徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:メンタリストDaiGo著、『自分を操り、不安をなくす 究極のマインドフルネス』(PHP研究所)

2020年10月30日 | 書評ーその他


『自分を操り、不安をなくす 究極のマインドフルネス』のオーディオブック版を聴きました。やはり読むよりも聴く方が楽に集中できますね。

心理学的知見、不安や悩みとの向き合い方、マインドフルネスについての説明、そしてマインドフルネスを得るための手段としての瞑想やヨガの勧めがこの1冊にギュッと凝縮されています。
目次
はじめに・最初にお読みいただきたいこと
第1章 今日から「無駄に悩まない」人になる
第2章 根拠なき自信を持って前を向く
第3章 思い込みを止めて、心をリセット
第4章 自分の弱みを生きる力に変えよう
第5章 人生を変えるマインドフルネス瞑想

私はメンタリストDaiGoの動画をたくさん見まくっているため、内容は知っているものが多かったのですが、まとまって聴いてよい復習になりました。そして改めて、「そうだ、瞑想しよう」というモチベーションを新たにした次第です。
何かを変えようと新しいことに挑戦するときは、「根拠なき自信」を持っていていい。不安を持っていていい。不安に思う理由にきちんと向き合い、リスクヘッジのような対策を練ることが大切。
興味深いと思ったのは、不安で落ち込んでいる時には人間は細かいところによく気が付くので、詳細分析をするのに向いている心理状態だということと、逆に明るく楽観的な気分の時には遠い先を見る、大局を見るのに向いている心理状態なのだそうだ。だからどちらも使いこなすと最高の結果が得られることになるわけですね。

「二―バーの祈り」
God, give us grace to accept with serenity
the things that cannot be changed,
Courage to change the things
which should be changed,
and the Wisdom to distinguish
the one from the other.
神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。
変えるべきものを変える勇気を、
そして、変えられないものと変えるべきものを区別する智慧を与えて下さい。 

まさにこの智慧を持って、無駄な努力をせず、変えられるものを変えていく努力をしていくことが大切だと説かれています。その際、利己的な目標ではなく利他的な目標であった方が、努力も継続しやすく、幸福度も高くなるとのこと。

「究極のマインドフルネス」というタイトルからマインドフルネスについての内容がメインテーマなのかと勘違いしやすいですが、「今、ここ」に集中するマインドフルネス自体に関する説明は比較的少なく、著者の主眼は「不安を失くして前向きに生きる方法」を提示することにあります。このためマインドフルネスそのものをよく知りたいという方にはあまりお勧めできない本です。そういう視点で見ると「内容が薄い」と感じるかもしれません。



書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。3』(ビーズログ文庫)

2020年10月29日 | 書評ー小説:作者ア行


『十三歳の誕生日、皇后になりました。』の第3弾が出ていたので、『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう 』と一緒に購入し、あっという間に一気読みしてしまいました。
ストーリーの時系列としては、『茉莉花官吏伝』の4巻で茉莉花が赤奏国に派遣される少し前から内乱を無欠で終了したのちに皇后莉杏が皇帝代理としてお礼を言いに白楼国へ行って帰国するまでに当たり、莉杏視点で出来事が描かれています。
13歳という低年齢ながら皇后としての自覚を持ち、自分に何ができるのかを常に考え続ける姿勢が大人びていて感心する一方で、皇帝・暁月に対する純な恋心が少女らしくて微笑ましい感じです。
茉莉花官吏伝との関わりがある部分はこの巻で終了したので、次からは赤奏国内の独自展開ということになるのでしょうか。茉莉花官吏伝のスピンオフにとどまらない、莉杏の物語に発展していくのか否か、まあ楽しみにしておきましょう。


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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 2~ 百年、玉霞を俟つ 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 3 月下賢人、堂に垂せず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 4 良禽、茘枝を択んで棲む』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 5 天花恢恢疎にして漏らさず』 (ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 6 水は方円の器を満たす 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 7 恋と嫉妬は虎よりも猛し 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 2』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。3』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『おこぼれ姫と円卓の騎士』全17巻(ビーズログ文庫)


書評:デイヴィッド・J・リンデン著、夏目大訳『脳はいいかげんにできている』(河出文庫)

2020年10月29日 | 書評ーその他



神経科学者、ジョンズ・ホプキンス大学医学部教授の著作『脳はいいかげんにできている』は、メンタリストDaiGoの動画のどれかで参考文献として挙げられていました。もうどの動画だったのかはたくさん見すぎて分からなくなってしまったのですが(;^_^A

目次
プロローグ 「その場しのぎ」の脳が人間らしさを生んだ
第1章 脳の設計は欠陥だらけ?
第2章 非効率な旧式の部品で作られた脳
第3章 脳を創る
第4章 感覚と感情
第5章 記憶と学習
第6章 愛とセックス
第7章 睡眠と夢
第8章 脳と宗教
第9章 脳に知的な設計者はいない
エピローグ 「中間部分」の欠落

内容的に非常に興味深いのですが、やはりなんとか受容体とか、脳の部位の名称とかが難しく感じますね。
本書の重要な知見は、人間の脳は精巧な機械とは違い、カエルなどのような口頭でない動物と同じ原理で働く部分(脳幹や小脳など)の上に場当たり的に建て増しを重ねた結果の産物であるということですね。
脳科学の発達により、様々な刺激によって脳内に何が起こるのか分子レベルで説明できるようになってきているものの、「まばたき」の条件付けのような簡単な現象を除けば、分子レベルで起きていることと感情の発生や記憶などの結果の間の処理がどうされているのかという「中間部分」はまだまだ謎のままです。つまり、何かの行動や情動などに関して、脳のどの部分が関与しているか場所の特定や分子レベルの動きは突き止められても、なぜその分子レベルの動きが行動・情動・記憶などの結果をもたらすことになるのかまでは解明できないということですね。
リンデン氏は、キリスト教原理主義のインテリジェントデザイン論者に対してかなり思うところがあるようで、インテリジェントデザイン論がいかに間違っているかという反論にかなりページ数を割いています。もしかしたら、この反論をするためだけにこの本を書いたのではないかと思えるくらい、「知性を持つ設計者であれば、このような場当たり的な脳を創造しない」ということを示す事例を多く取り上げています。
きっちりと設計されていないということは、同時に脳に可塑性があるということを意味し、それ故に環境適合や進化のポテンシャルもあるということです。
紹介されている多くの具体例がとても興味深いです。
特に、左脳の物語作成機能が面白いですね。左脳が刺激や記憶のつじつまを合わせるために話を勝手にでっち上げるんだそうです。でも、本人(前向性健忘患者や分離脳患者など)はそれが事実だと思っているのだとか。
本書には書いてありませんでしたが、人が直感的に出した結論に、すでに結論が出てるという自覚がなくいろいろ調べて、その結論を補強・正当化する証拠ばかりを集めてしまい、それに反するような情報は無意識に切り捨ててしまうという心理バイアスもこの左脳の物語作成機能が関わっているのではないかと思いました。自分の直感に合うようにストーリーをでっちあげてることに他ならないですから。そのためなら自分の記憶も往々にして改竄してしまいますね。ネガティブなことばかり思い出して並べ立て、ポジティブなことは忘れたまま見ないようにして「私って不幸」という自己憐憫ストーリーを作り上げるとか。
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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう 』(ビーズログ文庫)

2020年10月27日 | 書評ー小説:作者ア行


『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう』は発売から半年以上経過してます。このシリーズは今まで紙書籍で揃えていたのですが、コロナのせいで郵便物に制限が加わり、なんと「ドイツへの発送ができません」と断られて入手できなかったのです。
コロナが収束するどころか第二波が来て全然収まりそうにないので、もう紙書籍は諦め、電子書籍で読むことにしました。

叉羅(サーラ)国の高貴な客人ラーナシュに、王の証(コ・イ・ヌール)というとんでもないものを押し付けられた茉莉花は、視察と称して叉羅国に返してくるよう珀陽に頼まれて、いよいよ叉羅国に入りますが、入国した途端にラーナシュが命を狙われてしまいます。宿の火事を辛くも逃げ出した茉莉花は、偶然の出会いとはいえ、よりによってラーナシュと敵対中の司祭の家の当主シヴァンに助けを求めてしまいます。叉羅国では異国人には非常に厳しいのが普通なのに、もてなされたりして訳が分からないなりに叉羅国を理解し、可能な限り将来的に白楼国皇帝のためになるような恩を売るにはどうしたらいいのか手探りしていきます。
皇帝から直々に禁色の小物を授与された官吏としての自覚が強くなってきて、茉莉花がグッと成長している感じなのが好印象です。
 
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書評:松岡圭祐著、『高校事変 IX』(角川文庫)

2020年10月25日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行



松岡圭祐の『高校事変 IX』を最新刊自動購入でひょいと電子ライブラリーに入ってきたので、さっそく読みました。

フェリーでの激闘から数日。公安の監視を受けながら孤立した学校生活を送る中、体調不良を訴える優莉結衣は、前巻まででだいぶ和らいできていた心がさらに解されて、かつての担任教師にも感情を吐露してしまいます。そのこと自体に彼女自身が戸惑っている様子も丁寧に描かれていて、ただの高校ハードボイルドじゃない、「そうだ、これは青春」という感じがします。

宿敵・田代勇次とこの巻でいよいよ決着がつきます。結衣の体調不良で、前半はだいぶ勇次に出し抜かれていますが、後半で盛り返していきます。まあ、主人公ですので当然ですが(笑)

これで終わりなのかと思いきや、新たな敵?新章が始まるようです。

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歴史小説

書評:松岡圭祐著、『黄砂の籠城 上・下』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『八月十五日に吹く風』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『生きている理由』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『ヒトラーの試写室』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『黄砂の進撃』(講談社文庫)


推理小説 

水鏡推理シリーズ

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理』(講談社文庫) 

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理2 インパクトファクター』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理3 パレイドリア・フェイス』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理4 アノマリー』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理5 ニュークリアフュージョン』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理 6 クロノスタシス』(講談社文庫)


探偵の鑑定シリーズ

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定I』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定II』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の探偵IV』(講談社文庫)


高校事変シリーズ

書評:松岡圭祐著、『高校事変』1&2(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変Ⅲ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変』IV+V(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VI』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VII』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VIII』(角川文庫)


その他

書評:松岡圭祐著、『グアムの探偵』1~3巻(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼完全版クラシックシリーズ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『被疑者04の神託 煙 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『カウンセラー 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『後催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『瑕疵借り』(講談社文庫)