みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「趣旨に反する」のはどちら?/上野千鶴子さんの講師排除事件を検証する

2006-01-31 23:43:28 | ジェンダー/上野千鶴子
 この事件は国分寺市が「人権教育推進のための調査研究」事業の基調講演に、
上野千鶴子さんの「当事者主権」講演会を企画したことからはじまる。

 事業の趣旨は、国の「人権尊重社会の実現に向け、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月閣議決定)に基づき、社会教育における人権教育を一層推進するために人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行う」ものである。

 新聞報道によると、東京都は、上野さんが講演のなかで、東京都が「使わない」と通達まで出している、「ジェンダーフリー」という用語を使うのではないか、と危ぐして、国分寺市に圧力をかけたらしい。
 結果として、講演会だけでなく、この「人権を考える講座」自体が実施できなくなった。東京都の意志がはたらかなければ、講座は予定通り開かれたはずであり、国分寺市民は「人権」について学び考える機会を失った。この事実は重大だ。

 都の言い分については、以下のような新聞報道がある。
 この記事の都の主張を元に、上野千鶴子さんが「ジェンダーフリーという用語を使う可能性があるのか」「この事業の趣旨にそう講師なのか」の両面から検証してみたい。

上野千鶴子氏、都に抗議「用語統制に介入した」1/30朝日新聞

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 都教委は04年8月に決めた「『ジェンダーフリー』という用語を使用しない」という見解を示し、「講座がその方針に反するなら実施できない」と念押しした。市は「講座でジェンダーフリーという用語や、関連する内容が出る可能性が否定できない」として提案を取り下げたという。(2006/1/28朝日新聞)
------------------------------------------------------------
 事業を担当した都教委社会教育課は「都が委託するモデル事業である以上、都の見解に反した事業は実施できないと伝えた。中止は市が判断したものであり、都として拒否はしていない」と話している。(2006/1/28同朝日新聞)
----------------------------------------------------------
 「ジェンダーフリー」という用語について、事業を委託した東京都教育庁は「男らしさや女らしさをすべて否定する意味で用いられることがある」として使用しないことにしている。「講座でこの用語が使われる可能性があるなら実施できない」との判断を、同市に示したため、同市が提案を取り下げていた。(2006/1/31朝日新聞)
-------------------------------------------------
 東京都教育庁の担当者は「ジェンダーフリーという言葉だけを問題にしたわけではなく、都の事業の趣旨にそうものかどうかの確認を市に求めた」と説明している。(2006/1/31同朝日新聞)
------------------------------------------------------
 都教育庁が「ジェンダー・フリーに対する都の見解に合わない」と委託を拒否していたことが分かった。・・・・・・・・・・・・ 国分寺市は昨年3月、都に概要の内諾を得たうえで、市民を交えた準備会をつくり、高齢者福祉や子育てなどを題材に計12回の連続講座を企画した。上野教授には、人権意識をテーマに初回の基調講演を依頼しようと同7月、市が都に講師料の相談をした。しかし都が難色を示し、事実上、講師の変更を迫られたという。このため同市は同8月、委託の申請を取り下げ、講座そのものも中止となった。(2006/1/10毎日新聞)
-----------------------------------------------------------


1.まず、上野さんが「当事者主権」をテーマに話したり、書いたりする場合、「ジェンダーフリー」という用語を使うことがあるのか検証してみた。

1)上野さんは自著の『当事者主権』(中西正司さんとの共著/岩波書店/2003.10)のなかで、「ジェンダーフリー」という用語を使っていない。

2)2004年12月、上野さんは、NHK教育の「福祉ネットワーク」という番組で「社会を変える“当事者”たち」というテーマで、当事者主権について話している。
この番組は大変な反響をよび、再放送までされた。わたしの回りでもビデオを撮ったひとが多いが、上野さんは番組のなかで、「ジェンダーフリー」という用語を使っていない。番組のなかでは『当事者主権』の本も紹介している。
NHK福祉ネットワーク「社会を変える“当事者”たち」(2004/12.24上野千鶴子さん×町永俊雄アナウンサー)

3)2005年3月26日、岐阜市内で、上野さんの「当事者主権 私のことは私が決める」という講演会を開催した。この日の資料でも講演でも、上野さんは、「ジェンダーフリー」という用語を使っていない。
いよいよ明日「当事者主権」講演会(2004/3/25付記事)

 以上のように、上野さんは、人権講座のテーマの「当事者主権」では「ジェンダーフリー」という用語を使う可能性はまずない。

2.では、上野さんは「当事者主権」以外では、「ジェンダーフリー」という用語を使うことがあるのだろうか? 
わたしは、4年前から上野さんの本の読書会をしているが、上野さんの著作のなかで「ジェンダーフリー」という用語を見たことがない。
 この事件がおきてから、あらためて、ここ数年の本を元に、実際に「ジェンダーフリー」という用語が使われているのか、いないのかを、一冊ずつ検証してみた。


『当事者主権』(岩波書店/2003.10)
『老いる準備 介護することされること』(学陽書房/2005.2)
『結婚帝国 女の岐かれ道』(講談社/2004.5)
『ことばは届くか』(岩波書店/2004.7)
「ジェンダーフリー」という用語は使われていない。


『脱アイデンティティ』(勁草書房/2005.12)
『差異の政治学』(岩波書店/2002.2)
『現代の理論』「フェミニズムをリアルに生きる」(明石書店/05秋)
『現代思想』「ケアをすること/されること」』(青土社/05.9)
「ジェンダーフリー」という用語は使われていない。

  
『サヨナラ学校化社会』(太郎次郎社/2002.4)
『at あっと』0号「生き延びるための思想」(05.5) 
『at あっと』1号、2号「ケアの社会学」
「ジェンダーフリー」という用語は使われていない。

3.本のタイトルおよびテーマに「ジェンダーフリー」という用語がつかわれているのは、以下の2冊である。

 『ジェンダーフリーは止まらない-フェミニズムバッシングを超えて』は、辛淑玉さんとの共著だが、辛さんと上野さんは「ジェンダーフリー」という用語を本文中で使っていない。
 なお、本の「刊行にあたって」に「『してはいけないジェンダーフリー?」』という設立集会のタイトルは2000年12月に某新聞紙上で繰り広げげられたフェミニズムバッシングのキャンペーンのタイトルをもじってつけたもの」との主催者の言葉がある。

 『We』(フェミックス発行)2004年11月号のインタビューのタイトルは「ジェンダーフリー・バッシングなんてこわくない!」。
この中で、上野さんは、「ジェンダーフリー」という用語について、どのように考えているのか、以下のように述べている。
 「・・・・次に「ジェンダーフリー」について、ご説明しましょう。この言葉は、出自からいえば、90年代後半に、男女共同参画社会基本法の審議のなかで出てきたと思うのですが、・・・・・・ジェンダーフリー」という用語は、「男女共同参画2000年プラン」という文書の中に1回だけカタカナで出てくるくらいでしょうか。その際も、カッコの中に「(性別に偏りのない)」と解説してあります。その他には、法の文言の中には出てきません。
 ですから、「ジェンダーフリー」は、まず第一に研究者の使う用語ではなく、そして第2に法律用語でもありません。主として行政関係者が使ってきた用語なのですね。
 わたし自身は、「ジェンダーフリー」は嫌いだし、使いません。なぜかというと、日本語で定着しておらず、なじみもないカタカナ用語をあえて使う理由がまったく理解できないからです。ジェンダー研究の分野での英語文献でも、「ジェンダーフリー」はなじみがありません。わたしは英語文献をたくさん読んできましたが、出会ったことがありません。・・・・・(P5~6)」


4.以上からわかるように、そもそも、上野さんが「ジェンターフリーという用語を使うかもしれない」という、東京都(と国分寺市)の前提と判断そのものが間違い。東京都の言い分は、「事実無根の言いがかり」としか言いようがなく、理由もなく上野さんを排除したものである。
東京都は、「当事者主権」講演会で、上野さんが「ジェンダーフリー」を使う可能性があるという根拠を示すべきだ。

5.つぎに上野千鶴子さんが、「この事業の趣旨に沿う講師なのか」を、この事業の法的な趣旨に照らしあわて、検証してみる。

この事業は文部科学省が都教委に委託し、都教委が市町村教委に再委託している「人権教育推進のための調査研究事業」。国分寺市は昨年、公募の市民も参加して企画した「人権を考える講座」の開講を事業提案することにした。「当事者主権」をメーンテーマに、「高齢化社会」「子ども」などを題材に計12回を計画。基調講演の格子を上野教授に依頼する予定だった。(2006/1/28朝日新聞)

1)事業は文部科学省の「人権教育推進のための調査研究事業」で、「国が東京都に委託、都が国分寺市に再委託」する形のもの。

 以下の「人権教育推進のための調査研究事業 実施委託要綱(案)」には、
「1趣旨 人権尊重社会の実現に向け、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月閣議決定)に基づき、社会教育における人権教育を一層推進するために人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行う。」 「2 委託先(1)都道府県教育委員会又は指定都市教育委員会等、(2)都道府県教育委員会と市町村教育委員会を中心に組織する協議会」となっている。

2)また、「平成17年度『人権教推進のための調査研究事業』(運用指針)」によると、
1,2は同じだが、「3 事業の内容 (2)モデル事業の実施
 下記の研究事項、人権課題、対象を組み合わせ、モデル事業の実施による検証等を行いつつ、実践的な調査研究を行う。
[研究事項]:人権に関する学習機会の充実方策
      :学習意欲を高める参加体験型学習プログラムの開発、普及方策
      :人権教育に関する指導者研修の充実方策
      :人権教育に関する情報提供の在り方、関係機関との連携方策など
[人権課題]:人権一般、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、 外国人、H IV感染者・ハンセン病患者など
[対  象]:一般、幼児、少年、青年、成人一般、高齢者、保護者、外国人、行政関係者、社会教育指導者など 」と定められている。

3)以下は、委託事業の基本である「人権教育・啓発に関する基本計画」。基本計画は、法務省「人権擁護局」の所管で、各省庁が施策の実現のための事業を実施している。
 この「人権教育・啓発に関する基本計画」「は、以下の「人権教育及び人権啓発の推
進に関する法律」(人権教育・啓発推進法)
に関する、総合的・計画的な推進を計る
ための策定されたもの(この法律は、法務省と文部科学省の共管)。

4)以上のことから、この事業は人権教育推進のために全国の自治体に広く開かれたもの。上野さんは「女性」「高齢者」「障害者」「外国人」など、さきに紹介したなかでも、これら人権課題に関する本をたくさん著している。
 よって、事業の趣旨や基本計画、法律にてらしあわせても、上野さんが講師として不適任と判断する理由および根拠ははまったくない。
 都の担当者は、「都の事業の趣旨にそうものかどうか」と発言しているが、そもそもこの事業は、都の事業ではなく国の事業である。都も委託先の自治体の一つでしかない。つまり、委託を受けた都には、要綱と法の趣旨に従う義務があり、恣意的な判断や行為は許されない。
 言論および思想・学問の自由は、憲法に保障された基本的な権利である。東京都が、講師の思想、学問、言論の自由に制限をくわえようとすること自体が、「人権推進」に反する行為である。
法および事業の趣旨に反しているのは、東京都のほうだ。

6.前述の「実施委託要綱(案)」は、「13その他」に、 
(1)文部科学省は、委託先における事業の実施が当該趣旨に反すると認められるときは必要な是正措置を講ずるよう求める。  
(2)文部科学省は、本事業の実施に当たり、委託先の求めに応じて指導・助言を行うとともに、その効果的な運営を図るため協力する。
(3)文部科学省は、必要に応じ、本事業の実施状況及び経理状況について、実態調査を行うことができる」と明示されている。
 文部科学省は、趣旨に反する東京都に対し、「実態調査を行い」「是正措置を講ずるよう求める」べきである。

7.最後に、『当事者主権』は、
 女性運動や性的マイノリティの運動も、その運動がターゲットとしている差別がなくなれば、歴史的使命を果たして、消滅する運命にある。
 私たちは、性、年齢、障害、職業、民族、人種、国籍、階級、言語、文化、宗教等による差別のない社会を求めている。移動の権利、居住の権利(施設か在宅か)を選べる権利、必要な時に介助を受ける権利、働く権利、働かない権利(必ずしも資本主義下の生産活動のみが労働ではない、子どもや高齢者のお世話をしたり、環境をよくする運動も労働といえる)を求めている。時代はいま、包括的な差別禁止法を求めている。
 そのために、全世界の当事者よ、連帯せよ。」

という言葉で結ばれている。

上野千鶴子さんは、国分寺市「人権教育推進のための調査研究事業」の講師として最適任者である、とわたしは思う。

「意識改革より具体策を」斉藤正美/2004.10.4朝日新聞


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お豆腐だいすき/嬉野とうふが届きました。

2006-01-30 21:03:47 | おいしいもの/食について
「自治ネット」の視察のときに知り合った
Sさんに、わたしの本を送ってあげたら、
クール宅急便が届きました。

うわぁ、うれしい。
開けてビックリ玉手箱。
わたし、お肉あんまり食べないから、
大豆製品だいすきなんです。



でてくる、でてくる、
畦豆豆腐、手あげ、五目ひりょうず、
豆乳、昔こんにゃく、嬉野納豆etc。



みーんな三重県の「嬉野とうふ」野瀬商店という
おとうふ屋さんの製品です。

  

さっそく葛と豆乳でつくった、
プルプルの豆腐饅頭を食べました。

これがほんとの「うれしのとうふ」!

おいしいお豆腐をありがとう!

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ジェンダー研究者ら抗議 都に署名1808人分を提出/毎日新聞(1/28付)

2006-01-29 19:53:17 | ジェンダー/上野千鶴子
国分寺市の「人権学習講座」の講師に、
上野千鶴子さんが東京都に拒否された問題の続報。

1月27日に、東京都に
「研究者や市民1808名の抗議文を提出した」ことが、
新聞記事になった。
岐阜には載らなかったけれど、
首都圏に住んでいるテルテルさんがFAXしてくれた。

毎日新聞の記事を書いたのは、
この事件のきっかけとなった1月10日付けの
初発記事を書かれた五味香織さん。
五味さんとは記者会見の会場で再会した。


2006.1.28 毎日新聞

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国分寺の人権学習講座中止問題
ジェンダー研究者ら抗議
都に署名1808人分を提出

 「ジェンダー・フリーに対する見解が合わない」として都教育庁が上野千鶴子・東大大学院教授(社会学)の講師依頼を拒否し、国分寺市の 人権学習講座が中止された問題で、ジェンダーの研究者や市民団体など は27日、石原慎太郎知事や都教育長らあての抗議文を1808人・6 団体分の署名を添えて提出した。
 抗議文は、都教育庁の対応について「言論・思想・学問の自由への重大な侵害。“憶測”で前もって言論を封じた、あるまじき行為」と批判している。提出後の記者会見で、呼びかけ人の一人、若桑みどり千葉大名誉教授は、「都教育庁の中で起こっていることが我々の研究にも及ぶ分岐点だと思った。言葉狩りだけでなく、非常に危機的な状況だ」と訴えた。上野教授も、月末までの回答を求め公開質問状を出している。
 一方、石原知事は同日の定例会見で委託拒否について「都はそういう規制を加えた覚えはない」と述べた。「ジェンダー・フリー」に対しては「言葉そのものがいいかげんで、あいまい。日本人なんだから英語を使うことはないんだよ」と話した。【五味香織】
毎日新聞 2006年1月28日
-----------------------------------------------------------

他の新聞にも載ってないか調べてもらったら、
朝日新聞にも、大きな記事が載っていたそうだ。
記者発表には、20社くらい来ていたので、
東京新聞くらいにも載ると、
中日新聞にも載るかも知れない。

{ジェンダー」使用不可(都)
女性学研究者の排除(上野教授)
人権講座中止めぐり対立
研究者ら1808人署名、都に抗議

都の人権教育事業をめぐり、女性学の研究者、上野千鶴子・東京大大学院教授と都が対立している。上野教授が講師となる予定だった国分寺市での講座に対し、都教委が「ジェンダーフリーという用語が使われる可能性があるなら実施できない」とくぎを刺し、講座が中止になったのが発端だ。「都の事業なので、都の見解は踏まえてもらう」という都側に対し、教授側は「このままだと、女性学研究者は都の社会教育事業から排除されることになる」とする公開質問状を石原慎太郎都知事らに送付。27日には、研究者らが都に抗議する事態になっている。--------------------------------------------朝日新聞(1月28日付より一部引用)
(えっ朝日さん、「ジェンダー」使用不可、って見出し、
「ジェンダーフリー」の間違いじゃないの???)

明日は、上野さんが、外国特派員協会で、取材/スピーチを頼まれているそうだ。
あさって31日は、上野さんの公開質問状の回答期日。
とうぶん、この問題から目が離せない。

話はかわるけど、
おととい東京に行ったとき、テルテルさんに、
一月遅れのバースディプレゼントをもらった。

すてきな手袋と、「大学最中」2個。
最中はともちゃんと二人ぶん。
  
東大近くの、「菓子処 三原堂」という
甘党にはけっこう有名なお店らしい。 
  
ふだんは和菓子を食べないんだけど、
なかよく食べました(笑)。
おいしかったよ。

テルテルさん、ありがとう!


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東京都庁へ「上野千鶴子さんの講師委託介入事件の抗議行動」レポート

2006-01-28 12:57:02 | ジェンダー/上野千鶴子
「上野千鶴子さんの国分寺市「人権講座」委託介入に対する
東京都への抗議の申し入れ」のレポート。
ブログやML、メールなどで署名を呼びかけたみなさまに、
お礼を兼ねて、報告させていただきます。
最終的な署名数は、なんと1808筆。
北海道から沖縄まで、研究者から市民まで、
女も男も、性別や分野を越えて、
多種多様なひとから届きました。
うれしい報告です。

詳細は「東京都に抗議する」をご覧ください。

昨日は、午前6時半ごろ出発。
東京行きは19~20日の行政視察から一週間ぶり。
  
また走る「のぞみ」のデッキから、富士山を撮りました

JR新宿駅西口から都庁までは直通の地下道がつくられてて、
横にはなんとうごく通路まであります。
地下道を抜けると、青空にそびえ立つ都庁。
(手前は、都議会議事棟)
こんなところで、まいにち仕事してたら、
たしかに市民感覚なくなりますねぇ。
  

スケジュールは、
「11:50~12:00、第二本庁舎27階で
東京都/教育委員会に申し入れ」、
「13:00~14:00、第一本庁舎6階で
東京都庁記者クラブで記者会見」の予定です。

  
第一本庁舎       第二本庁舎

第二本庁舎に、集合時間より30分ほど早く着いたので、
まずは興味深々の豪華庁舎をウォッチング。
  
あまりに広くて迷子になりそうだったので、集合場所にもどって、
はやめに着かれた呼びかけ人のみなさんと話していました。
全員がそろって、打ち合わせのあと、いざ27階へ。

午後の記者会見のまえに、11時50分から10分間、
呼びかけ人、賛同人、実働スタッフの14~5人で、
東京都に抗議文をわたしました。

抗議文を受け取ったのは、所管課ではなく、
教育委員会・総務部教育情報課長の森田さん。
肝心な時に当事者は逃げる、のは、行政の常です(笑)。

冒頭の手渡すセレモニーだけ、10人ほどの報道関係が写真撮影。
その後、関係者だけが残り、呼びかけ人の
若桑みどりさん、米田佐代子さん、
細谷実さん、加藤秀一さんの4人が自己紹介。
呼びかけ人を代表して、若桑みどりさんが
たった3日で1808人の署名があつまったことを伝え、
抗議文を朗読して、うけとった森田さんが
「責任を持って所管課に渡します」と答えました。

あわただしく議事棟の1階で食事をすませたあと、

午後1時からは、第一本庁舎6階の会見会場で、
東京都庁記者クラブに記者発表。
若桑さんが抗議文を読みあげられたあと、
呼びかけ人のみなさんが報道各社の質問をうけました。
(記者会見は予定の1時間を大幅に越え、
3時から石原都知事の会見があるため、
広報課はやきもきしていたようです)。

わたしは資料のことなどでバタバタしていたので、
詳細は聞き逃しましたが、呼びかけ人のみなさんは、
全国紙、日刊紙はもちろん、「世界日報」の質問にも
ていねいに答えていらっしゃいました。

世界日報記者の、
「上野さん自身が公開質問状を出しているのに、
なぜ都の回答の前に出したのか」という質問に対し、
若桑さんは、まようことなく、
「かんたんなことです。上野さんを孤立させないために、
都の回答を待たずに行動をおこしました」
と明快におっしゃいました。

この言葉が、こころにズシンと響き、
涙があふれそうになりました。

わたしも、同じ思いです。

立場や考えの違いはそれぞれですが、
きっと、
東京都に抗議の意志をとどけたいという思いが
全国各地をかけめぐり、たった3日間で、
1808人もの賛同署名が集まったのだと思います。

昨日手渡したのは、抗議文と
14ページにわたってびっしりと賛同者名が連なる署名簿。
東京都は、この署名の意味を重く受け止めて、
真摯に対応していただきたいと思っています。

東京都には、行政としての
応答責任と説明責任があるはずです。
今回の事件で、行政内部でなにが起きたのか、
上野千鶴子さんの質問に、誠実に答えてください。

定例記者会見での「石原都知事の発言」はここから(2/3)

「趣旨に反する」のはどちら?/講師排除事件を検証する」(2/1)

◇      ◇      ◇      

以下に、表紙と最後のページだけ紹介します。
(署名簿は個人情報なので公開できません。)

  

ご参考までに、昨年、豊島記者が書かれた関連の、
2005年6月29日付「南日本新聞」記事も紹介します。

----------------------------------------------------
      「■ジェンダーフリー教育問題 本紙記事「でたらめ」
 吉野正二郎鹿児島県議会議員は28日の県議会一般質問でジェンダーフリー教育問
題について、同教育を批判する書籍を引用する形で、南日本新聞の記事(2003年
8月5日付)を「でたらめ。あることをなかったことにして報道した」と批判した。
 記事は同年6月、吉野議員の県議会一般質問での発言を受けたもの。行き過ぎた教
育の実例として、(1)川崎市や福岡県立大牟田北高校で体育の時間など男女が一緒
の更衣室で着替えさせられた(2)東京・国立市の高校は修学旅行で男女が一緒の部
屋で宿泊させられた(3)川崎市の公立中で男女一緒に身体検査を受けさせられた-
などと指摘したが、当該自治体や学校が事実を否定している、という内容だった。
 吉野議員はこの日の議会で、取材記者を名指しし当時の報道を「私が根拠のないこ
とを言っていると感じられる」と批判。「事例に挙げた中学や高校の父母から直接聞
いた話」と強調した。
 一方、関係自治体や学校側は28日、南日本新聞の電話取材に対し、吉野議員の指
摘をあらためて否定した。
 大牟田北高校の近藤博文教頭は「当時も今も男女が同じ更衣室で着替えることはな
い」。川崎市教育委員会健康教育課の藤原淳子指導主事は「まったく事実でない。あ
りえないし迷惑」。都教委高校教育指導課の上村肇主任指導主事は「聞いたことがな
い。万一あったら地元で大騒ぎになる」と否定した。
 -記事はきちんと取材-
 有川賢司南日本新聞社編集局長の話・吉野議員が指摘した南日本新聞の記事はきち
んとした取材に基づいている。今後も的確な報道を続けていく。」
---------------------------------------------------
(6月29日付「南日本新聞」記事より一部引用)>


東京都への抗議行動に賛同し、
行動してくださったみなさん、
ありがとうございました。



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上野千鶴子さんの講師委託への介入事件/いっしょに東京都に申し入れに行きましょ!

2006-01-27 04:57:12 | ジェンダー/上野千鶴子
「上野千鶴子さんの国分寺市「人権講座」委託介入に対する
東京都への抗議の申し入れ」は、
趣旨に賛同される方はどなたでも参加できます。

★申し入れは、
1月27日(金)11:50~12:00
東京都庁第二本庁舎27階第4会議室

★記者会見は、
1月27日(金)13:00~
東京都庁記者クラブ(第一本庁舎6階)


興味のある人はいっしょに行きましょう。

都庁でわたしに会えるかも・・・・・・(笑)。


 
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明日、東京都庁へ抗議署名を出しに行きます。

2006-01-26 23:22:24 | ジェンダー/上野千鶴子
一昨日からパソコンの前に座りっぱなしで、
一段落ついたと思ったら、もうこんな時間。
ブログは、気持ちに余裕がないとつづかないと、
おもい知った。  
とはいえ、
せっかく1年間休まず続けてきたんだからと、
最後の力をふり絞って「お休みブログ」を書いたら、
「こみあってます」と赤い文字が出て、
あえなく消えてしまった(泣)。

ここ数日、デジカメもさわってないし、
そもそも、外にもでていない。
(おまけにポインセチアの葉っぱも散ってきた)。

で、文章だけで読んでもらわないといけないんだけど、
頭がスカスカのオカラ状態で、もう絞り出すこともできない。

人気ブログランキングも、下がりっぱなしだし、
「花」と関係ない記事ばっかり、と読者に突っ込まれて、
それはそうだよな、とかんがえた。
で、迷った末に、東京都への抗議署名が、
少しでも学者のみなさんの目にふれて、
少しでもたくさん集まるようにと、
ぜんぜん縁のない「社会科学」に変えた。

アクセス自体は、ここ数日、
「上野さん効果」で増えてはいるが、
昔の仲間にあえないのがさびしい。

あと30分で日付が変わるので、とりあえず
今日の分、おくっときます。

明日は、東京都庁に抗議署名を出しにいく。

4時間はかかるから、7時前に家を出る予定。
東京はインフルエンザがはやりはじめているようだ。
呼吸器系が弱いので、マスクをしていこうと思っている。

えっ、なんであなたが?って聞かないで!

マスコミの関心も高いし、外国のメディアも注目してる、
ようです。市民メディアも行かなくちゃ、ね。
署名簿だすとこ、この目で見届けてきたい。

いきのいい、タイムリーな記事を持って帰ってくるから、
楽しみにまっててくださいね。
ということで、
今日はこれにて、おやすみなさい。


 
最後まで、読んでくださってありがとう。
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「ジェンダーフリーをめぐって」上野千鶴子(信濃毎日新聞・熊本日日新聞1/23付記事)

2006-01-25 13:42:15 | ジェンダー/上野千鶴子
速報です。

今回の「東京都が上野さんの講師選定を拒否した」事件について、
上野千鶴子さんの原稿が、昨日の、
信濃毎日新聞と熊本日日新聞の1月23日付
連載コラム「月曜評論」に掲載されました。

昨日アップした「東京都に抗議署名を!」の署名も、
全国のこころある方たちから、ぞくぞくと集まってて、
1500人は越えているようです。

このURLは転載・転送自由で、
あちこちのブログでとりあげられています。

署名の締め切りは、明日1月26日正午。
まだ間に合います。


あなたもぜひ、上野さんの記事を読んで
署名に参加してください。

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ジェンダー・フリーをめぐって 
         上野千鶴子

 東京都知事とけんかを始めた。
 正確にいうと、売られたけんかを買っただけで、こちらから売ったわけではない。毎日新聞 (2006年1月10日付け)に「ジェンダー・フリー問題:都『女性学の権威』、上野千鶴子さんの講演を拒否/用語など使うかも…『見解合わない』理由に拒否--国分寺市委託」の記事が掲載されたので、知っている人もいるかもしれない。
 主催側の市民団体の方たちから、都の委託事業で国分寺市が主催する人権講座に、「当事者主権」のテーマで講演してほしいという依頼を受け、それが都の介入によって取り消しになった経過説明を受けていた。だが、都の説明文書があるわけではなく、もっぱら伝聞情報ばかりなので、反論のしようがない。毎日新聞の記者が、都の東京都教育庁生涯学習スポーツ部社会教育課長に取材して、発言を記事にしてくれた。それでようやく言質がとれた。
          *          *
 それによれば「上野さんは女性学の権威。講演で『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性があり、都の委託事業に認められない」とある。私は女性学の権威」と呼ばれることは歓迎しないが、女性学の研究者ではある。都の見解では、「女性学研究者」すなわち「ジェンダー・フリー」の使用者、という解釈が成り立つ。わたしに依頼のあった講座は、人権講座で、タイトルにも内容にも「ジェンダー・フリー」は使われていないのに、「可能性がある」だけで判断するのだから、おそれいる。世の中には、「ジェンダー学」を名のる研究者も多く、それらの人々はましてや「ジェンダー・フリー」を使う可能性が高い。そうなると、女性学・ジェンダー研究の関係者は、すべて東京都の社会教育事業から排除されることになる。
 わたしは石原都政以前には都の社会教育事業に協力してきた実績があるし、現在でも他の自治体からは教育委員会や男女共同参画事業の講演者に招聘されているのだから、都にとってだけ、とくべつの「危険人物」ということなのだろうか?
 看過するわけにいかないので、公開質問状を、石原慎太郎東京都知事、東京都教育委員会、国分寺市、国分寺市教育委員会等に1月13日付けの内容証明郵便で送った。意思決定のプロセスを明らかにし、責任が誰にあるのかを問うことと、上野が講師として不適切であるとの判断の根拠を示すように求めたものである。回答の〆切は1月末日。
          *          *
 こういうやりとり、おそらく石原知事は「余は関知せず」というだろう。都庁の役人が、都知事の意向を忖度(そくたん)してやったことと思うが、この時期に都の生涯学習スポーツ部社会教育課長という職にたまたま就いていた人物は、自分がどんな地雷を踏んだかに気がついていないだろう。この役人も、おそらく石原都政前には別な判断をしていただろうし、石原政権が交替すればまたまた変身するかもしれない。すまじきものは宮仕え。ご苦労さんとは思うが、ことは上野個人の処遇に関わらない。ゆきすぎた「ジェンダーフリー・バッシング」には徹底的に反論しなくてはならない。
 公開質問状は主要メディアにも同時に送付した。現在までのところ、毎日とNHKは報道、朝日と時事通信からは取材、日本外国特派員協会からもコンタクトがあった。本欄の読者の方たちは、これで初めて知ることになるだろうか。今後の帰趨(きすう)を見守ってもらいたい。
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(信濃毎日新聞・熊本日日新聞2006/1/23付「月曜評論」記事より)



「東京都に抗議!」の署名はここから。

 
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コメント (3)

東京都に抗議署名を!/上野千鶴子さん講演拒否事件で研究者が呼びかけ。

2006-01-24 05:53:40 | ジェンダー/上野千鶴子
「上野千鶴子さんの講演を東京都が拒否」に対し、
研究者のみなさんが呼びかけ、市民もいっしょになって
広く抗議署名がはじまっています。

国分寺市民の実行委員会が企画していた
人権講座の講演は「当事者主権」です。

そもそも、このブログは昨年3月26日にひらいた
上野千鶴子さんの「当事者主権」講演会のために
つくったものですから、わたしとしても、
東京都の暴挙に、つよいいきどおりを感じています。

東京都に抗議する!署名はここから。

この署名は、だれでもできます。
署名の第一次締め切りは、
1月26日正午です。


趣旨に賛同される方は、
東京都に抗議する!
のURLを、ぜひ
「あなたのブログにリンク」
「友達にメールで送る」
「HPにアップする」などしていただいて、
この署名をひとりでも多くの人に広げてください。


以下は、抗議文の全文です。
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東京都知事         石原慎太郎 殿
東京都教育委員会 教育長  中村 正彦 殿
東京都教育委員会 各位

                抗 議 文

上野千鶴子東大教授の国分寺市「人権に関する講座」講師の拒否について、
これを「言論・思想・学問の自由」への重大な侵害として抗議する

1 言論の自由の侵害について

 報道によれば、今回の拒否の一因として、同教授がその講演において「ジェンダー・フリ-という言葉を使うかも」という危惧があった故だとされている。ひとりの学者/知識人がその専門的知見において、その著書または講演のなかでいかなる用語を用いるかは、学問・思想・言論の自由によって保証されている。学問・思想・言論の自由は、民主主義社会の根幹であり、なんぴともこれを冒すことはできない。
 まして、その講演が開催され、実際に発話されたのではないにもかかわらず、その用語が発せられるだろうという“憶測”によって、前もってその言論を封じたということは、戦前の「弁士中止」にまさる暴挙であり、民主憲法下の官庁にあるまじき行為である。
 このような愚挙がまかり通れば、今後、同様の“憶測”、”偏見 ”に基づいて、官憲の気に入らぬ学者/知識人の言論が政治権力によって封殺される惧れが強くなる。日本が戦前に辿ったこの道を行くことをだれが望むであろうか。それが日本の社会に住むひとびとの幸福な未来を描くと、誰が思うであろうか。

2 学問と思想の自由の侵害について

 ジェンダー理論は国際的に認知された思想・知見・学問である。現在欧米及びアジアの主要大学において、ジェンダー理論の講座を置かない大学はなく、社会科学、文化科学の諸分野でジェンダー理論を用いずに最新の研究を開拓することは困難である。
 いっぽうでは、それは1975年、第一回世界女性会議以降、世界のいたるところで太古から実行されてきたあらゆる種類の女性への差別を撤廃し、人間同士の間の平等を実現するという国際的な行動と連動し、その理論的な基盤を提供してきた。学問と社会的改良とは両輪となって人類の進歩に貢献してきたし、これからもそうである。
 しかしながら、「ジェンダー理論」は、同時期に国際的に認知された「ポストコロニアル理論」と同様に、3~40年の歴史しかもっていない。したがって日本の人々のあいだにその用語および理論への理解が定着するにはまだまだ時間がかかるであろう。
 しかし、それは喧伝されているように「日本の伝統に反する」「外国製の」思想ではない。なぜならば、すでに明治時代からわれわれの先輩たちは、女性もまた参政権を得るために、また女性としての自立権を得るために血のにじむ努力をしてきたからである。この人々は新憲法によってその権利を保証されるまでは、弾圧と沈黙を強いられてきた。いまだに、在日朝鮮人をはじめとする外国籍市民は、参政権すら得ていない。日本の、また世界のひとびとが平等な権利を獲得するための、長い旅程の半ばにわれわれはいる。
 そのようなわれわれ自身の知見と努力の歴史の上に、国際的な運動のうねりと学問の進歩によって、われわれは国際的な用語としての「ジェンダー」とその問題を解明し、解決することをめざすジェンダー理論を獲得したのである。思えば、日本社会に生きるわれわれは、常に有用な智恵を世界に学び、これを自己のうちに内在する問題と融和させ、独自のものとして実践してきたのではなかったか。そこにこそ日本の社会の進歩があった。女性学・ジェンダー研究者は、今まさにそのために研鑽、努力している。その教えをうけた無数の学生、教育現場で実践する教師、地域で活動する社会人は、グローバルな運動の広範な基盤をなしている。上野氏はその先駆的なひとりである。今回の事件についてわれわれは強い危惧の念を覚えている。先人の尊い努力によってようやくに獲得できた思想、学問、行動の自由の息の根を止めさせてはならない。

3 ジェンダーへの無理解について

 ジェンダーは、もっとも簡潔に「性別に関わる差別と権力関係」と定義することができる。したがって「ジェンダー・フリー」という観念は、「性別に関わる差別と権力関係」による、「社会的、身体的、精神的束縛から自由になること」という意味に理解される。
 したがって、それは「女らしさ」や「男らしさ」という個人の性格や人格にまで介入するものではない。まして、喧伝されているように、「男らしさ」や「女らしさ」を「否定」し、人間を「中性化」するものでは断じてない。人格は個人の権利であり、人間にとっての自由そのものである。そしてまさにそのゆえに、「女らしさ」や「男らしさ」は、外から押付けられてはならないものである。
 しかしながら、これまで慣習的な性差別が「男らしさ」「女らしさ」の名のもとに行われてきたことも事実である。ジェンダー理論は、まさしく、そうした自然らしさのかげに隠れた権力関係のメカニズムを明らかにし、外から押し付けられた規範から、すべての人を解放することをめざすものである。
 「すべての人間が、差別されず、平等に、自分らしく生きること」に異議を唱える者はいないだろう。ジェンダー理論はそれを実現することを目指す。その目的を共有できるのであれば、目的を達成するためにはどうすべきかについて、社会のみなが、行政をもふくめて自由に論議し、理解を深めあうべきである。
 それにもかかわらず、東京都は、議論を深めあうどころか、一面的に「ジェンダー・フリー」という「ことば」を諸悪の根源として悪魔化し、ジェンダー・フリー教育への無理解と誤解をもとに、まさに学問としてのジェンダー理論の研究および研究者を弾圧したのである。このことが学問と思想の自由に与える脅威は甚大である。

 以上の理由をもって、われわれは東京都知事、教育庁に抗議し、これを公開する。

     2006年1月23日

呼びかけ人  
若桑みどり(イメージ&ジェンダー研究会・ジェンダー史学会・美術史学会・歴史学研究会)
米田佐代子(総合女性史研究会代表)
井上輝子(和光大学)
細谷実(倫理学会・ジェンダー史学会・関東学院大学)
加藤秀一(明治学院大学)
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2006年1月10日・毎日新聞記事。 

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『百万回の永訣  がん再発日記』柳原和子著/読売新聞より

2006-01-23 10:20:54 | ほん/新聞/ニュース
『中央公論』の連載
「残照 がん再発日記」が一冊の本になった。

『百万回の永訣 がん再発日記』
(柳原和子著/中央公論新社)


年末に出たばかりの本を、お正月に読んだ。

柳原さんの本は、『がん患者学』もⅠからⅢまで持ってて、
隅から隅まで読んでいる。
どの本もかなり分厚いけれど、がんの当事者である
柳原さんの言葉におもわず引き込まれる。

なかでも、こんどの本はこころの奥底に迫るものがある。

帯にこんな言葉がある。
本書は語り続ける。
生きているそのものが美しいし、それだけで十分なのだ。
著者の病気に立ち向かう勇気、生きることの健気さに、
いつも私は涙し、祝福し、拍手を贈る。
それにしてもページを繰るたびに次々とこみ上げてくる、
この感動はいったい何なのだろう?
大崎善生


ブログでぜひ紹介したいと思っていたら、
日曜日の読売新聞の書評に載った。
とっても共感できる内容なので、ぜひお読みください。

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生の凄みに胸つかれる
評者・松永美穂(早稲田大学教授)

 読みながら何度も胸をつかれ、涙が込み上げてきた。さまざまな治療にもかかわらず再発するがんに意気消沈させられながら、それでも著者はまた立ち上がり、前に進んでいく。その歩みを支え、受けとめ、共に闘ってくれる家族や友人、医師たちがいる。生きるという、ただそれだけのことの凄(すご)さ、貴重さ。一言ではとても言い表しきれない。重く深い読後感が残った。
 「がん再発日記」と副題にはあるが、初発もさることながら再発の告知の方が患者にとってさらに辛いものであることは、容易に想像できる。しかも転移巣が大きく、すでに「末期」の診断。それから2年間の日々が、この本にはつづられている。 日本では、がん治療に関する情報公開はまだ充分ではないといわれる。地域や病院によって5年生存率に大きな差があることも問題になっている。再発した時、著者はこれまでの治療や取材の経験から、すでに多くの情報とネットワークを持っていた。サポートを申し出てくれる医師も一人や二人ではなかった。そうした意味ではたしかに特別な患者であったかも知れないが、「治りたい」という強い意志のもとに最善の治療を探し続ける姿勢は、医師の宣告に対して受け身になりやすいわたしたちにとって、大きなヒントになる。と同時に、医療現場でのコミュニケーションの大切さについても、あらためて考えさせられた。患者の家族、そして多くの医療関係者にも読まれることを願いたい。
 この本には、がん治療にまつわることのほかに、がんを通して生と向かい合う著者の心の変化も如実に記されている。他人を許していない自分の心に気づかされ、「心のがん」が溶けていく様子。数々のすぐれたルポルタージュをものにしてきた著者が綴る自分の心と体についての真剣一途なレポート。病床にあっても発せられるエネルギーに励ましをもらった。
◇やなぎはら・かずこ=1950年東京生まれ。東京女子大卒。著書に『がん患者学』など。
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一昨年わたしも体調を崩し、
精密検査を受けたので、ひとごとではない。

謝辞
・・・・・・・・・・・・・・・・・
支えてくれたすべての患者仲間、
仕事仲間、友人、近所の方々、
誰よりも姉に・・・・・。
ありがとう。
わたしは生きた、
生きることができた、
あなたたちの力で。


最後の数行は、涙でかすんで読めなかった。

がんの当事者の方、
家族にがんを宣告されている方、
生きる、ということに
関心がある方は、本を買って
ぜひお読みになってください。


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市民自治の可能性/いま我孫子(あびこ)市がおもしろい!

2006-01-22 17:02:52 | 市民運動/市民自治/政治
19~20日と、東京都の
杉並区役所と文京区役所、千葉県我孫子市に、
市民参加と行政改革をテーマに訪問してきました。

12月22日に、富士山がきれいに撮れたので、
今回ものぞみのデッキから写しました。
静岡からはきれいに見えたのですが、
富士川にさしかかるころから雲の中。

あたまだけしか見えなかったけどきれいでした。

    

杉並区役所と文京区役所(シビックセンター)は、
ホテルかと思うほどの豪華さ。
さすが東京23区と、妙な感心をしてしまいました。

  

シビックセンター25階からは、
白銀に輝く富士山がきれいに見えました。



かんじんの視察は、
3つの自治体を同じテーマで見聞きしましたが、
千葉県我孫子市が「ピカいち」でした。
福嶋市長が、予定を大幅に越える2時間も、
市民自治やコミュニティビジネスの話を
熱い思いで話して下さいました。

帰りに、福嶋さんが書いた、昨年10月に出たばかりの
『市民自治の可能性 NPOと行政-我孫子市の試み』
(福嶋浩彦著/ぎょうせい/2005)
をいただきました。



この本、読みたかったんだぁ。

二日間留守にして帰って見ると、
またポインセチアがぐったり。

 

葉にたっぷりとスプレーをかけて、
あたたかくしてやったら、
翌日にはなんとか元気になっていました。

かこくな条件つづきなのに、
よくがんばってくれています。


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