読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

イギリスから来た娘(前編)<新・御宿かわせみ> 平岩弓枝 オール読物8月号

2011-07-28 07:27:31 | 読んだ
オール読物8月号の表紙には、「待望の再開!」とある。
本当に、長い間休んでいたが『新・御宿かわせみ』が始まった。(始まった、という言い方も変ではあるが・・・)

新・御宿かわせみは、御宿かわせみの主人公であった「るい」や神林東吾、畝源三郎の子供世代が活躍する物語であり、時代は「明治」となっている。

江戸期を描いた「御宿かわせみ」に登場していた人物で「新」にも登場するのは「るい」とかわせみの奉公人のお吉や嘉助である。

さて、今回は・・・・
主人公の神林麻太郎(神林東吾の実子ではあるが、るいの子供ではなく、神林東吾の兄・通之進の養子)が、往診から帰ってきたところから始まる。

往診から帰ってきた麻太郎を待っていたのは『大きな顔に目鼻がちまちまと中央に寄っている。唇が厚く、結んでいる形は常にへの字と決まっていた』親子である。
彼らは病気で麻太郎を尋ねてきたわけではないようである。
この二人が、無遠慮に麻太郎に居留地に居る大金持ちの若い女について問いただす。

と、そこに、麻太郎がイギリス留学中に親しくなったダグラス・セントクレアの妹・ジュリアが訪ねてくる。

それを見た父子は出て行く。
父子は「福島屋」という大金持ちの船問屋で、麻太郎の師であるバーンズ先生に言わせると『いつの世にもどこの国にも、むしってもむしってもはびこる雑草』のような奴等である。

物語は、このイギリスから来た娘・ジュリアをめぐって進むみたいで、実は福島屋の息子はジュリアと結婚したいらしく、今度は母と二人で麻太郎を尋ねて、ジュリアとの仲を聞いたりしている。

事件はこれから起きるらしく、盛り上がったところで今月は終了している。

時代小説のいいところは「昔の日本」を思わせる表現である。

麻太郎が源太郎の家を訪れたときに『障子が簾戸に変わっていた』とある。
「簾戸」と書いて「すど」と読む。簾(すだれ)の障子である。
それだけで、源太郎の家が思い浮かぶではないか。

又、るいは麻太郎のために「絣の単衣」(かすりのひとえ)を縫い上げている。
いいなあ、と思うではないか。

こういう、細かなところから「時代」を表現できるのは、例えばもう我々世代では無理なんだろうと思うと、なお一層のこと「新・御宿かわせみ」は続いてもらいたいと思うのである。

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