山のハーブ。山菜の季節です。
タラノ芽、ワラビ、コゴミ、ゼンマイ、タケノコ……
雪を割って、春を告げる「フキノトウ」はフキ味噌で。
そして初夏、育って葉柄が伸びて「フキ、蕗」になる。
北関東の山郷の寓居で菜園と歌作を楽しんでおられる、
女流歌人さんと永年、お付き合いさせていただいています。
毎年、初夏のころ、手作りの「キャラブキ」を送っていただく。
今年も沢山、届けられました。
ローカル紙の俳句のページが同封されていました。
有害鳥獣駆除の一弾涅槃の日 綾子
月間賞の一句です。
「涅槃の日」は現代のカレンダーで言えば3月下旬。
その頃、佳人のお住いの山郷には、
「有害鳥獣」が出没するのでしょうか。
「駆除」とは穏やかではないですね。
以前、山郷をお尋ねした際に、話されていました。
裏の畑で育てている農作物の収穫期、
トマト、キュウリ、なす、スイカなど、
朝採りに出てみると、数匹のサルたちが、
トマトや、キュウリを抱えて逃げていく。
ときには狸が芋を掘っているともいう。
そして、まあ、しょうがないですね。
食べるものが生っているのだからと言う。
月間賞の句意について、たにしの爺としては、
作者の歌意には「お釈迦様の入滅」の日に何も、
「鳥獣」一斉駆除の合図はないでしょう。と。
何年か前には「キャラブキ」添えられた一句。
伽羅蕗を煮る大鍋を買ひにけり 綾子
とにかく手間のかかる作業です。
野に出でて、採って、皮を剥いて、茎を湯掻いて、
茹でて、味付けて、煮しめて……手間と時間をたっぷりかけ、
伽羅色に煮込まれた「フキ」。
冷凍庫でカチカチに保存。少しずつ楽しめば、秋まで保つだろう。
高血圧のたにしの爺、塩分気にしつつ伽羅の味。
コロナ禍が今後、ぶり返すようなら、
歌人の住まう山郷に「コロナ疎開」したい。
ニャン子と同じ枕で同衾していると手紙に書かれていました。
俳句作家は、にゃんとも鳥獣生活のようです。