読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

真っ向勝負のスローカーブ 星野伸之 新潮新書

2013-02-15 12:26:19 | 読んだ
本書は、2003年に発刊されたものである。
従って、本書の中で触れられている「現実」は古い。
しかし、本書は「野球」のなかの「投手」と「投球」について論じているので、本質としては古くはない。

著者は、阪急ブレーブス(のちオリックスブルーウェーブ)に入団しエースとして活躍した。
細い(というか「きゃしゃ」)な体で、遅いストレートとさらに遅いカーブ(スローカーブ)を武器にした投手である。

私も投手なので、しかも剛速球投手ではないので、常に投球について考える。
考えて、その考えを実践するため体を鍛えて、実践する。
だから、練習をしっかりして試合に臨みたい、タイプなのであるが、近頃はなかなか練習ができない。従ってなかなか勝てない。

著者はいう。
「7色の変化球なんて必要ない」
「一流投手ほど球種は少ない」

何故なら、ストレートと変化球2つを持っていて、実践練習をすると、ストレート-カーブ-フォークという組み合わせ、カーブ-ストレート-フォーク、という組み合わせなど、すべてで6パターンの実践練習が必要。更に1種類増えると12パターンとなる。

器用な投手ならそういう練習をしなくてもいいだろうが、そうでない者は練習が必要。
かくいう私も、ストレート・ストレート・カーブの順に投げて、カーブの後は必ずストライクを取る練習をした。

だから、著者の理論は非常によくわかった。

そのほか「コントロールは投手の命」という第2章ではコントロールの話である。
面白かったのは「ストライクを取るためにボールを置きに行っていた。」ということ。

野球中継を見ていると、捕手が投手に向かって『腕をふれ』というそぶりをよくする。
あれはつまり『ボールを置きに来るな』という合図でもある。

しかし、著者はボールを置きにいったという。しかも頻繁に。
これは理由があるのだが、我々は真似をしてはならない、と思った。

また、投球を語るときによく言われるのが、ウィニングショットを基本に投球を組み立てる、ということだが、著者は「その場しのぎ」でやってきたという。
私も、その考え方はよくわかる。
このバッターはこうすれば打ち取れる、ということがわかるときがある。しかし、組み立てた投球でそのまま打ち取れることは少ない。1試合で1つあればいいほうだ。

「その場しのぎ」と著者は言うが、組み立てはするんだと思うが、1球ごとに変えるんだと思う。バッターは組み立てないのだから、その場その場で対応せざるを得ないし、何しろ、剛速球で抑え込む投手ではないのだから。

兎も角、この本を読むと「考え」「研究して」「練習して」「実践する」そしてさらに「考える」ことが必要だということがよくわかる。

それは、野球だけではない。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする