徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:松岡圭祐著、『千里眼 The Start』(角川文庫)

2021年06月23日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

千里眼シリーズの最新刊『千里眼の復活』を読んだのをきっかけに同シリーズにはいわゆる「クラシックシリーズ」の後の「新シリーズ」があることを知り、思わずシリーズ全巻を大人買いしてしまいました。

新シリーズ第1巻である『千里眼 The Start』は、岬美由紀の生い立ちと空自を除隊して臨床心理士になる経緯を振り返って描かれます。その際に重要な役割を果たした笹島が、千里眼としてすでに有名になっていた美由紀とある事件をきっかけに再会し、ともに飛行機墜落事故予告について調べることに。

事故予告に関する調査が始まってからはいつもの松岡圭祐テンポでスリリングなストーリー展開となりますが、過去の説明からそこに至るまでは少々回りくどく、繫がりもやや無理があるような印象を受けます。
けれども、クラシックシリーズから年月が経過し、その間の心理学的知見の変化・発展が作品に反映されるとともに、スーパーヒロイン岬美由紀のスーパーぶりがやや抑えられて人間味が増したような設定になっているところは興味深いです。
現状のリアルを踏まえつつ絶妙にフィクションを交えて独自の近未来図を描き出すことを意図した作品だそうです。2007年の作品に描かれた近未来のうち14年後の現在、現実のものとなったのはどのくらいあるのでしょうか。

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