マイダーリンは警察官。地下鉄に配属されていて、売り上げが倍増したりプロジェクトが成功したり、という部署ではないので、仕事柄、難しい顔で帰ってくること、多し。
週明けも浮かない顔で帰宅してきて、晩御飯を食べてしばらくしたら、「きょう、グリヴィタ(Grivita=地下鉄の駅名)で飛び込み自殺があったんだ。」
ルーマニアは、キリスト教の国。教義で天から与えられた命を自ら絶ってはいけない、となっているので、自殺は少ないはず。が、このところ、年に3~4回くらい、マイダーリンの管轄化のブカレスト地下鉄構内で飛び込み自殺があるとのこと。
現場となったグリヴィタ駅は、大きな駅ではないので警察官は配置されておらず、地下鉄係員とガードマンが常駐するだけ。急報を受けて駆けつけたときはもうすでに、線路上から身体は引き上げられ、毛布で包まれていたそうです。
「チラッとだけ見たけれど、腕や足が勝手な方向を向いていた。」と。ほぼ即死だったそうです。
身分証明書を所持していたことから、家族とすぐに連絡が取れました。遺書はなかったけれど、直前に家族に予告電話があったそうで、警察官詰め所で遺体と対面し、涙・涙。
直近までルーマニア国鉄CFRの職員で、人員削減の憂き目にあったとのこと。CFRといえば、最近のニュースでも低賃金の代表格として話題になっていたばかり~インタビューされていた一般職員は勤続15年でも月給1200レイ(=約3万6千円)。
「それでも、何も死を選ばなくていいのに。命あれば何かできるのに。」、マイダーリンの苦しい一言。
飛び込み自殺といえど、ダーリンの見たところ(言い方が悪いけれど)成功率は70~80%ぐらい。大怪我だけして大変なことになることも。
また、飛び込んだけども線路脇のくぼみに滑り落ちてしまい、ほとんど無傷で助け上げられたこともあったそうです(昨年のドリストル駅での一件、ダーリンの同僚が目撃・取調べ。事故ではなくたしかに自殺するつもりだったとのこと)。
「これが本当のラッキー・ガイ(=ラッキーな奴)だよ。パッパとホコリを払い落として、自分で家に帰って行ったんだよ。」
命があれば、何かできるはず。「死にそこなった。」と思ったその人が、どこかで元気に暮らしていますように。
追記:
仕事上の守秘義務はあるはずですが、そこはご愛嬌で~。
ルーマニアの宗教:
東方教会のひとつルーマニア正教会(オルトドックス)が8割を超え、ほかにプロテスタント、ローマン・カトリックなど、キリスト教が中心。
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ヒロコさまは若いからピンと来ないかも
我々の世代には女子大生ブームでしたので、キラキラな記憶ありました
私がルーマニアに移住して直後から仲良くしてもらっていました。だから、10年来の友人です。
2013年10月、いっしょにドナウデルタのマラソン大会に行きました。マイダーリンはその翌月にキプロスの大会に一緒に行っています。
2014年1月7日に悪性脳腫瘍の手術をうけ、一時は記憶も失っていましたが、7月にお見舞いに行ったときには、私の顔を見て英語で話しかけてくれました(知り合った当時は私がルーマニア語を話せなかったので、ずっと英語で会話していたから)。
余命半年、といわれていたけれど、1年8ヶ月あまりの闘病生活でした。
今夜、お通夜が営まれますので、今から行ってきます。RIP、合掌。
「永遠に眠る」という意味がわかったような気がしました。