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ルーマニアの12月といえば、年越しと新年にかけてのご馳走作り。メインになるのは豚。肉屋さんのショーケースには解体された部位ごとに並びますが、田舎では丸ごと一頭を生きたまま買うことが出来ます。地方都市ブゼウあたりの相場で、1キロあたり10レイくらい。農家で一年間かけて大事に丸々と育てられた豚は、100キロくらいになることも。
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ブカレストでブロックハウスに住むダナ&クリスティのカップルを12月中旬に訪ねたとき、「ちょっとこれ見て。」と取り出してきたのが、豚の頭!!)ここから100キロほど離れたい中に友達がいて、その農家から豚1匹丸ごとお買い上げ、80キロあったそうです。それを解体処理してもらい、部位ごとに切り分けてもらって計測すると65キロ。豚の命をいただくのだから、食べられるところ・食材になるところは全部お持ち帰り。
「生きている豚から、解体してもらうまで見てきたの?」と尋ねてみたけれど、さすがにそれは大仕事で、慣れた大人が4~5人がかりで5~6時間かかるそうで、血液などをきれいに洗ってもらって部位ごとにビニール袋に取り分けたものを受け取ってきたとのこと。その手順の最初には、豚の首の動脈を切るところがあるわけで、男の人なら見ていられるけれど、女性なら豚が可哀想でその場で見ていられないそうです。
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そうして人間のために犠牲になった豚の額には、十文字の切込みが入れられます。「ありがとう、豚さんよ、成仏してね。」と祈りをこめて、十字架を意味するのです(キリスト教だから「成仏」ではないけれど、そんなかんじの感謝の十字架)。
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「やっぱりかわいそう、眼を見ていられないわ。」と、赤いサングラスをかけてもらった豚さん。でもこの子の耳は、豚の煮こごりゼリー、ピフティエの美味しい出汁になります。
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スモークされた豚の皮は「ショリチ」、コリコリしてコラーゲンたっぷり。塩味を効かせると酒の肴にぴったり。
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きれいに洗われた小腸は、マテ(mate)と呼ばれ、特にソーセージ作りに。驚くほど長い管です。詰め物は豚ミンチ・たまねぎ・スパイスを利かせて。
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もう少し太い部位の腸は、やはりミンチ肉などの詰め物をしてトマトソースで煮込む「カルタボッシュ」という臭みのある料理に使われます。癖のある臭いなので、まったく食べない人も多し。
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豚の脂身は「スロリナ」、スライスしてそのままかじっても、良し。軽く火であぶって温め、外の油をトロリとたらかせてもよし。
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ここらあたりになると、内臓のどの部分だったか、説明してもらったけれど忘れてしまいました。
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このカップルは若いながらも奥さまが料理上手。中型冷蔵庫いっぱいの豚肉と豚の部位を、それぞれじっくり時間をかけて料理していくのです。
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イスラム教やベジタリアンの人以外は普段から豚肉を食する習慣があるわけで、この時期に特に多くの豚がクリスマス料理になることについて「残酷だ」というのもナンセンス。ありがたく、感謝をこめていただくのが常套かと。
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