徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

化学療法終了…その後は(がん闘病記16)

2017年11月29日 | 健康

抗がん剤投与の1週間後であった昨日、例のごとく血液検査と担当医との面談に行って参りました。

血液値に問題はありませんでした。次の検査は来年の2月22日です。

 

これまで通っていたがん専門クリニックでは放射線科がないため、担当医の教授が最寄りの放射線治療のある病院に予約を入れてくれたのですが、そこの担当医が予定が詰まっているらしくて、予約は1か月後の12月29日となりました。個人的にはさっさと今後のことを決めたいと思っていたのですが、まあ仕方ありません。診断書(就労不能証明書)の延期は出してもらえるので、会社の方は休んだまま、治療なし・副作用なしで1か月養生できそうです。昨日・今日と副業の翻訳でやたらと忙しかったのですが、きちんと養生するためには手間のかかる難しい翻訳依頼は断るようにしないとダメですね 昨日受けた依頼のうちの1件がそういうやたらの手間のかかるもので、判断を誤ってしまいました(反省)。

 

さて、放射線腫瘍医との面談のために手術をしたマルテーザー病院で出してもらった諸々の診断書のコピーとレントゲンやCT撮影画像の入ったCDを持っていくように言われたので、昨日の午後はマルテーザー病院にも行ってきました。CDは全部で4枚でした。

興味本位で最初に開いたCDにはCVポート埋め込み手術後のレントゲン画像が入っていました。素人目にもポートが写ってるのが分かりますね。

CT撮影の画像が入ったCDも見てみましたが、そっちの方は数が多いのもありますが、上半身を輪切りにした断面図なんか見ても何が何だか素人に分かるわけはありませんね。でも、分からなくても自分に関するデータがCDでもらえるのはいいことだと思います。

がん闘病記17


唐突ながん宣告~ドイツの病院体験・がん患者のための社会保障(がん闘病記1)

化学療法の準備~ドイツの健康保険はかつら代も出す(がん闘病記2)

化学療法スタート(がん闘病記3)

抗がん剤の副作用(がん闘病記4)

え、緑茶は膀胱がんのもと?(がん闘病記5)

ドイツ:傷病手当と会社からの補助金(がん闘病記6)

抗がん剤投与2回目(がん闘病記7)

抗がん剤投与3回目(がん闘病記8)

医者が満足する患者?(がん闘病記9)

マリア・トレーベンの抗がんハーブレシピ(がん闘病記10)

抗がん剤投与4回目(がん闘病記11)

化学療法の後は放射線治療?!(がん闘病記12)

抗がん剤投与5回目(がん闘病記13)&健康ジュースいろいろ

抗がん剤のお値段とがん代替治療の死亡率(がん闘病記14)

抗がん剤投与6回目&障碍者認定(がん闘病記15)

書評:Kelly A. Turner著、『9 Wege in ein krebsfreies Leben(がんが自然に治る生き方)』(Irisiana)


書評:恩田陸著、『劫尽童女』(光文社文庫)

2017年11月27日 | 書評ー小説:作者ア行

『劫尽童女』はバイオレンス・アクションの目立つSF小説です。父・伊勢崎博士の手で超能力を与えられた少女・遥は親子で、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していて、7年経って再び戦いが始まるという設定です。父はがんで余命がいくばくもなく、再燃した最初の戦いで命を落とします。天涯孤独の身となった遥は、特殊能力を持つ大型犬アレキサンダーと共に身を潜めつつ、組織と戦います。

ストーリー設定は悪くないのですが、恩田陸はバイオレンスシーンの描写に松岡圭祐のようなハラハラする臨場感に欠けているのが残念です。

また、ZOO崩壊後に遥の弟・トオルが登場するのですが、母・ハナコと共に謎の退場するのが腑に落ちない感じです。ラストもなんだか納得がいかない終わり方です。全体的に殺戮が多すぎで、ストーリーの中での必然性があまり感じられないのも難点。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


三月・理瀬シリーズ

書評:恩田陸著、『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『麦の海に沈む果実』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『黒と茶の幻想』上・下巻(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『黄昏の百合の骨』(講談社文庫)

関根家シリーズ

書評:恩田陸著、『Puzzle』(祥伝社文庫)

書評:恩田陸著、『六番目の小夜子』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『図書室の海』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『象と耳鳴り』(祥伝社文庫)

神原恵弥シリーズ

書評:恩田陸著、『Maze』&『クレオパトラの夢』(双葉文庫)

書評:恩田陸著、『ブラック・ベルベット』(双葉社)

連作

書評:恩田陸著、常野物語3部作『光の帝国』、『蒲公英草紙』、『エンド・ゲーム』(集英社e文庫)

書評:恩田陸著、『夜の底は柔らかな幻』上下 & 『終りなき夜に生れつく』(文春e-book)

学園もの

書評:恩田陸著、『ネバーランド』(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『夜のピクニック』(新潮文庫)~第26回吉川英治文学新人賞受賞作品

書評:恩田陸著、『雪月花黙示録』(角川文庫)

劇脚本風・演劇関連

書評:恩田陸著、『チョコレートコスモス』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『中庭の出来事』(新潮文庫)~第20回山本周五郎賞受賞作品

書評:恩田陸著、『木曜組曲』(徳間文庫)

書評:恩田陸著、『EPITAPH東京』(朝日文庫)

短編集

書評:恩田陸著、『図書室の海』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『私と踊って』(新潮文庫)

その他の小説

書評:恩田陸著、『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎単行本)~第156回直木賞受賞作品

書評:恩田陸著、『錆びた太陽』(朝日新聞出版)

書評:恩田陸著、『まひるの月を追いかけて』(文春文庫)

書評:恩田陸著、『ドミノ』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『上と外』上・下巻(幻冬舎文庫)

書評:恩田陸著、『きのうの世界』上・下巻(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『ネクロポリス』上・下巻(朝日文庫)

書評:恩田陸著、『劫尽童女』(光文社文庫)

書評:恩田陸著、『私の家では何も起こらない』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『ユージニア』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『不安な童話』(祥伝社文庫)

書評:恩田陸著、『ライオンハート』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『蛇行する川のほとり』(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『ネジの回転 FEBRUARY MOMENT』上・下(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『ブラザー・サン シスター・ムーン』(河出書房新社)

書評:恩田陸著、『球形の季節』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『夏の名残りの薔薇』(文春文庫)

書評:恩田陸著、『月の裏側』(幻冬舎文庫)

書評:恩田陸著、『夢違』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『七月に流れる花』(講談社タイガ)

書評:恩田陸著、『八月は冷たい城』(講談社タイガ)

エッセイ

書評:恩田陸著、『酩酊混乱紀行 『恐怖の報酬』日記』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『小説以外』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『隅の風景』(新潮文庫)


書評:松岡圭祐著、『生きている理由』(講談社文庫)

2017年11月26日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

松岡圭祐はこのところ歴史小説を連続して上梓しているみたいですね。『生きている理由』は『黄砂の籠城』、『シャーロックホームズ対伊藤博文』、『八月十五日に吹く風』に続く歴史小説第4弾といったところでしょうか。彼のミステリーファンとしてはちょっと物足りない気分が続いています。

『生きている理由』は清朝の皇族・愛新覺羅善耆(あいしんかくらぜんき)の第14王女で、日本で川島芳子として育てられた男装の麗人の16歳までの青春を綴った物語です。

1900年8月14日、義和団の乱の際に列強に包囲された清朝で主に日本との交渉を担ってきた粛親王・愛新覺羅善耆と通訳官・川島浪速が出会うところから物語が始まります。義和団の乱から辛亥革命勃発までの10年間のいわゆる光緒新政時期の活躍は、1912年の満蒙独立運動の最中の粛親王の回想として描写されます。

王女・顯㺭(チェンズ、けんし)が5歳の時に、国民党に特に命を狙われていることが判明し、2年後善耆は顯㺭を川島浪速に託します。川島芳子として育てられ、松本の女学校に通うようになっていた15歳のある日、通学路で松本聯隊の少尉・山家亨(やまがとおる)と出会うところから彼女の本来の物語が始まり、山家亨と婚約者と定められている満州族のカンジュルジャップの間で揺れ、「男になる」ことを決意するまでがドラマチックに描かれています。

川島浪速の俗物ぶりには辟易しますが、それでも養父を見捨てられない芳子の優しさは、少しDV夫に依存する妻の心理を連想させるような気がします。

彼女の人生は40歳で国賊として処刑されるまで波乱万丈で、さぞかしドラマになるだろうと思うのですが、敢えて彼女の淡い初恋に焦点を当てているところがこの作品の面白い所ではないでしょうか。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


書評:松岡圭祐著、『黄砂の籠城 上・下』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『八月十五日に吹く風』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理』(講談社文庫) 

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理2 インパクトファクター』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理3 パレイドリア・フェイス』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理4 アノマリー』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理5 ニュークリアフュージョン』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理 6 クロノスタシス』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定I』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定II』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の探偵IV』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼完全版クラシックシリーズ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『被疑者04の神託 煙 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『カウンセラー 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『後催眠 完全版』(角川文庫)


書評:夢枕獏著、『陰陽師 第14巻 蒼猴ノ巻』(文春文庫)

2017年11月25日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行

『陰陽師 第14巻 蒼猴ノ巻』も短編集で、10編収録されています。盛りだくさんのような気もするのですが、あっという間に読み終わってしまったのが残念です。

「鬼市(おにのいち)」は藤原兼家が人ならぬものたちの市に紛れ込んでしまい、そこで麺を食べ、失くしたと思っていた櫛を持って帰り、「銭を払え」と人ならぬものたちに追われるというちょっとおまぬけな話。

「役君の橋」は役小角ゆかりの何百年も腐らない丸太橋にまつわる話。ご近所ではないので博雅は同行していない珍しいエピソード。

「からくり道士」は韓志和(からのしのわ)という伝説的な彫刻師と好奇心旺盛で業突く張りの小鳥遊渡(たかなしのわたる)という老人が対決するエピソード。虫好きの露子姫も登場する、ちょっと勧善懲悪的な胸のすくお話。

「蛇(くちなわ)の道行」は伴正則が信濃守の任を終えて都に帰る途中、青い蛇につけられて困ったというお話。輪廻転生のエピソードだけど、普通は前世の記憶はないはずでは?とちょっと疑問に思いました。

「月の路」は、夜の琵琶湖に船を浮かべて月夜を風雅に楽しむ安倍晴明、源博雅、そして蝉丸法師が風の導きに従って、弁才天と水神・泣沢女神(なきさわめのかみ)の恋路をとりもち、邪魔をしていた蒼猴を退けるお話。

「蝦蟇念仏」は犬ほどの大きな蝦蟇(ガマ)を連れた法師が、その蝦蟇に念仏を唱えさせて失せ物のありかをピタリと当てて評判になるお話。この蝦蟇法師に硯を見つけてもらったという藤原景之は今度は黄金の菩薩像がなくなったと安倍晴明を頼り、蝦蟇法師のインチキを暴きます。

「仙桃奇譚」は、アナウンサー渡辺真理氏に「桃」というお題をもらって書いたというエピソード。もちろんただの桃ではなく、そばにあるだけで死相の出ていた息子がどんどん回復していくというありがたい「お桃さま」なのですが、その正体は?

「安達原(あだちがはら)」は、例によって例のごとく源博雅が土御門の安倍晴明邸で酒を飲み、葉二という笛を吹いていると、その音に惹かれたように僧侶・祐慶が現れ、晴明に助けを求める話。実は助けなど必要なかったのだけど。。。

「首をかたむける女」は珍しい源博雅の独壇場で、人ならぬ女に請われて笛を吹く夢のように風流なエピソード。

「舟」は、巨椋沼で漁をする魚丸(うをまろ)が火丸(ひまろ)という老人に頼まれて夜ごと船を出し、目には見えない者たちを運ぶ話。見えなくても火丸が名前を呼ぶたび船が一人分ずつ沈むので結構薄気味悪い。晴明によるとその年は【五黄の寅】で、天一神(なかがみ)が36年ぶりに大渡りする年だそうで。それと船で運ばれた見えないものたちの関係は?

 

長く続いているシリーズだけに少しマンネリ化しているような気がします。13・14巻の短編では晴明と博雅が「事件解決」をするエピソードがほとんどないのも少々面白みに欠ける理由の一つかもしれません。「事件」自体があまり面白くないのかも。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


書評:夢枕獏著、『陰陽師』1~4巻(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第5巻 生成り姫』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第6巻 龍笛ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第7巻 太極ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第8・9巻 瀧夜叉姫 上・下』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第10巻 夜光杯ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第11巻 天鼓ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第12巻 醍醐ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第13巻 酔月ノ巻』(文春文庫)


書評:夢枕獏著、『陰陽師 第13巻 酔月ノ巻』(文春文庫)

2017年11月24日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行

『陰陽師 第13巻 酔月ノ巻』もいつも通りの短編集です。収録作品は、「銅酒(あかがねのさけ)を飲む女」、「桜闇、女の首」、「首大臣」、「堂満、酒を馳走されて死人と添い寝する語」、「めなし」、「新山月記」、「牛怪」、「望月の五位」、「夜叉婆あ」の9編。

「銅酒(あかがねのさけ)を飲む女」は、橘盛季(もりすえ)が正体不明の「おひいさま」のところへ通い、危うく取り殺されそうになる話。

「桜闇、女の首」は、橘透子が「桃実(とうじつ)」と呼ばれる散らずの桜の下で琴を弾くうちに消えてしまう話。

「首大臣」では藤原兼家の生きている首が安倍晴明のところに運ばれてきて、体を取り戻してほしいと頼みにくる話。

「堂満、酒を馳走されて死人と添い寝する語」はタイトルの通り。

「めなし」は、糺の森で賢木参りをしていた橘為次が奇妙な女に両目を取られてしまう話。

「新山月記」は、白楽天の詩を唱えながら人を食らう虎(?)の話。出典『唐代伝奇集2』、張読「虎と親友」。

「牛怪」は、機織りの上手な幡音(はたね)とお付きの老女が牛を連れて検非違使の橘貞則の家へ身を寄せ、夜な夜な牛の持ち主を探しに行く話。実は牛宿の織女星と牽牛星のお話でした。

「望月の五位」は、東三条殿の南の築山に夜ごと丈三尺ばかりの五位の装束を着た太った男が李白の詩「月下独酌」を吟じながら徘徊する話。

「夜叉婆あ」は、狩りを生業とする兄弟が母親に喰われそうになる話。

この巻はなぜか橘さんがよく登場してますね。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


書評:夢枕獏著、『陰陽師』1~4巻(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第5巻 生成り姫』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第6巻 龍笛ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第7巻 太極ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第8・9巻 瀧夜叉姫 上・下』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第10巻 夜光杯ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第11巻 天鼓ノ巻』(文春文庫)

書評:夢枕獏著、『陰陽師 第12巻 醍醐ノ巻』(文春文庫)


書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

2017年11月23日 | 書評ー小説:作者ア行

『朝日のようにさわやかに』はちょっとぞっとしたり、ぎょっとしたりするようなお話を集めた短編集です。

「水晶の夜、非水の朝」は『麦の海に沈む果実』(講談社文庫)の番外編で、理瀬のパートナーであるヨハンを主人公とした物語です。

その他の短編はノンシリーズで、ショートショートのような3ページくらいのものも含まれています。中には話がよく見えないものもありましたが、おおむね悪くはなかったです。

「あなたと夜と音楽と」はラジオ放送で対話する二人のやり取りを通じてある殺人事件に迫る会話だけのミステリーはちょっと変わったアプローチで興味深いと思いました。

ただ、恩田陸はやはり長編の方がより面白いと思いました。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


三月・理瀬シリーズ

書評:恩田陸著、『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『麦の海に沈む果実』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『黒と茶の幻想』上・下巻(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『黄昏の百合の骨』(講談社文庫)

関根家シリーズ

書評:恩田陸著、『Puzzle』(祥伝社文庫)

書評:恩田陸著、『六番目の小夜子』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『図書室の海』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『象と耳鳴り』(祥伝社文庫)

神原恵弥シリーズ

書評:恩田陸著、『Maze』&『クレオパトラの夢』(双葉文庫)

書評:恩田陸著、『ブラック・ベルベット』(双葉社)

連作

書評:恩田陸著、常野物語3部作『光の帝国』、『蒲公英草紙』、『エンド・ゲーム』(集英社e文庫)

書評:恩田陸著、『夜の底は柔らかな幻』上下 & 『終りなき夜に生れつく』(文春e-book)

学園もの

書評:恩田陸著、『ネバーランド』(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『夜のピクニック』(新潮文庫)~第26回吉川英治文学新人賞受賞作品

書評:恩田陸著、『雪月花黙示録』(角川文庫)

劇脚本風・演劇関連

書評:恩田陸著、『チョコレートコスモス』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『中庭の出来事』(新潮文庫)~第20回山本周五郎賞受賞作品

書評:恩田陸著、『木曜組曲』(徳間文庫)

書評:恩田陸著、『EPITAPH東京』(朝日文庫)

短編集

書評:恩田陸著、『図書室の海』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『私と踊って』(新潮文庫)

その他の小説

書評:恩田陸著、『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎単行本)~第156回直木賞受賞作品

書評:恩田陸著、『錆びた太陽』(朝日新聞出版)

書評:恩田陸著、『まひるの月を追いかけて』(文春文庫)

書評:恩田陸著、『ドミノ』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『上と外』上・下巻(幻冬舎文庫)

書評:恩田陸著、『きのうの世界』上・下巻(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『ネクロポリス』上・下巻(朝日文庫)

書評:恩田陸著、『劫尽童女』(光文社文庫)

書評:恩田陸著、『私の家では何も起こらない』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『ユージニア』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『不安な童話』(祥伝社文庫)

書評:恩田陸著、『ライオンハート』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『蛇行する川のほとり』(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『ネジの回転 FEBRUARY MOMENT』上・下(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『ブラザー・サン シスター・ムーン』(河出書房新社)

書評:恩田陸著、『球形の季節』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『夏の名残りの薔薇』(文春文庫)

書評:恩田陸著、『月の裏側』(幻冬舎文庫)

書評:恩田陸著、『夢違』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『七月に流れる花』(講談社タイガ)

書評:恩田陸著、『八月は冷たい城』(講談社タイガ)

エッセイ

書評:恩田陸著、『酩酊混乱紀行 『恐怖の報酬』日記』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『小説以外』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『隅の風景』(新潮文庫)


抗がん剤投与6回目&障碍者認定(がん闘病記15)

2017年11月21日 | 健康

ようやく抗がん剤治療が今日の6回目で無事終了しました。

抗がん剤点滴中は気持ちよく爆睡し、血液値にも異常なし。

 

前回の抗がん剤投与から副作用の指先のしびれが全く改善してないので、キーボード操作が少々やりにくいというのはあるのですが、それ以外の副作用は大抵2・3日で終わる一過性のものなので、それほど生活の質に悪影響はありません。

毎日新鮮な野菜や果物のジュースを作って飲んでいるせいか、季節の変わり目のこの時期に風邪もひかずに過ごせています。

来週火曜日に検査と担当医との面談があり、そこで放射線腫瘍医との面談日程を決めることになると思います。いろいろと思うところはあるのですが、まずは専門医の意見を聞いてから判断しようと思ってます。心配の種は原発性なのか転移なのかはっきりしていない【腹膜がん(Peritoneales Karzinom)】です。取り敢えず子宮・卵巣がんからの転移という扱いで、パクリタキセルとカルボプラチンを組み合わせたPC療法がおこなわれましたが、はっきりとしたマーカーがあるわけではないので、治療効果はこれまでのところ不明です。

今日は健康保険組合から電話があり、治療状況などを聞かれて、またリハビリや段階的復職支援プログラム(ハンブルク・モデル)について「そういうものがあるということを知っておいてください」と言われました。入院した病院のソーシャルワーカーのおかげでもうすでに知ってましたけどね。でもこの保険の積極的な姿勢は高く評価できますね。被保険者自身が申請してくるのを待っているだけだとどうしても保護の必要な人を多く取りこぼしてしまうものです。だから保護対象者に積極的に働きかけていくことが必要です。誰も彼もがリサーチ力に優れているわけではありませんし、ただでさえ病気でリサーチどころではなくなっている場合もあるので、こうした保険組合からの積極的アプローチは非常に重要だと思います。ドイツのどの保険組合もこのようなアプローチをするのかは不明ですが。私の加入している保険組合はTechniker法定健康保険組合です。

 

障碍者認定

さて、8月17日に障碍者認定申請書を提出し、8月28日に申請書受理のお知らせが来て以来しーんとしていた案件ですが、11月13日付で障碍者認定のお知らせが来ました。障碍度(Grad der Behinderung)は80%と認定され、有効期間は6年です。障碍度50%の5年有効期間を予想していたので、ちょっとうれしいですね。

就労者が障碍者認定を受けると次のような特典があります。

  • 追加有給休暇1週間(通常5日)
  • 特別解雇保護
  • 就労先でのサポート請求権
  • 残業免除(本人が望めば)
税制上の特典は以下の通りです。
  • 障碍度に応じた障碍者控除(現在45-50%なら570€、75-80%なら1060€)
  • 上記の定額障碍者控除の代わりに障碍によって生じた実費を控除対象として申告することも可能
  • 障碍度70%を超える障碍のある就労者は通勤費用、自家用車の維持・修理費・月極駐車場料金・自動車税・保険・駐車料金などを含む経費を控除対象として申告することが可能
  • 実費の代わりに通勤距離定額控除(Kilometerpauschale)1kmあたり0.30€で申告することも可
  • 自分で運転できない場合は、運転手のための追加通勤距離定額控除が申告できる
  • 障碍度80%以上と認定された歩行困難者はさらにプライベートな移動のための経費も控除対象として申告できる。プライベートの移動は年間約3000kmまでが適正範囲。
その他、美術館・博物館・コンサートなどの入場料や公共交通機関の運賃などが割引になる場合があります。
この前行った五嶋みどりのコンサートも障碍者割引があったので、もうちょっと障碍者認定が早かったら半額だったのに、とちょっと惜しい気持ちになりました。しかももう一つ障碍者割引のあるクリスマスコンサートのチケットを購入してしまった後だったので、2度損した気分です。まあ、6年間有効なので、その間ガンガン利用させてもらうことにしましょう。
 

唐突ながん宣告~ドイツの病院体験・がん患者のための社会保障(がん闘病記1)

化学療法の準備~ドイツの健康保険はかつら代も出す(がん闘病記2)

化学療法スタート(がん闘病記3)

抗がん剤の副作用(がん闘病記4)

え、緑茶は膀胱がんのもと?(がん闘病記5)

ドイツ:傷病手当と会社からの補助金(がん闘病記6)

抗がん剤投与2回目(がん闘病記7)

抗がん剤投与3回目(がん闘病記8)

医者が満足する患者?(がん闘病記9)

マリア・トレーベンの抗がんハーブレシピ(がん闘病記10)

抗がん剤投与4回目(がん闘病記11)

化学療法の後は放射線治療?!(がん闘病記12)

抗がん剤投与5回目(がん闘病記13)&健康ジュースいろいろ

抗がん剤のお値段とがん代替治療の死亡率(がん闘病記14)

書評:Kelly A. Turner著、『9 Wege in ein krebsfreies Leben(がんが自然に治る生き方)』(Irisiana)


書評:恩田陸著、『ネクロポリス』上・下巻(朝日文庫)

2017年11月14日 | 書評ー小説:作者ア行

『ネクロポリス』上・下巻は、ミステリーとホラーファンタジーがミックスされた盛りだくさんの作品です。物語の舞台は英国と日本の文化が融合した世界「V.ファー」の「アナザーヒル」というところ。そこでは死者と交流する「ヒガン」と呼ばれる行事が毎年11月に行われています。「V.ファー」で「血濡れジャック」連続殺人事件が発生した年、聖地である「アナザーヒル」でも次々と事件が起きます。聖地には入山許可書を持った限られた人たち(300人程度)しか入れない一種の巨大密室。

聖地で起きた事件も「血濡れジャック」と関係があるのか否か?
事故で双子の兄を亡くしたというジミーは、死者が実体を持つ聖地で兄・テリーに殺されることを恐れていたが、その理由とは?
10年前に聖地で突然行方不明になったケントはすでに死んでいるのか否か?
日本からV.ファーの親戚を頼ってアナザーヒルの調査に来たジュンイチロウ・イトウはなぜ頻繁に「お客さん」と呼ばれる死者たちと出会うのか?彼の会ったお客さんの一人らしい少女サマンサとは誰なのか?

等々読めば読むほど謎が増えていく感じの話運びで息つく暇もありません。上・下巻でボリュームありますが、一度話の中に入ってしまうと止まらなくなり、結局徹夜して一気読みしてしまいました。

最初は「V.ファー」という奇妙な文化融合世界と「アナザーヒル」で行われる「ヒガン」の約束事に馴染むのにかなり時間かかって、ちょっとしんどいのですが、その辺のしんどさは主人公のジュンことジュンイチロウ・イトウが体現してくれるので、彼と一緒に驚いたり疑問に思ったりできます。

文庫版の解説は漫画家の萩尾望都が書いています。「V.ファー」とはどこの島かを本文中の断片的な描写から考察する非常に興味深いもので、『ネクロポリス』を読んだ後にもう一度この作品を違った角度から味わえる貴重な解説です。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


三月・理瀬シリーズ

書評:恩田陸著、『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『麦の海に沈む果実』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『黒と茶の幻想』上・下巻(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『黄昏の百合の骨』(講談社文庫)

関根家シリーズ

書評:恩田陸著、『Puzzle』(祥伝社文庫)

書評:恩田陸著、『六番目の小夜子』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『図書室の海』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『象と耳鳴り』(祥伝社文庫)

神原恵弥シリーズ

書評:恩田陸著、『Maze』&『クレオパトラの夢』(双葉文庫)

書評:恩田陸著、『ブラック・ベルベット』(双葉社)

連作

書評:恩田陸著、常野物語3部作『光の帝国』、『蒲公英草紙』、『エンド・ゲーム』(集英社e文庫)

書評:恩田陸著、『夜の底は柔らかな幻』上下 & 『終りなき夜に生れつく』(文春e-book)

学園もの

書評:恩田陸著、『ネバーランド』(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『夜のピクニック』(新潮文庫)~第26回吉川英治文学新人賞受賞作品

書評:恩田陸著、『雪月花黙示録』(角川文庫)

劇脚本風・演劇関連

書評:恩田陸著、『チョコレートコスモス』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『中庭の出来事』(新潮文庫)~第20回山本周五郎賞受賞作品

書評:恩田陸著、『木曜組曲』(徳間文庫)

書評:恩田陸著、『EPITAPH東京』(朝日文庫)

短編集

書評:恩田陸著、『図書室の海』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『私と踊って』(新潮文庫)

その他の小説

書評:恩田陸著、『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎単行本)~第156回直木賞受賞作品

書評:恩田陸著、『錆びた太陽』(朝日新聞出版)

書評:恩田陸著、『まひるの月を追いかけて』(文春文庫)

書評:恩田陸著、『ドミノ』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『上と外』上・下巻(幻冬舎文庫)

書評:恩田陸著、『きのうの世界』上・下巻(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『ネクロポリス』上・下巻(朝日文庫)

書評:恩田陸著、『劫尽童女』(光文社文庫)

書評:恩田陸著、『私の家では何も起こらない』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『ユージニア』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『不安な童話』(祥伝社文庫)

書評:恩田陸著、『ライオンハート』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『蛇行する川のほとり』(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『ネジの回転 FEBRUARY MOMENT』上・下(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『ブラザー・サン シスター・ムーン』(河出書房新社)

書評:恩田陸著、『球形の季節』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『夏の名残りの薔薇』(文春文庫)

書評:恩田陸著、『月の裏側』(幻冬舎文庫)

書評:恩田陸著、『夢違』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『七月に流れる花』(講談社タイガ)

書評:恩田陸著、『八月は冷たい城』(講談社タイガ)

エッセイ

書評:恩田陸著、『酩酊混乱紀行 『恐怖の報酬』日記』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『小説以外』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『隅の風景』(新潮文庫)


ベートーベンオーケストラ&五嶋みどり ボン公演・マチネ(2017年11月12日)

2017年11月12日 | 日記

今日は友達と一緒にベートーベンオーケストラと五嶋みどりのマチネ公演に行って来ました。 
会場はボンのオペラハウス。残念ながらちょっとちゃっちい建物です。まあ人口30万人余りの地方都市に豪華なオペラハウスを期待する方が間違ってるのでしょうけど。

プログラムはチャイコフスキーのバイオリンコンチェルト・ニ長調、op. 35とショスタコヴィッチのシンフォニー6番・ロ短調、op. 54。

Pjotr Iljitsch Tschaikowski (1840-1893)

Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 35

Allegro moderato
Conzonetta. Andante
Finale. Allegro vivacissimo

Dmitrij Schostakowitsch (1906-1975)

Sinfonie Nr. 6 h-Moll op. 54

Largo
Allegro
Presto

指揮者はディルク・カフタン(Dirk Kaftan)。

五嶋みどりさんは世界的に有名なバイオリニストですが、今週末はボンの老人ホームや学校などを3件回って小規模コンサートをベートーベンオーケストラと共にこなし、最後の日曜日にこの11時のマチネコンサートで締めくくるというかなり地味な活動もこまめにこなしていらっしゃるらしいです。「音楽が人々を結びつける。」「経済的な理由などで音楽になじみのない人々に音楽を届ける」というのが彼女の哲学だそうです。国連平和大使を勤めてらっしゃったこともあり、音楽教育にも熱心で、素晴らしい生き方ですね。

私は彼女のライブは今回が初めてで、チャイコフスキーのソロパートが始まった途端になんだか涙が出てきました。どう感じてそうなったのかよく分からず、心と体が勝手に反応して、頭が置いてきぼりを食らったみたいな感じでした。非常に深みのあるブレない音で、素晴らしい演奏でした。高音のフラジョレットの繊細さ、重音の安定した深み、ピチカートの余韻を残す広がりなどどれも素晴らしい技術と表現力ですが、特に低音域の深みと厚みが感動的でした。
30年くらい前にボン近郊のローランズエックというところで彼女の演奏を聞いて感動したという友人も今日隣で同じように泣いちゃってたみたいです。

最前列の席だったため、みどりさんの演奏する時の表情やジェスチャーの細かいところまでよく見られて、つくづくこの方は全身で演奏する方なんだなと思いました。非常に小柄な方ですが、迫力があり、まるでバイオリンを弾きながらダンスでもしているようなパフォーマンスをします。そのジェスチャーの多い演奏法は非常に独特ですね。特にバイオリンの授業では、少なくとも演奏技術の基礎を習得するまでは、体を動かさないように指導されるので、その逆を行く彼女の演奏法には新鮮な驚きを感じました。

このマチネは面白い趣向で、チャイコフスキーとショスタコヴィッチの間に休憩が入らず、代わりに指揮者のディルク・カフタンと後藤みどりさんの対話があり、カフタン氏がみどりさんにインタビューして、お客さんに彼女のことを良く知ってもらうというものでした。みどりさんは話し出したら止まらないタイプのようで、非常に素晴らしく分かりやすい英語で彼女にとって音楽とは何かとか、なぜ地味な活動をするかなどについて延々と語っていて、カフタン氏が「それ全部、私がドイツ語に訳さなきゃいけないこと考えてください」とブレーキをかけなければならない程でした(笑)

この対話の後に、今度はカフタン氏が一人でショスタコヴィッチのシンフォニー6番について説明しました。曲の予告では「春」「喜び」「若さ」を表現するものということだったのに、実際の音楽は葬送曲のようで、そこに隠されたメッセージとは何かについて考察するという趣向です。ショスタコヴィッチのシンフォニーには様々な作曲家のモチーフが引用されているそうで、その引用元(チャイコフスキー、マーラー、バッハ、ロッシーニのウイリアムテル序曲、レーニンの行進曲?)のモチーフとショスタコヴィッチのモチーフを数小節演奏して、聞き比べをさせてくれました。詳しいことは分かりませんが、この曲にはどうやらスターリン政権をこっそり皮肉って批判する意図が隠されているようです。いつ逮捕されるか分からないので、常に旅行鞄を別途の下に置いてすぐに逃げられるようにしてたというショスタコヴィチ。ウイリアムテル序曲からの引用はスイスの自由への憧憬を表していたのかもしれないそうです。

こうした政治的背景や曲に込められているものを説明された後で演奏を聴くのはまた非常に興味深いですね。ショスタコヴィッチのシンフォニーのバイオリンソロを演奏したコンサートマスターはみどりさんとは全然違うタイプの演奏家のようで、実に明晰な透明感の高い音でした。プログラムには名前は載っていませんでしたが、ベートーベンオーケストラのサイトによると、Liviu Casleanu という方のようです。貫禄のある体格なのでバイオリンがおもちゃのように小さく見えるのがちょっと笑いを誘うのですが、演奏は素晴らしかったです。

帰りに中華レストランで飲茶を頂きました。マルクト広場にある広東料理レストラン「Dim Sum」というところで、初めて入りました。同じ場所にあった違う中華レストランには何度か入ったことありましたが、持ち主と店名が変わってからは行ったことありませんでした。というか、店名が変わったことは今日初めて知ったのですけど。飲茶を出す中華レストランは珍しいので、嬉しいです。
 

 

トリップアドバイザーの口コミを読むと、いくつか酷い評価があり、飲茶の種類は多くても冷凍ものを温めているだけじゃないかというコメントもありましたけど、どうなんでしょうね。私たちは結構おいしいと思いましたけど。ものによっては出来合いの冷凍食品という可能性は無くはないと思います。本来飲茶は手間のかかるものなので、ある程度の種類を揃えるにはそういうものを利用せざるを得ないのかも知れません。

ダンナと私がよく行く比較的近所の中華レストランでは6・7品くらいしか天心の種類がなくて、出てくるまでに結構時間がかかり、手作り感が高いです。いや、でした、かな。ついこの前行った時は味が落ちていたので。。。

閑話休題。

 

久々に楽しい休日でした。天気はどんよりとして雨が降ったりやんだりで、日中最高気温が5℃程度という寒さでアレでしたが。。。

そういえば昨日(11月11日)からまた第五シーズン(カーニバル)が始まったのですね。土曜日だったのでいつもより人出が多かったようです。


抗がん剤のお値段とがん代替治療の死亡率(がん闘病記14)

2017年11月09日 | 健康

今日は血液検査とドクターとの面談でした。例によって血液に異常なし、特記すべき副作用なしということで、待ち時間1時間強プラス検査・診察時間15分で済みました。次の、最後の抗がん剤投与は11月21日。その後に最終検査と放射線治療医との面談が予定されています。

抗がん剤のお値段

さて、これまで抗がん剤の納品は別薬局で、ここの請求書には自己負担額しか記載されていなかったのですが、9月19日分から納入薬局が一本化され、昨日初めて抗がん剤の本来の価格が表記された請求書が来ました。Σ(゚Д゚)

ただ「抗がん剤」としか記載されてないので2種類(パクリタクセルとカルボプラチン)あるうちのどちらがどの価格なのかは不明ですが、一つは262.73€で、もう一つは650.28€!その他の投薬を含めて1回の抗がん剤治療でトータル1092€(約14万9千円)になります。高いんだろうなとは思ってましたけど。。。本当にこの治療費の大部分を補償してくれる健康保険のありがたみが分かります。私の1回の抗がん剤治療の自己負担分は42€前後(約5600円)だけで、治療費全額の4%弱に過ぎません。

つくづく日本で病気にならなくて良かった!と思ってます。


がん代替治療の死亡率

今日はダイヤモンドオンラインに気になる記事を発見しました。「がん代替療法の選択で死亡率は最大5倍超に、米国の研究」という医学ライター・井手ゆきえ氏の記事です。

以下引用。

誰でもがん治療は怖い。告知のショックから立ち直る間もなく情報の波に翻弄され、重大な決断を迫られる。この選択が自分の生命を左右するかもしれない、という恐怖に不安が募る。

 そんなとき「がんが消えた!」「免疫でがん細胞をたたく」等の“万能感”と“わかりやすさ”が差し出されたら、どうだろう。日頃から科学的・合理的思考の持ち主を自任していても「民間療法」や「代替療法」に気持ちがふらりと揺らぐ。

 しかし、だ。8月に米国立がん研究所の機関誌に掲載された研究によると、「転移のない早期がんの治療に代替療法を選んだ患者が、5年以内に死亡する確率は、標準療法を選んだ患者より2.5倍高い」という。

 乳がんに至っては、代替療法を選んだ患者の死亡リスクが、標準療法を選択した患者の5.7倍にもなった。大腸がんは4.6倍、肺がんは2.2倍へとそれぞれ上昇。一方、前立腺がんではリスクの変動は認められなかった。

 本来、転移がない早期乳がんに対する標準療法の5年生存率は、9割以上だ。大腸がんも同様で、転移がないステージ1~2の5年生存率は9割超。リンパ節転移があるステージ3でも8割を超える。

 肺がんはがんの組織型で進行スピードが違い、一概にはいえないが、進行が遅い非小細胞肺がんならステージ1~2の5年生存率は、標準療法で6~9割に達する。

 少なくとも標準療法が進化している乳がん、大腸がん、一部の肺がんでは、代替療法によって手遅れになる可能性が極めて高い。

 一方、前立腺がんの多くは進行が遅く「無治療経過観察」が普通に選択される。平たくいえば放置であり、代替療法に高額な費用をかける意味からして不明だ。

 代替療法を選択するタイプは、より高収入、高学歴で併存疾患が少ない若い人らしい。背景には、これまでの成功体験や現代医療への不信、健康に対する信念などさまざまな理由があるだろう。

 しかし、がんの治療は自分にとって未知の領域だ。無手勝流に走る前に、標準的な選択肢に目を向けることが自分を救う道になる。

 

この記事を読んで、抗がん剤治療・放射線治療擁護記事かと思いました。「8月に米国立がん研究所の機関誌に掲載された研究」とあるだけで、研究者の名前もリンクも記事中になかったので不審に思って、ソースを探してみました。

ソースは「Journal of the National Cancer Institut」に8月10日に発表された、Skyler B. Johnson、Henry S. Park、Cary P. Gross、James B. Yuらによる研究論文「Use of Alternative Medicine for Cancer and Its Impact on Survival(がん代替治療の選択とその生存率への影響)」のようです。

この研究では560人のがん標準治療を受けた患者と280人のがん代替治療を選択した患者が統計的に比較評価されています。統計のベースとしては人数が少なすぎるきらいがあります。患者データは米国立がんデータベースから2004-2013年の症例を使用したようです。

ここで言う「がん標準治療」は抗がん剤治療・放射線治療・手術およびホルモン治療を指しています。「がん代替治療」はこうした標準治療以外を指しており、対象となった280人の患者がどんな治療を試みたのかは全く分かっていません。代替治療のセラピストやその治療を受ける患者たちは往々にして情報公開に消極的であるために米国立がんデータベースを使用し、標準治療かそうでないかの区別を利用して統計的評価をしたとのことなので、この代替治療の「十羽一絡げ」は少なくとも意図的ではないようです。

上のダイヤモンドオンラインの記事にある「代替治療を選択するタイプ」の記述は、原文にある「女性」という属性と「がんステージが高い」という属性が抜けています。意図的なのか不注意なのかは不明ですけど。

「死亡率は最大5倍超え」は確かにセンセーショナルな見出しですが、よく見るとそれほど確実な所見というわけでもなく、色々制約のある中での一つの統計的データに過ぎないことが分かります。

代替治療ごとの5年後生存率の統計がないことがとても残念ですね。ぼったくりの怪しげな療法もなかにはかなり混じっているようなので、情報公開に消極的なのも頷けます。

がん闘病記15


唐突ながん宣告~ドイツの病院体験・がん患者のための社会保障(がん闘病記1)

化学療法の準備~ドイツの健康保険はかつら代も出す(がん闘病記2)

化学療法スタート(がん闘病記3)

抗がん剤の副作用(がん闘病記4)

え、緑茶は膀胱がんのもと?(がん闘病記5)

ドイツ:傷病手当と会社からの補助金(がん闘病記6)

抗がん剤投与2回目(がん闘病記7)

抗がん剤投与3回目(がん闘病記8)

医者が満足する患者?(がん闘病記9)

マリア・トレーベンの抗がんハーブレシピ(がん闘病記10)

抗がん剤投与4回目(がん闘病記11)

化学療法の後は放射線治療?!(がん闘病記12)

抗がん剤投与5回目(がん闘病記13)&健康ジュースいろいろ

書評:Kelly A. Turner著、『9 Wege in ein krebsfreies Leben(がんが自然に治る生き方)』(Irisiana)