みどりの一期一会

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社説:秘密保護法案を問う テロ・スパイ捜査/秘密保護法案審議入り 疑念残る政府答弁

2013-11-10 20:07:41 | ほん/新聞/ニュース
毎日新聞で紹介してきた社説のシリーズ「秘密保護法案を問う」。
きょうは「テロ・スパイ捜査」でした。

11月8日の「クローズアップ2013」の
「秘密保護法案審議入り 疑念残る政府答弁」も紹介します。

     
そえそう、薪ストーブに火が入りました。
部屋のなかは「30℃・25%」で汗ばむくらいです。


 社説:秘密保護法案を問う テロ・スパイ捜査 
毎日新聞 2013年11月10日 

 ◇歯止めが利かぬ懸念
 特定秘密保護法案では、防衛や外交分野だけでなく、テロ活動防止とスパイ活動防止に関する捜査や調査の情報も特定秘密の対象となる。その指定を担うのは主に警察庁と公安調査庁で、指定の権限を持つ「行政機関の長」は、警察庁長官と公安調査庁長官だ。両者の判断で特定秘密の指定に加えて5年ごとの延長が決められる。それは内閣の承認が必要となる30年まで続く。

 監視活動が主体の公安捜査はともすれば行き過ぎる傾向にあり、国民の人権上の観点からも看過できない。両庁の指定は問題が大きい。

 2001年の米同時多発テロ以降、テロ捜査での国際協力が推進され、外国の捜査機関との情報共有が進んだ。テロ防止に関する情報漏れを防ぐ必要性も強調された。

 08年に当時の自民党政権が、秘密保全法制について検討チームを作った。具体的な内容を検討する作業チームには、内閣官房や外務、防衛両省のほか、警察庁と公安調査庁のメンバーが加わった。今回の法案作成に関して、両庁が当初から主導的な役割を担っていたのだ。

 そもそも、テロ・スパイ活動防止のために特定秘密の指定が不可欠なのか。警視庁公安部の国際テロ捜査に関する内部資料が10年、インターネット上に大量流出した事件があった。外国情報機関からの提供情報も多数含まれ、警視庁は面目を失った。だが、内部とみられる犯人の逮捕に至らず、先月時効を迎えた。

 漏えいの罰則を最高懲役10年に引き上げたところで、抑止力になるとは限らない。情報取扱者の限定と厳重な警戒など、まず部内での情報管理を徹底させる方策に力を入れるのが最優先だ。

 特定秘密を隠れみのに、公安捜査が暴走し、歯止めが利かなくなる恐れはないか。そちらの方が心配だ。

 流出した国際テロ捜査資料には、在日イスラム教徒や捜査協力者約1000人分の名前や住所、顔写真、交友関係などの個人情報も含まれていた。法案別表の規定によれば、特定秘密への指定が可能だ。問題なのは、こうして集められた個人情報にテロとは無関係のものが多数含まれていたことだ。国際結婚したり、イスラム教徒だったりしただけでテロリストと結びつけられた例があった。

 スパイ活動の防止にも同じことが言えるが、人を監視することによって得られる情報は、国民の人権やプライバシーと衝突する危険性をはらむ。両庁以外の目が入る仕組みがなければ、市民生活が脅かされる。


 秘密保護法案を問う・審議入り 重ねて廃案を求める
/国の情報公開/国民の知る権利(2013年11月08日)


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  クローズアップ2013:秘密保護法案審議入り 疑念残る政府答弁
毎日新聞 2013年11月08日 

 特定秘密保護法案が7日、衆院本会議で審議入りした。安倍晋三首相は「特定秘密の恣意(しい)的な指定が行われないよう重層的な仕組みを設けている」と強調したが、審議ではいつまでも秘密指定が解除されない危険性や、指定範囲のあいまいさ、チェックの仕組みの問題点なども浮き彫りになった。国家機密の保全と国民の「知る権利」の保障が両立するのかどうか、この日の政府答弁で疑念は解消されないままだった。【木下訓明、阿部亮介】

 ◆秘密の範囲
 ◇拡大防ぐ手段、不十分

 「特定秘密の概念があまりにもあいまいで範囲が広過ぎる。解釈次第でいくらでも拡大できるのではないか」。野党のトップバッターを務めた民主党の渡辺周氏は、特定秘密保護法案の問題点を端的に指摘。法案が「別表」で特定秘密として列挙した(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイなど)防止(4)テロ防止−−の4分野23項目のうち、11カ所に「その他」が含まれていることを「国民が知るべき情報まで秘密指定される余地が拡大するのでは」とただした。

 首相は、行政機関の長による特定秘密指定の恣意的な拡大を防ぐ手立てとして「外部有識者の意見を反映させた基準」を挙げたが、それだけでは「重層的な仕組み」と言い難い。政府は特定秘密の指定や解除の運用基準を作る際に有識者の意見を聴かなければならないが、有識者は指定や解除そのものには関与できないからだ。「実際の運用を点検するすべは担保されていない」という渡辺氏の追及は空振りに終わった。

 代わりに、首相は「報道や法律の専門家を有識者会議の構成員にすることを検討する」と述べ、法案に懸念を表明している日本弁護士連合会や報道機関を懐柔する意図もにじませた。

 一方、政府側は現行制度上の「特別管理秘密」が約42万件(2012年末現在)あり、そのうち防衛秘密が約3万7000件だと答弁した。特別管理秘密の定義が特定秘密と似ていることから、法案成立後、特別管理秘密がそのまま特定秘密になるのではないかという指摘があるが、首相は「さらに対象範囲を限定しているので、特別管理秘密よりも少なくなる」と説明した。ただ、どこまで件数が減るかは明言しなかった。

 特定秘密かどうかの境界を明確にしようとする質問も目立った。首相が10月17日の参院本会議で「過去15年間で公務員による主要な情報漏えい事件は5件」と述べたのを受け、日本維新の会の丸山穂高氏はどの案件が特定秘密に当たるかを質問。「中国潜水艦の動向に関する情報漏えい事件は防衛秘密が含まれており、特定秘密に該当する。それ以外は該当しない」という首相の答弁を引き出した。

 さらに、丸山氏は「西山事件(外務省秘密漏えい事件)の沖縄返還密約、核密約、核兵器持ち込みの事実は特定秘密に当たるか」とたたみかけたが、首相は「現在の情勢を前提に提案した本法案の特定秘密に該当するか否かを明確に答えるのは困難」とかわした。

 ◆国会提示条件
 ◇調査権の制約も懸念

 7日の衆院本会議では、特定秘密保護法案が国会の国政調査権を制約するのではないかという議論も焦点になった。法案は、傍聴を認めない「秘密会」に限って国会に特定秘密を提供できると定めており、提供を受けた国会議員が情報を漏らせば処罰対象になるためだ。

 「国会議員が(提供された)秘密を政党内で議論しようとすれば、漏えいで処罰されるのではないか。外交・防衛などの重要問題で政府をチェックすることを不可能にする」。共産党の穀田恵二国対委員長は、国会議員が特定秘密を知っても、それを基に自由に政治活動できなくなり、国会での質問などに支障が出ると指摘した。民主党の渡辺周氏も「立法府における特定秘密のルールは、立法府で決めるべきだ」と主張した。

 野党の批判に、首相は「国会で講じる保護措置のあり方は、国会の手続きや規律に関する事柄であり、国会で議論されると考えている」と答弁。行政機関の長が秘密保護のために政令で定める措置について、国会は別途、自主的に策定できるという見解を示した。ただ、法案を担当する森雅子少子化担当相は「保護措置が講じられないなど要件を満たさない場合、現行の国会法でも(国家の重大な利益に悪影響を及ぼす報告や記録を)提供する必要がないとされており、(国政調査権を規定した)憲法との関係でも問題はない」と明言した。

 自民党の大島理森前副総裁は7日、大島派の会合で「国権の最高機関たる立法府の調査権との整合性をどのように考えるか、超党派で話し合ってもいいのでは」と提起した。懸念は党派を超えて広がっている。
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 クローズアップ2013:秘密保護法案審議入り 識者の話 
毎日新聞 2013年11月08日 

 ◇民主主義とのジレンマ−−村田晃嗣・同志社大学長(米国外交、安全保障政策論)の話
 安全保障政策では政府が情報をできるだけ秘密にする方が有利である一方、民主主義は情報をできるだけ明らかにすることを求める。その両者のジレンマが先鋭な形で表れたのが特定秘密保護法案だ。情報管理が甘いと他国から思われることは好ましくないという観点で法案の必要性はあると思うが、何を秘密にし、何を公開するかの基準は作るべきだ。特定秘密を指定する際に、第三者機関が審査することなどを考えてはどうか。安全保障と民主主義のジレンマを乗り越える努力は、国民が常にしていく必要がある。政府が過度に恣意(しい)的に規制するということがあれば、それに対して国民が反発の声をあげるという繰り返しの中で修正されていくのではないか。

 ◇公文書、国民の共有財産−−同時代史学会代表の吉田裕・一橋大大学院教授(日本近現代史)の話
 近現代の公文書は国民の共有財産という考えがなく、管理がずさんで次世代に引き継がれなかった。内閣に統一基準がなく各省庁の判断で廃棄していた。太平洋戦争の終戦前後には陸海軍省が組織的に焼却したため、戦後の研究は政治家や官僚が残した日記などの私文書や、彼らが勝手に持ち出した一部の公文書に頼らざるを得なかった。

 特定秘密保護法案は、国民の歴史的検証に耐えうるよう制定された情報公開法や公文書管理法の流れに逆行する。国の重要文書でありながら、国立公文書館への確実な移管も担保されておらず、誤った政府の選択に対して、将来の国民が教訓を得られなくなる。また、政治家らから歴史の内幕を直接、聞き取る「オーラルヒストリー」という研究手法では双方が萎縮し、大きな障害になる。



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11月9日(土)のつぶやき

2013-11-10 01:10:36 | 花/美しいもの

11月のシネエッセイ 『いとしきエブリディ』 川口恵子 | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/reading/?p=126…


『女子読みのススメ』 貴戸理恵 | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/book/?p=7358

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