みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

東大入学式 上野千鶴子さん「隠れた性差別 東大も例外でない」/上野千鶴子さんの祝辞の全文

2019-04-12 21:26:56 | ジェンダー/上野千鶴子
春の庭は花盛り。
一年でいちばん美しい時期です。
枝垂れ源平花桃は、満開を過ぎて葉が出始めています。



足元の芝桜は満開。



紫のアイリスも咲き始めました。


きょうのビッグニュースは、東大の入学式の祝辞。
ニュースを見ていたら、
な、なんと、上野千鶴子さんが祝辞を述べていました。
東大も粋な計らいをするものでうれしいです。

話しの内容もとってもいいので、
ニュースとともに、
全文を紹介させていただきます。

  東大入学式 上野千鶴子さん「隠れた性差別 東大も例外でない」 
2019年4月12日 NHK

東京大学の入学式が行われ、社会学者の上野千鶴子さんが祝辞の中で、新入生の女子が少ないことを指摘して、「隠れた性差別は、東京大学も例外ではない」と述べました。

東京大学の入学式は東京千代田区の日本武道館で行われました。今年度の新入生は、男子が2558人、女子が567人の合わせて3125人です。

式の祝辞で、東京大学名誉教授で社会学者の上野千鶴子さんが、去年相次いで発覚した医学部入試の女性差別に触れました。

そして、東京大学でも、女子の新入生の割合が2割に満たないことを指摘し「大学に入る時点で隠れた性差別が始まっている。東京大学も例外ではない」と述べました。

また、「大学で学ぶ価値とは、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身につけることだ」と新入生を激励しました。

文科三類に入学した女子学生は「平成の時代に覆い隠せなくなった課題に向き合っていけるよう、哲学などを学んで教養を身につけ、多角的な視野を持てるようになりたい」と話していました。

理科一類に入学した男子学生は、「好きな化学を学び、将来はエネルギー問題の解決に貢献してノーベル賞をとり、令和の時代の教科書に載りたい」と話していました。


  「性差別、東大も例外ではない」上野千鶴子氏、入学式で
2019.4.12 朝日新聞

 「社会にはあからさまな性差別が横行している。東京大も残念ながら、例外ではない」――。12日にあった東京大の入学式で祝辞を述べた社会学者の上野千鶴子・同大名誉教授はこう語り、「世の中には、頑張っても報われない人や頑張ろうにも頑張れない人、頑張りすぎて心と体を壊した人たちがいる。恵まれた環境と能力を、自分が勝ち抜くためだけに使わず、恵まれない人々を助けるために使ってほしい」と新入生に訴えた。


 上野氏は祝辞の冒頭、昨年に東京医科大の医学部入試で女子差別などが明らかになったことや、他の私大医学部でも男子の合格率が高いことを紹介。東京大でも長年にわたって入学者における女子の割合がなかなか「2割の壁」を超えないことや、4年制大学への進学率の男女差などを列挙した。

 さらに、「社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行している」と指摘。東京大の場合は教授に占める女性の割合は7・8%、女性の学部長や大学院の研究科長は15人のうち1人にとどまり、歴代総長に女性がいないことを挙げ、「東京大も、残念ながら、例外ではない」と述べた。

 上野氏はそのうえで、新入生に向かって、「頑張っても公正に報われない社会が待っている。頑張ったら報われると思えることが、恵まれた環境のおかげだったことを忘れないでほしい」と呼びかけた。自身に入学式の祝辞を担当させたことを例に、「東京大は変化と多様性にひらかれた大学」とも紹介し、「これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください」と、学外を含めて幅広く体験を積むことを求めた。
朝日新聞社 


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上野千鶴子さんの祝辞の全文は、
東大のHPにアップされています。

  平成31年度東京大学学部入学式 祝辞 

ご入学おめでとうございます。あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました。

女子学生の置かれている現実
その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう。が、しかし、昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。文科省が全国81の医科大・医学部の全数調査を実施したところ、女子学生の入りにくさ、すなわち女子学生の合格率に対する男子学生の合格率は平均1.2倍と出ました。問題の東医大は1.29、最高が順天堂大の1.67、上位には昭和大、日本大、慶応大などの私学が並んでいます。1.0よりも低い、すなわち女子学生の方が入りやすい大学には鳥取大、島根大、徳島大、弘前大などの地方国立大医学部が並んでいます。ちなみに東京大学理科3類は1.03、平均よりは低いですが1.0よりは高い、この数字をどう読み解けばよいでしょうか。統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから。

女子学生が男子学生より合格しにくいのは、男子受験生の成績の方がよいからでしょうか?全国医学部調査結果を公表した文科省の担当者が、こんなコメントを述べています。「男子優位の学部、学科は他に見当たらず、理工系も文系も女子が優位な場合が多い」。ということは、医学部を除く他学部では、女子の入りにくさは1以下であること、医学部が1を越えていることには、なんらかの説明が要ることを意味します。

事実、各種のデータが、女子受験生の偏差値の方が男子受験生より高いことを証明しています。まず第1に女子学生は浪人を避けるために余裕を持って受験先を決める傾向があります。第2に東京大学入学者の女性比率は長期にわたって「2割の壁」を越えません。今年度に至っては18.1%と前年度を下回りました。統計的には偏差値の正規分布に男女差はありませんから、男子学生以上に優秀な女子学生が東大を受験していることになります。第3に、4年制大学進学率そのものに性別によるギャップがあります。2016年度の学校基本調査によれば4年制大学進学率は男子55.6%、女子48.2%と7ポイントもの差があります。この差は成績の差ではありません。「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。

最近ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが日本を訪れて「女子教育」の必要性を訴えました。それはパキスタンにとっては重要だが、日本には無関係でしょうか。「どうせ女の子だし」「しょせん女の子だから」と水をかけ、足を引っ張ることを、aspirationのcooling downすなわち意欲の冷却効果と言います。マララさんのお父さんは、「どうやって娘を育てたか」と訊かれて、「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えました。そのとおり、多くの娘たちは、子どもなら誰でも持っている翼を折られてきたのです。

そうやって東大に頑張って進学した男女学生を待っているのは、どんな環境でしょうか。他大学との合コン(合同コンパ)で東大の男子学生はもてます。東大の女子学生からはこんな話を聞きました。「キミ、どこの大学?」と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです。なぜかといえば「東大」といえば、退かれるから、だそうです。なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

東大工学部と大学院の男子学生5人が、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件がありました。加害者の男子学生は3人が退学、2人が停学処分を受けました。この事件をモデルにして姫野カオルコさんという作家が『彼女は頭が悪いから』という小説を書き、昨年それをテーマに学内でシンポジウムが開かれました。「彼女は頭が悪いから」というのは、取り調べの過程で、実際に加害者の男子学生が口にしたコトバだそうです。この作品を読めば、東大の男子学生が社会からどんな目で見られているかがわかります。

東大には今でも東大女子が実質的に入れず、他大学の女子のみに参加を認める男子サークルがあると聞きました。わたしが学生だった半世紀前にも同じようなサークルがありました。それが半世紀後の今日も続いているとは驚きです。この3月に東京大学男女共同参画担当理事・副学長名で、女子学生排除は「東大憲章」が唱える平等の理念に反すると警告を発しました。

これまであなたたちが過ごしてきた学校は、タテマエ平等の社会でした。偏差値競争に男女別はありません。ですが、大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながらその例のひとつです。

学部においておよそ20%の女子学生比率は、大学院になると修士課程で25%、博士課程で30.7%になります。その先、研究職となると、助教の女性比率は18.2、准教授で11.6、教授職で7.8%と低下します。これは国会議員の女性比率より低い数字です。女性学部長・研究科長は15人のうち1人、歴代総長には女性はいません。

女性学のパイオニアとして
こういうことを研究する学問が40年前に生まれました。女性学という学問です。のちにジェンダー研究と呼ばれるようになりました。私が学生だったころ、女性学という学問はこの世にありませんでした。なかったから、作りました。女性学は大学の外で生まれて、大学の中に参入しました。4半世紀前、私が東京大学に赴任したとき、私は文学部で3人目の女性教員でした。そして女性学を教壇で教える立場に立ちました。女性学を始めてみたら、世の中は解かれていない謎だらけでした。どうして男は仕事で女は家事、って決まっているの?主婦ってなあに、何する人?ナプキンやタンポンがなかった時代には、月経用品は何を使っていたの?日本の歴史に同性愛者はいたの?...誰も調べたことがなかったから、先行研究というものがありません。ですから何をやってもその分野のパイオニア、第1人者になれたのです。今日東京大学では、主婦の研究でも、少女マンガの研究でもセクシュアリティの研究でも学位がとれますが、それは私たちが新しい分野に取り組んで、闘ってきたからです。そして私を突き動かしてきたのは、あくことなき好奇心と、社会の不公正に対する怒りでした。

学問にもベンチャーがあります。衰退していく学問に対して、あたらしく勃興していく学問があります。女性学はベンチャーでした。女性学にかぎらず、環境学、情報学、障害学などさまざまな新しい分野が生まれました。時代の変化がそれを求めたからです。

変化と多様性に拓かれた大学
言っておきますが、東京大学は変化と多様性に拓かれた大学です。わたしのような者を採用し、この場に立たせたことがその証です。東大には、国立大学初の在日韓国人教授、姜尚中さんもいましたし、国立大学初の高卒の教授、安藤忠雄さんもいました。また盲ろうあ三重の障害者である教授、福島智さんもいらっしゃいます。

あなたたちは選抜されてここに来ました。東大生ひとりあたりにかかる国費負担は年間500万円と言われています。これから4年間すばらしい教育学習環境があなたたちを待っています。そのすばらしさは、ここで教えた経験のある私が請け合います。

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

東京大学で学ぶ価値
あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。学内にとどまる必要はありません。東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。ようこそ、東京大学へ。

平成31年4月12日
認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワーク理事長
上野 千鶴子


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ジェンダー差別発言 ワースト「子供4人以上産んだら…」/ウグイス色の小鳥は、メジロ。

2018-01-10 19:03:55 | ジェンダー/上野千鶴子
「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」が、昨年の政治家の差別発言をネット上に公開して、
ワースト投票をしていました。

もちろん、私も投票しましたよ。

その結果が出て、公表されました。

ワーストワンは、自民党の山東昭子元参院副議長の、
「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」。

女性は、半数近くが山東氏の発言を選んだということ。
さもアンナン、わたしもこの発言をワーストに選びました。。
「女は産む機械」に抗議して、署名を集めたことを思い出しながら・・・。

  ジェンダー差別発言 ワースト「子供4人以上産んだら…」
毎日新聞2018年1月10日
 
 男女差別などジェンダーに関する問題発言の2017年ワーストを選ぶネット投票の結果が9日、公表された。1457人から投票があり、最も票が多かったのは「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」との自民党、山東昭子元参院副議長による発言だった。2位には同党の竹下亘総務会長の「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(宮中晩さん会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」が選ばれた。

 大学教員や弁護士らで作る「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」が、昨年あった政治家による問題発言を五つ選び、ワースト候補としてネット上に公開。先月29日から9日間、投票を募った。1位は605票、2位は578票を集め、3位以下を大きく引き離した。女性の半数近くが山東氏の発言をワーストに選んだのに対し、男性では竹下氏の発言を選んだ人の方が多かった。
 同会は「二つの発言に票が集中したのは、あからさまに差別的でひどさが突出していたからだろう。ただ、これらの発言は氷山の一角。今回のキャンペーンが公人によるジェンダー差別発言を終わらせる時期がきた、という認識を広げるための一歩となれば」としている。結果はフェイスブックhttps://www.facebook.com/NOASEPS/posts/2017288088540641▽ウェブサイトhttps://goo.gl/r74FAfに掲載している。【山崎友記子】



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このところ、小さなウグイス色の小鳥が山茶花の花に来ています。
花の蜜を吸いに来ているようです。

枝の中にいるのと、よく飛び回るので写しにくいのですが、
ピントを合わせて、止まるのを待ってパチリ。
  
花のなかにいるのが見えるでしょうか。
木の中から「チイ」「チィー」と高い鳴き声が聞こえます。

葉のない枝にとまったので、ズームで写しました。
このウグイス色の小鳥は、
目のまわりが白い「メジロ」です。

玄関を出ると、足元にパンジーとビオラが咲いています。

12月に植えた苗ですが、だいぶん花が増えてきました。
  
小寒も過ぎて寒さは底ですが、日差しは長くなってきたように感じます。


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(北陸六味)上野千鶴子さん 「復旧」しつつある被災地/宮城寒流のり/山アジサイとドクダミが咲いています

2017-06-11 22:02:58 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日は名古屋で「WAN会員交流会(WAN会員・中部女子会)」のお食事会。
20人の女たちが一堂に会して、おいしいものを食べながらおしゃべりして、
楽しくて有意義な時を過ごしました。
わたしは主催者(幹事)だったので、みなさんをお見送りして、
そのまま、上野さんと名古屋のホテルに一泊しました。

おみやげに上野さんに一番摘みの「宮城寒流のり」をいただきました。
海苔にはちょっとこだわりがあり有明海の焼のりをお取り寄せしているのですが、
「 南三陸さんさん商店街」の海苔もパリパリしてとってもおいしいです。
  
 南三陸さんさん商店街

南三陸さんさん商店街の焼き海苔を検索していたら、
上野千鶴子さんが、朝日新聞北陸版に「「復旧」しつつある被災地」で、
南三陸さんさん商店街のことを書いていらっしゃいました。
ということは、
この時に買われた海苔が、わたしの手元に届いているということ。
なんという、グッドタイミングでしょう(笑)。

 (北陸六味)上野千鶴子さん 「復旧」しつつある被災地 
2017年6月9日 朝日新聞

 宮城県の南三陸さんさん商店街が常設になって、3月に新規オープンした。仮設のときにお訪ねして、なじみになった方たちもいらしたので、桜の花をお祝いにお贈りした。春の遅い東北に、華やぎを添えればと思ったからだ。

 5月、そこを訪ねた。真新しい木の匂い。人の賑(にぎ)わい。活気のある食堂。土日は駐車場があふれてクルマを停(と)める場所を見つけるのが一苦労、という。

 常設商店街は、もとの商店街のあった場所に盛り土をして、そのうえに作った建物である。避難所に指定されていた3階建ての元防災庁舎は、屋上まで津波に襲われて、無残な鉄骨姿をさらしていたが、その建物が盛り土のあいだに埋まるようにして見える。震災遺構として残すかは、10年20年経ってから最終的に決めるのだとか。

 もと商店街のあった地域とはいえ、元の商店のオーナーがタダで戻れるわけではない。盛り土や建物の建設工事を第三セクターのディベロッパーが請け負い、土地も建物も高くついている。

 ログイン前の続きなじみのお店で買い物をして、つい「ここの家賃は?」と訊(き)いてしまう。月額12万円だとか。千円、2千円の小さな商いだ。月間どれだけの売り上げを達成したら、家賃のみならず、従業員の給料や家族の生活費がまかなえるのだろう、とアタマの中で計算する。以前なら自分の店舗だから、少なくとも家賃は必要なかったはずだ。

 オープンしてまだ2ケ月。開店景気もあるし、復興観光もある。周囲には工事現場もたくさんあるから、そこで働くひとたちも食事や買い物にやってくる。売り上げのほとんどは、地元よりも外から来訪する客に依存している。

 商店街の会長さんはメディアのインタビューに答えて「いずれ市街地が形成されていくことを期待しています」と言うが、その気配はない。避難したひとたちは、内陸部の仮設や復興住宅に入居してしまった。津波で洗われた土地に、暮らしの場を求めて戻ってくるとは思えない。工事現場のひとたちもやがて去っていくだろう。このオープニング景気はいつまで続くのだろうか、とふと心配になる。

 復興予算をじゃぶじゃぶ使って、土地の値段を上げ、家賃を高騰させ、最後にもうかるのはディベロッパーだけかもしれない。成長型モデルの限界を感じる。

 被災地は「復旧」しつつあります、という声を聞いた。もとのとおり、保守的で新しいことには及び腰で、文句をいいながらあきらめがちで、周囲の顔色を見て、自分だけが出過ぎないように牽制(けんせい)しあう……そんな社会に戻りつつあると。「ここはそんな土地柄で」という友人に「日本中どこでもそんなものよ」とわたしは返す。その土地を千年に一度の災害が襲った。「もとのままではいられない。せっかくのチャンスを生かさなくては」と彼女は言う。

 高齢化も少子化も人口減少も進む、被災地は日本の将来の縮図である。そこでどうやって生き延びていけばよいか? 被災地は「復興」のための新しいモデルを必要としているはずだ。(社会学者)


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上野さんと別れてから、名鉄百貨店のデパチカで、
ともちゃんのお土産にマグロのお刺身(柵)を買ったので、
きょうの夕ご飯は、ドーンとメバチマグロのお刺身。


庭には山アジサイとドクダミが咲きすすんでいました。


  






ドクダミは花が咲いているうちに、根から全草を引き抜いて、
干して乾燥させて、一年分のドクダミ茶を作ります。

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田中優子の江戸から見ると 女たちの一揆/スイートマルベリージャム、つくりました。

2017-06-10 13:33:56 | ジェンダー/上野千鶴子
熟して黒くなったスイートマルベリーの実が
たくさん落ち始めたので、実をつんでジャムを作ることにしました。

 首相らの答弁 不信が募るばかりだ/事実解明進まぬ「加計」問題 首相の答弁姿勢を疑う
/熟しはじめたマルベリーの実、大豊作!(2017-06-06)


下に落ちた実は、いつのものかわからないので、
熟した実を、枝からていねいに収穫。
少し枝に触れるとボトボト落ちるのでざるいっぱいになりました。


軸は堅いので、果実だけ一個ずつ丁寧に外します。

てんさい糖とハチミツをかけて少し置いておきます。


 
水分が出てきたら、ブレンダーにかけてつぶし、火にかけます。
  
弱火でかき混ぜながら30分ほど。
一晩おいて、まだ少しゆるいので、もう少し煮詰めます。
  
熱湯消毒した瓶に詰めて、湯せんで脱気。
 


いろ鮮やかなスイートマルベリージャムが出来あがりました。

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ところで、
「WAN会員交流会in中部」を開催するので午後から名古屋に行きます。

WANといえば、6月7日の毎日新聞夕刊のテレビ欄下の、
田中優子さんのコラム「田中優子の江戸から見ると」に、
「女たちの一揆」と題して北海道で開催したWANシンポのことが書かれていました、
このシンポジウムの基調講演は田中優子さん。

わたしはいけなかったのですが、女たちが一堂に会して盛況だったようです。

 田中優子の江戸から見ると
女たちの一揆

毎日新聞夕刊 2017年6月7日 

 札幌で行われたWANのシンポジウムに会員として参加した。WANとは、上野千
鶴子さんが理事長を務めるWomen’s Action Networkのことで
ある。

 2014年に教員たちと一緒に作った「そろそろ『社会運動』の話をしよう」(明
石書店)という本がある。社会学部の講義「社会を変えるための実践論」をまとめた
ものだ。副題に「他人ゴトから自分ゴトへ」とあるが、WANはこれを「“自分ゴ
ト”から始まる社会づくり」と逆にした。まさにこの本には、その両方が含まれてい
る。

 講義では教員たちが、自らの研究だけでなく、子供や家族や学生たちが突き当たっ
た問題をきっかけに、自らが運動に関わることになった過程を話した。私は自分自身
が学生運動に関わった動機と、江戸時代の一揆の具体的方法について話した。問題に
突き当たったときよく陥るのが、「自分が悪いのだろう」「私だけ我慢すれば済む」
「面倒だからいいや」という心情だろう。しかし、困っているのは自分だけではな
い。そこで原因を突き止めることが必要となる。つまり、「自分ゴト」は社会の課題
として捉え、「他人ゴト」は、自分も見舞われる問題として考える。シンポジウムに
参加して驚いた。多くの若い女性たちが見事に、その双方向を実現しているのであ
る。

 シンポジウムでは、コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンの代表理事やCh
ange.org広報担当、学生ユニオンのメンバーなど、さまざまな運動を担って
いる若い女性たちが登壇した。たとえばChange.orgは私の日常的な署名活
動の場になっている。課題を明確にして署名を集め、それをふさわしい人に渡すとい
う方法は、いわばインターネットによる一揆だ。ただし江戸時代と違って首謀者が罪
に問われたりはしない。テロ等準備罪がもしこれらの運動への圧力になれば、民主主
義を放棄して将軍の国に戻ることになる。(法政大総長) 



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読書日記 今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 弱さ受容する自殺希少地域/「ピカイチ事典」と紅芋のすいーとぽてと

2016-12-21 21:58:15 | ジェンダー/上野千鶴子
きょう12月21日は二十四節気の「冬至」(とうじ)。
1年で昼が最も短い日です。
冬至には柚子風呂にはいったり、かぼちゃを食べたり、
と地方によって風習があるそうです。

ところで、、昨日の毎日新聞夕刊のテレビ欄に
上野千鶴子さんのカラー写真を見つけました。
毎週火曜日に掲載される「読書日記」、上野さんの番でした。

  読書日記 今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 
弱さ受容する自殺希少地域

毎日新聞2016年12月20日

*11月22日~12月19日
■生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある(岡檀著・2013年)講談社・1512円
■その島のひとたちは、ひとの話をきかない 精神科医、「自殺希少地域」を行く(森川すいめい著・2016年)青土社・1512円
■オープンダイアローグ(ヤーコ・セイックラほか著、高木俊介ほか訳・2016年)日本評論社・2376円


 障害者雇用促進法で示された障害者雇用枠の達成率が高く、そのなかでも精神障害者の伸び率が高い、という。精神障害へのスティグマ(社会的烙印(らくいん))が相対的に低下しただけでなく、昨今のブラック企業化で追いつめられた人たちがメンタルを病むケースが増えたのだろう。

 どういう条件があると人は自殺するのかについての研究はあるが、どういう条件があると人は自殺しないですむかについての研究は少ない。この問いに画期的な答えを与えたのが、岡檀(まゆみ)さんの「生き心地の良い町」だ。全国でも突出して自殺率の低い地域を対象に、その謎を解き明かそうとした疫学的研究である。新刊ではないが、今やこの分野における古典ともいえる著作。その「自殺希少地域」の特徴はというと、もともと移住者の多い地域であること、いろんな人がいて、つながりがゆるく、集団同調性が低く、好奇心は強いが飽きっぽい……等々の発見を疫学的エビデンスと克明なフィールドワークから明らかにしていく。

 同じ地域に関心を持って訪れた精神科医によるルポルタージュが、森川すいめいさんの「その島のひとたちは、ひとの話をきかない」だ。岡さんの緻密な研究に比べると、いきあたりばったりに見えるこの探訪記は、紀行文のようでも旅日記のようでもあり、いささかぬるいが、このぬるさがもし精神科臨床の場で発揮されるとしたら、患者にとってはかかってみたい医者のひとりに思えるだろう。

 タイトルの「ひとの話をきかない」は誤解を招きそうだが、岡さんのいう「KYな(空気を読まない)人々」に通じる。だが、「ひとの話を聞かない人々」は、返事を待たずに困った相手に手をさしのべる助け合いのネットワークの中にいることが、ただのKYとは違う。岡さんの本にある「弱音を吐かせるリスク管理術」は、北海道にある精神障害者たちの活動拠点、べてるの家の「弱さの情報公開」に通じるものがあるし、「言葉でなく態度で示す」ことで「弱音を吐いてもよい」人間関係を作ってきたことがわかる。事実、ヨソモノの森川さんに、「困ってるんやろ、なら」と求めもしない助けが次々とあらわれる現場リポートは感動的だ。しかもできることしかしない、というわきまえや控えめさも、この「態度」には含まれている。

 精神科医療の世界で今年最大の事件といえば、フィンランドの精神科医、セイックラさんの来日と多くの専門職の注目を集めたワークショップだろうか。そのセイックラさんの共著「オープンダイアローグ」が翻訳された。日本では同書に先立ち、斎藤環さんを通じて「オープンダイアローグとは何か」(医学書院)が紹介された。わたしはその書評に「言語への深い理解にもとづいた驚くほど平明な実践知」「秘技もなければ秘教もない」と書いた。斎藤さんという熱心な仲介者を得たことは彼らにとっては幸運だが、逆に仲介者抜きにテキストを読むことで知り得たこともある。1対1の精神科臨床には「モノローグ」の権力が発生するのに対し、多職種による介入から生まれる、解答のない「オープンダイアローグ」は、臨床の場を多様で民主的な平場のネットワークへと変える。だからこそ帯にある<あなたは「専門性」という鎧(よろい)を脱ぎすてられますか?>という支援職への問いは、刺さるのだ。支援職という「おせっかいな他者」にとっては、岡さんの研究したコミュニティーとの符合に、腑(ふ)に落ちることがたくさんあるだろう。

 筆者は上野千鶴子、松井孝典、津村記久子、松尾スズキの4氏です。
 ■人物略歴
うえの・ちづこ
 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。 


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ちょっと岐阜まで出かけて、
つれあいが用事を済ませているうちに、高島屋でおろしてもらって
自由書房とデパ地下をブラブラ。

通販生活を買おうと思ったら「ピカイチ事典」を見つけたのでこちらにしました。

ピカイチ辞典

遅めのお昼は、また更科に行って、
煮込みうどんと冷やしたぬきそばを食べました。

コーヒーのおともは、「紅芋のすいーとぽてと」。
沖縄からのいただきものです。






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読書日記:社会学者・上野千鶴子さん「育メンがいなくなる時代」/京都でWAN基金の運営委員会

2016-11-24 23:44:38 | ジェンダー/上野千鶴子
WAN基金の運営委員会があって、
京都に日帰りで行ってきました。
会場は京都事務所(中西さん宅)。

夕方からの開催で少しはやく着いたので、
錦市場と寺町通りを散策してきました。

会議前に、手作りの夕食を作ってくださっている、
ということなので、ウオーキングでお腹を空かせて到着。

京都のおばんざいが所狭しと並んでいて、
どのお料理も、お手間入りでとってもおいしそうです。



煮物も薄味でやさしい味なので、
塩分を心配しないで、だされたものを全部食べました。
  


先についた人の食事が終わったころに、
講演会場から直行された、理事長の上野さんが到着。
WAN基金の審査を集中して話し合って、
2時間ほどでぶじ終わりました。

お疲れさまでした&ごちそうさまでした。

ここからは、残れる人たちで懇親会、

わたしは泊まらずに帰るので、
赤ワインを一口だけいただきました。

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ポインセチアの脇の写真にうつっているのは、
上野さんと中西さんのツーショット。

ということで、
火曜日の毎日新聞夕刊の、
上野千鶴子さん執筆の「読書日記」もあわせて紹介させていただきます。
この記事、とてもおもしろいです。

  読書日記 今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 育メンがいなくなる時代
毎日新聞2016年11月22日 

*10月25日~11月21日
■<オトコの育児>の社会学 家族をめぐる喜びととまどい(工藤保則、西川知亨、山田容編著・2016年)ミネルヴァ書房・2592円
■「家族する」男性たち おとなの発達とジェンダー規範からの脱却(大野祥子著・2016年)東京大学出版会・4104円
■「育メン」現象の社会学 育児・子育て参加への希望を叶(かな)えるために(石井クンツ昌子著・2013年)ミネルヴァ書房・3240円


 育児に「協力する」と言ったとたん、妻はキレル。あなたの子どもでしょ、当事者意識がない、と。「手伝う」もアウト。最近の若い父親たちは、地雷を踏まないように、口のきき方に気をつけなければならない。

 男性の社会学者ばかり12人が集まって書いた共著が「<オトコの育児>の社会学」。男性の家族社会学者がしたり顔で育児について論じる本はこれまでもあったが、自分自身の「父になる」という経験を通じて育児を論じる研究書はこれが初めてだろう。各論文の冒頭に、そのつど何歳と何歳の何児の父、という自己紹介が載っているのも新鮮だ。こんなの、これまで見たことがない。ほほお、研究者といえども今どきは妻から育児を免除してもらえないのだな、と感じる。

 業績主義の男たちにとっては、赤ん坊という自己チューで全面的に相手に合わせなければならない相手にふりまわされるのは、初めての経験だろう。「いいとこ取りの育児」とか「なぜイクメンが増えないか」という自己批判もある。とはいえ、なんだかなあ……。「オトコ」とカタカナ表記するのも含めて、及び腰の姿勢が見えてしまうのはなぜだろう。女性の書いた育児書にくらべて切羽詰まった感がしない。些細(ささい)な経験を大げさに書いたり、性別を問わず誰が書いても同じ記述になるような章もある。こういうぬるさも、育児ビギナーに免じて大目に見てやらなければならないのだろうか。

 大野祥子さんの「『家族する』男性たち」は心理学からのアプローチ。「家族は『家族する』ことで家族になる」は至言だ。仕事優先の業績主義は、男のアイデンティティーに深く組みこまれている。「育児のために仕事を調整する」経験はすべての女性がしているのに、男たちはそうしない。

 そこから脱却できた「仕事相対化群」の男たちには、過酷な職場からの離職や妻のキャリアアップのための進学などの「転機」がある。家族を大事にする男の満足度に「妻の稼得役割」への期待がからんでいると聞けば、社会学者ならただちに年収を考える。心理だけが説明要因ではない。男の生活充実感が自分の稼得への自己効力感から来ているとあれば、大野さんの研究は逆説的に、男が世帯を養うに十分な稼ぎを得ているあいだは、男が「家族する」ことに価値をシフトさせることはなさそうだという結論を導くことだろう。

 プレジデント社の雑誌「プレジデントファミリー」から取材を受けた。企業幹部も「育メン」「育ボス」化しているのか、と思ったが、「『育メン』現象の社会学」の著者、石井クンツ昌子さんに、さる学会で「男性の育児参加が増えているのは、母親も父親なみに業績主義的な育児観を持つ方向にジェンダー差が縮小しているからではないか?」と質問したら、そのとおり、と答えがかえってきた。知育に偏重した「オトコの子育て」は子どもには受難だろう。

 とはいえ、大野さんも石井さんも、父親の育児参加は妻のストレスを低下させ、家族との関係をよくし、長期にわたって男性の幸福感を増すことを強調する。3冊がすべて同意しているのは、理想は「育メンがいなくなる時代」だということ。男の子育てがあたりまえになれば、「育メン」という名称もなくなる。父親でなければできない育児なんてない。父親も母親もケアという同じ行為をすること……それ以外の子育ては、ない。

 筆者は上野千鶴子、松井孝典、津村記久子、松尾スズキの4氏です。

 ■人物略歴
うえの・ちづこ
 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。


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親子断絶防止法の案 親子関係維持のみでは子どもは生活できない(赤石千衣子)/親子断絶防止法案の問題点(千田有紀)

2016-11-09 20:30:32 | ジェンダー/上野千鶴子
米大統領選は「共和党ドナルド・トランプ氏が勝利」の報道を見て、
アメリカよお前もか、と気が重くなりました。

世界が民主主義から遠のく方向へすすんでいるとしか思えません。

米大統領選についてはすぐに取り上げる気にならないので、
きょうは日本の法案がテーマです。

超党派の国会議員でつくる「親子断絶防止議員連盟」で検討されている
「親子断絶防止法案の案」(離婚後の父母との継続的な関係維持促進法)。
制定を推進する団体がある一方で、問題点を指摘する意見もあります。

この法案について、わたしも危惧する立場の一人です。

友人の千田有紀さんと赤石千衣子さんが、この法案の問題について、
分かりやすく整理してまとめて見えますので、紹介します。

  親子断絶防止法の案 親子関係維持のみでは子どもは生活できない
赤石千衣子 | しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 
2016年11月4日  yahoonews

わたしは、9月30日朝日新聞で、『「親子断絶」防ぐ法案に懸念』という記事を書いた。

この欄としてはかなり注目をいただいた。
この記事では文字数の関係もあり、なかなか伝えきれなかったことを、何回かにわたってお伝えしたいと思う。

親子関係の維持をするのはいいことだ、と素朴に思っている方は多いと思う。
わたしも、子どもと親の交流は基本的にはよいことだと思っている。
しかし、法律をつくるとなると、いろいろな事情がある親子すべてに適用されるのだから、だれにとっても納得のいく、権利を侵害しない法律でなければならないのだ。
いま準備されている法案の案はとても、そうはなっていないのである。
「親子断絶防止法案の案」の理念がまず不適切

いわゆる「親子断絶防止法法律案の案」(離婚後の父母との継続的な関係維持促進法)は、「父母の離婚等の後も子が父母と親子としての継続的な関係を持つことが原則として子の最善の利益に資するものであるという基本理念に基づいて、父母がその実現に責任を有するという法律の建てつけがある。
平和に面会交流ができれば、それはのぞましい。
だがそもそも、この親子関係の維持という理念のみによって、子どもの最善の利益が実現できるのだろうか。
わたしは自身ひとり親家庭で男の子を育ててきてその後シングルマザーと子どもたちの支援活動を行っているところから、ひとり親家庭の生活の困難を間近に感じてきた。
ひとり親家庭の相対的貧困率は54.6%である。相対的貧困とは、所得の中央値の半分以下で生活していることである。
この数字は先進国で、最も最悪の数字である。
なぜなのか。それは世界経済フォーラムが10月末に発表した、ジェンダーギャップ指数の日本の順位とも深く関わる。日本は男女の格差が145か国中111と大きく、特に経済的な格差と政治的な格差が激しい国である。

【ジュネーブ=原克彦】世界各国の男女平等の度合いを指数化した世界経済フォーラム(WEF)の2016年版「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本の順位は調査対象144カ国のうち111位だった。前年より10下がり、過去最低の水準になった。
出典:日経新聞


こうした男女格差のもとシングルマザーも就労収入が少なく、経済的に困窮している人が半分以上となるわけである。

近年、こどもの貧困対策にも、政府はだいぶ力を入れてきている。児童扶養手当など経済支援についても充実した。しかしまだまだ不十分でやるべきことはたくさんある。
しかし、こうした流れに、この法律の案は全くコミットしていないようなのである。
こうした、離婚後の子どもの経済も含めた生活のことに関与しないで最善の利益は実現できるのだろうか。

子どもの貧困対策法ができて、ひとり親家庭の苦境にもやっと光が当たってきた。
残念ながら、親子関係の維持よりも、まず、明日食べていかなければならない、生活を維持していかなければならないひとり親家庭がいかに多いか。
毎日、私たちの団体の電話相談には、食べていけない、派遣の仕事が契約切れで更新されないがどうすればいいか、子どもが小さくて十分に働けないが養育費も低額にしか決まりそうもないので生活保護しかないのか、といった相談がある。
面会交流をすることを調停などで迫られても、まずは、住まいを安定させ、子どもの保育園や学校を確保し、仕事を見つけなければならない母子がいかに多いか。日々が必死なのである。
まず生活が安定しなければ、親子の関係を維持するための、面会するだけの時間、精神的余裕など生まれない。
その視点がすっぽり抜けていて、親子関係を維持すれば子どもは幸せになる、という脳天気な法律を作ろうとしていることに、心底驚いてしまったのだった。
脳天気というより、子どものことを考えている、考えている、と言いながら、本当には子どもたちの状況を見ていない法律なのではないだろうかという疑念がわいてくる。

もしも、離婚後(この点も不十分なのであとで触れるが)の子どもの最善の利益を追求するのであれば、まずは、そうした子どもたちの苦境も含めた、総合的な法律、これは先日インタビューさせていただいた、早稲田大学の棚村政行先生(民法)も話してくれたが、総合的な生活支援、面会交流も含めた養育支援(ということばが適切かなあとも思うが)を内容として、最善の利益を追求しなければならないのではないだろうか。

そうすれば、子どもの貧困対策ともしっかりリンクしていくのである。

なぜ離婚後等の子どもだけなのか。婚外子は排除するのか

法律の対象についても、議論があるだろう。
ここには、親と離れて暮らす子どもたちと父母すべてではなく、離婚後親と離れている子どものみを対象としている。
しかし、婚外で出生する子どももいる。
ふたおやと暮らしていない子どももいる。
親がわからない子どももいる。
それこそ、子どもの権利条約を活かして、すべての子どもたちを包括的に対象とすべきではないか。
ここでも、婚外子を排除してしまうことで、法律が脆弱となってしまう。
平成23年の全国母子世帯等調査によると、母子世帯のうち、離婚が80%、未婚の出産による母子が7.8%、死別が7.5%と婚外の出産による子どもは増えている。

この7.8%は、この法律の埒外でよいのだろうか。
婚外子は父親が認知をすれば父子関係は成立する。養育の義務もある。
この子どもたちの中にも、お父さんと会いたいという子どもと母親もいるが実現できていない子もいるし、個々のさまざまな事情がある。
また婚外で生まれたこどものいる母子家庭は、平均年収が格段に低く160万円である。
また、厳しい状況ではあるが、そのほかの事情で親と暮らしていない子どもたちも、たとえば社会的養護の子どもたちのことは、この法律では考えなくてよいのだろうか。
なぜ離婚だけを(別居中は含めたい意向で「等」が入っているようだが)これも法律としての大きな欠陥と思える。
養育費についての取り立て確保が条文にない欠陥

またせっかく子どもの貧困議員連盟でも目標と掲げている、養育費確保について、は「書面による取り決めを行うよう努めなければならない」(6条)で触れられているだけで確保の方策については全く言及していないということも驚いた。

全国母子世帯等調査によると、養育費の取得率は2割以下である。

養育費は4割が取り決めているが、支払い確保方策がひとり親家庭が利用しやすいようにはなされないため、多くのひとり親家庭は泣き寝入りしているのだ。

残念ながら、しんぐるまざあず・ふぉーらむの調査でも、5年後には、取り決めしても半数は払われないようになってしまっている。
元夫が職場を変えてしまえば、どこの会社の給料を差し押さえていいかわからない。元夫の銀行口座がわからないので、何もできない、など訴えをよく聞く。泣き寝入りしている母子は多い。

この状況をどう打開するのかは、子どもの貧困問題解決のためには、(全てではない)が一つの大きな柱であるはずである。

親子関係が維持できれば子どもは食べていけるのか、幸せになれるのか。
親子関係維持だけではなく、子どもの生活、養育全体を支援する法律を作り、国がその義務を負う、という建てつけでなければならないのではないか。
実際のところ、養育費の取り立て確保をしてくのにはたくさんの課題を解決していくことが必要だ。

11月から法制審議会が、養育費の不払いの場合の、義務者の銀行口座の情報を金融機関に開示させるような制度の検討に入るという。
金田勝年法相は12日、法務省で開かれた法制審議会(法相の諮問機関)総会で、裁判で確定した養育費や損害賠償金の未払いを防ぐため、金融機関に口座照会への回答を義務付ける民事執行法の改正を諮問した。来年にも答申を得た上で、2018年の通常国会への改正案提出を目指す。
出典:時事通信


しかし、そもそも養育費の額が低額である問題、取り決め率が低い問題、罰則規定の問題など、制度をつくっていくにはそれなりの手間と時間がかかる。
そのことにもまったく触れないこの法案は拙速すぎるといえないか。

いや、もっと大きな欠陥がある。
誰に義務を負わせるのか。

国ではなく同居親の義務を強調している法案の案
いわゆる「親子断絶防止法案の案」は、子どもの権利条約(児童の権利条約)の理念を援用しているように見える。
しかし、実は見えるだけなのである。
子どもの権利条約は、子どもを権利主体と考え、大人とは別の人格としての権利主体と考え、権利保障していこうという条約である。日本も1994年に批准した。
条約を読んでいただければ、わかるが、子どもの権利条約は、締約国に子どもの権利を守らせるための方策をするよう求めている条約である。

第2条
1. 締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
2. 締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
出典:ユニセフ


ところが、このいわゆる「親子断絶防止法案の案」は、子どもの権利条約の親子関係の維持についての部分(留保事項は無視)のみ引用し、条約の精神、国の義務をであるところをも知らないふりをし、子どもと同居している親だけに、面会交流義務を負わせている。

第9条
1. 締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。
出典:ユニセフ


これでは非同居親が同居親に面会の義務を負わせたいがために、子どもの権利条約の都合のよいところだけひっぱってきて、子どもの権利条約の精神については無視しているということになる。
子どもの権利条約を援用するのであれば、親と離れて暮らしている子どもたちの生活、権利、親との面会そのほか総合的な支援について、国が義務を負う、そういう法律をつくるべきではないのだろうか。

'''子どもの意見表明権も無視のご都合主義'''
さらに、子どもの意見表明権は、子どもの権利条約の中心的な概念であるが、このいわゆる親子断絶防止法ではそれも、意図的に、無視し法案の案には盛り込まれていない。
子どもの意見表明権を入れなかったのは、なぜなのだろう。
結局、子どもの意見表明をさせることを恐れているのではないか、と思えてくるのである。 
以上のように、一見、離婚後の親子関係を維持するという、良い法律の案に見えるが、法律の目的、理念だけ見ても致命的な欠陥があり過ぎる。
このままこの法律を通して、そのほかの条約や法律との整合性をどう担保するのだろうか。
法案の案のたてつけからみて、モラハラ法案

これでは、離婚後子どもと暮らせない親が、子どもの権利条約の一部を強引に引用して、子どもと暮らす親と子どもに、法律という強制力を使って、無理やり、離婚後の関係の維持を迫る、いわば法律によるモラハラのように見えてくるのである。 


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千田有紀 
武蔵大学社会学部教授(社会学)
1968年生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。東京外国語大学外国語学部准教授、コロンビア大学の客員研究員などを経て、 武蔵大学社会学部教授。専門は現代社会学。家族、ジェンダー、セクシュアリティ、格差、サブカルチャーなど対象は多岐にわたる。著作は『日本型近代家族―どこから来てどこへ行くのか』、『女性学/男性学』、共著に『ジェンダー論をつかむ』など多数。
 

親子断絶防止法案の問題点―夫婦の破たんは何を意味するのか 千田有紀 (2016年10月8日 yahoonews)

離婚した親に求められる覚悟―親子断絶防止法の問題点(2)千田有紀 (2016年10月20日 yahoonews)

誰もがTOKIOの山口達也さんにはなれないー親子断絶防止法案の問題点(3)千田有紀 (2016年10月28日 yahoonews)

裁判所の現状と虚偽DVや片親疎外論ー親子断絶防止法案の問題点(4)千田有紀 (2016年11月6日 yahoonews)

親に会いたくない子を更生施設に入れるアメリカ、離婚に何年もかかるヨーロッパ千田有紀 (2016年11月8日 yahoonews)
 


 面会交流等における子どもの安心安全を考える全国ネットワーク
「親子断絶防止法案」が親子断絶防止議員連盟において検討されています。
このサイトは、現時点で議連で検討されている「法案」に問題があると考える「面会交流等における子どもの安心安全を考える全国ネットワーク」が運営しています。
 


この法案の問題点はあまり知られていないので、
多くの人に知ってほしいと思っています。

話しは変わりますが、
近くに鮮魚と野菜の安売りスーパーができたので、
ときどき新鮮でお値打ちな魚がないか、見に行くようになりました。

ブリと大根を買ったので、
ブリ大根とお揚げと大根葉の炒め煮をつくりました。
  




冷凍しておいた目黒大豆煮も解凍して一品できたので、
安くて、おいしくてヘルシーな夕食ができあがりました(笑)。

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【悩みのるつぼ】Qケンカしたことがありません:A(上野千鶴子)ホンネトークの練習をしてみて/リクライニングベッド「ルーパームーブ」

2016-11-06 20:52:20 | ジェンダー/上野千鶴子
11月5日土曜日の朝日新聞beの
「悩みのるつぼ」の回答者は上野千鶴子さんの番。

「自分のキモチを大切に」、共感します。

  【悩みのるつぼ】ケンカしたことがありません
2016年11月5日 朝日新聞be

●相談者 女性 29歳
 29歳の女性です。
 私はこれまで人とケンカをしたことがありません。腹がたっても納得がいかなくても、自分の心の中で怒りを鎮めて終わります。周りからは穏やかな人だとよく言われますが、本心を見せていない自分のことを気持ち悪く感じている自分もいます。

 親や兄弟とも、これまでおつきあいした男性とも、真っ向からぶつかることをしてきませんでした。そのため仲直りの仕方もよくわかりません。

 しょっちゅう彼氏やダンナさんとケンカをしては、その度に仲直りを繰り返してケンカする前より愛を深めている友人たちを見て、うらやましいと思ったことも多々あります。

 ただ、30年近くこうして生きてきたので、いまさらケンカをしようものなら、周囲から「あの人はおかしくなった」と思われるのではないか、と恐れています。自分の問題点は、いつも周りからどう見られているかを気にしすぎてしまうことかもしれません。ケンカをしてこなかった理由も、すぐに怒る人と思われることへの恥ずかしさもあったと思います。

 この先もこれまでと同じようにケンカをせず(とはいえ、心の中では不満を抱えて)おとなしく生きるべきか、それとも感情をあらわにして生きるべきか。真剣に悩んでおり、アドバイスをちょうだいしたく投稿させていただきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ○回答者 社会学者・上野千鶴子
 ホンネトークの練習をしてみて


 そうですか、30年間、ケンカをせず、怒りを収めて周囲から「穏やかな人」と思われて過ごしてきたんですか。女性の平均寿命はおよそ90歳。あと残りの60年間を同じように過ごせたら、あなたは周囲から「聖人君子」と思われることでしょう、合掌。

 そうはとうていできそうもない、と思われたから、ご相談くださったんですね。怒りや不平不満は、ため込んだら、カラダにも美容にも悪いです。周囲だってそれに気がついていないとは限りません。もしかしたら、あなたは周囲から「穏やかな人」ではなく、何を考えているかわからない「えたいの知れない人」と思われているかもしれませんよ。自分がキモチ悪く思っていることは、他人もキモチ悪く感じているはず。本心を見せないあなたは、他人からも本心をぶつけられることがないでしょう。そして結局、誰からも信頼されることがないでしょう。それでもよければ、一生お友だちのいないおひとりさまで過ごすのもアリですが、そんな自信はありますか?

 何かがおかしい、と感じている今が転機です。「周囲が気になる」のは、プライドが高すぎるか、自信がない証拠。実は同じコインのウラオモテですけれど。自分を防衛しているんですね。守るほどの自分もないと思えば、「恥ずかしさ」は捨てられます。これまで関わってきた相手に「変身」したことを知られるのがイヤなら、サークルやグループで新しい人間関係を作って、そこで変身してはいかが? 恥をかいてもいい人間関係を作って、少しずつホンネトークを練習してみてください。何事もオン・ザ・ジョブ・トレーニング。30年使わなかった怒りのスキルは錆(さ)びついていますから、少しずつ学んでいきましょう。

 ちなみに「怒る人」と思われているわたしは、そのせいでソンをしたことが一度もありません。イヤな男は避けて通ってくれるし、セクハラに遭う確率も低いです。「穏やかな人」はつけこまれやすい人でもありますよ。

 今から感情表現のスキルを磨くには、失敗もあります。だからこそ失敗してもよい(いつでも避けられる)環境で練習しましょう。でも決して遅くありません。あなたはすでに怒りを抑える訓練はできているのですから、感情の解放と抑制、両方のコントロールができればいいだけ。自分のキモチを大切に、美容と健康によい人生を今後、送ってくださいますように。 


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ところで昨日の午後、
神戸の配送やさんからベッドが届きました。

先日、名古屋までフランスベッドのショールームに行って、
注文してきた「ルーパームーブ」です。

 ルーパームーブ(フランスベッド)
  
このマットレスは、2モーターリクライニング機構を内蔵したすぐれもので、
頭と足を高くすることができます。

30年ちかく使ったクイーンのベッドのマットレスが
少しへたってきたので、マットだけ買い替えるか、
シングルを二つ並べるか思案していて、見つけたベッドです。

わたしは逆流性食道炎があるので、リクライニングベッドが欲しかったですが、
ベッド自体が動くものは、介護用のような大げさなものか、
数十万もする高価なものが主流。
マットレスが信頼できるフランスベッドでも、
マット自体が動くのはこれだけ。
ベッドの上に置いても床に置いても使えます。

ベッドとして置く位置が決まってないので、
とりあえず、座卓の上に置いてもらいました。

ベットパットはついていない、まっ白なヌードの状態なので、
とりあえず、汚れないようにカバーをかけて、寝試し。
  
モーターの音も静かで動きもスムーズ、
頭と足は別々に動き、無段階なので好みの高さに調節できます。

昼寝用に使ってみたら、知らぬに眠ってしまいました(笑)。

スプリングの堅さも柔らかすぎずちょうどよく、
今つかっているベッドと似た感じで快適です。

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【悩みのるつぼ】Q保健室に通うやっかいな子:A(上野千鶴子)「聴いてあげること」が大事/初秋の花たち

2016-09-11 18:16:57 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日の朝日新聞beの「悩みのるつぼ」は、
上野千鶴子さんが回答者でした。

30代の中学校教師の「やっかいな問題のある生徒」という表現と質問内容に、
「えっ、こんな教師いやだな」と思ったのですが、
上野さんの「もしわたしに子どもがいたら、あなたのような教師のいる学校には預けたくありません。」
というきっぱりとした言葉に、溜飲が下がる思いがしました。

 【悩みのるつぼ】保健室に通うやっかいな子
2016年9月10日 朝日新聞be

○相談者 公立中学校教師 30代
 30代後半、公立中学校の男性教諭です。
 やっかいな問題のある生徒にどう対応したらいいか、ほとほと困っています。それは授業を受けず、保健室のベッドに寝に来て、自分勝手に時間をつぶしている生徒です。
 「疲れた」もしくは「頭が痛い、体の具合が悪い」などと理由をつけて怠けています。
 だったら、早退して医者に診てもらえ」と言うと、「少し経ったら治るかも知れない」などと言って、結局保健室にずっと入り浸りです。
 養護の先生からは「文句を言ったり、自分勝手なことをしたりして仕事ができない。担任の先生が何とかして」と半ば責められています。ですが、どうしていいのかわからず、そんな日が毎日続いています。
 「しょせん、よその子」と、自分には何ら関わりのない生徒のことで悩んでも仕方がない、と思うようにはしているのですが、それでもイライラはおさまりません。
 こういう生徒はごく少数で、ほとんどの生徒はいざとなったら話せばわかってくれます。だから、ほとんどの生徒のために力を尽くすことだけ考えようと思うことが常にあります。
 考え方をどう切り替えたらいいでしょうか。イライラして腹立たしい気持ちから解消されるのでしょうか。
 よろしくお願いします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ○回答者 社会学者・上野千鶴子
 「聴いてあげること」が大事


 ううむ。もしわたしに子どもがいたら、あなたのような教師のいる学校には預けたくありません。昔から「手のかかる子ほどかわいい」って、言うじゃありませんか。「やっかいな生徒」ほど萌(も)える、おっと燃えるのが、プロフェッショナルな教育者というもの。自分の担任の生徒を「しょせん、よその子」って。そりゃないでしょう。

 子どもは自分の問題を訴えるのに「ボキャ貧」ですから、カラダの不調で訴えます。この生徒さんは、学校へ来るのだってつらいでしょうに、保健室へ行けばますます教室へ足が遠のくでしょうに、それでも学校へ来て、それでも教室へ入れず、それでも保健室でようよう過ごし、「頭が痛い、体の具合が悪い」って、何かを必死になって、訴えてるんでしょうね。「体の不調」を文字どおり取るなんて、人間理解の初歩にも至りません。その背後に、何かいりくんだ隠された事情があることぐらい、カウンセリングの世界では常識。それを真に受けて「医者に行け」だの「休んだら」は見当違い。ましてや「怠けてる」なんて誤解もはなはだしい。ほんとに怠けてるなら、わざわざ学校へ来ないでしょう。

 ほんとはこういう機微に立ち入るのが担任にはできない、養護の先生のお役目。「仕事ができない」どころか、何かを訴えて保健室に来る子の相手をするのが「仕事」でしょ。

 こうやってお互いに責任をなすりつけあうのが今の学校なのかと暗澹(あんたん)たる思いです。これじゃ、生徒にも親にも信頼されそうにありませんね。

 大事なのは「話せばわかる」ことではなく、「聴いてあげる」こと。子どもはオトナに「聴かれて」いません。わたしも、よくおしゃべりしていると思っていた学生から、ある時「センセイ、ボクの言うこと、聴いてない」と言われて、ドキンとしたことがあります。強者の側から見た相互理解って、一方通行のことが多いものです。

 問題の生徒さんは学校へ出てきているのですから、引っ張り出すテマが要りません。「どうしたの?」「どうしたいの?」とじっくり聴いてあげてください。ただし安全な環境で。頭ごなしに否定しないで。「通訳」が必要なら学校カウンセラーのような第三者に頼んでもいいでしょう。この子が自分の子なら……あなたは見捨てることなんてできないはず。手のかからない「普通の子」より、きっとやりがいを感じるでしょう。 


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今年の夏は外に出ないようにしていたので、
庭に植えた花も少ないのですが、 宿根草が花をつけ始めています。

毎年、秋になると忘れずに咲いてくれる花たちです。

ホトトギス


  

吾亦紅(ワレモコウ)


  
仙台野萩と白萩
  

シュウメイギク「パド・スワン」


  

ヒペリカムの種   

タマスダレ(玉簾)。
花を玉に、細長い葉をスダレに見立てた名前。
学名は「ゼフィランサス・カンディダ(ヒガンバナ科)」。

夏の終わり頃から秋にかけて、白色の花をたくさん咲かせます。

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読書日記 社会学者・上野千鶴子さん 原発は政治、事故は人災

2016-09-01 18:07:02 | ジェンダー/上野千鶴子
岐阜に行く用事があったので、
高島屋11階の「あかさたな」で昼ごはん。

わたしは、極細麺のごまラーメンセット、

つれあいは、平打ち麺の冷やし中華単品。
ちょぼ焼きはもうやいっこ、白玉みつまめはセットのデザート。


数日前もホームセンターバローメガストア羽島インター店で外食。

つれあいは、寿がきやの冷やしラーメン。
なぜかいつも冷やし中華系ですね(笑)。

わたしはお好み焼きミックス。


オマケ。今年初めて食べたいちごミルク。
ふわふわでおいしかったです。

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ところで、
毎日新聞夕刊に毎週掲載される「読書日記」。
今週の筆者は上野千鶴子さんでした。

もちろん「原発は政治、事故は人災」の記事の内容もよかったのですが、
ヘルメットをかぶったカラー写真もgoodです。

  読書日記
今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 原発は政治、事故は人災

2016年8月30日 毎日新聞

*7月12日〜8月29日
 ■原発のコスト エネルギー転換への視点(大島堅一著・2011年)岩波新書・821円
 ■原子力損害賠償制度の研究 東京電力福島原発事故からの考察(遠藤典子著・2013年)岩波書店・6696円
 ■原子力発電と会計制度(金森絵里著・2016年)中央経済社・4104円 


 伊方(いかた)原発再稼働の報を聞きながら本稿を書いている。電力会社の予測では、盛夏のピーク時電源にも不足は見られず、電力消費を抑制するよう呼び掛ける必要がないにもかかわらず、住民避難の不安を残して、制御棒は引き抜かれた。フクシマ以後、絶対安全神話は崩壊したというのに。

 大島堅一著「原発のコスト」は、2012年の大佛次郎論壇賞を、遠藤典子著「原子力損害賠償制度の研究」は14年の同賞を受賞した。遠藤の本は読まなければと思いながらその本の厚さに先延ばしにし、夏休みの宿題にしていた。もう1冊、金森絵里著「原子力発電と会計制度」も宿題に取っておいた本だ。

 大島の新書はわかりやすく書かれている。経済産業省試算による各電源の発電コスト比較によると、原発は最も安い、とされてきたが、この試算には大きな問題が隠されている。発電事業に直接要するコストのみをカウントし、社会的コスト(税金によって支払われる政策コスト)が含まれていないからである。ここに国策推進による技術開発コストと巨額の交付金という立地対策コストを含め、さらに天文学的数字にのぼる原発事故損害賠償コストを加えると、原発はあらゆる電源のなかで最も高くつく電力となる。

 原発の発電コストにいくらかかっても、電力会社が痛痒(つうよう)を感じないのは、かかった原価に一定の利益率を上乗せして電力料金を設定できる総括原価制度というマジックによる。電力会社は、民営化され地域ごとに分社化されているのに、実際には完全に地域独占企業だから、消費者には選択の自由はない。競争相手がおらず、広告訴求をしても市場が拡大するわけでもないのに、電力会社が不相応に高額の広告宣伝費を使うのは、メディアの買収のためとしか思えない。

 原発コストの試算はどれもモデルプラントにもとづく予測値であり実績値ではない。そこに金森は会計学というアプローチから実績ベースで原発のコストに迫る。財務諸表を見れば会社がわかる……はずなのに、工事償却準備引当金、使用済燃料再処理引当金、施設解体引当金−−等々の複雑怪奇で、ご都合主義的な制度の導入で、企業会計はいかようにも操作可能になり、したがって、株主に対しても、消費者に対しても説明責任を果たせないものとなった。その結果は信頼の不足である。

 遠藤はフクシマの原発事故以後の原子力損害賠償をめぐる政策構築を、欠陥だらけの原賠法制定に遡(さかのぼ)って解き明かす。そして損害賠償のための支援機構設立という、ミナマタの公害処理と同じ行政手法、「国家は責任を負わないが実質的に被害者を救済する」という間接処理を採用するに至った過程を、当の政策立案者たちへの詳細なインタビューによってあきらかにする。なぜ東京電力は「異常な災害による免責条項」の適用を断念したのか? なぜ東電は破産処理されなかったのか? なぜ東電は有限責任を認められなかったのか? 歴史の「もし」に答える代替シナリオが、東電を維持したままの間接処理に収束する過程を、緻密な推理小説のような手際で次々と解き明かす。経済ジャーナリストでもある著者の取材能力のたまものであろう。

 原発は政治であり、事故は人災である。印象的なのは遠藤がしばしばくりかえす「厳しい世論を背景に」「世論がとうてい認めない」という表現だ。世論の動向は政治過程にあきらかな影響力を及ぼす。ひとりの無力は、だが非力ではないのだ。
 筆者は上野千鶴子、松井孝典、津村記久子、松尾スズキの4氏です。
 ■人物略歴
うえの・ちづこ
 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。


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