今年は7年に一度の御開帳である。
秘仏の御本尊の身代わりとして前立本尊が御開帳される。
前立本尊と本堂の前に建てられた回向柱は「善の綱」と呼ばれる五色の紐で結ばれている。
回向柱に触れると前立本尊に触れたのと同じ御利益があるとされ、来世の幸せが約束されるという。
御開帳の2か月間の参拝者数は600万人を超える。
まさに、一大イベントである。
初めて善光寺に行ったのは3年前の春である。
このときは、御朱印を除き、観光客が体験できるものはひととおり体験した。
長野駅から長い参道を歩き、本堂の内陣参拝とお戒壇巡り、そして、山門楼上からの眺望。
だから今回は、回向柱に触れることと、外陣から前立本尊を参拝するだけにした。
参拝予定時間は1時間である。
長野駅からはバスを利用した。
わずか10分で善光寺入口に到着、ここからは歩きだ。
仁王門の手前で、プラカードを持っている若者が見えた。
そこには、「回向柱最後尾、待ち時間120分」と書かれていた。
この時点で安直な参拝計画は崩壊した。
わずか数秒触れるために120分も並ぶことを馬鹿馬鹿しいと思うのか、
それとも120分先に極楽浄土があると思うのか、
なんとも悩ましい。
そもそも回向柱に触れなければここまで来た意味がない。
おそらく並んでいる人たちの多くはそう考えているのだろう。
並ぶか、やめるか、しばし迷ったあげく、やめてしまった。
前立本尊の参拝を優先した。
外陣からの参拝だが、双眼鏡を持参していた。
よく見えるはずだったのに、想定以上に暗くてよく見えなかった。
もう何のためにここまで来たのか分からなくなった。
せめてもの参拝記念に回向柱守を買った。
極楽浄土の願いは7年後、入念な計画を立てて、平日の早い時間帯に参拝しよう。
お気に入り名盤! 大西順子:Wow