姫路から「特急はまかぜ」に乗って城崎温泉に向かった。
列車は空いていると聞いていたが、その通りで、ほとんど乗客はいなかった。
城崎温泉駅に着くと、日本海に近いだけあって、半袖のTシャツでは肌寒かった。
出入口にいる係員が無料送迎バスに案内してくれる。
この日の宿「湯楽」の名前を係員に告げると、次のバスまで待ってくれと言われた。
送迎バスは2台あり、送り先の宿が違うらしい。
しばらくして、もう一台のバスがやってきた。
「湯楽」は新しい旅館で、温泉街のはずれの、民家に囲まれた狭い路地の先にあった。
高級旅館の立地ではない。
外はともかく、館内の設備は充実しており、サービスも悪くない。
料理は盛り沢山で食べきれないほど提供されたが、格別美味いものもなかった。
夕食の前に浴衣に着替え、外湯巡りに出た。
玄関で下駄を借りることにしたが、鼻緒が食い込んで、痛くて歩けそうになかった。
しかたがないので、木のサンダルにした。
下駄よりは楽だったが、それでも長い距離は歩けそうになかった。
昔は普通に履けていた下駄やサンダルがこれほど苦痛になるとは思わなかった。
カランコロンと音を立てながら、温泉街を歩いた。
城崎は歴史ある温泉地だが、歴史を感じさせるような雰囲気はない。
昭和の懐かしい温泉街といった風情である。
名物の外湯は7つあるが、駅前の「さとの湯」は2000年に新設されたものだ。
いずれも小さな共同浴場である。
最初に行ったのは、温泉街の中を流れる大谿川沿いにある「地蔵湯」である。
足の擦り傷がヒリヒリするぐらい、お湯はかなり熱かった。
10分ぐらい浸かっていたら、自然と汗が噴き出してきた。
そのぐらいにして、次は「さとの湯」である。
浴衣姿で歩いていても、駅に着いた時の寒さは全く感じなかった。
熱い温泉のせいかもしれない。
「さとの湯」は新しいだけあって、他の外湯よりは設備が立派だった。
再び、温泉街に戻り、「柳湯」に入った。
小さな風呂で、脱衣所も隣と肩がぶつかるぐらいに狭かった。
そして、4件目が城崎を代表する外湯「一の湯」である。
ここから大谿川と温泉街が分れる。
浴衣姿ではしゃぐ外国人も多く、風呂の中にも外国人がいた。
最近はどこにでも来るみたいだ。
夕食のあと、「御所の湯」、「まんだら湯」、「鴻の湯」の順にまわり、7つの外湯を完全制覇した。
面白かったのは、「さとの湯」は下駄箱だったが、他の湯は従業員が履物を管理していたことだ。帰ろうとすると、サッと履物を出してくれる。
サンダルに旅館の名前が書かれており、着ている浴衣の柄で旅館名が分かるのだろう。
カラスの行水のようなかんじだったが、本当は熱い湯にじっくり浸かるのがいいのだろう。
次に来る機会があったら、もう少し良い過ごし方が出来そうな気がする。
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