中国国防相のアメリカ訪問の際、米中両国はふたたび軍事的協力を活性化させることで合意した。一方、中国国防部外事公室主任のグアン・ユフェイ氏は最近の記者会見で、アメリカ空軍および海軍が中国沿岸部で情報収集活動を強めていることへの懸念を表明した。
戦略技術分析センターのワシリー・カシン氏の意見をご紹介する。
中国はかつて、アメリカが周辺地域で情報収集手段を強化していることを一度ならず非難してきた。近年も状況に大きな変化は見られていない。両国の軍事的交流が活発化しても、軍政問題の基本は変わってはいないのだ。
中国は現在、アメリカにとって事実上の仮想敵国となっている。冷戦時代、アメリカはソ連国境で激しい情報収集活動を行っていた。当時、RC135偵察機は定期的に国境を飛行していたため、もしもそれが飛ばない日があれば、ソ連軍の司令部が不安になったほどだ。
中国にとって厄介なのは、最重要の輸送ルートである南シナ海におけるアメリカ軍の偵察活動だ。ここには中国原子力潜水艦の新しい基地が設けられている。ミサイルを搭載した原子力潜水艦のみならず、空母も登場する可能性がある。
2013年4月、中国のイン・ジョウ海軍少将はアメリカのみならず、日本およびオーストラリアの潜水艦による情報収集も頻繁になっていることに懸念を示していた。
それに対抗するため、南シナ海に強力な海軍力をつくることを提案したのだ。中国が恐れているのは、アメリカとその同盟国による情報収集が今後、東南アジアの第三国も含めた水中探査網の敷設につながるのではないかということだ。
その場合、中国の潜水艦は脆弱となってしまう。2009年、アメリカのImpeccableシステムを積んだ船舶の活動を全力で妨害した理由もそこにある。
ソビエトの経験を考慮してみれば、国境における米軍の偵察機および船舶のプレゼンスが下がることはないだろう。よって、国際法に照らして容認できない行動を迅速に抑えていくしかない。
またアメリカとその同盟諸国に対して、同じような情報収集活動に打ってでることも考えられる。ソ連ではそのために北大西洋に重爆撃機を飛ばしていたほか、他の国の沿岸で潜水艦および船舶による情報収集を行っていた。恐らく中国も同じような行動をとることだろう。
8月23日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル