目からウロコがぽろっぽろ。
本は好きなのに、こんなにも本について無知だったとは。
本の顔 本をつくるときに装丁家が考えること/坂川栄治+坂川事務所
この本は面白かった。目からウロコが何枚落ちてきたことか。
まず、この「装丁」ということにかなりいい加減な知識でしたし、
本の表紙=本のカバーだと思っていました。唖然。
オビや小口、花布は知っていても、表紙がそこに隠れていたなんて、いやぁ、参った参った。
私は漠然とこれが本の顔、表紙だと思っていたわけです。
これは表紙ではなくカバーなんですね。カバーのイラストっていえばいいんでしょか。
カバーと(ソデと)オビ。
そして、
ここが本当の本の表紙になるわけです。そうだったんだ…。
いやぁ、いままでこの部分は単に「本の部分」としか思っていなかった。本体というかなんというか…。
見返しと扉。
いままでこのカバーの中に隠れている表紙っていうものをあまりにも意識せずに通り過ぎてきていたかも。
そもそも図書館から借りてくる本は表紙が見られないようにになっているし。
たまたま手近にあった図書館本を写してみたのですが、
このようにカバーがテープでしっかり貼られていて、「表紙」はテープをはがさない限り見ることはできません。
オビは切り貼りしてある。
ちょっと話が飛びますが、買う予定はなかったのに、
書店でなんとなくカバーに惹かれて買ってしまったってことありません?
逆に買う気が失せるデザインの本も。こういう場合は好みじゃないカバーってのが多いかと。
ちなみに上の本は図書館で取り寄せて貰い、カウンターで受け取りはじめて見て驚きってやつでした。
右が採用案、左が不採用案。
見比べてみると、確かに採用案が一番しっくりなじむかも。
装丁次第で売り上げ部数もかわってくるに違いないかと。
さて、いままでまるっきり意識していなかった本の表紙、これをチェックしてみました。
…。意外と面白くない。シンプルに無地ってのが多い。
いくつか目立った表紙の本を集めてみました。
シンプル。
有川さんのこれはなかなか楽しそうな表紙で、ちょっとカバー外して見て得した気分になりました(笑)。
キング。キングの本の装画といえば藤田新策さん。
何冊かキングの本の表紙を調べてみたけれど、シンプル路線がほとんどでした。
一応古い本も手にしてみる。
カバーを外したら、鮮やかな青い布が出てきた。新鮮な驚き。
カバーも表紙も同じ。
色違い。
いやぁ、こういう世界が隠れていたんだ。
家じゅうの本のカバーを外して眺めてみたい。
ちょっと胸がきゅっとなったのが、
小川洋子さんのこの本。
カバーを外し、あらわれた表紙には、なんと…。
チェスの盤。小説の主題となるチェスボードが刻まれていました。
となると、博士には数字か公式?それとも江夏のカード?
背の部分にルートくんでした。
わはははは。
次から次とカバーを外し表紙を確認してゆくうちに、ふと思いついたことが。
幸田さん(幸田文)の本は、きっと格調高い装丁になっているのでは。
奥から取り出してきました。
まずはこのカバーなのですが、色が色なので目立っていませんが、
じっくり見ると模様が入っています。
ほら、木肌、樹皮のようになっている。
カバーを外すと、
年輪をおもわせるような柄の布の表紙でした。
同じく幸田さんの娘さんの青木玉さんも格調高そうな予感。
格調も高いですが予算も高かったんでしょね、価格ももちろん高めになっています。
合戦屋三部作。
あぁ、つらくてせつなくて結末が怖くていまだに翔る合戦屋読めずにいます。
なんと三冊とも同じ表紙でした。これも予算の関係?それとも三部作だから?
ソフトカバー(並製本)はこういうつくりになっているんですね。
まだまだカバーを外すと面白い本が見つかりそう。
とりあえず今日はここまで。
新大陸発見みたいな新鮮な気持になりました。
隠れた部分まで気を使うプロ意識が見てとれ
ますね。私も引っ張り出してみようかな・・。
本一冊にも愛と工夫が満ち溢れているんだなと。
いままで見落としていて、装丁家のみなさんにお詫びしたい気持ちです。
私は図書館本が8割なので、それを考えるとちょっと残念。
今度書店に行ったら、カバー外して表紙チェックしたくなりむずむずしそう。
私もさらに引っ張り出してしまいそうな予感です。