読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

心臓に毛が生えている理由 米原万里 角川文庫

2011-07-16 10:12:45 | 読んだ
ああ、本当に惜しい人を失ったなあ!
と、つくづく思うのである。

米原さんが生きていたら、この大震災についてどのような感想を持っただろうか?
そして、為政者達を小気味よくそして理路整然と叱咤し、被災者達をどのように慰めただろうか?

そんなことを想像してしまうのだ。

米原さんは、ロシア語通訳として、ロシア人も日本人も等しく客観的に観察した。
この「客観的」というのが、大きな特徴である。

日本人であって日本人ではない。
もしくは日本人にはなりきれない。
そういうところがあったと思う。

そして、そういう自分の立場を余裕を持って楽しんでいたんだろう。

だから、日本人にとってグサっと来るような発言や文章があっても、その「グサッ」がどこかやさしい。

そして、シモネタ好きで駄洒落が好きで、それがいやみではない程度に披露される。
でも、その裏には痛烈な批判が隠れていたりする。

痛快!
というのが米原さんの文章を読んだときの大きな感想である。

ちょいとこの震災で落ち込み気味のときに開いて、

そうだよなあ!と感心し、
そうそうと、心から頷き、
へっへ、と薄く笑い、
どうしてでしょうね、と一緒に不思議がった。

こういう感覚で、意表をついたコースに真っ向ストレートで勝負されたのではかなわない。

もう二度と現れないような「感覚」だと思う。

本当に惜しい人を亡くした、と思うのである。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする