へんな日本語にも理由(わけ)がある!
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」「こちら和風セットになります」「全然いい」などの“問題な日本語”を
取りあげ、それがどのような理由で生まれてきたか、どのように使えばよいかを、日本語の達人、『明鏡国語辞典』の編者・編集委員がわかりやすく解説。
という商品説明の本書『問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?』は2004年12月に刊行された本で、実は続編があり、「その4」まであります。
さらに番外編として『かなり役立つ日本語ドリル―問題な日本語番外』が2冊出版されています。
私はYouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で紹介されていたので、Amazonポイントを消化すべくとりあえず本書だけを買いました。
昔とは違って、今は世界中の発信がタイムリーに入手できます。それで、日本を離れて30年以上経つ私には違和感のある日本語の用法の驚くことも多いのですが、違和感の元が分からなかったり、なぜそんな用法になってしまったのか説明できなかったりすることがほとんどです。日本語文法に詳しくないから当然です。
そんな日本語用法に対する違和感を説明してくれるのが、本書です。
何が誤用で、何が正しいのかという正誤だけを説明するのでしたらつまらないですが、本書では「言葉は変化する」という当たり前の前提に立って、用法変化の過程を説明し、「現段階では誤用」とか「誤用とは言い切れなくなっている」とか「誤用とは言えない」などの評価のグラデーションを付けているため、押しつけがましくありません。
また、各章ではありませんが、多くの章末に掲載されている二コマまたは四コママンガは、その章で取り上げられた問題表現をネタにしており、かなり秀逸でユーモラスです。
「こちらきつねうどんになります」と素うどんが出され、きつねが器の中に入って「こちらきつねうどんになりました」とマンガが表紙にありますが、章末のマンガもおおよそ同じようなノリです。
加えて、上段の本文の下に「使うのはどっち?」という正誤を問うクイズも掲載されています。歴史的仮名遣い・現代仮名遣いの関係と違いや常用漢字表外の漢字の代用表記(一攫千金の代わりの一獲千金)など、曖昧な知識しか持ち合わせていない分野の豆知識をクイズ形式で学べて、勉強になりました。
そのうち続編を購入しようと思います。