朝鮮半島で韓国と北朝鮮を結ぶ、鉄道の往来が再開されると言う、重要な
出来事があった。
これに関連してロシアの声の評論委員は、次のようにコメントしている。
この出来事があったのは5月17日の早朝のことだった。恐らくこの日は朝鮮
半島の歴史に刻まれることだろう。
北朝鮮と韓国の駅から出発し、それぞれの列車は1時間後に非武装地帯を
通過した。
列車の乗客のなかには、両国の有力政治家の姿が多く見られた。
そして両国及び他の国々の1100人近くのジャーナリストが、この出来事の取
材に当たった。
ここで特に注目してもらいたいのは、歴史的な今回の列車の試運転の参加者
の一人、運転手のハン・チュンジさん(80歳)だ。ハン・チュンジさんは運転手と
して両国間の鉄道連絡が途絶える、直前の最後の列車を運転していた。
それも今から50年以上も前、1950年から1953年にかけての朝鮮戦争が終
結した後のことだった。
それ以来、南北間の鉄道連絡は途絶え、56年間に亘り両国国境を列車が越
えることはなかった。
鉄道を再連結することに関する合意は、2000年に実施された両国のトップ会
談の席上達成されていた。
そして数年に亘る共同作業と交渉を経て、2003年6月14日に南北循環鉄道が
再び連結された。
最初の試運転は昨年5月に行われる筈だったが、両国の軍関係者が安全保
障に付いて合意することが出来なかったため延期されていた。
しかし今回は全てが上手くいった。今回行われたのは試運転に過ぎないが、鉄
道運行が定期的に実施されることへの期待はある。
もしそうなれば輸送に関する多くの問題が解決され、それによって南北朝鮮関
係の改善が促進される可能背性がある。
いずれにせよ今回の出来事は、朝鮮半島の核問題をめぐる6ヵ国協議の、2月
のラウンド後に達成された、南北朝鮮間の最も重要な前進のひとつだ。
ここで指摘しておく必要があるのは、韓国が北朝鮮との二国関係の強化を、積
極的に進めていると言うことだ。
韓国は北朝鮮への米と肥料の供給を再開したほか、北朝鮮の軽工業向けの原
料を提供している。
一方、北朝鮮は鉱物資源を共同開発するために、韓国のスペシャリストを受け
入れる意向を明らかにしている。
さらに朝鮮半島の離散家族の再会センターを、北朝鮮の金剛山へ協働で建設
する事業が再開された。
最近ここで200世帯の代表が、再開を果たしている。
もし乗客輸送と貨物輸送が、定期的に行われるようになれば、両国間の交流は
経済面でも人道でも活発化することだろう。
将来的には南北循環鉄道を、ロシアのシベリア鉄道と連結することが予定され
ており、これが実現すれば北朝鮮と韓国は、ヨーロッパとアジアへ向けての直
通で、よりコストの安い交通手段を確保することになる。
5月18日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル