徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

ドイツ:世論調査(2017年1月27日)~首相候補。メルケルはわずかにシュルツをリード

2017年01月28日 | 社会

週末で翻訳依頼の打診もお断りして時間を確保し、読書(ダン・ブラウン著、『デジタル要塞』)も読み終わってひと段落したので、次の本を読みだす前に昨日1月27日に発表されたZDFの「ポリートバロメーター」を私見を交えつつご紹介します。

次期首相候補

まずはタイトルにもあるように首相候補の話題から。ドイツでは首相候補問題のことを「K-Frage(カー・フラーゲ)」と省略することが多いです。この場合のKは首相を指すドイツ語「Kanzler(カンツラー)」の頭文字です。ちなみにメルケルさんは女性なので、「Kanzlerin(カンツラリン)」となります。正式名称はこのKの前に「連邦の」という意味の「Bundes(ブンデス)」がつきますが、正式な呼びかけ(Frau Bundeskanzlerin)など以外では普通使われません。

というわけで、カー・フラーゲです。CDU(キリスト教民主連盟)からは現職のメルケル首相が4期目を目指すことは去年の時点で明らかになっていましたが、彼女の対抗馬となるSPD(ドイツ社会民主党)の候補者は先日まで党首だったジグマー・ガブリエルとなるか前欧州議会議長マルチン・シュルツとなるか明らかではありませんでした。それが先日、党員の中ですら驚く人がいたくらい急にガブリエルが党首を辞職し、シュルツがその後継者となり、従ってSPDの首相候補になることが決定しました。前回のポリートバロメーターを見て頂ければお分かりになると思いますが、ガブリエルの人気・人望の無さはある意味群を抜いており、これではSPDが選挙で勝てないと本人も認めざるを得なかったのでしょう。

さて、シュルツが首相候補と決まった後の世論調査の結果は:

メルケル 44%
シュルツ 40%
分からない 16% 

逆転が可能かどうかは分かりませんが、メルケルは本当にわずかリードしているのみです。ちなみにメルケル対ガブリエルでは60%対26%の大差をつけていましたので、シュルツがかなり強力なライバルであることは確かです。

 

マルチン・シュルツが首相候補であることはSPDにとって連邦議会選挙でどんな影響がありますか?:

という質問には61%が「どちらかといえばいいこと」と答えており、「どちらかといえば悪い(6%)」と「影響なし(22%)」と答えた人を圧倒的に上回っています。

 

大統領選挙

さて、来月には現職のドイツ大統領ヨアヒム・ガウクが任期終了となります。次期大統領候補者は連立政権党CDU/CSUおよびSPD共同推薦の現外相フランク・ヴァルター・シュタインマイヤーです。左翼政党推薦の候補者などもいますが、まあ、シュタインマイヤーでほぼ決まりと見ていいでしょう。彼は昨日外相職を引き、後をジグマー・ガブリエルが引き継ぎました。ガブリエルはこれまで経済・エネルギー相として外交に関わってきましたが、優れた外交手腕を発揮するどころか、結構顰蹙を買うような問題発言があったので、この引継ぎに不安を覚えている人は少なくないです。

フランク・ヴァルター・シュタインマイヤーが連邦大統領になることをどう思いますか?:

という問いに対して、73%が「いいと思う」と答えています。「悪い」と答えたのは16%、「分からない」が11%でした。

シュタインマイヤーは外相として難しい国際危機を無難に運営してきた実績もあるので、国の顔というかお飾り的な意味合いの強い連邦大統領としてドイツの外交に貢献していくのはいいんじゃないかと私も思います。

 

ヨアヒム・ガウクはいい連邦大統領でしたか?:

という問いには84%が「はい」と答えています。否定的な答えは11%、「分からない」は5%でした。

まあ、無難な大統領だったと私も思っています。特に歴史に残るような足跡を残したわけでもありませんが、いかにも「国父」という役割に相応しい態度で、何の瑕疵もなく任務を果たしたという印象です。

連邦議会選挙2017

もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか?:

CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 36%(変化なし)
SPD(ドイツ社会民主党)  24% (+3)
Linke(左翼政党) 10%(+1)
Grüne(緑の党) 8%(-2)
FDP (自由民主党) 6%(変化なし)
AfD(ドイツのための選択肢) 11%(-2) 
その他 5% (変化なし)

今回の結果で目を惹くのはやはりSPDの伸びと緑の党およびAfDの支持率低下でしょうか。SPDの伸びは「シュルツ・ハイプ」という感じのもののようです。私は頭が変わっただけで政党支持が変わるというのにはちょっとついて行けないものがあると思いますが、まあ、元欧州議会議長は人気があるということです。
AfDの支持落ちは、チューリンゲン州支部長のブヨルン・ヘッケ(Björn Höcke)がドレスデンで行った問題発言「私たちドイツ人は、首都の心臓に恥の記念碑を作った世界で唯一の民族だ」とドイツの回想文化(Erinnerungskultur)あるいは追悼文化(Gedenkkultur)を批判したことが影響していると見られています。
緑の党の支持が下がった理由は不明ですが、もしかしたら大晦日のケルン警察警備方法について襲撃事件を予防したことを認めず、人種差別的な警備だと批判したことや、テロ対策に関してもイデオロギー的な硬さでもって差別防止に焦点を当てるところなどが緑の党離れの一因となっているのかも知れません。選挙後の連立相手などを前以て決めないところも信頼性を失くす原因となっている可能性もあります。


1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先回答推移:


政権満足度(スケールは+5から-5まで):1.1(前回比-0.1)


連立政権モデルの評価:

CDU/CSUとSPD(現行の「大きな連立」)

いい 47%
悪い 33%

CDU/CSUと緑の党

いい 35%
悪い 40%

CDU/CSU、緑の党、FDP

いい 24%
悪い 48%

SPD、左翼政党、緑の党(「左派連立」)

いい 24%
悪い 59% 

相変わらず「大きな連立」の支持率は高いようです。ただSPDが弱っているので、もう2大国民政党の連立とは言えないという指摘もありますが。


政治家評価

政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで):

  1. フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.5(↑)
  2. マルチン・シュルツ(SPD党首・前欧州議会議長)、2.0(初ランクイン)
  3. ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、1.9(↓)
  4. アンゲラ・メルケル(首相)、1.8(→)
  5. ヴォルフガング・ショイブレ(財相)、1.7(→)
  6. トーマス・ドメジエール(内相)、1.1(↓)
  7. ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.8(↑)
  8. ジーグマー・ガブリエル(新外相)、0.7(→)
  9. ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.5(↓)
  10. サラ・ヴァーゲンクネヒト(左翼政党議員)、-0.4(→)


AfDと極右思想


一番最近のはチューリンゲン州支部長のヘッケ氏の問題発言でしたが、こうした問題発言はAfDが複数の州議会入りを果たした後、殆ど定期的と言っていいほど数か月ごとに話題になってます。

AfDでは極右思想がどのくらい支配的だと思いますか?:

非常に支配的 44%
支配的 38%
それほど支配的ではない 11%
全然ない 1% 


AfDは極右的見解から十分に距離を取っていますか?:

はい 10%
いいえ 81%
分からない 9% 

このAfDを極右的ではないと思っている10%以上の人たちがAfDの票田になっているのでしょうかね。嘆かわしいことです。

 

トランプ大統領と独米関係&英EU離脱

今国際関係で一番話題になっている人物といえばやはりトランプ新米大統領でしょう。就任早々色んな大統領令で世間を騒がせています。ドイツではドナルド・トランプ大統領の政治はどう捉えられているのでしょうか。

ドナルド・トランプの政策は非常に心配なものですか?:

はい 62%
いいえ 37%
分からない 1% 

ま、心配ですよね。

独米関係はどう変わると思いますか?:

改善する 2% (2週間前:2%)
悪化する 72% (55%)
あまり変わらない 22% (39% )

トランプ就任前と比べるとかなり否定的な見方が強くなっているようですね。

 

次はイギリスのEU離脱についてです。トランプはこのイギリスの決断を絶賛していますが、当のイギリス国民の方は分断されたままです。

EU離脱交渉:EUはイギリスに大きく譲歩すべきですか?

はい 11%
いいえ 83%
分からない 6% 

 

 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン」によって実施されました。インタビューは無作為に選ばれた1,303名の選挙権保有者に対して2017年1月24日から26日までの間に電話で行われました。世論調査はドイツ選挙民のサンプリングです。誤差幅は、40%の割合値において±約3%ポイント、10%の割合値においては±約2%ポイントあります。世論調査方法に関する詳細情報は www.forschungsgruppe.de で閲覧できます。

次のポリートバロメーターは2017年2月10日に発表されます。

参照記事:

ZDF heute, Politbarometer, K-Frage: Merkel knapp vor Schulz, 2017.01.27


国際ホロコースト記念日。2017年は特に安楽死プログラム犠牲者追悼

2017年01月28日 | 歴史・文化

1月27日はアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所がソ連軍によって解放されたことを記念した国際ホロコースト記念日です。去年のブログ記事「アウシュビッツ解放、国際ホロコースト記念日」に歴史的背景を書きましたので、ここでは割愛します。

今年のドイツ連邦議会における追悼時間(Gedenkstunde)では、特にナチスのEuthanasieprogramm(オイタナジー(=安楽死)プログラム)の犠牲者約30万人に焦点が当てられました。その時間の音楽を担当したのはホルン奏者フェリックス・クリーザー氏とピアニストのモーリッツ・エルンスト氏。クリーザー氏は生まれつき両腕がなく、ホルンを足で演奏します。

ナチスのオイタナジープログラムは身体障害者や精神病患者などの「生きるに値しない」「ゲルマン民族の遺伝子を汚す」分子を対象として、彼ら・彼女らを強制的に不妊手術を受けさせ、人体実験に利用したり、様々な虐待をした上で殺害していました。

その犠牲者たちを悼む連邦議会の式典で、両腕のないホルン奏者が演奏することの象徴的意味は非常に大きいと言えます。1996年に始まった連邦議会のナチス犠牲者追悼式典ですが、ユダヤ人犠牲者ではなく、オイタナジー犠牲者に焦点があてられたのは今年2017年が初めてのことです。

25歳のクリーザー氏は追悼時間開始前に「私たちはホロコースト記念日をただの歴史的記念日として片づけるべきではない。想像しがたいことを見える化して理解する必要があります。私たちは物事を認識しても、その流れがどこまで行くのか想像できないところに危険性が潜んでいると思います」と語りました。

以下はドイツ連邦議会議長ノルベルト・ランマート博士・教授の追悼演説から一部を抜粋したものです。

Wir gedenken in diesem Jahr besonders der Kranken, Hilflosen und aus Sicht der NS-Machthaber „Lebensunwerten“, die im sogenannten „Euthanasie“-Programm ermordet wurden: 300.000 Menschen, die meisten zuvor zwangssterilisiert und auf andere Weise gequält. „Die Barbarei der Sprache ist die Barbarei des Geistes“, hat Dolf Sternberger einmal geschrieben, der bereits 1945 ein „Wörterbuch des Unmenschen“ zusammengetragen hat. Und tatsächlich: Die „Euthanasie“ begann mit der denunziatorischen Entmenschlichung ihrer Opfer, die als „nutzlose Esser“, „seelenlose menschliche Hüllen“ verunglimpft wurden und – in den Worten der Täter – der „Ausmerzung“ bedurften. „Die Barbarei der Sprache ist die Barbarei des Geistes“ – und aus Worten wurden Taten.

Zwischen „Euthanasie“ und dem Völkermord an den europäischen Juden bestand ein enger Zusammenhang. Als „Probelauf zum Holocaust“ gilt das Töten durch Gas, das zuerst bei den „Euthanasie“-Opfern praktiziert und damit zum Muster für den späteren Massenmord in den NS-Vernichtungslagern wurde. Und auch personell gab es bedrückende Kontinuitäten: Über 100 Ärzte, Pfleger und sonstige Beteiligte an den Krankenmorden, deren erste Phase 1941 geendet hatte, setzten ihr Tun bruchlos in den Vernichtungslagern für KZ-Häftlinge fort.

日本語訳:

今年は特にいわゆる「オイタナジー(安楽死)」プログラムで殺害された患者の方や寄る辺のない方たち、ナチス幹部たちから見て「生きる価値のないもの」とされた方々に追悼を奉げます。その犠牲者は30万人でした。大半がまず強制不妊手術を受け、またそれ以外の方法で苦しめられました。「言葉の野蛮さは精神の野蛮さである」と、すでに1945年に「間辞典」を編纂したドルフ・シュテルンベルガ―は書いたことがあります。実際、「オイタナジー」は犠牲者たちの誹謗中傷的な間化から始まったのです。【穀潰し】、【魂の抜けた人間の殻】などと罵られ、加害者の言葉で「殲滅」が必要とされたのです。「言葉の野蛮さは精神の野蛮さである」ーそして言葉は行動に移されたのです。

「オイタナジー」とヨーロッパ・ユダヤ人虐殺の間には密接な関係がありました。まず「オイタナジー」犠牲者で実行されたガス殺は「ホロコーストの試行」と見られており、後のナチスの殲滅用収容所における大量虐殺の見本となりました。人事的にも気が滅入るような継続性がありました。100人以上の医師、看護師その他の患者殺害に関わった人たちは1941年に第一段階を終え、その後中断なく殲滅用収容所においてそこの囚人たちを相手にその行為を続けていたのです。

ランマート氏の演説全文は今日ドイツ連邦議会のサイトに公開されました。下にリンクを貼りますので、興味のあるドイツ語のできる方はご覧になってみてください。

上に引用したクリーザー氏の言葉やランマート氏の演説は特に加熱する言葉の暴力が行き着く先の危険性を示唆しています。現在のドイツではそうした暴力の矛先がイスラム教徒や難民に向けられつつあります。

先日AfD(「ドイツのための選択肢」党)チューリンゲン州支部長のブヨルン・ヘッケ(Björn Höcke)がドレスデンで行った問題発言「私たちドイツ人は、首都の心臓に恥の記念碑を作った世界で唯一の民族だ」とドイツの回想文化(Erinnerungskultur)あるいは追悼文化(Gedenkkultur)を批判したため、27日のチューリンゲン州議会における追悼時間から外されました。そして午後に(追悼の一環として)訪問予定だったブーヘンヴァルト記念館からも立ち入り禁止が言い渡されました。

ここ2・3年で支持率を伸ばしているAfDにはこのヘッケ氏のようにホロコーストを否定する歴史修正主義者たちが随分と紛れ込んでいるようです。それなのに、今年の連邦議会選挙で緑の党を追い越して第三政党になる可能性があるのは恐ろしいことです。ヘッケ氏の問題発言が影響したのかどうかは分かりませんが、ポリートバロメーターの最新調査で支持率が2%減って11%になっていました。反イスラムや難民排斥は認められても、歴史修正主義は認められないと思う人がまだ多いということでしょうか。私から見れば根は同じだと思いますけど。

参照記事:

ZDF heute, Holocaust Gedenktag: "Das Unvorstellbare vor Augen führen", 2017.01.27
Deutscher Bundestag,  Rede von Bundestagspräsident Prof. Dr. Norbert Lammert am 27. Januar 2017 zum Gedenken an die Opfer des Nationalsozialismus, 2017.01.28 (ドイツ連邦議会議長ノルベルト・ランマート博士・教授の追悼演説)
Zeit Online, AfD: Björn Höcke greift unsere Indentität an, 2017.01.18 
Zeit Online, AfD: KZ-Gedenkstätte erteilt Höcke Hausverbot, 2017.01.27 
ZDF heute, Politbarometer, K-Frage: Merkel knapp vor Schulz, 2017.01.27

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アウシュヴィッツ解放、国際ホロコースト記念日

11月9日はドイツの歴史的記念日~「水晶の夜」とベルリンの壁崩壊

『我が闘争』歴史批判的注釈付き学術版、正式販売開始前に既に在庫切れ


書評:ダン・ブラウン著、『Digital Fortress』(Transworld Publishers)

2017年01月28日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

『Digital Fortress(デジタル要塞)』はダン・ブラウンの初期の作品で、1998年に発表されました。

全128章プラスプロローグとエピローグ。物語の時代設定は1998-1999年になっています。特にそれが明記されているわけではありませんが、プロローグでスペインのセビリアで心臓発作を起こしてあえなく亡くなってしまう日本人エンセイ・タンカドー(いったいどんな漢字なのか想像もつきませんが)の年齢設定とバックグランドから逆算するとそういうことになります。

この初っ端に亡くなってしまうタンカドー氏は35歳くらいの天才的プログラマーで、「Fugusha kisai(不具者奇才)」との別名を持っているとか(ちょっとそんな別名つけられるかな?と疑問な表現ですが)。この人の母親は1945年に被爆地広島にボランティアで入り、自ら被爆者となってしまい、その19年後に吐血して倒れてしまいます。その時に彼女のお腹の中にいたのがエンセイ・タンカドーだったということになっています。つまり彼は1964年生まれということです。彼は曲がった指と心臓欠陥を持って生まれたため、父親には見捨てられてしまい、孤児院で育ちました。彼はあらゆる電話やメールなどの通信を盗聴し、どんな暗号でも解読してしまうNSAを目の敵にし、ついに解読不可能という変形ストリングを使った暗号を開発し、「デジタル要塞」と名付けてそれをインターネットに公開して、オークションにかけます。

NSAの司令官ストラスモーア(Strathmore)は、このデジタル要塞が一般化され、NSAが役立たずになってしまうことを恐れ、インターネットに公開されていたファイルをNSAのスーパーコンピューターTRANSLTRにダウンロードして解析を始めますが、普段一つの暗号を平均6分、最高でも3時間以内に解読する筈のマシンが15時間経っても解析結果を出せなかったため、土曜の朝、彼の部下である暗号部長スーザン・フレッチャー(Susan Fletcher)を緊急呼び出しします。一方で彼女の婚約者である若き大学教授のデーヴィッド・ベッカー(David Becker)をタンカドーの遺品引取のためにスペインへ派遣します。一般人の方が怪しまれないということで。遺品の中にデジタル要塞を解読するためのパスキーがあるかもしれないので、それを見つけて来いという依頼でした。

土曜出勤を余儀なくされたスーザンの方は、タンカドーが自分のパートナーだと明示している「North Dakota」の方に探りを入れ、パスキーのコピーを入手しようとします。

スペインではタンカドーが死ぬ直前に自分から遠ざけようとした指輪に関わった人たちが次々に殺されていき、NSAのほうではTRANSLTRの異常に気付いたシステムエンジニアやそのマシンのパフォーマンスデータを監視するアナリストなどと司令官ストラスモーアのやり取りで、どんどん緊迫感が増していきます。

スリラーとしても面白いですが、ところどころで登場するおかしな日本語も笑えます。例えば「Shichigosan(七五三)」を「Seven fortune deities(七福神)」と書いてるところとか。

この作品中では語学に堪能な大学教授のデーヴィッド・ベッカーが活躍します。このキャラはシリーズとなった象徴学者ロバート・ラングドンの前身なのかもしれませんね。ダン・ブラウン自身が英語教師だったから、彼の描くヒーローは教職にある人になってしまうのかも。

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書評:ダン・ブラウン著、『Angel & Demons』(Simon + Schuster)

書評:ダン・ブラウン著、『The Da Vinci Code』(Transworld Publishers)

書評:ダン・ブラウン著、『The Lost Symbol』(Transworld Publishers)

書評:ダン・ブラウン著、『Inferno』(Transworld Publishers)


書評:ダン・ブラウン著、『Inferno』(Transworld Publishers)

2017年01月22日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

ダン・ブラウン作のハーバード大学象徴学教授ロバート・ラングドンのシリーズ第4弾『Inferno』(Transworld Publishers、2013)を完読しました。

義妹が映画の『インフェルノ』を見て面白かったと言っていたので、ドイツでも見れるかと思って調べてみたら、近場では上映していなかったので、あえなく断念し、原作を読むことにしました。第3弾の『ロストシンボル』よりも私は面白いと思いました。

ラングドン教授が追われながら象徴学的な謎を解いていくというパターンは維持されていますが、始まり方は前作品までと違って「急な呼び出し」ではなく、いきなりフィレンツェの病院で目覚め、なんで自分がフィレンツェに来ているのかさっぱり分からない状態から始まります。過去2日間の記憶が失われていたのです。そして彼は頭を銃で撃たれてそこに運ばれたらしい。ドクター・シエナ・ブルックス(Sienna Brooks)がラングドンに状況説明しているところに刺客が現れ、ドクター・マルコーニという英語があまり話せない担当医が凶弾に倒れてしまい、シエナはラングドンを連れて逃走することに。彼女のアパートに辿り着いた二人は、ラングドンのツイードジャケットの秘密のポケットに入っていたバイオハザードマークの付いた筒を発見し、中身を調査。出てきたのは中世的な彫刻が施された投影機で、映し出された画像はダンテの『神曲(La Divina Comoedia)』からインスピレーションを得たボッティチェリ作『地獄地図(La Mappa dell'Inferno)』でしたが、よく見るとそれはオリジナルとは違いデジタル的に画像改変されたもので、謎の文字「CATROVACER」およびメッセージ「The truth can be glimpsed only through the eyes of death(真実は死(人)の眼を通してのみ垣間見ることができる)」が残されていました。

最初、ラングドンはフィレンツェにあるアメリカ領事館の保護を求めようとしましたが、そこに電話をかけると、「誰かを迎えに行かせる」と言って、来たのが病院に現れた刺客その人だったため、逃げながら残された謎を解く以外に選択肢がなくなってしまったわけです。この命を狙われるパターンは前作までにはなかったので、スリル感がより一層高まっています。謎解きは最初から最後までダンテの『神曲』関連です。そこに世界の人口爆発問題とバイオテロが絡んで話が一層大きくなり、また例によって敵・味方が錯綜してひっくり返ったりするので、話がどこに辿り着くのか全然見えてこないのが魅力です。

今年の秋に発表されるという新作『Origin』が楽しみです。

因みに本の表紙のイラストはフィレンツェを逃げ回るラングドンとシエナだと思うのですが、シエナはブロンドのポニーテールということになっているので、本の内容と噛み合わないのが疑問です。

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書評:ダン・ブラウン著、『Angel & Demons』(Simon + Schuster)

書評:ダン・ブラウン著、『The Da Vinci Code』(Transworld Publishers)

書評:ダン・ブラウン著、『The Lost Symbol』(Transworld Publishers)



ドイツ:2016年度難民申請&認定数統計~新規入国者は28万人

2017年01月15日 | 社会

ドイツの2016年度の難民統計をご紹介します。

まずは新規入国者ですが、バルカンルートが閉鎖されてしまったことで、難民たちが危険を冒して地中海を渡っても、ギリシャやイタリアの【ホットスポット】に留め置かれてしまうため、ドイツまで到達した難民の数は去年の約89万人から28万人に激減しました。

一方、連邦移民難民局の体制が整ったこともあって、正式な難民申請数は745,545件となり、去年より268,869件の増加となりました。また、審査終了件数も去年の約1.5倍の695,733件でした。

出身国別に申請件数を見ると次の表のようになります:

 難民申請(初回および継続申請) 変化
  20152016 %絶対数
  合計 476,649 745,545 56.4 268,896
1. シリア 162,510 268,866 65.4 106,356
2. アフガニスタン 31,902 127,892 300.9 95,990
3. イラク 31,379 97,162 209.6 65,783
4. イラン 5,732 26,872 368.8 21,140
5. エリトリア 10,990 19,103 73.8 8,113
6. アルバニア 54,762 17,236 -68.5 -37,526
7. パキスタン 8,472 15,528 83.3 7,056
8. 不明* 12,166 14,922 22.7 2,756
9. ナイジェリア 5,302 12,916 143.6 7,614
10. ロシア 6,200 12,234 97.3 6,034


審査終了した695,733件のうち、36.8%(256,136人)がジュネーブ条約に基づいて難民認定されました。認定率が最も高かったのはエリトリア出身者で、75.2%でした。次に認定率が高かったのはシリア出身者で、56.5%。エリトリア出身者に比べると大分低い認定率です。基本的に「シリア全体が内戦状態なわけではない」という見方が適用され、具体的にシリアのどこから来たかによって難民認定されるかどうかが左右されるようです。

参照記事:

ドイツ連邦内務省プレスリリース、2017年1月11日、"280.000 Asyl­su­chen­de im Jahr 2016"


ドイツ:2015年度難民申請&認定数統計

ドイツ:2017年度難民申請&認定数統計~申請総数186,644件



ドイツ:世論調査(2017年1月13日)~危険人物に対する措置厳格化賛成多数

2017年01月15日 | 社会

久々にドイツ世論調査、ポリートバロメーター最新版を私見を交えつつご紹介いたします。

難民政策

2016年に新たにドイツに入国した難民数は前年度に比べて激減しましたが(統計は別途紹介)、ベルリンのクリスマス・マーケットで起こったテロ事件など難民としてドイツに入国し、元からテロリストだったのか、ドイツ入国後に過激化したのかという疑問はともかくとして、テロに対する危機感はかなり強まっています。こうした空気の中で難民や移民の中の特に「危険人物」と目される人たちの送還措置に関する法の厳格化が議論されています。

危険人物の送還拘留を拡張・延長することに対してどう思いますか?:

賛成 88%
反対 9%
分からない 3% 

当然の結果かもしれませんが、危険人物送還のための拘留には賛成の人が多数です。

 

犯罪を犯した難民申請者を送還するためにはより厳しい法律が必要:

全体:

はい 67%
いいえ 31%

支持政党別の「はい」と回答した人の割合:

CDU/CSU 72%
SPD 64%
左翼政党 44%
緑の党 38%
FDP 66%
AfD 80% 

犯罪歴のある難民申請者の祖国送還に関する法律の厳格化もやはり賛成多数ですが、支持政党別でみると左翼政党及び緑の党支持者の間でのみ、厳格化を求める声が半数に満たなくなっています。

 

対テロ対策は十分になされていると思いますか?:

はい 43%(2016年10月:62%)
いいえ 51% (2016年10月:31%)

「十分ではない」という印象が10月に比べて強くなっているのはやはりベルリンのクリスマスマーケット事件が響いているのでしょう。

 

ドイツはこのたくさんの難民を処理することができると思いますか?:

はい 57%(2016年1月:37%)
いいえ 41%(2016年1月:60%) 


同じ質問に対する回答の長期的推移:

比較的肯定的な声が大きいのは、2016年度の難民入国数が激減したことと、ドイツ国民がテロ問題と難民問題をごっちゃにしていないことにその理由があります。少なくともそのように理性的な判断をする人がまだまだ多い、ということです。

 

メルケル首相の難民政策をどう評価しますか?(長期的推移):

いい 52%
悪い 45% 

現在はメルケル首相の政策支持の方がやや優勢ですが、世論が割れていることは事実です。メルケル首相率いるCDUの姉妹政党であるCSUの党首ホルスト・ゼーホーファーが特にメルケル批判の急先鋒と言っていいくらい噛みついてますが、それはAfDから票を奪うためのデモンストレーションの意味合いもあります。ただ姉妹政党同士で見解の一致を見ないことには選挙では戦えないので、和解を望む声も大きいのですが、なんというかまだ割れてますね。難民入国数が減ってしまった今となってはCSUが主張するところの「上限」も大して意味をなさないにも関わらず、意地を張っている感じです。

 

次期首相候補

どちらの方が首相として好ましいですか?:

メルケル対ガブリエル
メルケル 60%
ガブリエル 26%
分からない 14% 

メルケル対シュルツ
メルケル 47% 
シュルツ 37%
分からない 16% 


支持政党別:

メルケル対ガブリエル
メルケル 60%
ガブリエル 26%

CDU/CSU支持者
メルケル 89%
ガブリエル 6%

SPD支持者
メルケル 39%
ガブリエル 54% 

ここで際立っているのはやはりジグマー・ガブリエルSPD党首の党内人望の無さですね。SPD支持者の40%近くが自党の党首よりもメルケル首相の方がいいと回答しています。

 

連邦議会選挙2017

もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか?:

CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 36%(変化なし)
SPD(ドイツ社会民主党)  21% (-1)
Linke(左翼政党) 9%(-1)
Grüne(緑の党) 10%(変化なし)
FDP (自由民主党) 6%(+1)
AfD(ドイツのための選択肢) 13%(+1) 
その他 5% (変化なし)

1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先回答推移:


政権満足度(スケールは+5から-5まで):1.2(前回比+0.2)

 
 
緑の党は選挙後にどの党と連立して政権を取るべきですか?:
全体
SPDと左翼政党 32%
CDU/CSU 49%
分からない 19%
 
緑の党支持者
SPDと左翼政党 50%
CDU/CSU 44%
分からない 6%
 
緑の党支持者の連立希望政党の変化:
現在              2016年11月
SPDと左翼政党 50% <--    63%
CDU/CSU 44% <--       32%
分からない 6% <--       5%
 

理由は分かりませんが、左寄りの連立よりも保守のCDU/CSUとの連立を希望する緑の党の支持者がかなり増えています。もしかしたらこれもガブリエルSPD党首の人望の無さに原因の一端があるのかも知れません。

 

政治家評価

政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで):

  1. フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.4(→)
  2. ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、2.0(→)
  3. アンゲラ・メルケル(首相)、1.8(↑)
  4. ヴォルフガング・ショイブレ(内相)、1.7(↑)
  5. トーマス・ドメジエール(内相)、1.3(↑)
  6. ケム・エツデミール(緑の党党首)、0.8(↓)
  7. ジーグマー・ガブリエル(経済・エネルギー相)、0.7(→)
  8. ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.6(↑)
  9. ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.6(↑)
  10. サラ・ヴァーゲンクネヒト(左翼政党議員)、-0.4(↓)

 

トランプ大統領と独米関係

トランプは大統領に就任後、選挙戦での主張を変えると思いますか?:

現在            2016年11月
過激なまま 33%  <--  20%
多少丸くなる 59%  <--   78% 


独米関係はどう変わると思いますか?:

改善する 2%
悪化する 55%
あまり変わらない 39% 

トランプ大統領に対する不安はドイツでも大きいということですね。

 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン」によって実施されました。インタビューは無作為に選ばれた1,292名の選挙権保有者に対して2017年1月10日から12日までの間に電話で行われました。世論調査はドイツ選挙民のサンプリングです。誤差幅は、40%の割合値において±約3%ポイント、10%の割合値においては±約2%ポイントあります。世論調査方法に関する詳細情報は www.forschungsgruppe.de で閲覧できます。

次のポリートバロメーターは2017年1月27日に発表されます。

 

参照記事:

ZDF heute, 13. Januar 2017, Politbarometer: Große Zustimmung für härteres Vorgehen gegen „Gefährder“


書評:ダン・ブラウン著、『The Lost Symbol』(Transworld Publishers)

2017年01月15日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

『The Lost Symbol』(日本語訳タイトルは『ロスト・シンボル』)は『天使と悪魔』、『ダ・ビンチ・コード』に続くロバート・ラングドン教授シリーズ第三弾で、2009年9月電子書籍版発行。第二弾の数年後という設定です。今回の舞台はヨーロッパではなく、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.で、ラングドンがさほど遠出せずに済んだのは確かですが、やはり急に呼び出されて散々な目に合う、というパターンは同じです。『ダ・ビンチ・コード』ではパリ警察に追われていましたが、『ロストシンボル』ではCIAに追いかけられる羽目に。

その発端は、フリーメーソンのほとんど最高地位にあるピーター・ソロモン氏がラングドン教授のメンターで友人でもあり、その彼がラングドンを信頼して、「何か」を預けたことにあります。犯人マラーク(Mal'akh)の狙いはフリーメーソンであったアメリカ建国の父たちがワシントンにピラミッドを立てて埋めたと言われる古の神秘、「失われた言葉(The Lost Word)」あるいは「失われた象徴(The Lost Symbol)」で、ラングドンに預けられた「何か」はそのピラミッドの謎を解くカギとなるらしく、彼をソロモン氏のアシスタントのふりをしてCapitol Building(アメリカ合衆国議会議事堂)でレクチャーをするよう嘘の依頼でワシントンに呼び出します。そこで彼が目の当たりにしたのは、ドームの天井を指し示すピーター・ソロモンの切断された右手首で、それぞれの指に「古の神秘(Ancient Mysteries)」を暗示する刺青が入れられていました。その現場に現れたCIA保安局局長イノエ・サトウ(Inoue Sato)という日系の怖いおばちゃんがなぜか「これは国家の安全にかかわることだ」と主張し、ラングドンに知っていることを洗いざらい吐いて、謎を解くように協力を強制。だからと言って、ラングドンはソロモン氏から預かっていて、その日持ってくるように言われていた「何か」のことについて白状する気はなかったので、結局隠していたことがばれて追われる身に。

一方、Noetic Science(認知心理学・超心理学)の研究者であるピーター・ソロモン氏の妹キャスリン・ソロモンにもマラークの魔の手が伸びていきます。彼女はスミソニアン博物館支援センター(SMSC)にある自分の研究室を間一髪で逃れてラングドンと合流することに。

怖いと言えば、やはりこの犯人のマラークの全身刺青という外見もさることながら、その思い込みの激しさ、人を殺すのに躊躇しないところなど、まさしく狂人キャラで、サスペンス度を上げるのに貢献しています。実はかわいそうな人なんですがね。。。

興味深いと言えば、最先端の科学研究であるというNoetic Scienceが古の神秘の問いかけと繋がっているということと、ワシントンの建造物に隠されている象徴的な意味でしょうか。ただ、そのあたりの蘊蓄を詳述するためだけに、事件解決後のエピローグが長引かされている印象も否めず、途中でちょっと飽きてきてしまいました。

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書評:ダン・ブラウン著、『Angel & Demons』(Simon + Schuster)

書評:ダン・ブラウン著、『The Da Vinci Code』(Transworld Publishers)


書評:ダン・ブラウン著、『The Da Vinci Code』(Transworld Publishers)

2017年01月02日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

Dan Brownのロバート・ラングドンシリーズ2巻『ダ・ヴィンチ・コード』をジルベスタ―の花火の音を聞きつつ(見てない)読み終えました。Transworld Publishersの電子書籍版、2009年発行。

この本は日本語で既に読んだはずなんですが、内容を殆ど覚えていなかったので、割と新鮮な気分で楽しむことができました。もちろん読みながら「ああそういえば」と思い出せるシーンはありましたけど。

ストーリーはルーブル美術館に始まって、ロンドンに飛び火した後、またルーブル美術館に終わります。時系列としては、第1作のヴァチカン事件から1年ちょっと後のお話ということになっていて、その時に仲良くなった第一犠牲者の養女ヴィットリアとロマンチックな場所で再会することを約束していたのに、結局1年以上会ってない、などと回想するシーンがあります。なのに、この巻ではまたルーブル美術館で殺され、謎のダイイングメッセージを残したキュレーターの孫娘とちょっといい仲になってしまったりします。

それはともかく、このダイイングメッセージに、「P.S. Find Robert Langdon」などとあったために、たまたまパリに来ていて、この殺されたキュレーターと会う約束をしていたロバート・ラングドンは殺人容疑をかけられ、パリ警察から逃れながら謎を解くことになります。

登場する秘密結社はテンプル騎士団に端を発するPriory of Sion(シオン修道会)とカトリック系の超保守団体Opus Dei(神の御業)の二つ。そして謎に包まれたHoly Grail(聖杯)伝説が絡んできます。

歴史や美術品を絡めた暗号解きの楽しさと、追われる・襲われる緊張感、誰が味方でだれが敵かはっきりしないサスペンス感が魅力です。

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