久々の今野作品です。
私は1人の作家が気に入るとその作品をコンプリートしようとする癖があり、今野作品もかなり買い込んでありました。もちろん、多作家なので全部というわけにはいかないのですが。
今回手に取ったの『豹変』は、実は「祓師・鬼龍光一」シリーズの第4作ということでした。商品紹介に特にシリーズのことが言及されていなかったので知らずにこの作品だけ読んでしまったのですが、前作を知らなくても特に支障はないです。
主人公は祓師・鬼龍光一ではなく警視庁生活安全部・少年事件課・少年事件第三係の巡査部長、富野輝彦なので、今野氏の警察小説の1つと捉えていたのですが、世田谷の中学校で同級生を刺した角で補導された14歳の少年が何かに取り憑かれたような言動と行動で警察署から忽然と消えてしまい、少年の行方を追おうとした富野の前に鬼龍が登場するところで、普通の警察小説とは違う話運びになってきます。
その後、さらに2件の中学生による傷害事件が起こり、いずれも狐憑きのような言動を示したため、その元は何なのか相棒の有沢と、鬼龍ともう1人の同業者の安倍孝景の協力を得ながら探っていくストーリーです。
鬼道衆(鬼龍)だの奥州勢(安倍)だの大国主の末裔(富野)だのという神秘的な神道系の話が出て来るので、ファンタジーか?と思いきや、かなりドライな科学的な説明がされていたりするので、やはり警察小説の範疇?と分類しがたい絶妙な匙加減で興味深いですね。