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日中韓FTA交渉上海ラウンドに光明

2013-08-08 | ラジオ
上海で行われた自由貿易圏創設をめぐる、日本、中国、韓国の3ヶ国交渉その第2ラウンドが閉幕した。三者とも建設的なものであった、と対話を評価している。第3ラウンドが今年中に、日本で行われることも決まった。

会談の成功可能ならしめたのは、参加者たちの前向きな姿勢だ。中国側の代表団長ユ・ジャンフア氏によると、妥協なしには如何なる合意も有り得ないとして、中国側はパートナーたちに柔軟性を求めたとのことだ。また日本代表の長嶺安政氏は、世界のGDPの20%を占めるこの3ヶ国が互い反目せず、対話のための環境を整え、三者共々勝利を感じられるようにすることが重要だと述べた。
長峰氏は交渉中、第3ラウンドを年内に日本で開催することを提案し、この提案は受け入れられた。韓国側の代表団長ウー・テヒ氏は交渉を総括して、建設的だったと自画自賛している。

ですが同時にウー氏は、日中韓FTA交渉はまだ端緒についたばかりである、道のりは遠いとも述べている。識者の多くが、そもそも実現に懐疑的だ。障害のひとつとなるかも知れないのが、旺盛に成長する巨人・中国が今後独占的に振る舞い、3者の平等という原則を破壊するのではないかという、日本と韓国が持っている危惧の念だ。
ですがそれだけではない。
元駐日ロシア大使パノフ氏は、その他の問題点を指摘している。
「アメリカが3ヶ国協定を快く思っていないのだ。アメリカにとっては、アメリカが含まれないような協定が結ばれることは、最良な展開ではないのだ。参加国の生存に関わる機構というよりは、意見交換のためのメカニズムとなることだろう」
パノフ氏は、このように述べている。

ですが意見交換というのも容易なことではない。しばしば諸々の重要テーマについて意見の不一致が見られる。たとえば今年4月にソウルで行われたFTA交渉第1ラウンドでは、中国が知的所有権保護措置の強化や、また日本側が提案する10年以内に90%の品目について輸入関税を撤廃するとの計画に反対した。その際日本は自国の農業や食品部門を保護するために、一部品目へのかんぜん(?)は残そうとした。中国は異なる課税を要求した。中国側は自国のテレビ、また自動車製造業を護るため、10%の関税にこだわった。
ですがそれでも上海ラウンドは、3者がFTA締結に向けて前進する意思を持っていることを示す形となった。これに3者を突き動かすのは現実認識というものだろう。

モスクワ国際関係大学のイワノフ氏は次のように語っている。
「日中韓3者はFTAからそれぞれ利益を得る。先ず韓国は中国という巨大な消費者市場をめぐるASEANや日本との闘いにおいて、より自信をもつことが出来る。
また日本は地域最大の貿易パートナーであるところの、中国や韓国に特権的な地位を付与することによって、自国経済へのさらなる刺激を与えることが出来る。ですが最も利益を受けるのはやはり中国だろう。なぜなら中国は、この自由貿易協定によって西側市場への依存度を低くすることがきるからだ」
専門家は、このように述べている。

日中韓FTAは現在、アメリカが力を注いでいる、TPP環太平洋パートナーシップ協定の対抗馬になるはずだ。アメリカはTPPに中国を招いてはいるが、やはりTPPのルールを定めるのは、中国ではなくアメリカとなるだろう。
そして中国抑止というTPPの潜在的目的は、たとえ中国がこれに加わったとしても変わることはないだろう。そうしてみると中国には日中韓FTAの他に選択肢がないのだ。であってみると中国から妥協を引き出すことも可能かも知れない。そしてもしそれが可能であれば疑いも無く、日中韓FTA実現のチャンスは高まるのだ。

一部品目へのかんぜん(?)は残そうとした。この「かんぜん」とは何のことだ
相変わらず男性アナウンサー・W氏の喋りには閉口

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8月2日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル