読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

宰領 隠蔽捜査5 今野敏 小説新潮連載2月号最終回

2013-02-13 18:06:07 | 読んだ
小説新潮に、昨年の3月号から始まって12ケ月。今月で最終回である。

隠蔽捜査シリーズ5、である。

主人公は、警察庁のエリート(キャリア)であった竜崎伸也。
非常に変わっている人である。
「原理原則」を貫く人である。
だから、周りがよくみえる、私利私欲がないのである。
こういう人になりたいと、よく思う。

今回も、竜崎はこんなことを考えている。

 日本の未来を憂える人たちがいる。日本人はだめになったと、二言目にはいう連中もいる。そういう人々に、この寒空の下、戦い続けている若い警察官、消防士、海上保安庁の保安官、そして自衛官たちの姿を見せてやりたい。
 悪い面だけ見てむやみに批判的になったり、虚無的になったり、あるいは冷笑的になる人々を、竜崎は心から軽蔑していた。そういう連中に限って、自分では何もしていないのだ。
(中略)
 人は平等ではあり得ない。それが現実だ。才能に恵まれている人、環境に恵まれている人、そしてそれとは正反対の人々が、間違いなく存在している。
 だから何だ、と竜崎は思う。だからこそ、人は努力すべきなのだ。自分を向上させられのは、自分でしかないのだ。その努力を放棄したやつらを、誰かが助けてやる必要などない。


こういう考え方をする人である。
こういう考え方には賛成である。そういう人はたくさんいると思う。
でも、竜崎は、それを実践するのである。

さて、今回は、竜崎が勤務する大森署の管内で、国会議員が行方不明になる。竜崎はまだ事件ではないのに、本庁を刑事部長である伊丹(幼馴染で同期)などの反対を押し切って誘拐事件のように配備を行う。そして殺人事件、更に国会議員は横浜にいるらしい。そこで横浜に前線本部を作るが、警視庁と神奈川県警の確執が心配される。伊丹は前線本部に竜崎を派遣する、そして事件は、竜崎の思っている通りに解決するのである。
更に、竜崎に反感を抱いていた最前線の捜査員たちの支持を得るようになる。

近頃は、伊丹も竜崎をうまく利用するようになった。
そして、それが事件解決にうまくつながるのである。

事件は、なんと、前号(1月号)で完結してしまった。
事件は解決しても警察内部のややこしいことがあったり、竜崎の長男の東大入試のこともあったり、そんなことを含めて物語は終了なのだ。

追伸
文庫本で「隠蔽捜査3.5」というのが出ている。隠蔽捜査のスピンオフ、伊丹刑事部長を主人公とした短編が収められている。多分すべて小説新潮で読んだものだと思うのだが、なんだかもう一回読もうかなあなんて思っているのである。

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