みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

廃炉費用 いつの間にか高くつく/福島第一原発2号機 格納容器で高い放射線量 推定/格納容器内 数十秒で死亡530Sv

2017-02-03 18:44:51 | 地震・原発・災害
きょうは節分。明日は立春。
暦の上ではもう春です。

昨日は一日、明日からの市民派議員塾の準備に集中していたのですが、
夜にベッドにはいってひと寝入りした2時ころから咳がひどくて
喘鳴も出て来て寝苦しくて起きてしまいました。
けっきょく、昨夜は2時間ほど寝ただけです。

こじらせて気管支炎になってしまったか、
10年ぶりに喘息の発作が出ているのかと心配。

今日も昼間はけっこう咳きこみながら、資料の準備をしました。
ちょうど注文していた咳に効く漢方薬が届いたので、
処方薬のフスコデとムコダインといっしょに飲んでいますが、今夜が不安です。

熱は高くないし「五虎湯」は手持ちがなくなってしまったので、
喘息の特効薬で気管支炎にも効く「麻杏甘石湯」を飲んでいます。
ということで、
資料作りはひととおり終わったので、今日の仕事はおしまい。
一晩寝かせて、印刷は明朝に回しました。

熱いほうじ茶に、干ししょうがと干しキンカンを入れて
蜂蜜をひとさじ入れて飲むと、呼吸が楽になります。

熱いお茶をふうふう飲みながら新聞に目をやると、
福島第一原発の溶け落ちた核燃料(デブリ)の画像が衝撃的。
放射線量は1時間当たり530シーベルトという想像を超える数字。
きっと写っていないところにも核燃料が溶け落ちているのでしょう。

これからさきどうなるのだろう、溶けた核燃料をとりだすなんて不可能ではないのか、
先が見えない原発事故処理に暗澹とした気分です。

  社説:廃炉費用 いつの間にか高くつく 
2017年2月3日 中日新聞

福島第一原発の天文学的事故処理費用、「過去に原発の恩恵を受けてきたから」と、結局は国民に広くツケ回し。過去に支払い済みの料金を値上げして、差額を徴収するなんて。そんなの、ありか。

 東京電力福島第一原発の事故処理費。二十一兆五千億円。東京都の予算の三倍以上、とんでもない数字である。二〇一三年の暮れまでは十一兆円と見積もられていたが、二倍近くに増えた。

 溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しだけでプラス六兆円という。

 何しろ放射能の壁の中、人が直接触れられない、近づくことも不可能な別世界。とてつもなく困難な作業ということである。

 東電は今月、2号機直下にロボットを投入し、溶け落ちた燃料の在りかを探る。事故から六年になろうとする今も、“敵”の居場所さえ、はっきりとはつかめていない。長い時間と巨額の費用をかけて、牛歩を続けていくしかない。この先いくらかかるか分からない、天井知らずということだ。

 その費用は、誰が払うのか。

 東電が賄うならば、電気代、政府が肩代わりするなら税金-。結局は、消費者、国民に、ツケが回るということだ。

 賠償費用も約八兆円。経済産業省の考えるツケ回しの手法は、あまりにも理不尽だ。

 託送料金。すなわち、電力自由化後も既存大手の独占状態にある送電線の利用料を引き上げて、原発の電気を買わない新電力の利用者からも、「過去分」として、広く、浅く、取り立てようというのである。「新電力の利用者も、過去に原発の恩恵にあずかったから-」と、よく分からない理由をつけて、東電救済にひた走る。しかもそれが、われわれの知らないところで決められる。

 政府は避難指示を徐々に解除し、賠償を順次打ち切る方針だ。

 被害者の救済には原因企業の存続が不可欠と言いながら、事故原因の究明、被害の実態把握はそこそこに、補償費の抑制をひたすら急ぐ-。水俣事件とそっくりだ。

 安全対策に限りはない。欧米や台湾で原発の新設が行き詰まるのは、福島に学んだからだ。“安全代”の急騰が、東芝という巨大企業の屋台骨さえ、揺るがしているではないか。

 もちろん、被害者の補償を含め、事故の後始末には十分な予算をつぎ込むべきである。しかし、だからこそ、「原発の電気は安い」などとは言わせない。


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 福島第一原発2号機 格納容器で高い放射線量 推定
2月2日 NHK

東京電力福島第一原子力発電所2号機で行われている調査で、撮影された画像の解析から格納容器の一部の放射線量が最大で1時間当たり530シーベルトと推定されることがわかりました。人が死に至るレベルに短時間で達する極めて高い値で、東京電力は、核燃料が原子炉から溶け落ち、燃料デブリとなって格納容器の内部で強い放射線を出している可能性があるとして今後、ロボットによる詳しい調査を行うことにしています。

福島第一原発の事故で溶け落ちた核燃料は内部の構造物と混じって燃料デブリとなっているとみられ、2号機では先月30日に格納容器の内部をカメラで撮影する調査が行われました。東京電力は2日、撮影された画像を解析して放射線量を評価したところ、原子炉を真下で支えているペデスタルと呼ばれる円筒状のコンクリートの外側で最大で1時間当たり530シーベルトと推定されることを明らかにしました。

これは、人が死に至るレベルに短時間で達する極めて高い値で、最大で30%程度の誤差がある可能性はあるものの、2号機の格納容器内で事故の翌年に計測された1時間当たり73シーベルトに比べても高くなっています。このほかに、解析が行われた格納容器の入り口付近は最大で1時間当たり50シーベルト、ペデスタルの入り口付近は1時間当たり20シーベルトで、格納容器の外側への放射性物質を含むガスの漏えいはないとしています。

東京電力は、核燃料が原子炉から溶け落ち、燃料デブリとなって格納容器の内部で強い放射線を出している可能性があるとして今後、放射線量や温度を計測できるロボットによる詳しい調査を行うことにしています。ただ、ロボットを移動させる予定の原子炉の真下にある金属製の格子状の床は先月30日の時点で、一部脱落していることがわかっているうえに、画像を処理した結果、あらたに1メートル四方にわたって、脱落しかかっている部分があることもわかりました。

東京電力は、溶けた核燃料の熱の影響を受けた可能性があるという見方を示すとともに、ロボットで調査できる範囲が一部に限られるおそれがあるとして、ロボットの移動ルートを慎重に検討したうえで調査を行うとしています。

専門家「溶融燃料が水につかっていない可能性」
原子炉を覆う格納容器の内部で撮影した画像から評価した値として、1時間当たり500シーベルト余りという極めて高い放射線量が示されたことについて、日本原子力学会の「廃炉検討委員会」の委員長で、法政大学の宮野廣客員教授は、「この値が正しければ非常に高い値で、溶け落ちた核燃料の一部が近くにあって水につかっていない可能性がある」と話しています。

考えられる状況として、宮野客員教授は「核燃料が原子炉の底を抜けて落ちる際に、一部が原子炉の真下にある『ペデスタル』と呼ばれる円筒形のコンクリートの外側にまで漏れ出し、水につかっていない可能性がある。まずはこの値が正しいか詳しく調査する必要があるが、これほど放射線量が高いと調査用のカメラが長く持たない可能性があり、調査方法も工夫する必要がある」と指摘しました。

そのうえで宮野客員教授は「仮に溶け落ちた核燃料の一部が水につかっていなかったとしても、分厚いコンクリート製の格納容器に覆われており、外部に直接、強い放射線が出たり、高い濃度の放射性物質が漏れ出すことはない」と話しています。

原子炉下の堆積物が鮮明に
東京電力が先月30日に撮影した2号機の格納容器内部の画像を鮮明にする処理を行った結果、原子炉の真下にある構造物や作業用の足場にこびりつくような多くの堆積物の様子が浮かび上がりました。

原子炉の底の部分には原子炉の出力を調整する「制御棒」を動かす装置がありますが、画像では、装置を覆う金属製の筒型の枠やケーブルがほぼ原型をとどめていることが確認できます。

しかし、こうした装置の表面を灰色や褐色に見える物質が流れ落ちたようにこびりついているのがわかります。その真下にある作業員が歩く金属製の格子状の足場は一部脱落し、大きな穴があいたようになっているのが確認できます。

また、脱落した足場とその周辺は、堆積物に厚く覆われているように見えます。堆積物は表面が凸凹していて、カメラからの照明を反射して鈍い光を放っています。東京電力は、この堆積物が原子炉から溶け落ちた核燃料が構造物と混じり合った燃料デブリかどうか、画像を詳しく解析することにしています。 


 <福島第1>格納容器内 数十秒で死亡530Sv
2017年2月3日 河北新報

 東京電力は2日、福島第1原発2号機の原子炉格納容器の内部調査で撮影した映像を解析した結果、推定で毎時530シーベルト(Sv)と極めて高い空間放射線量を格納容器内で測定したと発表した。福島第1原発で測定した値としては過去最大という。実際の放射線量を測定できるロボットなどを投入してさらに詳しく調べる。
 内部調査は1月26、30の両日、先端にカメラが付いたパイプを挿入して実施。30日の調査で、圧力容器真下の作業台で溶融燃料(燃料デブリ)の可能性がある堆積物を初めて確認した。
 映像を分析した結果、圧力容器から下に延びる筒状の構造物に堆積物が付着していることを新たに確認。半径約5メートルの作業台のうち、約1平方メートルが脱落しかかっている状況も分かった。
 高線量は格納容器の貫通部と圧力容器を支える筒状の台座(ペデスタル)の間で観測された。映像のノイズから解析して評価した。線量計による測定との誤差の範囲は30%程度という。2012年3月に線量計を使って別の場所で測定した際は最大毎時73シーベルトだった。
 東電は「ロボットの投入の可否も含め、引き続き調査方法を検討する」と説明した。

◎530Sv「想像できぬ高線量」
 東京電力福島第1原発2号機のカメラ調査による映像の解析から、原子炉格納容器内部の放射線量が最大で毎時530シーベルトと推定された。その場に数十秒いただけで死に至るレベルで、専門家から「想像もできない高線量だ」と驚きの声が上がった。
 核燃料などから出る放射線は生物の細胞や遺伝子を傷つけ、がんを引き起こすなどさまざまな悪影響を与える。自然環境からも弱い放射線は出ており、日本では平均で年間約2.1ミリシーベルト、世界全体では平均2.4ミリシーベルトの被ばくがある。
 100ミリシーベルト以下の低線量被ばくが健康に与える影響はよく分かっていないが、100ミリシーベルトを超えると、発がんリスクが上昇。千ミリシーベルト(1シーベルト)を超えると重大な影響が出始め、女性の不妊や脱毛、白内障などが起こる。
 放射線医学総合研究所(放医研)によると、4シーベルトの被ばくで、2人に1人が死亡し、7シーベルトで全員が死亡する。1999年に茨城県東海村の核燃料加工会社で起きた臨界事故で死亡した作業員は、最大で約20シーベルト被ばくした。毎時530シーベルトという放射線量について、放医研の担当者は「医療の対象として、考えたことのなかったレベルの放射線量だ」と絶句した。
 東電は、530シーベルトという数値には3割程度の誤差が含まれるとしているが、それを考慮しても極めて高い線量だ。溶け落ちた核燃料に近づけば、放射線量がさらに高まるのは確実とみられる。

[福島第1原発事故の燃料溶融]東京電力福島第1原発事故では東日本大震災で全交流電源を喪失し、運転中だった1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きた。原子炉内の核燃料は運転を停止しても熱を出し続けるため、冷却できなくなれば2千~3千度に達して溶ける。2号機は溶けた燃料の一部が、1、3号機は燃料の大部分が原子炉圧力容器の底部を突き抜けて格納容器に落ちたとみられている。


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熊本連続地震 防災力を高める情報を/九州の地震 拡大に最大の警戒を/ミスマフェット開花

2016-04-17 21:54:02 | 地震・原発・災害
日本ミツバチを誘う花でよく知られているのは、
小型の蘭の「キンリョウヘン」ですが、
キンリョウヘンより花も葉も大きい「ミスマフェット」も、
ニホンミツバチをよく誘引します。

わたしも一鉢だけ育てているのですが、
ミスマフェットとキンリョウヘンの開花鉢をいっしょに
待ち箱の前に置くと、その箱に入る確率が高い気がします。


薪ストーブの上に置いてあるミスマフェットが、
夕方見たら一輪開花しました。
  


朝までに数輪開花しそうなので、

明朝、鉢を外に出すことにして、花茎にネットをかぶせました。

薪ストーブの上は、あたたかいので、早く花が咲くように
花茎が伸びて来たキンリョウヘンをあと2鉢置いてあります。

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後半は、熊本地震についてのっている、
きょうの3紙の社説を紹介します。

  社説:熊本連続地震 防災力を高める情報を
2016年4月17日 中日新聞

 熊本地震は広範囲の連続地震となってきた。これまでにない事態だ。見通しが立たないときこそ、気象庁や政府機関は幅広く情報を提供してほしい。

 十四日夜から続く熊本県の地震。十六日未明にはマグニチュード(M)7・3の地震が起き、多数の犠牲者を出した。阿蘇山の近くでも地震が続発し、小噴火もあった。同日朝には大分県にまで広がった。

 繰り返し起きる地震で、被害は広がり、多様になっている。住宅の倒壊に加えて、山間部では大規模な土砂崩れがあった。電気、ガス、水道、鉄道、道路といったライフラインの傷みも大きい。十六日夕からの大雨も心配だ。

専門家も未経験の事態
 被災地を見ると、備えをしていればと思えることもある。

 鉄筋コンクリート五階建ての宇土市役所本庁舎が崩壊寸前だ。四階部分が押しつぶされている。地震が日中だったらと思うとゾッとする。同庁舎は耐震診断で震度6強で倒壊の危険が指摘されていたという。

 連続地震は東にも延びて、ドミノ倒しのようだ。震源は中央構造線に沿うように移動している。

 中央構造線は多くの断層からなる大断層系で、西南日本を横断している。断層の中には活断層もあり、地震がよく起きる場所とそうでない場所がある。熊本県は中央構造線の西の端だ。大分県から海を渡ると愛媛県の佐田岬半島。ここには伊方原発がある。四国の中央部を通って紀伊半島、静岡県、長野県へと続き、東の端は関東に達する。

 政府の地震調査研究推進本部は、地震活動が活発とされる佐田岬半島から奈良県にかけて、今後三十年の地震発生の可能性を調べている。奈良県から和歌山県にかけては「可能性が高いグループ」、四国は「やや高いグループ」となっている。

四国、近畿も注意を 名古屋大の鷺谷威(さぎやたけし)教授は「地震活動が飛び火して急激に拡大していく事態は、専門家にとっても未経験だ」と話す。「これまでの常識」が通じない事態になっているのだ。

 先の見えない連続地震だが、鷺谷教授は「一五九六年、大分県から四国、近畿にかけて、中央構造線に沿って地震が連続した例も、頭の片隅に置いた方がいい。また、南海トラフ(地震)などへの影響がないとも言い切れない」と言う。約四百年前にも似たようなことが起きていた。

 今、求められているのは、こういうアドバイスだ。予知はできなくても、専門的な知識を基に「起きそうなこと」を伝えてほしい。

 専門家や政治家が、国民に不安を与えてはいけないと情報を出さなかったことが裏目に出るのは珍しくない。

 福島第一原発事故で、民間事故調の報告書は「『国民がパニックに陥らないように』との配慮に従って行政の各階層が情報を伝えない情報操作があった」として「メルトダウン(炉心溶融)」と言った原子力保安院の審議官の更迭やSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の沈黙などを例に挙げて、エリートパニックだったとしている。

 エリートパニックは「災害ユートピア」(レベッカ・ソルニット著)に出てくる造語だ。「『普通の人々』がパニックになるなんて、とんでもない…。エリートパニックがユニークなのは、それが一般の人々がパニックになると思って引き起こされている点です」と書かれている。

 原発事故に限った話ではない。

 東日本大震災直後の二〇一一年三月十五日深夜、富士山の直下で震度6強の地震があった。発表は「静岡県東部地震」で富士山噴火には触れていない。科学部の記者が取材したが、関連を認める火山学者はいなかった。噴火を心配したと語り始めたのは、随分、後のことだった。

肝を冷やした地震
 今月一日午前十一時三十九分、M6・5の三重県南東沖の地震があった。震源はフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界。次の南海トラフ地震が始まるかもしれないと考えられている場所である。しかも、微小地震が続発している時期だった。「肝を冷やした」と話す地震学者もいる。

 実際には何も起きなかった。だが、「南海トラフ地震の発生確率が通常よりも高くなっている」と伝えるべきだったと考える。

 鷺谷教授の言葉にある「(可能性のある事態を)頭の片隅に置く」ことが防災力を高める。逆に言えば、情報の不提供は学者の怠慢ということにもなる。私たちメディアはできるだけ多くの情報を提供する責務がある。

 連続地震が一段落したら、ぜひ、すべきことだ。 


  社説:九州の地震 拡大に最大の警戒を
2016年4月17日 朝日新聞
 
 震度7が「前触れ」に過ぎなかったとは。容赦ない自然の猛威に改めて驚くほかない。

 きのう未明、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード(M)7・3の地震が起きた。1995年の阪神・淡路大震災に匹敵する規模だ。

 14日に同県益城町(ましきまち)で最大震度を記録した地震は「前震」で、きのうが「本震」だった。災害がどんな時差や周期で襲ってくるかは人知を超える。機敏に命を守る行動をとることの大切さを再確認したい。

 その後も続く地震は、震源が大分県にも広がり、被害は拡大している。交通・通信の途絶に停電、天候も悪条件になるが、各地の捜索や救出活動を急ぎ、一人でも多く救い出されるよう祈らずにはいられない。

 被災地では地震の揺れに加えて、土砂崩れや土石流など複合災害の危険が増している。行政には早めの避難呼びかけなど、万全の対応を求めたい。

 震度7の地震後に余震が続いた2004年の新潟県中越地震では、死者68人のうち、揺れによる死亡は4分の1だった。そのほかは、水分不足で狭い車中泊を続けるなどして血管が詰まった肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)や、避難所で体調を崩した震災関連死だった。

 被災者にはけがの手当てだけでなく、適切な睡眠や食事、心理ケアも含めた全身の体調管理が重要だ。避難所などでは十分に注意してほしい。

 国の地震調査委員会によると、14日の震度7の地震は日奈久(ひなぐ)断層帯で起きた。

 だが、きのうの本震は、ほど近い布田川(ふたがわ)断層帯で起きたように見える。さらにその後の阿蘇や大分県の地震は同断層帯の延長線上で起きているようだ。

 余震が続いているというよりも、本震が違う断層に影響を及ぼし、新たな地震が相次いでいるとも解釈できる状況だ。

 熊本~大分の線を東に延ばすと、四国の大活断層帯「中央構造線」がある。拡大しない保証は残念ながらない。近くには四国電力伊方原発もある。警戒を強めねばなるまい。

 日奈久断層帯方面の地震拡大も引き続き心配だ。こちらも先には九州電力川内(せんだい)原発がある。

 一連の地震は、規模と連続性などが通常とは違う展開になっており、予断を許さない。

 被災者らの不安をよそに、デマがネットなどに出回っているのは見過ごせない。災害の中では何よりも情報が安全を左右する。被災者や関係者は、公的機関などからの確かな情報の入手に努めてほしい。


  社説:熊本の被害拡大 容赦なき大自然の脅威
毎日新聞2016年4月17日
 
 日本列島では、いつどこで大きな地震が起きてもおかしくない。そして、私たちは地震の発生メカニズムをまだよく分かっていない。そんな現実を再認識させられた。

 16日未明に熊本県の熊本地方を震源とするマグニチュード(M)7・3の地震が発生した。1995年の阪神大震災と同規模だ。14日夜の地震に比べると規模は約16倍で、こちらが「本震」だという。

 14日より広い範囲で強い揺れに襲われた。国道の橋の崩落などインフラ被害が拡大し、犠牲者も一気に増える痛ましい事態となった。

 気象庁は「本震」の発生を想定していなかった。被害に追い打ちをかける大自然の容赦ない脅威を、感じざるを得ない。

 「本震」の震源は14日の震源のやや北側にある。その後も、北東側の熊本県阿蘇地方と大分県で最大震度5弱から6強を観測する地震が相次いだ。気象庁は、このように広域的に地震が続けて発生したケースは、「近代観測が始まって以降は思い浮かばない」という。

 これら3地域は、九州の中でも地殻変動の影響でひずみが蓄積しやすい地質構造の「別府−島原地溝帯」周辺に位置する。地溝帯の延長線上には伊方原発(愛媛県)がある。稼働中の川内原発(鹿児島県)とあわせ、改めて原発の地震対策が懸念される。

 「本震」後には、熊本県の阿蘇山で小規模な噴火も起きた。今後の活動を注視したい。

 今回の地震は「本震」「前震」ともに震源が約10キロと浅く、揺れが弱まらないまま地表に伝わった。その結果、多数の建物が倒壊し、山間部では土砂崩れで道路が寸断されている。熊本県南阿蘇村では多くの住民が孤立状態になっている。

 政府は地震被害の拡大を受けて、自衛隊員や警察、消防の派遣を増強した。関係機関は、被害の全容を速やかに把握し、被災者の救援と避難先の確保に全力をあげてほしい。度重なる揺れで、今後も地盤の緩みや建物の傷みが広がる恐れがある。2次災害への配慮も欠かせない。

 水道や電気、高速道路などライフラインの被害も大きく、復旧には相当の時間がかかるだろう。長期的な視点で、被災者への支援や配慮が必要だ。

 熊本県宇土市役所は倒壊の恐れがあり、立ち入り禁止になった。緊急時の対策拠点や避難所となるべき施設が機能しなくては支障が大きい。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震が30年以内に発生する確率はいずれも70%程度とされる。建物の耐震化や防火対策など平時の備えが重要だ。これは、日本列島で暮らす上での宿命である。


  


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地震と原発 やっぱり原点に戻ろう/熊本地震 活断層が動く恐ろしさ/「別の断層に地震活動が移ったか」

2016-04-16 19:51:04 | 地震・原発・災害
昨日は夜まで熊本地震の情報を見て寝ました。
あさ起きたら、さらに大きな地震があったと知りました。

被災された皆さまには、心からお見舞いもうしあげます。

きょうのブログは、熊本地震関連の記事と社説を紹介するつもりですが、
つぎつぎに庭の花が咲いてアップが追いつかないので、
まずけさのドウダンツツジの画像をアップします。

「満天星」の名のとおり、星をちりばめたように、

丸くて白いつりがねのような小花が、びっしり咲きます。

この2枚は、夕陽を浴びて赤実を帯びている花です。


  専門家 「別の断層に地震活動が移ったか」 
4月16日 10時37分 NHK

16日未明、熊本県を震源とするマグニチュード7.3の大地震が起きるなど、熊本県や大分県で地震が相次いでいることについて、専門家は、14日の「熊本地震」を引き起こした断層から別の断層に地震活動が移ったように見えるとして、今後の活動に注意が必要だと指摘しています。

16日午前1時25分ごろに発生した熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.3の地震について、地震のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所の古村孝志教授は、「内陸の活断層で起きる地震としては国内最大級で、広い範囲が強い揺れに襲われたと考えられる」と分析しています。
そのうえで、この地震のあと熊本県阿蘇地方や大分県西部や中部といった別の場所でも地震が相次いでいることについて、古村教授は「おとといからの地震は、いずれも『別府ー島原地溝帯』と呼ばれる地域で起きている。この地域には数多くの活断層があることが確認されており、おとといマグニチュード6.5の「熊本地震」を引き起こした断層から、近くにある別の断層に地震活動が移ったように見える」と指摘しています。
そのうえで、「地震活動が活発になっているため、今後、影響がどう広がるか注意する必要がある」と話しています。

道路などに段差やひび割れ 地震起こした活断層の一部か
広島大学の中田高名誉教授らの研究グループは、16日午前1時25分ごろに発生したマグニチュード7.3の大地震の震源に近い、熊本県益城町を調査しました。
その結果、益城町の役場から東におよそ3キロの地点で、田んぼのあぜが、横およそ1メートル20センチ、高さおよそ50センチにわたって食い違い、段差ができているのが見つかりました。
さらにその延長線上にある道路でも、横におよそ2メートル、高さおよそ70センチにわたって路面が食い違い、ひび割れができているのが見つかりました。
この場所には「布田川・日奈久断層帯」と呼ばれる活断層が通っていることから、研究グループはこの断層が16日未明のマグニチュード7.3の大地震を引き起こし、その一部が地上に現れたものとみてさらに詳しく調べています。
中田名誉教授は、「きのうまでの調査では、この場所で段差やひび割れは確認できなかったため、きょう未明のマグニチュード7.3の地震がきっかけで、できたものと考えられる。政府の地震調査委員会が想定していた、この断層のずれの量は最大でおよそ2メートルで、今回、見つかった道路のひび割れもそれとほぼ同じだったことから、国の想定に近い大地震が起きたと考えられる」と話しています。

「大分の地震も誘発か 地震活動に注意を」
16日午前1時すぎに熊本県で発生したマグニチュード7.3の大地震では、熊本県の広い範囲で震度6強を観測したほか、大分県でも最大で震度6弱を観測しました。
熊本県ではこの地震のあと、地震活動が活発化しているほか、震源の北東側にあたる熊本県の阿蘇地方や東側にあたる大分県で地震が相次いでいます。
午前4時前には阿蘇地方を震源とするマグニチュード5.8の地震があり、産山村で震度6強を観測したほか、午前7時すぎには大分県中部を震源とするマグニチュード5.3の地震で、大分県由布市で震度5弱を観測し、その後も震度4や3を観測する地震が相次いでいます。
地殻変動に詳しい京都大学防災研究所の西村卓也准教授によりますと、今回、地震が集中している領域はGPSの観測データなどから、地下にひずみがたまっていると考えられるということです。
西村准教授は、熊本県で起きたマグニチュード7.3の大地震に誘発される形で、阿蘇地方や大分県で地震が起きていると分析しています。
このうち、今回、地震が相次いでいる大分県の周辺には、マグニチュード6から7クラスの地震を引き起こす可能性のあるとされる別府ー万年山断層帯など複数の活断層があります。
西村准教授は、「熊本県から大分県にかけて活発になっている地震活動は、大地震をきっかけに、ひずみがたまっている一帯で起きている一連のものと考えられる。大分県内の活断層には地震が起きる確率が比較的高い活断層もあるので余震の活発なところでは今後の活動に注意してほしい」と話しています。



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  社説:地震と原発 やっぱり原点に戻ろう
2016年4月16日 中日新聞

 日本はやはり地震国。九州を襲った「震度7」に再び思い知らされた。福島第一原発事故のそもそもの原因は、地震である。その原点に立ち戻り、原発の安全対策の在り方を再点検するべきだ。

 「今までに経験したことのない揺れだった」と、強い余震が繰り返される中、住民は不安に戦(おのの)く。

 「断層帯全体が動いたにしては規模が小さい」と専門家。さらに大きな地震の恐れがあった、ということなのか。

 あらためて思い知らされた。「いつでも、どこでも、強大な地震は起こりうる」

 今月六日、福岡高裁宮崎支部は、今回の震源地からもさほど遠くない九州電力川内原発の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた。

 高裁は、対策上想定される基準地震動(最大の揺れの強さ)を「極めて合理的」と判断した。

 住民側は「国内の原発ではそれを超える揺れが、二〇〇五年以降だけで五回観測されている」と観測地の過去の平均値から基準を割り出す手法に異議を唱えていた。

 瓦や石垣が無残に崩れ落ちた熊本城の姿を見ても、同じ判断ができただろうか。

 国会の福島第一原発事故調査委員会は、原因は津波だけでなく「地震による損傷の可能性も否定できない」と指摘。「小手先の対策を集積しても、根本的な問題は解決しない」と結論づけた。

 ところが、電力会社も原子力規制委員会も、地震の揺れを甘く見すぎてはいないだろうか。

 その象徴がくしくも九電だ。

 九電は、川内原発の再稼働がかなうやいなや、事故対策の指揮所になる免震施設の建設をあっさりと引っ込めた。それでも原子炉は止められない。

 原発は無数の機器と複雑な配管の固まりだ。見かけは正常に動いていても、強い震動がどの部位にどんなダメージをもたらすか。その積み重ねがどんな結果につながるか、未解明のままなのだ。

 断層のずれは、想定外の地震を起こす-。熊本地震の教訓だ。

 規制委の審査を終えて次回再稼働候補とされる四国電力伊方原発の近くには、日本最大の断層である中央構造線が走っている。

 今回の被害を教訓に、起こり得る地震の規模や影響をじっくりと検討し直すべきではないか。

 「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。地震国日本では、これこそ社会通念であり、一般常識だからである。 


  社説:震度7の熊本地震 大地の警告に耳すまそう
2016年4月16日(土)付 朝日新聞

 上下左右に揺れて崩れる家屋。歩行者らが身をすくめる市街地。激震が襲った現場の恐怖は想像するに余りある。

 東日本大震災を思い起こした人や、稼働中の九州電力川内(せんだい)原発を心配した人も多かったのではないか。

 熊本県熊本地方を震源とする地震が九州を襲った。同県益城町(ましきまち)では最大の揺れを表す「震度7」を観測した。

 熊本城では天守閣の瓦が落ち、石垣が崩れ、国の重要文化財「長塀」が約100メートルにわたって倒れた。

 大震災から5年がたち、東北など被災地を除いて、地震への警戒が少しずつゆるみ始めたように思える昨今だ。

 そこに、当時以来の震度7が今度は九州で観測された。

 日本列島に暮らす以上、どこにいても地震と無縁ではいられない。遠方の災難であっても、「明日は我が身」と考えることが何より重要だ。

 被災地に救援と復旧の手を差し伸べるとともに、大地の警告に耳を傾け、地震への備えを周到に進めよう。

 ■まず救援に全力を
 今回の熊本地震では、昨夕までの集計で9人が亡くなった。そのほとんどは、倒壊した建物の下敷きになったとみられる。

 自衛隊や緊急消防援助隊などが現地入りし、救援活動をしている。二次災害に気をつけながら、まずは被災者の捜索と救助に全力を挙げたい。

 大きな余震が何度も起きているのが今回の特徴だ。

 気象庁は、今後1週間は最大で震度6弱程度の余震の恐れがあるとしている。弱い木造建築なら倒れることもある。土砂崩れが起きる危険もある。住民は当面、単独行動は避け、傷ついた建物や急傾斜地には不用意に近づかないようにしたい。

 一時は4万人以上が避難し、なお多くの人びとが公民館や学校などに身を寄せている。屋外に段ボールなどを敷いて座り込む姿もあった。

 朝晩はまだ冷え込む。雨も心配だ。被災者の体調管理にも十分注意を払ってほしい。

 ■活断層が起こす激震
 気象庁が最大震度を「7」とした1949年以降、震度7を記録したのは今回が4回目だ。

 1995年1月の阪神・淡路大震災(マグニチュード〈M〉7・3)、2004年10月の新潟県中越地震(M6・8)、11年3月の東日本大震災(M9・0)、そして今回の熊本地震(M6・5)だ。

 地震の規模(エネルギー)はMが0・2大きいと約2倍、2大きいと1千倍になる。

 四つのうち、東日本大震災だけが巨大なプレート(岩板)の動きによる海溝型地震で、阪神大震災の約360倍ものエネルギーを一気に放出した。

 残りの三つは、地殻内の断層が起こす活断層型地震だ。海溝型に比べるとエネルギーが小さく、激しく揺れる範囲は限られるが、震源が浅いため、真上付近では大きな被害を出す。

 今回の震源は、国の地震調査委員会がいずれも「主要活断層帯」と位置づける布田川(ふたがわ)断層帯と日奈久(ひなぐ)断層帯にほど近い。

 委員会は両断層帯について、一部が動けばM6・8~7・5程度、全体が一度に動けば7・5~8・2程度の地震を起こす恐れがあるとの予想を公表していた。30年以内に起きる確率も活断層型としては比較的高いとしていた。

 熊本地震は予想より規模が小さかったが、阪神大震災の約16分の1のエネルギーでも震度7を引き起こし、人命が失われることがあることを示した。

 日本列島は至る所に活断層がひしめいている。専門家の間では「東日本大震災を機に日本は地震の活動期に入った」「未知の活断層もある」といった見方もある。活断層帯の近くはもちろん、そうでない地域でも細心の備えをすることが肝要だ。

 ■平時からの備えこそ
 九州は大地震の恐れが低くないのに、警戒がやや薄いと見られてきた。

 益城町の教育委員会は、東日本大震災の半年後に地震学者を講演に招き、最悪M8の直下型地震がありえることや、家屋の耐震化が安全上、最も有効と町民らに訴えていた。だが耐震化は約7割にとどまり、県全体に比べて進んではいなかった。

 東京都は昨年、災害への対処法をまとめた防災ブックを約670万の全世帯に配った。

 身のまわりの事前点検から、「古い建物ではあわてて1階に下りない」などの注意点や、生活再建に役立つポイントなどを例示。過去に重宝した食品包装用ラップを備蓄品リストに加えたり、レジ袋でおむつを作る方法もイラストで示したりと、具体的な内容で評判になった。

 同じ震度7でも被災地域が広いと、救助・救援活動は一気に難しくなる。大きな地震であるほど、平時からの個々の住民と各世帯の備えが対応を左右することも胸に刻んでおきたい。


  社説:熊本地震 活断層が動く恐ろしさ 
毎日新聞2016年4月16日

 局地的に激しい揺れを伴う内陸直下型地震の怖さを改めて示した。


 14日夜、熊本県を中心とする地域を襲った地震は、東日本大震災以来の震度7を記録した。自然エネルギーのすさまじさは、多くの人を震え上がらせた。多数の死傷者が出ている。関係機関は、被災者の救援と安全な避難先の確保にまず全力をあげてもらいたい。

 気象庁は、この地震を「2016年熊本地震」と命名した。

 気象庁が観測を始めて以来、九州で震度7を記録したのは初めてだ。強い揺れは、九州全域から四国にまで広がった。

 震源の近くには、二つの断層帯がある。地震が内陸部の浅い場所で発生したため、震動が地表にそのまま伝わりやすく、地震の規模の割には激しい揺れになったとみられる。

 複雑な地下構造のため、大きな余震も続く。直下型地震への警戒は怠れない。そのことを再認識したい。

 運転中の川内(せんだい)原発(鹿児島県)と、停止中の玄海原発(佐賀県)に異常はなかったという。新規制基準では、活断層の真上に原発の重要施設を建設することは禁じられている。

 とはいえ、未知の活断層もある。活断層は、日本列島に2000以上走っている。いつ、どこで直下型地震が起きてもおかしくない。

 こういう地震列島の中で原発を維持していくリスクを改めて考えた人も多かっただろう。

 今も避難生活を余儀なくされている人が大勢いる。熊本市や益城町(ましきまち)などでは、停電や断水が続く地域がある。被災者の支援と、ライフラインの復旧に万全を期してほしい。

 停電などで必要な医療体制が確保できず入院患者を避難させる病院が出ている。激しい揺れによる精神的なダメージは、病状を悪化させる危険がある。病人や高齢者ら災害弱者への目配りは特に欠かせない。

 余震による2次被害も要注意だ。地震で地盤が緩んだり、建物がもろくなっていたりする可能性がある。雨が降れば土砂崩れも起きる。危険な場所に近づくのは避けるべきだ。

 熊本城の石垣の崩落や高速道路の陥没など、地震の深い爪痕が残る。九州新幹線も大きな被害を受けた。地震の際、6両編成の回送列車が非常停止措置をとったものの脱線し、本線をふさいだ。運休が続く。

 新幹線で全車輪の脱線は初めてだ。運輸安全委員会は、鉄道事故調査官を派遣した。高速で大勢の人を運ぶ新幹線で、ひとたび事故が起きれば大変なことになる。原因の解明を尽くし、対策に生かしてほしい。

 東日本大震災後、地震活動は活発化している。耐震化、防火対策など各自が減災を心がけたい。 


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大震災から5年/「共に前へ」の思い 再確認を/心は一つ、じゃない世界で

2016-03-11 09:18:51 | 地震・原発・災害
2016年3月11日。
大震災と原発事故から5年の今日、
いまも避難生活を続けている人17万人。

新聞社説はいっせいに、3.11のことを取りあげている。
購読している新聞以外の社説もwebで検索して読んでみたが、
現地からの距離によって取り上げ方の視点はいろいろ。

テレビは、朝から震災関連のニュースが流れている。
ニュースキャスターの「外にいる私たちに何ができるか」と
いう言葉が、耳に残っている。

けれど、
「わたしたち」はほんとうに震災の「外」にいるのだろうか。

原発事故の被害に「外」はあるのだろうか?

あの日を境に変わってしまったものはあるのではないか。

そんなことを考えながら、3月11日の新聞社説を読んでいます。

  大震災から5年/「共に前へ」の思い 再確認を 
2016年3月11日 河北新報

 長い闘いになることを覚悟してはいても、この現状をどう評価すればいいのだろう。
 東日本大震災から、きょうで5年。復興の姿はまだ見えない。暮らし、なりわいの基盤を整備する「まちづくり」は道半ば。胸突き八丁の局面にある。正念場を迎えているとの認識を共有したい。
 もう5年、まだ5年。襲いかかる弱気を振り払い、必死の思いで復興に向けた日々を刻む被災地や被災者の受け止めはさまざま。もっとも、記念日的な感慨だけはない。
 復興の進展のばらつきが顕著になってきている。
 特需に恵まれた都市があり、新しい街の一端が姿を現した自治体がある。住宅再建を成し遂げ、事業や仕事が軌道に乗り始めた人がいる。
 課題山積、後れを取る自治体もある。ついのすみかを決めかね、仮設住宅で疲労と失望を深くしている人もいる。復興から取り残されるわびしさが被災弱者をさいなむ。
 被災の態様は千差万別。もともとの環境も異なる。時が解決の糸口になるはずだった。が、復興は想像以上に時間を要し、被災者の癒やしと再出発の道程を狂わせる。
 原発被災地、福島の復興はなお遠い。帰還かなわぬ避難生活が住民の分断化と家族離散の固定化に拍車を掛ける。
 遺族、特に行方不明者のいる遺族に区切りはない。「透明な喪失感」が沈潜し、歳月が寂しさを募らせもする。
 事業の多くは計画通りに運んでいない。用地買収、合意形成の遅れや人手不足が要因とされるが、そもそも内容が適正で、執行への環境整備に手抜かりはなかったのか。
 巨大な防潮堤建造に対する住民の不満がくすぶる地域がある。安全安心が原点と承知しつつ、かさ上げしたまちづくり用地や高台の住宅向け造成地の規模に圧倒される。「新しい町」が見通せぬまま人口流出や高齢化が進む。
 政府などは「創造的復興」や地方創生のモデル事業にと勇ましい。予算の後押しを受け、現地のトレンドを脇に置き一発逆転にも似た発想でハード優先に向かわせた側面もあるのかもしれない。
 ただ、過ぎたるは後々の重荷となるだけでなく、地域再生の遅れにつながり被災者の意欲をもそぎかねない。
 仮設住宅ではコミュニティーの維持、新住区では連帯感育成という難題を抱える。心の復興は基盤の整備と同じ時間軸では測れない。見えにくいからこそ留意が要る。地域活性化は主役を担う住民が元気を取り戻してこそ。暮らしの再建に軸足を移し、再生の起点として人の復興を支える仕組みの充実に努めたい。
 行政は被災者との連携を強化、思いに沿いながら取り組みを丁寧に総括し、過大と過小を見極めて必要な計画の修正を図らねばならない。5年の節目に意味があるとすれば、その好機ということだ。
 未曽有の災害対応で見込み違いは避け難い。検証と見直しを通じて地域の永続性を高める、より効果的で現実的な事業推進に知恵を絞りたい。
 未来を信じて、あらためて「共に前へ」の思いを強固に、あすにつながる、きょうの確かな一歩を重ねていこう。


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  社説:震災から5年 心は一つ、じゃない世界で
2016年3月11日 朝日新聞
 
 戦後最大の国難といわれた東日本大震災と福島第一原発の事故が起きた「3・11」から、5年がたつ。

 宮城県や岩手県の海沿いでは工事の音が鳴り響く。だが、暮らしの再建はこれからだ。福島県をはじめ、約17万人が避難先での生活を強いられている。

 震災と原発事故は、今もなお続いている。被災地から離れた全国で、その現実感を保つ人はどれだけいるだろう。

 ■深まる「外」との分断
 直後は、だれもが被災地のことを思い、「支え合い」「つながろう」の言葉を口にした。年の世相を表す「今年の漢字」に、「絆」が選ばれもした。

 あの意識ははたして本物だったろうか。被災地の間ではむしろ、距離が開いていく「分断」を憂える声が聞こえてくる。

 住み慣れた土地を離れる住宅移転。生活の場である海と陸とを隔てる防潮堤。「忘れたい」と「忘れまい」が同居する震災遺構。それぞれの問題をめぐり地元の意見は割れてきた。

 人間と地域の和が壊れる。その痛みがもっとも深刻なのは、福島県だ。

 放射線の影響をめぐり、住民の価値観や判断は揺れた。線量による区域割りで東京電力からの賠償額が違ったことも絡み、家族や地域は切り刻まれた。

 ささくれだつ空気の中で、修復を求めて奔走する人たちはいた。無人の町を訪問者に案内したり、自主避難者向けに福島からの情報発信を始めたり。さまざまな活動が生まれた。

 南相馬市の番場さち子さんもその一人だ。医師と一緒に放射線についての市民向け勉強会を80回以上重ねた。まずは正しい知識を得る。それが今後の生活の方針を納得して選び、前向きになる支えになると考えた。

 番場さんらがいま懸念するのは、5年にわたる苦悩と克服の歩みが、被災地の「外」に伝わらず、認識のギャップが広がっていることだ。

 「福島県では外出時にマスクは必要か」「福島産の米は食べられるのか」。県外から、そんな質問が今も続く。

 空間線量や体内の被曝(ひばく)の継続的な測定、食材の全量検査、除染作業などさまざまな努力を重ねた結果、安全が確かめられたものは少なくない。だが、そうした正常化された部分は、県外になかなか伝わらない。

 郡山市に住む母親は昨年、県外の反原発活動家を名乗る男性から「子供が病気になる」と非難された。原発への否定を無頓着に福島への忌避に重ねる口調に落胆した。「まだこんなことが続くのか」

 ■「言葉」を探す高校生
 時がたてば、被災地とほかとの間に意識の違いが生じるのは仕方のないことでもある。

 だが、災害に強い社会を築くには、その溝を埋める不断の努力が欠かせない。いま苦境と闘う人と、そうでない人とは、いつ立場が変わるかも知れない。

 福島の人びとが「この5年」を外に知ってほしいと思うのは、原発事故がもたらす分断の実相と克服の努力を全国の教訓として共有すべきだと考えるからでもある。

 模索は続いている。

 福島県広野町に昨春開校した県立ふたば未来学園高校では必修科目に演劇を組み入れる。

 指導する劇作家の平田オリザ氏が生徒たちに課したのは、「立場の違いによるすれ違いや解決できない課題をそのまま表現する」こと。

 授業の冒頭、平田氏は言う。「言っとくけど、福島や君たちのことなんて世界の誰も理解なんてしてないからね」

 関心のない人に、どうやったら自分の思いが伝わるか。それは同時に、自分が他者の思いを想像できているかを自問することにもなる。

 番場さんは、福島担当の東電役員を招いた勉強会も始めた。事故を起こした東電とあえて交流するのは、最後まで福島の再生に努める責任を負っている相手のことを知るためだ。

 この世は、「心は一つ」ではない。歴史をみれば、分断はいくつも存在した。原爆に苦しんだ広島と長崎、水俣病など公害に侵された町、過大な米軍基地を押しつけられた沖縄――。

 重い痛みを背負い、他者との意識差に傷つき悩みながら闘ってきた全国の地域がある。いま、そうした地域と福島とで交流する催しが増えている。

 ■伝わらないことから
 住む場所も考える問題も違う人間同士が「つながる」ためには、「互いにわからない」ことから出発し、対話を重ねていくしかない。

 「伝えたい気持ちは、伝わらない経験があって初めて生まれる。その点で、震災と助け合いと分断とを経験した被災地の子どもたちには、復興を担い、世の中を切りひらく潜在的な力がある」と平田氏は言う。

 被災地からの発信を一人ひとりが受け止め、返していくことから、もう一度始めたい。


  社説:大震災から5年 福島の現実 向き合い、そして前へ
2016年3月11日 毎日新聞

 日本中が震えたあの日から5年を迎えた。地震と津波による死者・行方不明者は1万8000人を超える。今も約17万4000人が避難生活を余儀なくされている。復興はまだ途上である。国を挙げて被災地の支援を続けたい。

 とりわけ、原発事故に見舞われた福島の現状は厳しい。原子力災害からの復旧のめどは立たず、古里を追われた人は全都道府県に散り散りになっている。2000人を超える震災関連死は、被災各県の中で突出している。心と体への重い負担が現在進行形で続いているのが現状だ。

被害の全体像なお不明
 除染後の廃棄物が詰まった大きな黒い袋が日々、山のように積み重ねられていく。福島の被災地のあちこちでみられる光景だ。

 どれだけの土地がどれほどの放射能で汚染され、被害回復はどんなかたちで図れるのか。避難した人たちは将来的に古里に戻れるのか。

 その問いに答えるには、放射能汚染の実態と、今も続く被害を正確に把握しなければならない。

 福島と真剣に向き合い、共に前へ進んでいくことこそ、いま求められていることだろう。

 原発事故については、政府の事故調査・検証委員会のほか、国会や民間の事故調査委員会などが、事故の経緯を検証し、報告書をまとめた。だが、原子力災害による被害に焦点を当てた政府の総括的な調査や検証はいまだ不十分だ。一定のデータの蓄積はあっても、体系化された記録は残されていない。

 福島大の小山良太教授は「原子力災害の政府報告書がないことは、事故の総括がまだされていないということだ」と指摘する。

 具体的には、避難状況や土壌などの汚染実態の把握、健康調査、農産物の検査結果などの現状分析、放射線対策への取り組みと、それに対する評価が必要だと説く。

 中でも、県内外で避難を続けている約10万人の詳細な状況調査は欠かせないのではないか。移住を決めた人が増えているが、将来を見通せない人はなお多い。

 自主避難者を含め、どんな困難に直面しているのか。その現実を把握して初めて個々の人に寄り添った選択肢の提示が可能になるはずだ。

 たとえば、チェルノブイリ原発事故を起こした旧ソ連のウクライナと隣国ベラルーシは事故後、5年に1度、詳細な報告書を作成している。

 ウクライナの報告書には、放射能汚染の動向や住民の健康状態、経済的影響といった項目が並ぶ。政府が責任を持って報告書を公表する姿勢は評価できるだろう。

 本来、被害の実態が明らかになって初めて復興の過程が描ける。回復すべき損害の範囲も見えてくる。現在はその出発点があいまいなまま、復興政策が独り歩きしている。

 品質に定評があった福島の米は、全量全袋検査で安全性が担保されるが、震災前の評価に戻っていない。風評被害でブランドイメージが損なわれ、流通の段階で価格が安く抑えられる構図が定着してしまった。だが、そうした構造的な問題は、賠償には反映されない。農業政策の見直しにもつながっていない。

「福島白書」の作成を
 住民への賠償問題がこじれているのも根っこは同じだろう。各地の地裁に起こされた集団訴訟の原告はいまや1万2000人以上だ。政府が決めた指針と賠償の枠組みが、被災者の感じる被害の実態とかけ離れているのだろう。

 この現状をどう見るか。国会事故調で委員長を務めた黒川清・政策研究大学院大客員教授が先週、日本記者クラブで会見し、こう述べた。

 「何をするにも誰が責任者かはっきりしない。リーダーの無責任という日本社会の現実が、ご都合主義のごまかしの対応を生み、国際社会の信頼を失っている」

 この国の根幹にかかわる指摘だ。今後の5年を、これまでと同じスタンスで歩んではならない。地に足をつけた政策が求められる。その礎とするために、原子力災害による被害を真っ正面から見据えた年次の「福島白書」の作成に国を挙げて取り組むべき時ではないか。

 そして、作成に責任を持つことこそ政治の役割だ。

 省庁のタテ割りというしがらみにとらわれないためには、国会事故調のようなかたちで、国会が主導するのも一案だ。検討してもらいたい。

 福島の被災地でも、少しずつ復興のきざしが見え始めている。

 南相馬市の小高区について、政府は来月の避難指示解除を打診した。生活インフラは不十分で、帰還をめぐる住民の意見も割れる。それでも、一時帰宅者が増え、真っ暗だった夜間の住宅街に、ぽつりぽつりと明かりがともり始めたと住民は語る。

 古里を取り戻すまでの道のりは遠いが、未来に向けこの明かりを確かなものにしなければならない。国民の支えがその原動力になるだろう。



  社説:故きを温ね次に備える 3・11から5年  
2016年3月11日 中新聞

 巨大地震の恐怖に向き合わねばならぬことは、日本列島に暮らすわたしたちの宿命である。東日本大震災の教訓を風化させず、次に備えねばならない。

 渥美半島の先端近く、太平洋に面する愛知県田原市の堀切地区に「かいがらぼた」と呼ばれる江戸時代の盛り土が残っている。

 海岸沿いに二・五キロほど、高さは地面から三メートル程度。頂上部分で海抜十メートルほどになるという。

 一八五四年の安政東海地震で大きな津波被害を受けた後、先人たちが土砂と一緒に貝殻を積み上げて築いたと伝えられる。今でいうところの防潮堤である。

先人が残したもの
 草木に覆われ、海岸の風景に溶け込む何げない盛り土だが、確かに浸水抑制に効果のあることが近年、科学的に示された。

 田原市が二〇一二年に行った東海・東南海・南海の三連動地震が起きた場合の被害想定調査では、堀切地区は津波による浸水がないと予測された。ところが、かいがらぼたを除去した地形データを使ったシミュレーションでは、安政東海地震の時と同じように浸水するという結果が出たのである。

 もちろん、もっと規模の大きな地震を想定すれば、かいがらぼたで津波を食い止めることはできない。だからといって、先人の遺産を軽視することはできないのである。

 かいがらぼたの存在は、そこが津波被害に遭った場所であることを目に見える形で教えている。それは、心の準備につながる。その地区の子どもたちは大震災後、揺れたら一キロほど先の高台まで全力で走る訓練を繰り返してもきた。

 いざというとき、一人一人が自分の命を守る基本動作ができるかどうか。東日本大震災で再確認した最も大事な教訓である。

 そこでは何が起きうるのか。まずは、災害の痕跡が発するメッセージに謙虚に耳を傾けよう。

繰り返す南海トラフ
 東日本大震災の大津波は仙台平野を奥深くまで襲い、思ってもみなかった場所にまで大きな被害をもたらした。想定外だったと言っていいのだろうか。


 海岸から四キロ入った所でも、地面を掘り返せば砂が出る。それが貞観地震(八六九年)の津波で運ばれた砂であることも分かっていた。つまり、その一帯がかつて大津波に襲われた場所であることは分かっていたのである。

 災害の痕跡を軽視していたことが福島第一原発事故にまでつながったことを忘れてはならない。

 大地に刻まれた災害の痕跡、文献に残る記録から列島の宿命として警戒しなければならないのが東海・東南海・南海の三連動地震、南海トラフ巨大地震である。

 「日本書紀」に記録が残る白鳳地震(六八四年)以降だけでも駿河湾から四国沖を震源とする巨大地震は九回も起きている。

 最後に起きたのは一九四四年の昭和東南海地震と四六年の昭和南海地震。これまでの知見から、次がいつ起きてもおかしくないと覚悟しなくてはならない。

 どんな被害が予想されるか。
 これまでの大地震の経験から、地震の被害は、場所によって形態が大きく変わることが分かる。

 例えば、九五年の阪神大震災では建物被害で多くの犠牲者が出たが、東日本大震災は津波被害が突出した。あるいは東日本大震災でも、東京湾岸では液状化による被害が大きくなった。

 同じ津波でも、東日本大震災よりも震源が近い南海トラフ地震な

ら、到達時間は早くなろう。津波到達より前に河川の堤防が崩れて浸水する恐れもある。

 地震史は、つまり、予断を持ってはいけないと教えている。

 東日本大震災では、津波を封じ込めるべく造られた新しい防潮堤が破壊され、古い防潮堤が持ちこたえた事例も知られる。防潮堤が高い場所ほど逃げ遅れの犠牲が目立つという傾向も見られた。

 物だけでは守れない。行動を忘れるな、ということだろう。

 国土交通省東北地方整備局の防災ヘリコプターは地震発生直後、乗員が機転を利かして格納庫の壊れたシャッターを切断し、仙台空港が津波にのみ込まれる前に離陸できたことで脚光を浴びた。同整備局が後にまとめた「災害初動期指揮心得」には「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった」とある。最後にものをいうのは、一人一人の状況判断と応用力、ということである。

史実には謙虚に
 温故知新という通り、地震対策も、故(ふる)きを温(たず)ねて次に備えることが欠かせない。心構えに必要な教訓は歴史の中から、五年前のつらい経験の中からいくつでも見つけ出すことができるはずである。

 何が起きうるのか。史実を謙虚に見詰め、その日に備えよう。



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各紙の社説:高浜原発に停止命令 フクシマを繰り返すな/なし崩し的な再稼働へ警鐘/

2016-03-10 17:36:17 | 地震・原発・災害
昨日の、再稼働した高浜原発3、4号機の運転の可否をめぐる
仮処分決定のニュースの続きです。

今朝の新聞各紙は、こぞって「高浜原発に停止命令」のことを取り上げています。
購読している中日、朝日、毎日と、被災現地の河北新報の社説を紹介します。

明日3月11日、東日本大震災と福島原発事故から5年を迎えます。
この裁判所の決定は、まだ5年前の事故は何も解決していないこと、
安全性の検証もせずに再稼働を急いだ体制側に対して、
明確にノーを突きつけたものです。

  社説:高浜原発に停止命令 フクシマを繰り返すな
2016年3月10日 中日新聞

 稼働中の原発を司法が初めて止める。関西電力高浜3、4号機の安全性は不十分だからと。国民の命を守る司法からの重いメッセージと受け止めたい。

 3・11から五年を前に、司法の良識を見たようである。住民の安堵(あんど)の声も聞こえてくるようだ。

 3・11後、再稼働した原発の運転の可否をめぐる初めての司法判断は、原発は「危険」と断じただけでなく、事故時の避難計画策定も十分でないままに、原発の再稼働を「是」とした原子力規制委員会の「合理性」にも、「ノー」を突きつけた。

よみがえった人格権
 大津地裁の決定は、高浜原発3、4号機が、そもそも危険な存在だという前提に立つ。

 その上で、最大の争点とされた基準地震動(耐震設計の目安となる最大の揺れ)に危惧すべき点があり、津波対策や避難計画についても疑問が残るとし、住民の「人格権」が侵害される恐れが高い、と判断した。

 昨年暮れ、福井地裁が危険性は「社会通念上無視し得る程度まで管理されている」と切り捨てて、同地裁が下していた両機の運転差し止めの判断を覆したのとは、正反対の考え方だ。

 一昨年の十一月、大津地裁も「避難計画などが定まらない中で、規制委が早急に再稼働を容認するとは考え難く、差し迫る状況にはない」と申し立てを退けていた。

 ところが、規制委は「避難計画は権限外」と、あっさり容認してしまう。

 今回の決定からは、そんな規制委への不信さえうかがえる。危険は現に差し迫っているのである。

 住民の命を守り、不安を解消するために、今何が足りないか。3・11の教訓を踏まえて、大津地裁は具体的に挙げている。

 ▽建屋内の十分な調査を踏まえた福島第一原発事故の原因究明▽事故発生時の責任の所在の明確化▽国家主導の具体的な避難計画▽それを視野に入れた幅広い規制基準-。私たちが懸念してきたことでもある。

 県外住民からの訴えを認めたことで、原発の“地元”を立地地域に限定してきた電力会社や政府の方針も明確に否定した。

 そして、その上で言い切った。

 「原子力発電所による発電がいかに効率的であり、コスト面では経済上優位であるとしても、その環境破壊の及ぶ範囲は我が国さえも越えてしまう可能性さえある。単に発電の効率性をもって、これらの甚大な災禍と引き換えにすべき事情であるとは言い難い」

過酷事故が具体論へと
 効率より安全、経済より命-。憲法が保障する人格権に基づいて住民を守るという基本への回帰。司法の常識が働いた。

 五年前、東日本大震災による福島第一原発の事故が起きる前まで、司法は原発事故と真剣に向き合っていたといえるだろうか。「起きるはずがない」という安全神話に司法まで染まっていたのではないだろうか。

 震災前までは多くの原発訴訟の中で、二〇〇三年のもんじゅ訴訟控訴審(名古屋高裁金沢支部)と〇六年の志賀原発訴訟一審(金沢地裁)の二つの判決以外は、すべて原告が負け続けていた。

 この二つの判決も上級審で取り消され、原告敗訴に終わっている。原発差し止め-という確定判決は一つも存在しなかった。

 ただ、「レベル7」という福島原発の事故を目の当たりにして、司法界でも過酷事故は抽象論から具体論へと変質したはずだ。

 司法は原発問題で大きな存在だ。経済性よりも国民の命を守ることの方が優先されるべきなのは言うまでもない。司法が国民を救えるか-。

 その大きな視点で今後の裁判は行われてほしい。

 現に動いている原発を止める-。重い判断だ。しかし、国会、行政とともに三権のうちにあって、憲法のいう人格権、人間の安全を述べるのは司法の責務にちがいない。

 繰り返そう。命は重い。危険が差し迫っているのなら、それは断固、止めるべきである。

規制委は変われるか
 対策も不十分なままに、四十年を超える老朽原発の再稼働が認められたり、再稼働の条件であるはずの免震施設を建設する約束が反故(ほご)にされてしまったり、規制委の審査にパスした当の高浜4号機が、再稼働直前にトラブルを起こしたり…。

 再稼働が進むのに比例して、住民の不安は増している。

 規制委は、司法の重い判断を受け止めて、審査の在り方を大きく見直すべきだ。

 政府は福島の現状も直視して、再稼働ありきの姿勢を根本から改めるべきである。


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  社説:原発事故から5年 許されぬ安全神話の復活 
2016年3月10日 朝日新聞

 できるだけ早く原子力発電に頼らない社会を実現すべきだ。

 東日本大震災と福島第一原発の事故が起きてから、明日で5年になる。私たちは社説で改めて、「原発ゼロ社会」の実現を訴えていく。

 大津地裁はきのう、関西電力高浜3、4号機(福井県)の運転を差し止める仮処分決定を出した。稼働中の原発を司法が止めるのは初めてのことだ。

 安倍政権は、福島の原発事故の教訓をできる限り生かしたとは到底言えない。原発政策を震災前に押し戻し、再稼働へ突き進もうとしている。

 今回の地裁の判断は、なし崩しの再稼働に対する国民の不安に沿ったものでもある。安倍政権は、原発事故がもたらした社会の変化に真摯(しんし)に向き合い、エネルギー政策の大きな転換へと動くべきである。

 ■新基準にも疑問
 高浜をめぐっては昨年4月にも福井地裁が再稼働を禁じる仮処分決定を出した。

 約8カ月後に別の裁判長が取り消したとはいえ、原子力規制委員会が「新規制基準に適合している」と判断した原発の安全性が2度にわたり否定された。

 昨年4月の際、原発推進の立場からは「特異な裁判長による特異な判断」との批判もあったが、もはやそんなとらえ方をするわけにはいかない。

 今回の決定は、事故を振り返り、環境破壊は国を超える可能性さえあるとし、「単に発電の効率性をもって、甚大な災禍とひきかえにすべきだとは言い難い」と述べた。

 そのうえで事故原因の究明について関電や規制委の姿勢は不十分と批判。規制委の許可がただちに社会の安心の基礎となるとは考えられないと断じた。

 新たな規制基準を満たしたとしても、それだけで原発の安全性が確保されるわけではない。その司法判断の意味は重い。

 安倍政権は「規制委の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりない」(菅官房長官)としている。だが、事故後の安全規制の仕組み全般について、司法が根源的な疑問を呈した意味をよく考えるべきだ。

 ■問われる避難計画
 朝日新聞は2011年7月に社説で「原発ゼロ社会」を提言した。当面どうしても必要な原発の稼働は認めるものの、危険度の高い原発や古い原発から閉めて20~30年後をめどにすべて廃炉にするという考えだ。

 実際にはこの5年のうち約2年1カ月は国内の原発がすべて止まっていた。当初心配された深刻な電力不足や経済の大混乱は起きず、「どうしても必要な原発」はさほど多くないことがわかった。再稼働の条件は厳しく設定すべきである。

 原発の即時全面停止や依存度低減といった脱原発を求める世論が高まり、先月の朝日新聞の世論調査でも過半数が再稼働に反対している。

 安倍政権は当初は「原発依存度の低減」を掲げたが、徐々に新たな「安全神話」を思わせる言動が目立っている。

 安倍首相は13年、東京五輪招致で原発の汚染水状況を「アンダーコントロール(管理下にある)」と世界にアピールした。規制委の新基準についても国会で「世界一厳しい」と持ち上げた。だが、今回の地裁決定は、その基準も再稼働の十分条件ではないとの判断を示した。

 さらに避難計画の不備はかねて懸念の的だった。新基準に避難計画は入っておらず、規制委の審査対象になっていない。

 高浜の場合、福井、京都、滋賀の3府県にまたがる約18万人が避難を余儀なくされるが、再稼働前に計画の実効性を確かめる訓練も実施されなかった。

 地裁は「避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準をつくる義務が国家にあるのではないか」と投げかけた。政府がただちに答えるべき問いだ。

  社説:高浜差し止め 政府も重く受け止めよ
毎日新聞 2016年3月10日

 東京電力福島第1原発事故から5年の節目を迎えるのを前に、原発に対して高度な安全性を求める司法判断が再び示された。

 今年1月と2月に相次いで再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県)について、大津地裁が運転差し止めを命じる仮処分決定を出した。決定の効力は直ちに生じるため、関電は運転の停止作業に入る。今後の裁判手続きで決定の取り消しや変更がない限り、再開できない。

 福島の事故後、原発の運転を差し止める仮処分命令は、昨年4月に福井地裁が同じく高浜3、4号機に対して出して以来2例目。運転中の原発停止を命じたのは初めてだ。政府と電力会社は、なし崩し的な再稼働の動きに対する司法からの重い警告と受け止めるべきだ。

 高浜3、4号機は新規制基準に基づく原子力規制委員会の安全審査に合格した。今回の決定は、新基準自体に合理性がないとまでは述べていない。しかし、合格したとしても、それだけで安全性を保証したものとは言えないという考えを示した。

 その背景には福島原発事故の原因究明が不十分との認識がある。規制委がその不十分性を容認しているのであれば「新基準にも不安を覚える」と指摘した。その上で、具体的な疑問に対し、電力会社による明確な説明や証明がなければならないと事実上の立証責任を負わせた。

 さらに決定は、過酷事故の際に、住民の避難計画の策定が再稼働の重要な条件となるという見解も示した。地元自治体ではなく、国が主導して「具体的で可視的な」計画を早急に策定する必要があると述べた。

 現在、避難計画は安全審査の対象外になっている。このため、国に対し、避難計画を含めた幅広い規制基準の策定を求めるとともに、福島原発事故を経験した今、そういう基準策定の「信義則上の義務」は国にあると言い切った。

 事故が起きれば、住民は府県境を越えて広域避難する。計画の実効性を高めるには訓練が必要だが、高浜3、4号機は福井県内での防災訓練を実施しただけで再稼働した。

 毎日新聞は、避難計画の策定や訓練など事故時の対応が再稼働の条件と主張してきた。今回の決定はこうした考えに沿ったものだ。今後の安全審査にも生かしたい。

 規制委は稼働から40年を超す高浜1、2号機についても事実上の合格証をまとめた。だが、より新しい3、4号機が差し止められたことを考えると、関電は1、2号機についても厳しい局面に立たされるだろう。

 福島原発事故の総括をあいまいにしたまま原発回帰を進めようとする政府に再考を求める決定でもある。  


  社説:高浜原発運転差し止め/なし崩し的な再稼働へ警鐘
河北新報 2016年3月10日

 運転中の関西電力高浜原発3号機、再稼働直後のトラブルで停止中の4号機(ともに福井県高浜町)について、大津地裁がきのう、運転を差し止める仮処分決定を出した。
 関電は速やかに不服を申し立てるとのコメントを発表。確定までさらに時間を要することになるが、司法判断で稼働中の原発が止まるのは全国初。原子力規制委員会の新規制基準への適合性審査に合格し再稼働した原発の運転を禁じたのも初めてだ。
 高浜原発から約70キロも離れた隣接の滋賀県の住民が申し立てた仮処分を認めた点も注目される。再稼働を進める政府のエネルギー政策や、再稼働を前提とする電力会社の経営戦略への影響は避けられないだろう。
 3、4号機の運転差し止めをめぐっては、二転三転の特異な経過をたどった。
 大津地裁が2014年に申し立てを却下した。福井地裁が同年、再稼働を認めない仮処分を決定したが、福井地裁が15年、決定を取り消し、そして今回、大津地裁が運転差し止めの仮処分を決定した。
 上級審で覆るなどして、差し止めが「確定」したケースはないが、東京電力福島第1原発の過酷事故後、地裁段階で複数の裁判官が運転差し止めを認めた事実は軽くない。司法判断が揺れ、今後相次ぐ可能性も否定できまい。
 安全神話がもろくも崩れた福島の事故を受け、安全性の確保に懸念が生じ、「世界一厳しい」と称する新たな規制基準に適合しても、安全性の「お墨付き」と評価しきれない司法の認識を示すと受け止めるべきだ。
 今回の大津地裁は「福島の事故を踏まえた過酷事故についての設計思想や外部電源に依拠する緊急時対応、耐震基準策定に問題点があり、津波対策や避難計画に疑問が残る」と判断した。
 差し止めの決定理由は詳細で、根本的な課題を突き付けられた政府や関電の衝撃は小さくないに違いない。
 今回の裁判長は前回、「再稼働は迫っておらず必要はない」と差し止めの申し立てを却下した。同じ裁判長が再稼働後の今回は運転に「否」の判断を示しており、その真意にも目を凝らす必要がある。
 福島の事故について、原因などの解明が尽くされていない中で、誰が安全性を保証し、不幸にして事故が発生した場合、誰が責任を負うのか。多くの点で曖昧なままだ。
 新規制基準ができても事故ゼロを担保するものではなく、万一に備える避難については、規制委の審査対象にもなっていない。
 各種世論調査で早期の原発再稼働に否定的な見方が多い。そうした中、4号機は再稼働直後のトラブルで原子炉が緊急停止。国民の信頼回復がまた遠のく状況にもある。
 不安を置き去りにして、原発を再稼働しても順調な進展は望み難い。
 福島の事故から5年。今回の司法判断は、なし崩し的に原発回帰に動く政府や電力会社に対する「拙速」の戒めだろう。司法の問題提起に真(しん)摯(し)に向き合い、まずは安全と信頼のレベル向上に努めるべきだ。 


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原発事故起訴へ やはり「人災」でないか/フクシマで考える<上><中><下>/村上隆の五百羅漢図展

2016-02-28 21:20:28 | 地震・原発・災害
先日、東京に行ったとき、上野さんに「是非見てきたら」とすすめられて、
六本木の森美術館で開催されている
「村上隆の五百羅漢図展」を見てきました。

長さ25メートルの絵は圧巻で、とても感動しました。

写真撮影OKだったので、代表的な4枚と未来永劫図を紹介します。













村上隆の五百羅漢図展

「村上隆の五百羅漢図展」は、今度の日曜日3月6日まで。
まだ観ていない人、必見の価値あり、です。

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中日新聞の社説で、今日まで三日間連載していた
「フクシマで考える」<上><中><下>。

原発事故からたった5年なのに、
何ひとつ問題は解決していないのに、
もう被害を受けた人たちのことなど忘れたように、
原発が再稼働されようとしている。

「私たちはどこへ向かう」という問いが重い。

  社説:原発事故起訴へ やはり「人災」でないか  
2016年2月27日 中日新聞

 福島第一原発事故は東京電力が津波対策を怠ったためだ-。検察官役の弁護士が元会長らを近く強制起訴する。想定外の事故ではなく、「人災」ではないか、公の裁判で真相に迫ってほしい。

 大地震と大津波という自然現象に伴う原発事故ではあった。自然現象に不確実性はあるものの、原発事故という大災害が起こり得るケースに対しては、「万が一」という細心の注意が必要で、できる限りの十分な措置も事前に講じておかねばならない。

 検察庁が東電元会長ら三人の幹部に対して、「不起訴」という立場をとったため、市民による検察審査会が検討した。その結論が「強制起訴」であり、それに基づき検察官役の指定弁護士が二十九日に起訴すると明らかにした。

 確かに大地震の可能性は発信されていた。政府の地震調査研究推進本部の長期評価では二〇〇二年段階で、マグニチュード(M)8・2クラスの津波地震が発生する可能性があるとされた。〇八年の段階では、長期評価を用い、東電側で明治三陸地震をモデルに試算すると、一五・七メートルもの大津波が押し寄せる-。そんな結果も出していた。巨大津波が来れば、原発は水に覆われてしまう。

 そんな重大な指摘があったのに、東電側はまるで時間稼ぎをするかのように土木学会に検討を委ね、対策を先送りしていた。国側に試算の報告をしたのは、東日本大震災の直前になってからだ。

 〇六年段階でも、津波によって非常用海水ポンプが機能を失い、炉心損傷に至る危険性があることや、全電源喪失の危険性があることも分かっていた。なぜ必要な対策をとらなかったのか。

 国際原子力機関(IAEA)の報告書では「『日本の原発は安全』との思い込みにより、関係機関には、安全レベル(向上)に挑もうとしない傾向があった」と明確に記している。

 原発運転では核分裂を伴う以上、機器の故障や運転ミスだけではなく、あらゆる過酷な状況を想定しておくべきなのだ。IAEAの報告書はそのような観点にたっている。東電はまさに「安全だ」という思い込みに陥っていたのか。それとも組織的怠慢だったか。

 刑事裁判が開かれることで当時の幹部らが原発事故とどう向き合っていたのか、肉声を聞くことができる。「レベル7」の最悪事態を招いた根本原因を突き止める裁判でありたい。


 社説:フクシマで考える<上> 声なき声が叫んでいる
2016年2月26日 中日新聞

 ふるさとに帰る人を待つように花が揺れていた。

 福島第一原発事故がもたらした放射能汚染で住民の避難が続く福島県南相馬市小高区。国が今春にも避難指示を解除しようとしている。二月半ば、JR常磐線の小高駅前では工事の音が響いていた。

 住宅の解体や改修、復興公営住宅の建設、除染…。住民帰還に先立ち、理容店や食品雑貨店など数軒が営業しているが、どのぐらいの人が戻ってくるのだろう。

 市の意向調査では約千人。震災前の一割、高齢者が多い。駅前の放射線量は持参した測定器では〇・一マイクロシーベルトと東京都内に比べてやや高めにとどまるが、線量の高い周囲の山などは除染できないことを知っているからだ。

 町に戻る人は何を思っているのか。駅前で「双葉屋旅館」を再開する小林岳紀さん(67)は「若い人の働く場がない。年寄りは最後の死に場所を求めて帰ってきても、十年後は限界集落になるんだろうね」。それでも妻の友子さん(63)は町に花を植える。少しでも明るくしたい一心で。

 戻った住民が再び集まる交流の場をつくろうとしている女性は言う。「みんながほっとできる場を提供したい。ただ…若い人や子どもは心配ですよね」。一人の人間の中に引き裂かれた思いが同居する。多くは声を上げられず思いをしまい込んでいる。

 東京五輪開催を目指す政府は二〇一七年三月までに、原発周辺の帰還困難区域を除く全区域を避難解除にする方針だ。だが、解除目安の被ばく線量を年間最大二〇ミリシーベルトまで緩和するなど、政策は被災者本位になっていない。

 小高駅前など県内各地のモニタリングポストが「線量が下がった」ことなどを理由に作動を止められている=写真。「誰のための情報か。状況を正しく知りたいんだ」と小林さんは憤る。住民は目隠しされることを望んでいない。小さな声として押しつぶしてはならない。 (佐藤直子) 


  社説:フクシマで考える<中> 起きた事実を見つめよ
2016年2月27日 中日新聞

 福島原発から北西に十四キロ、避難指示で居住制限区域とされた福島県南相馬市小高区と浪江町にまたがる「希望の牧場ふくしま」。牛が草をはんでいる=写真。

 五年前の原発事故直後、畜産農家の吉沢正巳さん(61)は、放射線被ばくした三百二十頭の黒毛和牛を殺処分するよう政府から求められた。悩んだ末に、生かすことを選んだ。なぜなのか。

 「被ばく牛は原発事故の生き証人。処分すれば証拠は消え、事故はなかったことにされる」

 経済動物としての意味を失っても、放射能汚染の検証に役立てようとした吉沢さんの判断は正しかったようだ。一年後、約二十頭の体に白い斑点が出た。水素爆発の時に放出されたセシウムが体内から検出された。原発に近い大熊町の牧場でも、五十頭の牛のうち十頭に斑点が出ている。

 長い畜産生活で初めて見る。この異常が被ばくと関係があると考え、農林水産省に調査を求めたが「原因は不明」。今も国立大の研究チームが牛の血液を採取したり、首輪につけた計器で放射線量を測定したりしているが、吉沢さんには解明に消極的だとも映る。

 「いつまで生かしておくんだ」と、同業者の非難めいた声も聞こえてくる。吉沢さんには言いたくなる気持ちが分かるのだという。原発事故は牛を殺処分した者と、しなかった者と、命を扱う仲間をも分断してしまったのだ。

 被災地の内外で原発事故の記憶の風化が進む。被ばく牛は復興の邪魔者ではない。事実を見つめよと、人間たちに問いかける生き物たちの象徴ではないか。

 子どもたちの間では甲状腺がんが増えているが、県の調査班は放射能の影響を否定するばかりだ。原発のちりは広い範囲に降った。原因の究明は進むのか、将来への不安を声にも出せず苦しんでいる子どもは各地にいる。

 放射能汚染が生命にもたらす影響はまともに調査されているとはいえない。そんな状況で原発再稼働は進んでいる。逆戻りさせてはならない。起きた事実と向き合うのは将来の世代に対する大人たちの責任である。 (佐藤直子) 


  社説:フクシマで考える<下> 私たちはどこへ向かう 
2016年2月28日 中日新聞

 中国の旧正月、春節を祝うギョーザが食卓に並んだ。雪が舞った二月、福島市内の仮設住宅に左官業の中野敏信さん(72)=写真=を訪ねた。四畳半二間。薄いサッシ窓が曇る。中国東北部出身の妻(49)が「今日は寒いね」と首をすくめた。

 原発事故の前年に結婚した夫妻は敏信さんの郷里、浪江町で暮らしていた。だが事故で土地を追われ、一時は中国にも避難した。

 二〇一七年三月までに、放射線量が高い「帰還困難区域」を除く全地域で避難指示の解除が計画されている。全町避難が続く浪江町も対象だが帰還希望者は少ない。

 中野さんも、資材が置ける一戸建てを郷里に近い南相馬市やいわき市に考えているが、移住者が殺到し地価が跳ね上がった。手元資金では足りず、毎日早朝から約七十キロ離れた南相馬市の建設現場に通っていたが、三カ月前に足を痛めて働けなくなった。「原発事故がなければ、古い家でもそれなりに暮らせたのに。生活の立て直しはそんな簡単なものではねえな」

 避難指示が解除されれば一年後には賠償も打ち切られる。解除の後も被ばくの影響を心配し、避難先に残る人々はすべて「自主避難者」となっていく。

 福島県が自主避難を続ける人に行う住宅の無償提供は、一七年三月に打ち切られる予定だ。南相馬市から神奈川県に避難し、被害の完全賠償を求める集団訴訟で原告になった山田俊子さん(75)は言う。「私たちも本当は帰りたい。でも…。住まいという生活基盤を奪うのは、被ばくを避ける権利の侵害ではないでしょうか」

 「避難の選択」は震災翌年に成立した子ども・被災者支援法で認められているが、政府は柱の政策を骨抜きにしようとする。

 「俺たちはどこに向かっていくのか、羅針盤がほしい」と中野さんは言う。未曽有の原発災害を起こした責任は国と東電にある。その原点に返り、苦境に立つ避難者を切り捨てるようなことをせず、救済と、長くかかる生活再建を支えていくべきだ。 (佐藤直子)


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<原発事故>炉心溶融 判定基準見過ごす/メルトダウン判断 3日後には可能だった

2016-02-26 10:18:57 | 地震・原発・災害
一昨日、東京電力が、
「福島第一原子力発電所の事故発生後3日目にメルトダウン(炉心溶融)と判断できていた」
という衝撃的なニューズがかけめぐりました。

わたしは、原発事故から早い時期に「メルトダウンだ」と確信していたので、
このニュースにはおどろきませんが、
東京電力は、「メルトダウンだと知らなかった」のではなく、
「メルトダウンだと知っていて隠した」罪は重大といきどおっています。

忘れないように、関連のニュースと、
事故直後からのわたしのブログの記事を紹介します。

  メルトダウン判断 3日後には可能だった
2016.2.24 NHK

東京電力は、福島第一原子力発電所の事故発生から2か月たって、核燃料が溶け落ちる、メルトダウンが起きたことをようやく認め大きな批判を浴びましたが、当時の社内のマニュアルでは事故発生から3日後にはメルトダウンと判断できたことを明らかにし、事故時の広報の在り方が改めて問われそうです。

福島第一原発の事故では1号機から3号機までの3基で原子炉の核燃料が溶け落ちるメルトダウン=炉心溶融が起きましたが、東京電力はメルトダウンとは明言せず、正式に認めたのは発生から2か月後の5月でした。
これについて東京電力はこれまで、「メルトダウンを判断する根拠がなかった」と説明していましたが、事故を検証している新潟県の技術委員会の申し入れを受けて調査した結果、社内のマニュアルには炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定すると明記されていたことが分かりました。
実際、事故発生から3日後の3月14日の朝にはセンサーが回復した結果、1号機で燃料損傷の割合が55%、3号機では30%にそれぞれ達していたことが分かっていて、この時点でメルトダウンが起きたと判断できたことになります。
東京電力は事故後にマニュアルを見直し、現在は核燃料の損傷が5%に達する前でもメルトダウンが起きたと判断すれば直ちに公表するとしていますが、事故から5年近くたって新たな問題点が明らかになったことで、当時の広報の在り方が改めて問われそうです。

メルトダウン認めるまでの経緯
今回の発表や政府の事故調査・検証委員会の報告書などによりますと、東京電力は福島第一原発の事故発生から3日後の3月14日に核燃料の損傷の割合が1号機で55%、3号機が30%に達していることを把握しました。さらに翌日の15日には損傷の割合について1号機で70%、2号機で30%、3号機で25%と公表しますが、原子炉の核燃料が溶けているのではないかという報道陣の質問に対して「炉心溶融」や「メルトダウン」とは明言せず、「炉心損傷」という表現を使います。
一方、当時の原子力安全・保安院は、事故発生の翌日の12日の午後の記者会見で、「炉心溶融の可能性がある。炉心溶融がほぼ進んでいるのではないだろうか」と発言していました。ところが、その日の夜の会見では担当者が代わり、「炉心が破損しているということはかなり高い確率だと思いますが状況がどういうふうになっているかということは現状では正確にはわからない」と内容が大きく変わります。
さらに翌月の4月には、当時の海江田経済産業大臣の指示でことばの定義付けを行ったうえで、1号機から3号機の原子炉の状態について「燃料ペレットの溶融」とふたたび表現を変えます。
その後、事故から2か月たった5月になって、東京電力は解析の結果として1号機から3号機まででメルトダウンが起きていたことを正式に認めました。

社員「炉心溶融 なるべく使わないようにしていた」
メルトダウン=炉心溶融を巡っては、東京電力の社員が、政府の事故調査・検証委員会の聞き取りに対し、「炉心溶融」ということばを使うことに消極的だった当時の状況を証言しています。公開された証言の記録によりますと、事故当時、東京電力の本店で原子炉内の状態の解析を担当していた社員は、事故から1か月近くたった4月上旬の時点の認識として、「1号機については水位は燃料の半分ほどしか無かったため、上半分は完全に溶けているであろうと考えていた」と述べ、核燃料の一部が溶け落ちていたと見ていたことを明らかにしています。そのうえで、「この頃の当社としては、広報などの場面で炉心溶融ということばをなるべく使わないようにしていたと記憶している」「炉心溶融ということばは正確な定義があるわけではないので、誤解を与えるおそれがあるから使わないと言った考えを聞いた覚えがある」と証言しています。

福島・楢葉町の住民「憤りを感じる」
原発事故の避難指示が去年9月に解除され、住民の帰還が始まっている福島県楢葉町の住民が暮らすいわき市にある仮設住宅では、東京電力に対する憤りや不安の声が聞かれました。
今も仮設住宅で避難生活を続けている83歳の男性は、「東京電力はきちんと謝罪をしたのか。憤りを感じます」と話していました。また、72歳の女性は「メルトダウンしたと、本当に分からなかったのか、それとも隠していたのか。今ごろ言われても気分がよくない」と話していました。仮設住宅の自治会長を務める箱崎豊さんは、「楢葉町民が、安全だというお墨付きのもとに帰ろうとしているときに今さらという感じで腹立たしく思う。残念極まりない。企業体質が改めて問われる事態だ」と話していました。

福島・大熊町長「発表が遅れた真意は」
メルトダウンを巡る東京電力の対応について、福島第一原発が立地し、現在も全町民が避難を続ける大熊町の渡辺利綱町長は、「なぜ発表が遅れたのか、率直に考えて疑問に思う。単純なミスとは考えられないし発表までにだいぶ時間がかかっているので、そのあたりの真意も知りたい。最初からメルトダウンと発表されていれば、町民などの反応も違ったと思う。信頼を築く上でも、正確な情報を迅速に伝えてもらうのが大事なので、引き続き対応を求めていきたい」と話していました。

福島県知事「極めて遺憾」
東京電力の、メルトダウンを巡る通報などの対応について、福島県の内堀知事は「3月14日の時点で『炉心溶融』という重要な事象が通報されなかったことは極めて遺憾だ。今後、迅速で正確な通報や連絡が徹底されるよう、改めて強く求めたい」というコメントを出しました。

新潟県知事「隠蔽の背景など明らかに」
新潟県の泉田裕彦知事は、「事故後、5年もの間、このような重要な事実を公表せず、原発の安全対策の検証を続けている県の技術委員会に対しても真摯(しんし)に対応して来なかったことは極めて遺憾。メルトダウンを隠蔽した背景などについて今後の調査で、真実を明らかにしてほしい」というコメントを発表しました。 


●「みどりの一期一会」の記事。
 【緊急】福島第一原発 緊急事態宣言/冷却水が減り燃料棒が露出すると最悪メルトダウンの危険!(2011-03-11 21:16:14 ) 

 【緊急】福島原発で「炉心溶融」の可能性濃厚で事態深刻/核分裂生成物のセシウムを検出(2011-03-12 14:57:03 |) 

 福島第一原発3号機建屋も爆発の恐れ…枝野長官/原発がどんなものか知ってほしい(全)平井憲夫(2011-03-13 16:14:00) 

 【緊急速報】福島第一原発3号機爆発、2号機で燃料棒が完全露出!/チェルノブイリの教訓を生かせ(2011-03-14 20:26:46) 

 福島第1・第2原発事態深刻化 制御不能魔の連鎖/菅首相の国民向けメッセージ(2011-03-15 18:21:29 ) 

 福島原発事故:被ばく、どう予防し、どう対策すれば…/放射線の指針50ミリ・シーベルトなら「避難」(2011-03-16 09:42:42 ) 

 東日本大震災:福島原発事故、専門家に聞く/最悪の事態、制御できるのか(2011-03-17 00:30:44)


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  <原発事故>炉心溶融 判定基準見過ごす 
2016年02月25日 河北新報

 東京電力は24日、福島第1原発事故の状況をめぐり、核燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」が起きていることを事故直後に公表できたにもかかわらず、過小に誤った判断をしていたと発表した。東電は「判定する根拠がなかった」と説明してきたが、炉心溶融を規定するマニュアルが社内に存在していた。
 原発事故では1~3号機で炉心溶融が起きた。東電は事故から2カ月後の2011年5月になって3基の炉心溶融を正式に公表。それまでは、より軽微な「炉心損傷」と説明していた。
 原発事故を検証するため、新潟県の技術委員会が15年2月の会合で、公表遅れの経緯を明らかにするよう求めていた。
 同社の調査で今月、当時の事故対応マニュアルに炉心溶融の判定基準が規定されていることが判明。マニュアルには、炉心損傷割合が5%を超えれば、炉心溶融と判定することが明記されていた。
 東電によると、11年3月14日午前5時すぎ、3号機の原子炉格納容器内の放射線監視装置が回復し、炉心損傷割合が約30%に達していることを把握した。1、2号機も5%を超えていることを確認。基準に従えば、この時点で「炉心溶融」に該当していたものの、地元自治体などへの通報文書に記載はなかった。
 東電は「(早期に)データの持つ意味を解釈し、炉心溶融を公表すべきだった。事故を矮小(わいしょう)化する意図はなく、公表をしないよう外部からの圧力もなかった」と説明。基準を見過ごしていた背景や理由について、第三者を交えた社内調査に乗り出すという。
 福島県の内堀雅雄知事は「炉心溶融という重要な事象が通報されなかったことは極めて遺憾だ。迅速、正確な通報が徹底されるようあらためて強く求めたい」とのコメントを出した。

[炉心溶融と炉心損傷] 原発が運転を止めても燃料は熱を出し続けるため、水で冷やし続ける必要がある。東京電力福島第1原発事故のように注水が不能になった場合、原子炉圧力容器の水位は下がり続け、やがて燃料が露出、熱くなって溶け始める。この状態が「炉心溶融」で、溶けた燃料は重力によって圧力容器の下部へ落ちていく。「メルトダウン」とも呼ばれる。事故当時、原子力安全・保安院は炉心溶融の前段階として、燃料を覆う被覆管が溶ける状態を「炉心損傷」と定義していた。


  社説:炉心溶融 説明は納得できない
朝日新聞 2016年2月26日

 東京電力福島第一原発事故の発生直後、東電が認めようとしなかった「炉心溶融」(メルトダウン)について、実は社内マニュアルに判定基準があり、津波から3日後には判定できていたと自ら発表した。

 記者会見した原子力・立地本部長代理は「(マニュアルは)今月に入って初めて発見した」と語った。

 この経緯と説明には、全く納得できない。

 東電は事故当初、核燃料が傷ついた状態を指す「炉心損傷」と説明した。2カ月以上経った5月末になって、燃料が溶け落ちた炉心溶融と認めた。溶融を認めるのに時間がかかったのは「判断する根拠がなかった」と説明していた。

 この説明は虚偽だった。当時も「炉心溶融を隠し、事故を小さく見せようとした」と疑われたが、そうした疑念を再燃させる経過だ。

 柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田裕彦知事は「隠蔽(いんぺい)した背景や、誰の指示であったか、真実を明らかにしてほしい」と求めている。当然の要求だろう。

 さらに不可解なのが、マニュアルの「発見」である。

 炉心溶融は当時、原子力災害対策特別措置法の緊急事態を示す事象として明記されていた。小さなトラブルでも国に通報すべき事態かどうか気にかけているのに、この基準に思い至らなかったとは考えにくい。

 過酷事故の最中に炉心溶融の有無を直接確認できるわけがない。だからこそ、東電は「炉心損傷が5%を超えたら炉心溶融と判定する」と明確な基準を作っていたのだろう。

 原発で事故が起きれば、詳細なデータは電力会社しか持ち得ない。政府もメディアも、一義的には電力会社からの正確で迅速な情報がなければ、判断や報道を過ちかねない。

 東電が12年にまとめた福島原子力事故調査報告書は「言葉の定義自体が共通認識となっていない炉心溶融の用語ではなく、得られたデータから判断できる範囲で正確に炉心の状況を伝えることに努めていた」とする。事故の総括が十分だったとは言いがたい。

 再稼働問題に絡んで新潟県の技術委員会から求められて調べた結果が「発見」である。

 東電は今後、第三者も交えて経緯を調べるという。

 詳細に調査して責任の所在を明らかにするべきだ。どう再発を防ぐのか、企業体質に問題はないのか。納得できる説明を国民にしなければ、東電の信頼回復の努力は実を結ばない。 


  社説:炉心溶融 不信募らす東電の「発見」
毎日新聞 2016年2月26日

 なぜ今ごろになってこんな重要なことが「発見」されるのか。福島第1原発の過酷事故は、東京電力のマニュアルに照らせば事故から3日後の2011年3月14日の時点で1、3号機は「炉心溶融(メルトダウン)」と判断できていたという。


 実際に東電がメルトダウンを認めたのは2カ月後の5月。それまで「炉心損傷」という言葉は使っていたが「炉心溶融」は正式に認めていなかった。経済産業省の原子力安全・保安院(当時)も「炉心溶融」という言葉を避け「燃料破損」や「炉心損傷」という言葉を多用していた。

 確かに、メルトダウンは定義があいまいな言葉ではある。しかし、「炉心溶融」は原発の緊急事態を政府に通報する際の要件のひとつとなっており、自社の判断基準を知らなかったというのは極めて不自然だ。5年後の「発見」を、単なる「言葉の使い方の問題」で片付けることはできない。

 事故当時、原子炉がどういう状態にあるかは国民にとっても専門家にとっても重大な関心事だった。海外の人々にとっても同じだ。もし、言葉の印象を弱めることで事故を過小に見せようとしていたとするなら隠蔽(いんぺい)であり、東電の信頼性を改めて損なうものだ。

 しかも、マニュアルの中身がなぜ今まで明らかにされなかったのか、疑問は大きい。新潟県に事故の経緯を説明する過程で初めて気づいたというが、これまで政府や国会の事故調査が行われた際にも点検されなかったのか。経緯を明らかにすることが欠かせない。

 東電は「この件で収束作業が遅れたとは考えていない」と述べているが、後付けで言っても説得力がない。「炉心溶融」と公表していなかったことによって、事故対応にあたった人々を危険にさらした恐れはあるし、住民の対応や避難対策に影響した可能性も否定できない。

 専門家の中には「メルトダウンと認めれば国民がパニックを起こす。知らせるメリットはなかった」との見方もあるようだが、筋違いだ。もし、情報隠しを前提としなければ成立しないシステムなら、運用してはならないはずだ。

 平時でも事故時でも情報を隠さず国民に伝えるのは当然のことだ。今回の事故でも情報不足によって放射能の高い地域に避難した人々がいたことを思えば、なおさらだ。

 最悪の事態を想定した上で、国民に情報をどのように伝え、国民をどう守るか。電力会社と政府の責任であり、その準備ができていないなら再稼働は許されない。今回の遅すぎた「発見」を契機に、電力会社も政府も再点検してほしい。


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フクシマは“人災”か 東電元幹部を強制起訴へ/原発事故起訴―新たな検証の機会に

2015-08-01 21:53:30 | 地震・原発・災害
枝垂れ源平花桃の下に咲いている白鹿の子百合。

背が高くなるので、花桃の幹からひもで縛ってあるのですが、

花が咲くにつれて折れまがってきました。
それで今朝、水やりをした時に、
思い切って先の5輪くらいついているところで切って、
赤のグラジオラスといっしょに花瓶に活けました。
 
もう一本の枝垂れ源平花桃の下には、
赤鹿の子百合が咲いています。

ところで、
昨日、検察審査会が福島原発事故で、市民から告訴・告発を受けて、
地検が不起訴にした東電の元会長ら3人を、
「起訴すべき」と議決しました。

取り返しのつかない事故を起こして、だれも責任も取らず、
だれも刑事責任を問われないなんておかしい、
万が一の事故は予測できたはずだし、
という市民感覚の勝利です。

  東電元会長ら3人強制起訴へ 検察審査会議決
7月31日 NHKニュース
 
福島第一原子力発電所の事故を巡って、検察が不起訴にした東京電力の元会長ら旧経営陣3人について、東京第五検察審査会は「大きな地震や津波の可能性があったのに目をつぶって何ら効果的な対策を講じようとしなかった」などとして2回目の審査でも「起訴すべきだ」と議決しました。これによって元会長ら3人は業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されることになり、未曽有の被害をもたらした原発事故の刑事責任について今後、裁判で争われることになります。
福島第一原発の事故を巡って、東京地方検察庁はおととし、福島県の住民グループなどから告訴・告発を受けた東京電力の旧経営陣など30人余りについて、全員を不起訴にしました。
これに対し、東京第五検察審査会は去年7月、東京電力の旧経営陣のうち、勝俣恒久元会長(75)、武黒一郎元副社長(69)、武藤栄元副社長(65)の3人について、「起訴すべきだ」と議決しましたが、東京地検が再び不起訴にしたため、強制的に起訴すべきかどうか改めて審査を進めてきました。
その結果、市民から選ばれた11人の審査員のうち、8人以上が賛成し、勝俣元会長ら3人を「起訴すべきだ」と議決しました。議決の中で検察審査会は「元会長ら3人は原発の安全対策に関わるものとして津波による事故が『万が一にも』『まれではあるが』発生した場合にも備えなければならない責務がある」としています。
そのうえで「平成20年に東京電力が15.7メートルの高さの津波をみずから試算していたことは絶対に無視することはできず、災害が発生する危険を具体的に予測できたはずだ」と指摘しました。
そして「大きな地震や津波の可能性が一定程度あったのに、目をつぶって無視していたのに等しい状況だった。適切な対策を取っていれば、今回のような重大で過酷な事故の発生を十分に避けることが可能だった」と結論づけました。
また、今回の議決では当時の東京電力の姿勢について「安全対策よりも経済合理性を優先させ何ら効果的な対策を講じようとはしなかった」と批判しています。
この議決によって元会長ら3人は検察官役の指定弁護士により業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されることになりました。未曽有の被害をもたらした原発事故の刑事責任について、今後、裁判で争われることになります。
東電社長「コメントは差し控えたい」
東京電力の廣瀬直己社長は「原発事故によって多くの皆さまにご迷惑、ご心配、ご不便をかけ、大変申し訳なく思っています。検察審査会の議決に私どもからコメントすることは差し控えたい。東京電力としては、引き続き福島の復興に向けて廃炉や汚染水対策、賠償や除染などの取り組みを全力で進めていきたい」と述べました。
福島県知事「当時の状況など後世に残すべき」
福島県の内堀知事は「検察審査会の判断なので、コメントは差し控えたい。ただ、福島県は原子力災害の影響で、今も復興に向けて多くの課題を抱えている。東京電力は廃炉や汚染水対策をしっかりと進め、県民の安全と安心を最優先に対応してもらいたい」と述べました。
そのうえで内堀知事は3人の旧経営陣について、「原発事故当時の状況やそれまでの安全対策がどうだったのか、後世に残すことが重要だ」と述べました。そして「2度と福島第一原発のような事故を起こさないように、東京電力は事故の責任者として、しっかりとした対応を今後ともしていく必要がある」と述べました。
検察幹部「過失に対する考え方違う」
捜査に関わった検察幹部は「1回目の議決があったので、今回の議決に特に驚きはない。津波の予見可能性など過失に対する考え方が検察審査会と検察では全く違うと感じた。『万が一』や『まれではあるが』発生するものにまで備えておく必要があるならすべての重大な事故で責任者の過失が認められることになるのではないか」と話しています。
別の検察幹部は、「検察審査会の判断は尊重されるべきだが、災害をきっかけにした原発事故で個人の刑事責任が問われることには違和感を感じる。過失が問われた裁判ではこれまでも具体的な予見可能性が必要とされ検察としてすべき捜査は尽くしたが、震災後の市民の判断はそれとは違うのだろうと感じた」
と話しています。
また、別の検察幹部は「市民感覚ではあれだけの被害をもたらした原発事故にここでピリオドを打つわけにはいかないという受け止めなのだろう。検察審査会が市民を代表して判断した以上裁判の行方を見守るしかない」と話しています。


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 社説:フクシマは“人災”か 東電元幹部を強制起訴へ 
中日新聞 2015年08月01日
 
 福島第一原発事故は東京電力が津波対策を怠ったため起きた-。それが検察審査会の結論だった。“人災”だったのか、公の裁判の場で決着をつけたい。

 自然現象に不確実性はある。しかし、原発事故という大災害を招きかねないケースにおいては、「万が一」の事態も事前に想定しておかねばならない。

 十一人の市民で構成する東京第五検察審査会は、そのような極めて常識的な立場にたって、福島第一原発事故を検討したといえよう。検察が「不起訴」判断だったのに、東電元幹部らに刑事責任が問えると、ぎりぎりの判断をしたのも、そうした常識観の反映だとみることができる。

大津波の試算があった
 もちろん、「想定外」の事態を扱う場合、その安全対策をどこまで考えておけばいいのか、どのような具体的な条件設定をすればいいのか、難しいポイントは数々ある。検察審査会の市民が重視したのは政府の地震調査研究推進本部の長期評価である。

 二〇〇二年の段階で、マグニチュード(M)8・2クラスの津波地震が発生する可能性があると指摘されていた。〇八年の段階では、長期評価を用い、東電側で明治三陸地震をモデルに試算すると、一五・七メートルもの大津波が押し寄せる-。そんな結果も出していた。巨大津波が来れば、原発は水に覆われてしまう。

 「十メートルの敷地高を超える津波がひとたび来襲した場合には、電源喪失による重大事故が発生する可能性があることは、そのとき既に明らかになっていた」

 検察審査会の議決書では、そう記している。東電元幹部の刑事責任を問うには、まず注意義務違反があったかどうか、重大な事故となる予見可能性があったかどうか、などが焦点になる。市民の感覚は、そのいずれも「あった」と断じるものだった。

安全だと「思い込み」が
 そもそも一五・七メートルもの大津波が来るという重大な指摘があったのに、東電側はまるで時間稼ぎをするかのように土木学会に検討を委ね、対策を先送りしていた。

 その点について、検察審査会は「最悪の場合、原発の運転を停止せざるを得ない事態に至り、東電の収支を悪化させることを危惧した」と述べている。

 東電は津波によって非常用海水ポンプが機能を失い、炉心損傷に至る危険性があることや、全電源喪失の危険性があることも分かっていたのではなかろうか。

 「検察審査会は素人判断だ」などと侮ってはならない。国際原子力機関(IAEA)が作成した福島第一原発事故の最終報告書でも、巨大地震や大津波は「想定外」とする東電と国の主張を真っ向から否定しているからだ。

 その報告書では、「『日本の原発は安全』との思い込みにより、関係機関には、安全レベル(向上)に挑もうとしない傾向があった」と明確に記しているのだ。しかも、約二百四十ページにも及ぶ報告書には「思い込み」という言葉を何度も刻み、国や東電の対応のまずさを指摘している。

 原発運転では核分裂を伴う以上、機器の故障や運転ミスだけではなく、地震や津波、洪水などに対しても万全の対策が求められる。それでも対策は突破され、重大事故は起きるものだ。IAEAの報告書はそのような観点にたっている。東電はまさに「思い込み」に陥っていたのではないか。

 ただし、今回の「強制起訴」議決によって、東電元幹部を有罪視するようなことがあってはならない。白黒をはっきりさせるのは、あくまで裁判の場である。

 〇九年に新しい検察審査会の仕組みが出来上がってから、初の強制起訴となった兵庫県明石市の花火大会で起きた歩道橋事故のケースは、時効成立による「免訴」の判決が出た。尼崎JR脱線事故では、JR西日本の歴代三社長は「無罪」判決で、両事件とも最高裁に係属中だ。政治資金規正法をめぐる陸山会事件では、小沢一郎元民主党代表は「無罪」が確定している。

法廷で真相に肉薄を
 むしろ、福島第一原発事故のケースでは、当時の東電の幹部たちが、原発事故とどう向き合っていたのか、公の法廷で肉声を聞くことができる。証言や証拠が開示され、われわれ国民の前で明らかにされる意義が極めて大きい。

 少なくとも検察は強制捜査に踏み切ることもなく、業務上過失致死傷罪での刑事訴追について、「想定外だから罪は問えない」と一蹴してしまった。

 「レベル7」の過酷事故は本当に防げなかったのか。天災なのか、人災なのか-、被災者も注視している。真相に肉薄することが、今後の裁判に期待される。


  社説:原発事故起訴―新たな検証の機会に  
2015年8月1日(土)付 朝日新聞

 膨大な犠牲と悲劇を生んだ東京電力の福島第一原発事故。その東電元幹部の刑事責任が裁判で問われることになった。

 検察審査会が再び「起訴すべきだ」と議決し、強制起訴される見通しだ。入院中に被災し避難中に死亡した人たちなどへの過失が問題とされている。

 国会の事故調査報告書は「事故が『人災』であることは明らか」としている。だが、これまで政府や東電の関係者で、政治的、行政的であれ、処分を受けた人はなく、だれも責任はとっていない。

 「あれだけの事故なのに正義が尽くされていない」「免罪されれば、同様のことが繰り返されるのではないか」。起訴を求める議決が重なったのは、そんな市民の釈然としない思いの反映と受け止めるべきだろう。

 強制起訴制度は09年、裁判員制度と併せて導入された。検察はそれまで、起訴するかどうかの権限を独占していたが、それを改め、一定程度、民意を反映させるしくみにした。

 検察が「過失責任は認めがたい」として避けた起訴を、あえて市民の判断で行い、個人を被告席に立たせる行為は軽いものではない。裁判では当然、元幹部の責任を証拠に照らして冷静に検討しなくてはならない。

 同時に、東電の津波対策や安全配慮がどのように行われてきたのかは避けられない問いだ。政府や国会などの事故調査報告書とは異なる視点で事故を検証する好機になるだろう。

 事故後、関係者が公の場で肉声を伝える機会は少なかったが、法廷では直接話すこともあろうし、裁判所が証拠の提出を命じることもできる。

 原発の安全対策をめぐる電力会社の判断の推移や、政府など公的機関のかかわりなど、これまでに埋もれた事実も付随して明らかになれば、今後の国民議論にも大いに役立つ。

 司法が原発について判断してきた歴史は浅くないが、原発の建設・運転をめぐる訴訟のほとんどは反対住民の敗訴で終わっていた。

 そこに、国策に基づく原発の稼働は止められない流れ、という意識が潜んでいなかったか。司法の姿勢も、原発事故後、厳しく問われている。

 前例のない被害をうんだ福島第一原発事故の刑事責任を考えるとき、具体的な予見可能性といった従来の判断基準を用いることで足りるのか。今回の裁判を契機に、司法関係者も議論を深めていくべきだろう。

 司法への国民の信頼にたえる審理を進めてほしい。


 社説:東電元幹部起訴へ 裁判で問う意味はある
毎日新聞 2015年08月01日 

 甚大な原発事故を防ぐ手立てを尽くさなかった東京電力元幹部の責任は、刑事事件の法廷で問われるべきだ。福島第1原発事故をめぐり、検察審査会が出した結論である。

 市民から成る審査員11人が「起訴すべきだ」と判断した。2度目の議決により、勝俣恒久元会長と武藤栄、武黒一郎両元副社長の3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴される。

 事故の3年前の2008年の時点で、最大15.7メートルの津波が発生するとの試算が出され、3氏はその事実を知ったのに責任者として適切な対応を取らず、重大事故を未然に防止する注意義務を怠った−−。それが起訴議決の理由だ。

 そうした結論に至った理由として、原発事故がひとたび起これば、重大、過酷なものになる危険性に議決書は何度も言及している。その考え方は理解できる。

 議決書は、原発を動かすに当たり、コストよりも安全対策を第一とすべきだと指摘する。海外での原発事故も例にひき、「万が一にも」「まれではあるが」津波が発生した場合に備えるべきだったと強調した。

 とはいえ、個人の刑事責任を問う業務上過失事件の立証に当たっては、「予見できたか」と「回避できたか」が焦点になる。議決書はまず、原発を動かす東電のトップにいた3人の責任を重くとらえた。さらに、3人は立場上、従来の想定を超える津波高の試算について報告を受けていたと認定した。ならば、対策がとれたはずだったと結論づけた。

 3人を不起訴処分にした検察は、試算の精度から「3人が具体的に危険を予見できたとはいえない」と判断したが、議決は「何の説得力も感じられない」と厳しく批判した。

 刑事責任の有無は今後の裁判に委ねられる。ただし、「罪を問うべきだ」と、市民たちが2度にわたり結論づけた意味は重い。

 政府や国会の事故調査委員会が解散し、継続して原因究明を求める声に応えないまま年月が経過する。

 東電関係者の証言なども一部が公開されたに過ぎない。「なぜ、事故は防げなかったのか」。多くの被災者が今も疑問を抱いている。

 3人の公判は事故の原因究明を目的とする場ではないが、証言を通じ被災者の疑問が少しでも明らかになることが期待できる。経営トップだった3人は、東電の中で自らが果たした役割を真摯(しんし)に語ってもらいたい。

 議決は、原発事故に伴う長時間の避難で死亡した入院患者関係者ら福島の被災者の告訴によるものだ。患者は被害者と認定された。多くの被災者が公判を注視する。公判を維持する検察官役の指定弁護士の責任は重い。検察の協力も欠かせない。 


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東日本大震災から4年:原因不明で動かせるか/警戒怠らず備えを万全に/福島の苦しみ正面から 

2015-03-10 11:39:25 | 地震・原発・災害
きょうは東京大空襲から70年目、
あすは東日本大震災から4年目を迎えます。

この時期になると、新聞やテレビで、
戦争での空襲被害や、大震災のことをテーマにした、
番組や特集が報じられます。

昨夜は、CBCで9時から2時間の、
「戦後70年~千の証言~わたしの街も戦場だった」をみました。
民間人が巻き込まれて犠牲になっていく空襲の映像を
息を詰めてみていました。

罪のない人たちが、国策によって否応なしに被害を受けるという意味では、
原発事故も、戦争とおなじ構図。
大地震と津波でなくなった多くの方たちはもちろん、
原発事故で住む家を追われた人たちの被害はいまも続いています。

「鎮魂と追悼の機会に静かに手を合わせ、
「2度と同じ犠牲は繰り返しません」と誓うことから歩みを始めよう。」


被災現地の河北新報の社説の結びのことばを、
あらためて、胸に刻みながら・・・。

  社説:原因不明で動かせるか 週のはじめに考える  
2015年3月8日 中日新聞

 福島の原発事故から四年がたとうとしているが、事故原因は不明のままです。それで再稼働を急ごうとするところにそもそも無理があるのではないか。
 たとえば自動車が設計などの問題で事故を起こしたら、原因を突き止め、同種の車も直したうえで走らせるではありませんか。子どもでも分かることです。
 原因究明が不十分なままでは再稼働にかかわる議論に入れない、と言い続けているのは、新潟県の泉田裕彦知事です。
 県には東電・柏崎刈羽原発があります。七基が集中立地し、地盤がよくないため、四十メートルも掘り下げて建設されている。

 原発取り巻く無責任
 知事の不安は、少なからぬ国民の不安でもあるでしょう。不安は二つに分けられそうです。

 第一は、原因不明とそれを許している無責任体制です。
 東電はもちろん、政治家も役人も、学者も、です。
 東電は政治家と役人のかげに隠れ、政治家は東電と役人のせいにし、役人は審議会などの学者たちのせいにして、結局だれも自分が悪かったとは言わない。
 学者たちはさすがにばつが悪いのか、原子力学会や地震学会は反省を述べましたが、だれが悪いのかはよく分からない。
 要するにみんな大津波のせいにして「想定外」という言葉の中へ逃げ込んだのです。いやみを言えば、私はがんばったという人しか見当たらない。
 福島の被災者から見れば、これほど人をばかにした話はありません。古里は奪われたが、奪った者がだれか分からない。きちんと謝罪する者なく、怒りを向ける先もはっきりせず、土地を守ってきた祖先に申し訳のしようもない。

 段差生じた柏崎刈羽
 大津波の想定を議論にのせながら無視した者たち、原子炉の設計上の危うさは米国からの内部告発で知りながら放置した者たち。事故後情報を持ちながら伝えなかった者たち。
 それとも原発という巨大すぎる科学は、飛行機や鉄道などと違って、人が過ちを犯しても破滅的結果には至らない、フェイルセーフという手法が使えないのか。
 これらの疑問が解けないのに、場所や機種が違うとはいえ、原発を再稼働してもいいのだろうか。
 百パーセントの安全は、事故後だれも言わなくなりました。だから避難計画づくりやヨウ素剤の配布も行われます。
 しかし事故原因が不明のままでは、本当はどれほど危険なのか、実際にどれほど防止可能なのか、見当のつくはずもありません。

 第二の不安は地震です。日本はあいにく地震国です。
 柏崎刈羽の地盤の悪さは先に書きました。辺りは古くからの油田地帯で液状化がおきやすい。
 二〇〇七年七月十六日、新潟県中越沖地震(震度6強)で、1号機の近くでは一メートルを超す段差ができ、3号機は地盤沈下のため変圧器が出火した。核燃料プールの水は全基であふれ出した。
 もしも、地震がさらに大きければ福島のようになっていたかもしれない。もちろん仮定の話ですが想像するだけで恐ろしくなる。
 福島の事故について国会事故調の報告書は、津波より前、地震直後の配管の亀裂破断を「断定はできないが…」という断り書き付きで大いに疑っています。動き始めたイソコン(非常用復水器)を止めたことで「炉圧の下がりが速いので、漏洩(ろうえい)を確かめたかった」という運転員の証言を得ています。
 ただ放射線量が高くて内部を調べられないので、確かめられないのです。
 しかし、そうならば事故原因としてあらゆる可能性、また最悪を想定するのが科学的態度というものです。新潟県知事の心配は、地震国日本ならどこでももちうる心配なのです。
 科学的に未知があるというのなら、しかし危険だけれど経済活動に不可欠だというのなら、科学的合理性の代わりに少なくとも社会的合意は必要なはずです。政治家でも役人でも電力会社でも学者でもなく、国民が主体的に決めることなのです。

 国民に是非も聞かず
 一九七八年、米スリーマイル島原発事故の前年、オーストリアでは国民投票で過半数が反対し、スウェーデン、イタリアが続き、ドイツはメルケル政権より前の二〇〇〇年に政府と電力業界の合意で最初の脱原発方針を決めている。
 原因不明のまま、国民に是非も聞かないというところに、この国の政治家、役人たちの根源的な隠蔽(いんぺい)体質があると言っても過言ではないでしょう。国民に聞けないのは、世論調査結果がすでに非を述べているからでしょうか。もしそうならば、これほど国民をばかにした話はありません。


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  社説:福島の苦しみ正面から 東日本大震災四年
2015年3月8日 中日新聞

 原発事故という未曽有の災禍によって日常を壊された福島の人に十分な賠償や支援がされてきたとは言い難い。福島の苦悩を忘れてしまってはいないか。
 原発事故収束のメドすら立たない福島県では、いまだ十二万人が県内外での避難生活を余儀なくされている。五年で二六・三兆円の復興予算の多くは道路や港湾などのインフラ整備が中心だ。目に見える部分の復興は進んでも、肝心な人々の生活の復興・再建は大幅に遅れている。

 賠償責任果たす義務
 古里に帰れず、先の暮らしを見通せない人々の苦悩は、時の経過とともに逆に深まっている。
 新たな土地で生活の基盤を築くにはきちんとした賠償が必要となる。しかし、東京電力はこの間、賠償に誠実だったとは言えない。国の指導もしかりだ。
 町全体が帰還困難区域に指定された浪江町では二〇一三年春、町民一万五千人が月十万円の精神的慰謝料の増額を求める集団申し立てを原発ADR(裁判外紛争解決手続き)で行い、一律五万円増の和解案が示された。だが和解案には強制力がなく、東電は受け入れを拒み続けている。
 申立人には高齢者も多く、すでに大勢の人が亡くなっている。
 原発ADRは被災者に裁判という重い負担を負わせず、早期に賠償問題を解決するために導入されたものだ。その趣旨に照らして出された和解案だ。東電はこれ以上解決を遅らせてはならないし、国はADRの仲介に強制力を持たせる仕組みを作るべきだ。
 ADRだけでは金銭賠償の解決が期待できないと、裁判所に訴える動きも相次ぐようになった。
 「生業(なりわい)訴訟」と呼ばれる集団訴訟がそのひとつ。「故郷を返せ!生活を返せ!」と、北海道から福岡まで十七地裁・支部で精神的慰謝料の支払いが訴えられている。

 広がる生業訴訟
 「かながわ訴訟」の原告は、南相馬市小高区から横浜に避難した村田弘団長(72)ら百七十四人。七割は国が避難指示区域に指定した地域の人だが、三割は福島市や郡山市など避難指示区域外からの、いわゆる「自主避難者」だ。
 国の線引きによらず、自らの判断で避難を決めたこの人たちには、たとえ被害の実態が同じでも避難指示区域の人に支払われる精神的慰謝料はない。避難生活費は自己負担、夫は福島に残り妻子が避難する二重生活者が多い。
 賠償も慰謝料もなく、経済的に追い詰められる人々を「自らの選択だ」といって放置していいのか。村田さんらは自主避難者も含めた一律賠償を求めている。
 「原発事故の時、どこに住んでいたかで国は賠償に差をつけた。でも日常生活や地域のつながりを突然奪われた痛みはみな同じ。被災者を分断してはならない」
 国が定めた五年の集中復興期間の終了に歩調を合わせるように、東電は商工業者に対して支払う営業損害賠償も来年二月に打ち切る方針を示した。だが、避難指示区域にある事業者のうち、業務再開できたのは約半分。事故前の水準に戻ったのは皆無だ。原発禍からの回復の困難さは想像を絶する。
 国や東電は一刻も早く賠償を終わらせ、復興の実績を作りたいようだが、一定の時間がたったというだけで賠償を打ち切るのは、現実を見ていない。被災者の切り捨てというほかない。
 復興庁が発表した住民意向調査では、大熊、双葉、富岡、浪江の原発周辺四町で、避難指示解除後に「地元に戻りたい」と考えている人は一~二割にとどまった。飯舘村でも三割だ。
 古里に帰りたいと願う高齢者の思いは尊重すべきでも、除染に限界があることもわかった。放射線量はどこまで下がるのか。仕事はあるのか。人口減少した町で経済、医療、教育は成り立つのか。不安な場に戻ることは、子育て世代には考えられなくなってもいる。「帰還ありき」の復興計画にこだわるには無理がある。
 今立ち返るべきなのは、大震災の一年後に全国会議員の賛成で成立した「子ども・被災者支援法」の理念だ。

 「避難する権利」こそ
 チェルノブイリ法をお手本にした同法は「避難する権利」を認めていた。地元を離れて移住した人にも、個別のニーズに沿って、生活や医療、教育、就労などの支援を行うことを求めていた。
 仕事がなくて働く意欲を失ったり、妻子との別居で夫婦の不仲や離婚に直面する人も多い。子どもの心も傷ついている。
 苦境を乗り越え、みんなが安心して暮らせるようになった日が福島の復興の日だ。一人一人の生活再建を息長く見守る覚悟がいる。私たちはそのことを忘れてはならないはずだ。 


  社説:大震災4年 防災の誓い/警戒怠らず備えを万全に  
2015年03月09日 河北新報

 あれだけの大きな揺れや津波は、自分が生きているうちにはもう来ないだろう。
 誰もがそう思う、あるいは思いたいに違いない。しかし、冷静に考えれば根拠はどこにもないことに気がつく。
 東日本大震災から4年、活発だった余震も収まり加減と思っていたが、先月17日には大きな揺れに見舞われた。
 岩手県沖を震源とするマグニチュード(M)6.9と5.7の地震が、朝と昼に相次ぎ、津波注意報も出た。
 依然として東北が巨大地震の影響下にあり、私たちは警戒を怠れない地域で暮らしているという現実を思い起こさせられた一日だった。
 被災地にとって3.11の周年総括は、被災者の生活再建や地域再生の行方が最大のテーマになるが、鎮魂や追悼ともに、犠牲の教訓と備えの覚悟を心に刻む機会であることを忘れてはならない。
 政府や自治体、関係機関はもちろんのこと、個人個人がが被災の記憶を振り返り、家庭や学校、地域、会社であらためて必要な備えを語り合い、防災・減災の誓いを新たにすることが求められる。
 仙台市が昨年8月に行った意識調査で、巨大地震が今後10年以内に起こると考える市民の割合は17%だった。
 震災前の2010年度に行った同じ調査では、宮城県沖地震への警戒感を背景に52%を記録しており、3分の1に急減したことになる。
 震災が発生したことで「もう来ない」の意識が広まったのはある意味当然とも言えるが、切迫感が薄れたことにより、備えがおろそかになっているとしたら見過ごせない。
 大津波で22万人以上の犠牲が出たインドネシアのスマトラ沖地震では、04年の本震発生後もM8級前後の大きな余震が継続して発生し、10年の地震では津波などで数百人の犠牲が報告されている。
 震災のメカニズム研究はその後進んでおり、先日は気になる研究成果が筑波大などのチームから発表された。
 震災の震源域である東北沖のプレート境界面周辺で、地震の原因となる断層面などへの力の蓄積状態が、震災前の水準近くまで戻っていることが分かったという。
 研究者の「いつ巨大地震が発生しても不思議でないレベル」という談話は、しっかりと記憶しておきたい。
 折しも、政府は日本海溝と千島海溝で発生が懸念される巨大地震の想定見直し作業に着手した。死者33万人を想定した南海トラフ巨大地震と同様に、震災前に立てられた死者2700人の想定は大幅に修正されることになる。
 火山噴火や活断層地震の誘発も含め、震災の影響がしばらく続くとの見方は根強く、総合的な警戒が必要となる。
 求められるのは、いたずらにおびえることではなく、想定や予測を踏まえて災害にきちんと向き合う心構えだ。
 震災を経験した地域ならではの防災の構えを、全国、世界の災害想定地域の人たちが注目している。それは世代を超えた伝承にもつながる。
 鎮魂と追悼の機会に静かに手を合わせ、「2度と同じ犠牲は繰り返しません」と誓うことから歩みを始めよう。


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3号機炉心溶融、5時間早かった 東電解析/大部分の燃料が溶融落下の解析結果

2014-08-08 15:09:58 | 地震・原発・災害

福島第一原発3号機の事故後に、推定よりずっと早い時間に、
炉心溶融が起きていて、燃料が全部、格納容器から溶け落ちていたことが判明。

事故の検証で明らかになったものですが、
事故が起きた原発のなかが見えないことをいいことに、
今まで隠していたと思えてきます。

3号機の爆発は、他の爆発よりも大きく、この爆発の前に燃料は外へ出ていたのですから、
きわめて高いレベルの放射性物質が飛び散ったというです。

今後についての対策も全く変わるでしょうし、
そもそも、いままで対策すらできていなかったということの証明です。

アベ政権は、福島をなかったことにしたいかのように、
現実から目を背けて、右へ大きく舵を取ってつっ走っていますが、
アベの思惑など通用しないくらいに、事態はきわめて深刻です。

  3号機 大部分の燃料が溶融落下の解析結果
2014.8.6 NHKニュース

東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証で、3号機では、これまでの推定より早く燃料が溶け出し、大部分が原子炉から格納容器に溶け落ちたとする新たな解析結果がまとまりました。専門家は、今後の燃料の取り出しがより難しくなるおそれもあると指摘しています。

3年前の原発事故を巡り、東京電力は未解明の問題の検証を続けていて、6日、一部の検証結果を公表しました。
このうち、3号機では、バッテリーで動いていたHPCIと呼ばれる緊急用の原子炉の冷却装置を事故の2日後の3月13日の未明に運転員が手動で停止し、ポンプによる注水に切り替えようとしましたが、うまくいかず、原子炉の冷却の遅れにつながったと政府の事故調査・検証委員会で指摘されました。
これについて、東京電力が原子炉の圧力などのデータを分析したところ、HPCIは手動で停止するより前の3月12日午後8時ごろには機能を失ったとみられ、解析の結果、これまでの推定より5時間余り早い3月13日の午前5時半ごろから燃料が溶け始めて、翌14日の午前7時ごろには原子炉の底を突き破り、大部分が格納容器にまで溶け落ちた可能性があると分かったということです。これまで、3号機で格納容器に溶け落ちた燃料は、一部と考えられていました。

また、今回東京電力は、消防車を使った注水が行われた2号機の原子炉内で燃料と水が反応して水素とともに大量の熱が発生し、メルトダウンに拍車をかけたという新たな解析結果をまとめました。
東京電力は、原子炉の水位が下がって燃料がむき出しになるような深刻な事態になった場合、迅速に十分な注水ができなければ、かえってメルトダウンを進めてしまうことを示しているとしています。

専門家「廃炉作業への影響大きい」
東京電力が行った新たな解析結果について、原子炉の解析に詳しいエネルギー総合工学研究所原子力工学センターの内藤正則部長は「今回、東京電力は、ほぼ100%の燃料が圧力容器(原子炉)を突き破って下に落ちたとしているが、大きめの評価で最も深刻なケースとみるべきだと思う」と話しています。
そのうえで、今後予定されている溶け落ちた燃料の取り出し作業については、「圧力容器の下には円筒状のコンクリート製の部分があり、突き破って出てきた燃料がこの筒に収まっていれば、その中で回収すればよいが、今回の解析のように溶け落ちた量が多く、筒の隙間から格納容器の広い範囲に出ているとすれば、取り出す手順や方法が複雑になるおそれがあり、廃炉作業への影響は大きいと思う」と話しています。 


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 核燃料ほぼ全量落下 福島3号機 廃炉一層困難
2014年8月7日 東京新聞

 東京電力は六日、福島第一原発事故で炉心溶融(メルトダウン)した3号機について、核燃料のほぼすべてが溶け落ちた可能性が高いとする解析結果を発表した。これまでは溶け落ちた量を六割程度とみていた。1号機でもすべての核燃料が溶け落ちたとみられており、廃炉のための核燃料の取り出しは、さらに難しくなった。

 解析結果によると、3号機では従来の推定より約五時間早い、二〇一一年三月十三日午前五時半に核燃料が溶け始め、翌日の午前七時ごろには圧力容器の底を突き破り、格納容器に落ちた。

 格納容器床のコンクリートを最大六十八センチ溶かし、容器外殻の鋼板まで二十六センチに迫っていた。これまでは最大63%の核燃料が溶け落ち、床面を二十センチ溶かしたとみられていた。

 3号機では一一年三月十三日未明、緊急用の冷却装置を運転員が手動で止めた後、ポンプ注水をしようとしたがうまくいかず、冷却の遅れにつながった。

 その後の調べで、前日の十二日午後八時ごろに冷却できなくなっていたと分かり、東電が解析し直していた。

 原子炉への注水で温度が下がったことから、東電の担当者は、圧力容器の中に核燃料の一部が残っているとみているが「核燃料の取り出し作業では、相当な量が落ちていることが前提となる」と説明した。

 一方、2号機では事故当時、炉内の圧力を下げられないまま消防車で注水したため、核燃料と水が反応して大量の水素と熱が発生。注水が中断し、核燃料の溶融を促したと分析した。

 解析結果と原発の新しい規制基準との関わりについて、原子力規制委員会事務局は「一般論だが、福島事故の教訓として得られる知見があれば、基準の見直しを図っていく」とした。


   福島第1原発:3号機炉心溶融、5時間早かった 東電解析(毎日新聞 2014年08月06日) 
毎日新聞 2014年08月06日

2011年3月の東京電力福島第1原発事故で、東電は6日、3号機の炉心溶融が、これまでの推定より約5時間早く起こっていたとする新たな解析結果を発表した。従来は燃料の約4割は原子炉圧力容器内に残っていると考えられていたが、炉心溶融が早まった分、燃料の損傷度合いも大きくなり、東電は大部分が格納容器の底まで溶け落ちたとみている。今後の燃料取り出し作業が困難になる可能性がある。

 政府の事故調査・検証委員会が12年に公表した最終報告書によると、3号機では、運転員が11年3月13日未明、非常用冷却装置「高圧注水系(HPCI)」を手動で止め、その後、6時間以上注水が中断した。その結果、同日午前9時すぎまでに炉心溶融が進んだとされた。

 しかし、東電が原子炉の圧力などのデータを再分析したところ、HPCIは手動停止より約6時間以上前の12日午後8時ごろには機能を失った可能性が高いことが判明。解析の結果、これまでの推定より約5時間早い13日午前5時半ごろには燃料が溶ける2200度に達したと判断した。

 現在の計画では、原子炉上部から遠隔操作で溶融燃料を回収する。大部分の燃料が格納容器の底まで落下していると、燃料までの距離が長くなるほか、炉内の構造物が障害になり、作業の難航も予想される。東電は「大部分が落下したという条件を加味して、いかに安全に取り出すかを考える」としている。【斎藤有香】


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