに軍産複合体と一緒になって政策を推し進めているか、より明確に指摘していきたいと思います。

IPPNWは放射能に汚染された地域にあたかも「日常生活」が戻ったような印象を世界に与えようとする日本政府に対しはっきり「ノー」を突きつけます。

このキャンペーン趣旨に賛同する個人または団体は、次のメールアドレスを通じてキャンペーンチームに連絡をくださるようお願いします。
olympia2020[at]ippnw.de

(翻訳:Yu Kajikawa von Sayonara Nukes Berlin)

#IPPNWGermany #IPPNWドイツ支部 呼びかけドイツ語 原文:http://www.ippnw.de/atomenergie/artikel/de/tokyo-2020.html

 


ドイツ:難民の就業状況(2018年7月)

2018年08月22日 | 社会

ドイツ連邦労働庁が8月に発表した難民の就業状況に関する統計によると、予想よりも就業者が多く、30万人以上となり、前年同期比で88,000人増加しました。社会保険料を払う義務のある仕事に就いている難民は、23万8,000人。

求職者・失業者

「求職中」と労働局に登録されている難民は2018年7月末時点で48万2,000人で、うち実際に失業しているのは18万7,000人、ドイツ全体の失業者の約8%を占めます。数は昨年から横ばいです。「求職中」で「失業していない」人たちは、職業訓練プログラムや語学コース、社会統合コースに通っているために統計上「失業者」カテゴリーに入っていません。この統計の取り方は難民に限ったことではなくドイツ全体の失業者統計がそうなっています。

下のグラフは、難民の統計の取り方を2016年7月に変更したため、それ以前の部分は薄い色で表示されています。

失業中の難民はほとんどが若い男性で、言葉の障壁があまり問題ならない清掃や運送あるいは飲食店のキッチンヘルパー(食器洗いなど)の業種で主に求職活動をしているようです。

第二種失業手当受給者

第二種失業手当(俗に「ハルツ4」と呼ばれる就業可能者のための生活保護)を受給している難民は61万7,000人で、全受給者423万人の約15%を占めます。仕事をして社会保険料を払っている難民が23万8,000人ですから、社会保障の観点からだけで見た場合、かなりの赤字ということになります。もちろん人道的な理由で彼らを受け入れているわけですから、そうした経済的観点のしかもほんの一部だけで判断することはナンセンスですが。短期的に見れば社会保険への払い込みが増えなくても明らかに国内消費は増加し、彼らの社会統合のために発生した需要(ドイツ語教師や社会生活の講師、移民難民局の職員、住宅建設関連業など)による求人も増加しているため、それなりの経済波及効果があります。長期的に見れば、難民の大部分がドイツに定住した場合、第2・第3世代の社会統合率は格段に高くなるため、社会保障の点でもバランスが取れる可能性は高いです。

就業率

2018年5月の時点での難民の就業率は27.2%で、外国人全体の就業率49.3%に比べてもかなり低い水準です。ドイツ人の就業率は68.3%です。

主要8か国からの難民の就職先

下のグラフは2017年5月から2018年4月までの間に失業状態から就職できた主要8か国からの難民の就職先を業種別に分類したものです。それによるとおよそ3分の1が派遣会社に就職しています。

就職できた難民はトータル80,100人で、うち68,700人が社会保険料を支払う義務のある就職先です。派遣会社への就職は23,300人、派遣を除くサービス業9,000人、接客業8,800人、流通及び自動車などの修理・整備6,900人、製造業5,700人、その他14,900人。

難民の失業者が就職できる成功率は、前年同期比ではわずかに向上しているものの、依然として低い水準の4.4%。

 

難民申請者

2018年7月の新規難民申請者数は過去1年間で最も低い水準の13,000人、決定数(認可及び拒否)は15,000人でした。

 

2016年~2017年度の難民申請者は、男性が60%、35歳未満が83%(16歳未満が39%、16歳以上~35歳未満が44%)で、若い男性が大部分を占めています。

学歴は高卒が最も多く、40%。中卒の割合も31%で多いですが、全体の39%が16歳未満ですから当然と言えば当然の結果ですね。

出典:

グラフや統計の数字はすべてドイツ連邦労働庁の2018年7月の報告書「Fluchtmigration」からの引用です。

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