憲法14条の定める「法の下の平等」に反するとの訴えが棄却されて10日。
原告の女性が、高裁に控訴しました。
民法にはおかしなところがたくさんあって、
この再婚禁止期間もその一つ。
「選択的夫婦別姓制度の導入」「婚外子の相続差別を廃止」の民法改正も棚上げになったままです。
国会議員たちは(たぶん)本気で民法を改正する気がないのでしょう。
もうこんな議員はいらない、と女性たちが選挙で意思を示す時だと思うのですが・・・。
損賠訴訟:再婚禁止期間、女性の請求棄却 “小さな一歩”の判決 原告側弁護士ら「一律の制限に疑問」/岡山 毎日新聞 2012年10月19日 女性だけに離婚後半年間の再婚禁止期間があるのは憲法違反だとして国を訴えた訴訟で、岡山地裁の判決を受け、原告側代理人の作花知志弁護士は18日、北区で会見し「棄却だが訴訟の意味はあった」と強調した。判決で、世森亮次裁判官は「憲法に違反するものでないと解する余地も十分にある」と判示した。作花弁護士は「違憲の可能性がゼロではないということ。小さな一歩だが少しずつ踏み込んだ判決が出ている」と手応えを語った。 一方で、原告側の「国会が法改正しないことで国民の権利が違法に侵害されている」という主張に対して、世森裁判官は「(再婚禁止期間を)100日とすべきことが一義的に明らかであるともいい難い」とも判断した。 作花弁護士によると、原告の女性は前夫と離婚するため、離婚訴訟を岡山家裁に提起。前夫が控訴するなどしたため訴訟が長引き、数年かかって08年に離婚が成立した。再婚までにさらに6カ月待たなければならなかったことに悲しみを感じ、「自分以外の人にこのような思いをさせたくない」と考えて今回の訴訟に至ったという。 家族法に詳しい岡山大法学部の中川忠晃准教授も会見に同席し、「離婚する女性が妊娠しているとは限らないのに一律にすべての女性を制限する必要があるのか」と疑問を呈した。欧州諸国や韓国などでは再婚禁止期間の規定は存在しないと説明して「日本のような制度は世界的にみても少数派だ」と指摘した。【五十嵐朋子】 |
再婚禁止訴訟:原告女性が控訴 毎日新聞 2012年10月29日 女性だけに離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設ける民法の規定は憲法14条の定める「法の下の平等」に反するとして岡山県総社市の20代女性が国を相手どり、約165万円の損害賠償を求めた訴訟で、女性は29日、訴えを棄却した岡山地裁判決を不服とし、広島高裁岡山支部に控訴した。原告代理人の弁護士は「原告は法改正を促すような判決を求めている。明確に憲法違反だと判断してほしい」と話している。 岡山地裁は今月18日の判決で、再婚禁止期間を定めた民法733条について、「父子関係を巡る紛争を防ぐもので、立法目的は合理的」とし、「規定が憲法に違反しないと解する余地も十分にある」と判断した。【五十嵐朋子】 |
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選択的夫婦別姓・婚外子差別の撤廃…「民法改正」案 進展ないまま16年 2012年10月30日 中日新聞 与野党内の異論で、十六年間もたなざらしの審議会提言がある。法制審議会(法制審)による「選択的夫婦別姓制度の導入」と「婚外子の相続差別を廃止」の民法改正案要綱。改正を促す国連人権機関への報告期限が十一月四日に迫るが、政府には報告する中身がない状態だ。 (三浦耕喜) 神奈川県の元高校教員、宮脇隆志さん(61)=東京都多摩市=は、男性の立場で夫婦別姓を求めている。教員生活三十七年。夫婦の話し合いで子どもを妻の姓とするために戸籍上は妻の姓となったが、教師としては「宮脇」を名乗ってきた。「渋るおやじにも『そのうち、法律的にも夫婦別姓になって戻すから』と言いました」 ところが、いつまでたっても変わらない。その間、県教育委員会は人事異動を戸籍名で発表するため、自分の異動が分からない教え子も多かった。「せめて退職時は宮脇で」との要望も受け入れられず、今年四月、精神的苦痛を負ったとして県教委を訴えた。 「社会科の教師として男女平等を教えてきた。もうとっくに夫婦別姓が認められるはずと思っていたんですが…」と嘆息する。 家族を基本とした日本の戸籍制度では、結婚時にどちらかの姓を選ぶことが民法で定められ、九割以上の女性が従ってきた。子どもも結婚による嫡出子と、そうでない非嫡出子で相続の差別がある。また、再婚を禁じられる期間も男性にはないが、女性は六カ月。結婚も男性は十八歳以上、女性は十六歳以上と差が設けられている。 これらは男女の平等という基本的人権に反するとして、国連女性差別撤廃委員会はたびたび是正を勧告。昨年十一月には、改善状況を一年以内に報告するよう日本に求めた。 日本でも、そうした意識がなかったわけではない。法制審が答申を提出したのは一九九六年。だが、当時の与党、自民党内の反対で民法改正の政府案は提出されなかった。 民主党は野党時代に議員立法として改正案を提出。廃案となったが、二〇〇九年の政権交代後は政府の提出予定法案としていた。だが同党内にも異論があり、政府案、議員立法とも法案が一度も提出されていない。 このため、政府は国連機関への報告に窮することに。政府は二十四日の民主党男女共同参画調査会で報告案を示したが、国会での政府答弁を列挙したのみで、具体的な中身のないものとなった。 その一方、現行の民法は「憲法違反」を指摘されるようになっている。婚外子の相続分規定については、一一年八月に大阪高裁による「違憲」とする判決が確定している。 一二年二月には夫婦別姓を求める初の国家賠償訴訟が提起。今月十日の本人尋問では、原告全員が提訴の理由として、立法府が制定すべき法律を定めていない「立法不作為」を挙げた。 女性の六カ月再婚禁止規定では、今月十八日に岡山地裁が合憲としたが「違憲ではないと解する余地も十分にある」という微妙な言い回しだ。 民法改正を推進してきた「mネット・民法改正情報ネットワーク」の坂本洋子代表は「国連勧告を踏みにじり、政府の責任を放棄し、国民を欺くもの。全ての国会議員に責任がある」と話している。 |
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