1010 Radio

ラジオから色んな情報が発信されるように、車いすの視点から情報や思いを発信。

イスラエルとパレスチナ和平交渉を再開

2013-08-07 | ラジオ
イスラエルとパレスチナは先週、約3年ぶりに和平交渉を再開した。イスラエルとパレスチナの代表団は、アメリカのワシントンで交渉を再開し、再協議することで合意した。アメリカ国務省のケリー長官は9ヶ月後に和平合意が結ばれ、政治地図にパレスチナ国家が誕生することに期待を表した。ロシアの専門家たちは、大きな疑念を抱きながら状況を観察している。
アメリカは和平交渉の再開に向けて最大限の注意を払った。交渉ではエルサレムの帰属に関する問題は一切議題にあがらなかった。
そのためイスラエルとパレスチナの代表団は、秩序ある話し合いを行ない、妨害する人も誰もいなかった。

ですがロシア科学アカデミー東洋研究所イスラエル・ユダヤ共同体研究科のマルヤシス職員は、これを根拠に9ヶ月後の和平合意締結に期待するのはあまりにも楽観的だとの考えを表し、次のように語っている。
「この期待は、これまでの交渉の中でもっとも現実味が乏しいものだと思っている。2000年にも当時のクリントンアメリカ大統領が、イスラエルとパレスチナが和平合意を結ぶと考えたが、それから13年が経過した今も合意は結ばれていない。正直に述べるならば望みは非常に少ないだろう。交渉の事実は喜ばしいものだが、合意が結ばれる根拠はまだ見えていない」
職員は、このように話している。

事実上、イスラエルは独立したパレスチナ国家の樹立に合意する用意がある。ですがそれは、前提条件なし、かつアラブ人が占めている場所にパレスチナ国家が建設される場合に限られる。
一方でパレスチナ人は、イスラエルによって占領されたヨルダン川西岸地区を取り返し、1967年の境界線に基づいてパレスチナ国家を樹立し、難民を帰還させエルサレムのステータスについて見直したいと考えている。
中東研究所のセリョギチョフ専門家は、双方共に妥協する意向はないと指摘し、次のように語っている。
「パレスチナ国家樹立の難しさはどこにあるのだろうか。それは難民と領土だ。統一されたパレスチナ国家が樹立された場合、イスラエル領内に住んでいる大勢のアラブ人はどうしたらよいのだろうか。
パレスチナ国家の中でアラブ人が暮らすための場所は明らかに不足するだろう。これが問題の一つだ。二つ目はエルサレムのステータスに係わる問題がある。これはパレスチナとイスラエルにとって非常に頭の痛い問題だ。なぜならイスラエルもパレスチナも、エルサレムを中立都市として国連の管理下に置くという案を受け入れられないからだ。エルサレムを分割するのは非常に難しく事実上、不可能だろう」
専門家の話しだ。

またイスラエル人とパレスチナ人が和平交渉のプロセスを、あまり支持していないという問題もある。和平合意は全ての人に必要だ。ですがイスラエルのゼエフ・エリキン外務次官は、イスラエル国民には、パレスチナ人の意気込みが真剣なものであると信じるための根拠がないと述べ、次のように語っている。
「現在パレスチナ側は、これ以上は妥協できないとの立場を表しており、それは我々にとっては受け入れがたいものだ。パレスチナ自治政府のアッバス議長は声明の中で、将来のパレスチナ国家でユダヤ人、あるいはイスラエル人が暮らすことはないと述べた。パレスチナ議長のこのような将来の見通しは、非常に意味深長だ。これが何らかの平和を希求しているように見えないのは明からだ」
エリキン外務次官の話だ。

直接交渉は、イスラム教のラマダンの終了した後の、11日以降に開始される見込みだ。これによって、パレスチナとイスラエルに前進する意志があるのか否かが明らかとなる。

ユダヤ国家のパレスチナ人
クリエーター情報なし
晶文社

8月4日放送 ロシアの声・週間ラジオ展望