みどりの一期一会

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1票の格差:参院選「無効判決」:国会の怠慢が断罪された/史上初の英断を尊べ/司法が発した強い警告

2013-11-30 21:46:22 | ほん/新聞/ニュース
お仕事関連で二日間ほど甲信越方面に行っていて、3時間ほど前に帰ってきてから、
まずは400通ほど届いていたメールのチェックと夕ご飯。

そのあとたまっていた新聞から、出かけるときに速報が出て、気になっていた
参院選「無効判決」の関連記事を探して読みました。

中日新聞と毎日新聞は、社説でそれぞれ判決を高く評価し、
「初の参院選無効 司法が発した強い警告」「史上初の英断を尊べ 参院選は「違憲・無効」と論じています。

   社説:初の参院選無効 司法が発した強い警告 
毎日新聞 2013年11月29日 

 選挙区定数を「4増4減」して実施された7月の参院選について、広島高裁岡山支部は「違憲・選挙無効」の判決を言い渡した。

 判決は、現行制度そのものを改革しない限り、憲法が要請する投票価値の平等の実現はありえないと指摘した。1票の著しい格差を放置することに比べ、無効とすることの弊害が大きいとは言えないとも述べた。国会の怠慢への強い警告だ。

 無効判断は参院選で初めてだが、2010年参院選を違憲状態とした最高裁判決では「13年選挙が現行法の枠組みで実施されるなら無効とすべきだ」と警鐘を鳴らす裁判官もいた。最大格差が5・00倍から4・77倍に縮小したとはいえ、小手先の対応は通用しない。年内に全国各地の高裁で同種訴訟の判決があるが、厳しい判断が続いてもおかしくない。

 参院選で格差を生む最大の要因は、選挙区が都道府県単位になっていることだ。半数改選のため、各選挙区に最低2議席を割り振らねばならず、人口の少ない選挙区では定数を減らそうにも限界がある。あらかじめ選挙区に1議席を割り振る衆院の「1人別枠方式」と併せて、国会は制度見直しを迫られている。

 国政選挙のたびに違憲か違憲状態と指摘される状況なのに、国会の動きは鈍い。「違憲の府」から脱するために猶予はないはずだ。

 参院では、16年選挙に向けて制度を抜本的に見直し、来年中に改革案をとりまとめる予定だ。都道府県選挙区の見直しに踏み込まざるを得ない。地域ブロックを選挙区とすることも一つの案となろう。

 だが、判決は、そういう国会の動きにも手厳しい。07年参院選の最高裁判決(09年9月)が制度見直しの検討を求めて以降、一部の手直しにとどまったとして、「16年選挙に向け、抜本的見直しをした法案が成立する見通しは甚だ不透明といわざるを得ない」と言及した。疑念というより、司法が国会の改革姿勢に強い不信感を表したものと言える。

 7月の参院選で衆参両院の与野党ねじれ状態が解消され、「再考の府」としての参院の存在意義が問われている。2院制を有効に機能させるには、議員の選出方法と役割が異なることが必要だ。任期が長く解散もない参院には、長期的、多面的な視点から民意を反映することで安定した国政を継続する役割もある。

 1票の格差是正を急がねばならない与野党にとって、中長期的に参院の役割をどう考えていくのかも重い課題だ。私たちは、参院を「地方代表の府」とすることも一つの選択肢と指摘してきた。衆院との機能分担のあり方について、政党は議論を深めるべきだろう。



   【社説】史上初の英断を尊べ 参院選は「違憲・無効」
毎日新聞 2013年11月29日

 参院選の「違憲・無効」の判決は史上初だ。広島高裁岡山支部は限りなき一票の平等を求めた。この英断を尊び、国会は速やかに抜本改革を図るべきだ。

 この判決が秀逸なのは、国民主権の原理や、代表民主制などについて、正確かつ常識に沿って適用した点に表れている。

 日本国憲法は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し…」で始まる。

 その文言を引用しつつ、「国民主権を実質的に保障するためには、国民の多数意見と国会の多数意見が可能な限り一致することが望まれる」と述べた。これが憲法が求める平等な一票の姿である。

「35%で過半数」の矛盾

 国会は国権の最高機関であるが、国会議員を選んでいるのは、われわれ国民である。国民の多数意見が、国会議員の多数意見と食い違ってしまっては、主権者の意見が国政に正しく反映されないではないか。

 有権者の一票の価値にゆがみが生じると、当然ながら、国民の多数意見が国会議員の多数意見にならない。判決はまっとうな視点に立っている。

 今年七月の参院選は、最大格差が四・七七倍もあった。つまり、ある人が「一票」を持っているのに、ある人は「〇・二一票」しか持たない。この矛盾した状態について、判決は別の表現方法で、うまく言い当てている。

 まず、最も議員一人当たりの有権者数が少ない選挙区から、順番に選挙区を並べてみる。そして、議員の数が過半数に達するまで、有権者数を足し算する。

 そうすると、有権者数の合計は約三千六百十二万人になる。それを全国の有権者数で割り算をするのだ。その結果、たった約35%の有権者で、過半数の議員を選んでいることがわかる。

頓挫したブロック制論

 「全有権者数の三分の一強の投票で、選挙区選出議員の過半数を選出できるのであって、(中略)投票価値の不平等さははなはだ顕著である」

 小学生レベルの算数の世界だ。深刻なずれを生む選挙制度が、まかり通ってきた方がおかしい。

 国民主権や代表民主制、法の下の平等という憲法原理を用い、「選挙権に関しては、国民はすべて政治的価値において平等」「徹底した平等化を志向するものである」とも言った。根源的で良心的な考え方だと評価したい。

 しばしば、人口比例で議員の配分を決めると、「都会が有利になる」などと言われる。だが、今回の参院選で最も不利益をこうむったのは、最北の地・北海道の有権者なのだ。次は兵庫である。そもそも、都会が有利になるのではなく、平等になるだけだ。

 長く参院では、約五倍もの格差が漫然と放置されてきた。二〇〇九年の最高裁は「合憲」としつつも、「定数を振り替えるだけでは格差の縮小は困難」と抜本改正を求めた。

 その翌年に西岡武夫議長は、都道府県単位の選挙区を廃止し、比例代表を全国九ブロックに分割する試案をまとめた。この場合だと、最大格差は一・一五倍まで縮まる。大選挙区にすると、一・一三倍になるとの試算もあった。

 ブロックを十一にする大選挙区の案も出たりして、抜本改革に向かうかに見えた。だが、西岡氏が一一年に死去すると、この機運は一気にしぼんで消えた。国会は怠慢を決め込んだのだ。

 一〇年の参院選訴訟を審査した昨年の最高裁判決では、「違憲状態」としたうえで、「都道府県単位の選挙区を設定する現行方式を改めるなど立法措置を講ずる必要がある」と、さらに踏み込んだ表現にした。

 それでも、国会は「四増四減」という小手先の直しに安住し、今夏の選挙に至ったのだ。〇九年の大法廷判決から、実に約三年九カ月もの期間があった。この経緯を眺めるだけでも、立法府の慢性化したサボタージュは明らかだ。

 昨年の最高裁では、複数の裁判官が現行法の枠組みを続ければ「選挙無効にする」と言及したから、岡山判決が突出しているのではない。むしろ、「現行方式を改めよ」とする“憲法の番人”の指摘に忠実だったといえる。

 今回の訴訟の特徴は、全国四十七すべての選挙区での無効を求めている点だ。一つの選挙区だけ無効が出た場合、その議員が不在のまま是正が行われる。

「事情判決」を封印する
 その不公平がないように、あえて全国提訴したわけだ。違憲でも選挙は有効とする「事情判決の法理」を封じる狙いもある。

 高裁レベルの判決が終了すれば、最高裁はいよいよ決断が迫られる。「国民の多数決と国会議員の多数決の一致」-。当たり前の答えが出るのを期待する。


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西日本新聞の社説、判決について詳しい記事を書いている、
毎日新聞の判決要旨と「クローズアップ2013:参院選初の無効判決 抜本改革遅れ批判」も合わせて紹介します。

  社説:参院選無効判決 国会の怠慢が断罪された
=2013/11/29付 西日本新聞朝刊=

 再三の警告にもかかわらず、抜本改革を怠ってきた国会に対する「怒りの判決」ではないか。

 「1票の格差」が最大4・77倍だった7月の参院選は違憲として弁護士グループが全国各地で選挙無効を求めた訴訟で、広島高裁岡山支部は、定数配分規定を違憲と判断し、岡山選挙区の選挙を即時無効とする判決を言い渡した。

 参院選の無効判決は初めてだ。国会はかつてない司法の判断を重く受け止め、今度こそ格差是正の抜本改革に取り組むべきだ。

 2007年参院選をめぐる09年9月の最高裁判決は定数振り替えでは是正は困難として制度の抜本的見直しが必要と言及していた。

 今回の判決では、それから7月の選挙まで約3年9カ月の期間があった点を重視し「国会が制度改革に真剣に取り組んだというには大きな疑問が残る」と指摘した。「4増4減」は格差をわずかに縮める定数の振り替えにすぎない。

 次回の16年参院選までに新制度を導入するとした国会の対応についても「成立するという見通しは甚だ不透明」と不信感をあらわにした。司法判断を軽視してきた国会に疑念を抱くのは当然だろう。

 投票価値の平等は「法の下の平等」を定めた憲法の要請である。著しい格差を事実上放置してきた立法府の責任は重い。

 昨年12月の衆院選をめぐる今月20日の最高裁判決は「違憲状態」とする一方、「0増5減」に一定の評価を与えた。47都道府県にあらかじめ1議席を割り振る「1人別枠方式」が実態として残り、抜本是正とは程遠いが、最高裁は国会の裁量権を幅広く捉えた。

 これに対し今回の判決は「課題が山積していることを最大限考慮しても、選挙までに是正措置が取られなかったことは、国会の裁量権を超える」と厳しく指摘した。

 被告の岡山県選挙管理委員会は上告するとみられ、選出議員が直ちに失職することはないが、政界は「一つの高裁判決にすぎない」と慢心している場合ではない。「憲法違反で選挙無効」という判決の重大性をかみしめるべきだ。



 1票の格差:広島高裁岡山支部の「選挙無効」判決要旨  
毎日新聞 2013年11月28日 

 1票の格差を巡り、参院選岡山選挙区の選挙を無効とした28日の広島高裁岡山支部の判決要旨は次の通り。

 国政選挙における投票価値の平等は、国民主権・代表民主制の原理及び法の下の平等の原則から導かれる憲法の要請である。国会は投票価値の平等を実現するように十分に配慮しなければならない。

 2010年選挙後、議員定数を4増4減する改正がされたが、それでも本件選挙の最大格差は4.77倍であり不平等さは顕著だ。

 09年大法廷判決は、07年選挙の最大格差はなお大きな不平等が存する状態で、国会が速やかに適切な検討をすることが望ましいと判示した。国会は遅くとも大法廷判決が言い渡された09年9月30日から、選挙制度の抜本的改革を内容とする立法的措置を講じる責務があった。

 しかし、本件選挙までの約3年9カ月間、議員定数を4増4減する改正にとどまり、抜本的見直しに真摯(しんし)に取り組んだというには疑問が残る。16年選挙に向け、抜本的な見直しをした法案が成立する見通しは不透明だ。

 不平等状態の是正は他の懸案問題に優先して取り組むべきものであり、東日本大震災の対応や景気回復等の課題が山積していることを考慮しても、不平等状態を是正する案を国会に上程すらできなかったことの合理的理由があるとはいえない。国会の裁量権の限界を超え、本件定数配分規定は憲法に違反するに至っていた。岡山県選挙区の選挙も無効とすべきである。

 無効判決が確定した選挙区における選挙の効力についてのみ、判決確定後将来にわたって失効するものと解されることなどを考慮すれば、長期にわたって投票価値の平等という憲法上の要請に著しく反する状態を容認することの弊害に比べ、本件選挙を無効と判断することの弊害が大きいとはいえない。

 本件選挙を違憲としながら、選挙の効力については有効と扱う「事情判決の法理」を適用することは相当ではない。


  クローズアップ2013:参院選初の無効判決 抜本改革遅れ批判 
毎日新聞 2013年11月29日 東京朝刊

 「1票の格差」が最大4・77倍だった7月の参院選を巡り、広島高裁岡山支部が28日、参院選では初めて「違憲・無効」とする判断を示した。「改革に真摯(しんし)に取り組んでいたというには大きな疑問が残る」。判決は、格差是正に向けた抜本改革を先送りしてきた立法府に「レッドカード」を突き付けた。ただし、現行の都道府県単位に代わる選挙区をどう設定するかの合意が困難なことに加え、衆参一体で選挙制度改革に取り組む必要性も出てきているため、解決策は全く見通せない状況だ。

 ◇県単位意識根強く

 7月の参院選岡山選挙区を無効とする判決は、抜本改革を先送りしてきた参院の怠慢を厳しく指弾した。ただ、参院側には、格差是正を最優先して都道府県単位の選挙区を見直すと地方代表としての参院議員の存在意義が薄れかねないとの不満も根強い。

 自民党の脇雅史参院幹事長は28日、記者団に「二度とこんな裁判が起こらない制度を作ることが大事だ」と強調した。各党は参院選後の9月に幹事長級の選挙制度協議会を設置。2014年中に改革案を決め、15年に関連法案を改正、16年参院選からの実施を目指している。だが今回の判決は「いまだ制度の抜本見直しに向け、具体的・本質的な協議が行われているとは認められない」と突き放した。

 ただ、参院は定数が衆院の約半分と少ない。さらに3年ごとに半数を改選するため、1選挙区の定数が必ず2以上になる。このためもともと格差是正がしにくい構造がある。都道府県単位の選挙区のため、選挙区制を維持したまま格差是正を徹底すると、2県を1選挙区にまとめる合区を視野に入れざるを得ない。

 最高裁が09年9月の判決で抜本改革の必要性を指摘したことなどを受け、今年7月の参院選前には、民主党が合区案を提示した。しかし、自民党は都道府県別の選挙区維持を主張。足並みがそろわず、最終的に「4増4減」の是正にとどまった。

 衆院とは異なる参院の独自性を維持する上でも、都道府県単位の地方代表という位置付けは譲れないという声は根強い。過去の協議でも選挙区制を廃止して、全国を9ブロックに分けて比例代表制をとる案などが浮上したことがあるが、受け入れられなかった。参院岡山選挙区選出の自民党の石井正弘氏は28日、「大都市へ人口集中が進む中、地方の声が国政に届きにくくなる」と語った。

 政府・与党では「裁判長は衆院選の1票の格差訴訟でも違憲・無効の判決を出したことがあり、今回は織り込み済みだ」(政府関係者)と模様眺めの空気も漂う。抜本改革には衆参の役割の違いを踏まえたうえで、衆参一体で選挙制度改革に取り組むことも必要、との指摘も出ている。【高山祐、影山哲也】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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11月29日(金)のつぶやき

2013-11-30 01:09:46 | 花/美しいもの

1票の格差:7月参院選、無効判決 定数配分「違憲」 格差4.77倍--高裁岡山支部 senkyo.mainichi.jp/news/20131128d…


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