徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:松岡圭祐著、『小説家になって億を稼ごう』(新潮新書)

2021年11月23日 | 書評ーその他

松岡圭祐の固定ファンとして小説ではない本書は読むかどうか迷いが生じる「色物」の1つではないかと思います。
しかし、これはただの小説を書くためのハウツー本ではありません。
前半部で小説というか物語の作り方ー「想造」ーについて詳細に説明されています。「想造」という新語も目を惹きますが、何よりもファンとして興味深いのは松岡圭祐がどのようにして創作しているのかが分かる点でしょう。なぜ「書き下ろし」作品が少なくないのかというちょっとした謎も本書で解けます。

後半部は小説家デビューを果たした後に何に注意すべきなのか、どういう心構えを持つべきなのか、といった個人事業主である小説家のための小説ビジネスのハウツーが説明されています。この部分が特に「ここまで書いていいのか心配になるほどノウハウ満載、前代未聞、業界震撼、同業者驚愕の指南書! 」と言われるに値する部分です。
書評やレビューの多さと売上は相関関係にないとか、映画化に際しての原作者の立場とか、コミカライズではどうかなど消費者として普段想像することもないような「ビジネス」の部分が非常に詳しく説明されています。
私自身、最近「会社員+副業」生活を卒業して完全な個人事業主となったので、小説家を目指さないにしても、個人事業主の観点からも非常に興味深い内容です。
様々な舞い上がりそうになるような話には戒め、売れないなど挫けそうになる場合には励まし、本業の「想造」でよりよい作品=商品を作り出すことに専念すべしと激励するところは、「後継者求む!」という著者の熱意がひしひしと伝わってきますね。
「読書を楽しめる層は限られているけれども、それでもミリオンセラーを出し、億万長者になれる可能性がある職業が小説家」ということですね。
ドイツ語学習者を対象とする私のビジネスはもっと客層が狭いニッチな世界なので、億万長者になれる可能性はゼロですけど、将来書籍出版を目指す際の参考になりました。

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その他

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