徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:松岡圭祐著、『千里眼 堕天使のメモリー』(角川文庫)

2021年06月25日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

渋谷の雑踏を切り裂く一台の異形の車、オロチ。その助手席に座っていたのは、死んだはずのあの女だった――。完璧な美を手に入れた彼女の大胆不敵な計画に、岬美由紀は翻弄されていく。一方メフィスト・コンサルティングの仕掛ける人工地震が、震度7の衝撃となって都心を襲う。彼らの真の目的とは? そして、美由紀の消された記憶の謎とは? シリーズ最大の秘密が暴かれるのか?! 

という煽りのシリーズ第6巻では、千里眼新シリーズ第3巻『千里眼の水晶体』で美由紀を散々翻弄した挙句に敵対組織であるメフィストに拾われてアメリカに運ばれ整形して、憧れのスタート共に過ごしていたはずの西之原夕子が京城麗香として再登場します。ハローワークであり得ない職を紹介しろと喚き散らし、紹介できないと言われると逆上して職員を無能呼ばわりする相変わらずの傍若無人ぶり。ハローワークで鳥沢幸太郎という男をなぜか下僕のように従え、いきなり会社を設立し、息を呑むような経緯で社用車(?)オロチを手に入れますが、それで警察に追われる身となったことが納得が行かないという人格破綻者に読んでいる方も「え????」と驚かされるばかり。
自己愛性人格障害であるらしいのですが行動がはたから見ると支離滅裂以外のなにものでもないにもかかわらず、本人なりの目的と独特の論理が働いているようです。

私は夕子はメフィストに飲み込まれて美由紀の強敵になるものとばかり思ってましたが、敵ではなく手強い患者という位置づけだったようですね。
夕子を救うために美由紀とメフィストが対峙することになりますが、その際に旧シリーズの懐かしのキャラやどうやら失われているらしい美由紀の記憶が仄めかされます。これらが次巻のための伏線のようですね。


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