読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

オール読物12月号から

2007-12-23 23:56:52 | 読んだ
すでに1月号が出ているのに12月号の話題です。

浅草暮色 伊集院静
浅草の小料理屋「志万田」の女将・志万が主人公の、大晦日の話である。
常連の客との会話から、亡くなった<つれあい>を思い出し、そして若いときの恋人であった幼馴染の相撲とりとのことなど思い出し、更にばつ一の娘が連れてきた男のことなどが描かれている。

「だからなんなんだ!」というつっこみがはいりそうな、淡々とした物語なのだが、こういう人生もあるんだなあ、というしみじみとしたものがある。

こういう店で熱燗をいただくのもいいかなと思ったのであった。

二人姉妹 森絵都
ちかごろは森絵都の小説をよく読んでいるが、この人の小説も淡々としているというか、いわゆる『大事件』などはおきない。
日常の何気ないことから人生を考える、というような趣向のものである。

今回は親類一同が温泉に集まったところで、妹が姉が一緒に温泉に入らないことに悩み、それを聞いた語り手の従姉妹が姉に伝えると、姉にはそれなりの理由があるのだが、それは一方的なことで妹が悪いわけでもないのだが・・・ということで、そして宴会がはじまるととうとう姉妹は険悪な雰囲気になる。
結局、姉妹は仲直りをして一緒に温泉に入るのだが、それはどういうわけでそうなったのか、ということが面白い。

それにしても、いわれなきというか身に覚えのないことで、ヒトから嫌われたりするということはあるもので、そんなところが人間関係の面白さ・つらさなんだと思う。
それを短編でうまく表現していると思うのであった。

みけとらふに 畠中恵
町名主の息子で町名主見習いの麻之助、同じ境遇で父が亡くなって町名主を務めなければならない清十郎、そして見習い同心の吉五郎という3人の仲間が事件を解決する連作時代小説である。

著者は「しゃばけ」シリーズをてがけているが、こちらの物語は怪奇現象などはおきず、普通に江戸時代のお話である。
今回は、猫にかんする噂話を突き詰めていくと「事件」がでてくる。

しゃばけシリーズと同じでほのぼのとした物語である。

相棒たち 勝目梓
著者はエロティックな小説を書いてきているというイメージであったが、近頃はいわゆる熟年夫婦(60歳前後である)の性についてを主題としているようだ。

この物語は連作のようであり、前回は熟年夫婦のスワッピングについて話し合ったりしていたが、今回も同じ登場人物たちで「エロティック」について話し合っている。

現代はみんなが若返ってしまったので、老後の性生活というのも小説の題材になりうるとは思うが、あまり興味のない話というか触れたくない話でもある。

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