京都四条通の祇園商店街の中に、関東風天ぷらと銘打った天周という間口の狭い店がある。
1年に数回テレビ取材がある人気店で、客席はカウンター15席と5人掛けのテーブル席の合計20席。
昼頃、天周に到着すると、路地のようになった場所に行列ができていたが、行列は意外とスイスイ店内に案内されて行く。
我々もじきに店内の待合椅子に案内されたが、4種類の天丼だけしかメニューに無いので客の回転が速いのであろう。
少し待って、天ぷら鍋の前のカクンター席に案内されたので、掻き揚げ丼と穴子丼を注文する。
カウンター席に座って見ていると、板前さんがネタの穴子にコロモを付けて大鍋で揚げる動作を繰り返していたが、その流れるような手つきはまさに職人の技である。
入り口から続く天周の路地
てんぷら鍋は2種類あり、ガスの炎を見ると職人の左が高温、右が低温の鍋となっている。
名物の掻き揚げは、さいの目に切ったサツマイモ等の野菜の入ったネタを、お椀に入れてかき混ぜ、低温の鍋に移してじっくりと時間をかけて揚げ、途中その上にエビを乗せたり、裏返したりで手の休む暇が無い。
一度低温で揚がった掻き揚げは、高温の鍋でカリッとキツネ色になるまで再び揚げられて、そのあと少し冷ましてから大きな丼に入れて出してくれる。
掻き揚げの大きさは丼からはみ出すくらいデカく、厚さが3cmもあるのでビックリするが、天ツユが半分だけかかっている。
このツユの染みこみ具合が良く、ツユに水アメを加えることで粘り気が増し、天ぷらにゆっくりとなじんでいくようである。
掻き揚げのツユがかかっていない半分にはテーブルに載っている抹茶塩やカレー塩をお好みでつけていただくことになる。
店頭のメニュー(この日掻き揚げは売り切れ)
低温、高温の鍋で2度揚げされたせいか、ゴマ油の質が良いのか、コロモに秘訣があるのか職人の技か、とにかくカリッと揚げられていて美味い。
兵庫県高砂産という穴子もサクサク、すっきり、切れ味よく揚がっていて、それが3本も載って1000円とは、場所が京都の祇園であることを思えばかなりリーズナブルである。
席に座る前に頼んでおけば、カリッと揚げられた「てんかす」を無料で分けて貰えることは、あまり知られていないようである。
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