読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

チーム・バチスタの栄光(上・下) 海堂尊 宝島社文庫

2008-01-16 22:00:00 | 読んだ
海堂尊の小説「ジーン・ワルツ」を読んで、是非読みたいと思って本屋で探したのだが見当たらず諦めていたら、別の本を探しているときに偶然見つけた。
こういう場合は、即購入である。
絶対逃してはならない。

さて、この物語は、医学が柱である。
チーム・バチスタというのは心臓手術をするチームで、バチスタというのはその手術の名称で正式名称は「左心室縮小形成術」という。この手術技法を創始したR.バチスタ博士の名前からバチスタ手術と呼ばれている。
この手術は平均術死率40%という難しい手術である。

物語の舞台となる東城大学医学部附属病院の桐生助教授がチーム・バチスタを率い、この手術を行い30例のうち27例まで成功し、最近の3例が失敗し術死している。この術死の原因を探ることがこの物語の主題である。

その原因を探るのがこの物語の主人公・田口である。
田口はこの病院の『不定愁訴外来』の医師で、大学の神経内科学教室の講師である。
不定愁訴外来は別名「愚痴内科」である。
この不定愁訴外来についての話も面白いのだが、詳細は本書を読んでもらえばいい。

田口は病院内の権力争いから一歩も二歩も距離を置き、病院内から直に入れない部屋に「不定愁訴外来」の診察室を設け、のんびりと診察をしている。

その田口に病院長の高階から、チーム・バチスタの術死の原因を探るように命じられ、田口は持っている医療技術を応用して、チーム・バチスタの面々から聞き取りを始める。

そうこうしているうちにどうも「術死」というのは殺人事件ではないかということになってくる。
そして登場するのが厚生労働省の技官・白鳥である。
白鳥は田口以上に非常に変なヤツである。

この白鳥が謎を解く。
謎を解くのだが、その解き方というか人との接し方というか、なんとも腹が立つ或いはイライラさせられるのである。

で、怒涛のラストである。

なんだか『冗長』なところとか『アヤシイ表現』(つまりそういう言い方ってあったっけ?というところ)があるが、それを補って余りある面白さである。
登場人物たちの性格(今はキャラっていうんだっけ?)がはっきりしているので、ごちゃ混ぜにならないし、現在の医療問題についてもそうとう厳しく言及しているし、読んで良かった!とおもわされる物語であった。

もうすぐ、映画も公開されるらしい。
マタひとつ楽しみが増えた。

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