徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:今野敏著、『初陣―隠蔽捜査3.5―』(新潮文庫)

2018年09月14日 | 書評ー小説:作者カ行

『初陣』は『隠蔽捜査』シリーズのスピンオフ短編集で、主人公は本編主人公の竜崎の同期で幼馴染の伊丹刑事部長。伊丹がどう竜崎に世話になっているのかが描かれたエピソードで、二人の関係は伊丹の片思いっぽい感じですが、竜崎の方も言葉では「つれない」としか言いようのない態度ですが、なんだかんだと伊丹が持ちかけた相談に明快な解答を出して、手助けをしている当たりは結構面倒見がいいのではないかと思えるくらいです。

短編の中には『疑心』の裏話も収録されていて、女警秘書官の派遣には本当に「ウラ」があったことが語られます。「陰謀」と言うには悪意が介在していないので適切な表現ではないですが、「人が悪いな」と思うくらいには意地悪ですねwww

伊丹と言うキャラが想像以上に心配症で悩み多き人で、かなり外面を作り込んでおり、そしてそうしないと生き残れない私大出身のキャリアの立場に開き直り切れない人なのだということがにじみ出るようなエピソード集でした。私には出身大学がいつまでもいつまでもキャリアに影響を及ぼす世界は想像もつきませんけど、そういうことが当たり前の環境に身を置いている人にとっては重大事なんだろうな、とは思いました。


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