2020年10月19日、瀬戸内海の香川県坂出市沖でクルーズ船が沈没する事故が起こった。この船には修学旅行中の小学生ら62人が乗っていたが、全員救助されて無事だった。最初の浸水から20分で沈没したが、全員分のライフジャケットがあって浮いて待っていた生徒も多かった。近在の漁船なども救助に駆けつけたが、午後4時40分頃の発生で西日本ではまだ明るかった。これが暗かったら救助も困難さを増しただろう。このニュースを聞くと、どうしても韓国のセウォル号事故の悲劇を思い出してしまう。全員救助されたことで、東京ではあまり大きく報道されなかった感じだが、日本の長い修学旅行の歴史の中でも最悪レベルの事故ではないか。
(小学生が乗った船が沈没事故)
最近教育問題に関する記事をほとんど書いていない。いじめや体罰、長時間労働や部活動、教員免許更新制や全国学力テストなど、大体今までに一般論は書いてしまった。何回書いても変わらないんだから、また書くべきだという考えもあるだろうが、僕も次第に判らないことが多くなってきた。「オンライン授業の進め方」「デジタル教科書をどう考えるか」なんかは、もう僕には何も判らないのである。しかし「修学旅行」だったら書きたいことがある。
事故にあった小学生は香川県坂出市のもので、本来ならもっと遠くに行く予定が「地元発見」に切り替えたものだった。そういう学校も全国には多いと思うが、こんな事故が起きるとは予想もしなかっただろう。検索してみたら、やはり香川県で多度津町にある「四国水族館」を訪れる学校が多くなっているという記事があった。今年は2月末から5月頃まで「休校」せざるを得なかった学校が多いだろう。ちょうど春の修学旅行期間に当たっている。そこで「延期」した後、そのまま「中止」とするか、場所を変えたりして何とか実施するか。難しい決断があったことだろう。
(四国水族館を訪れる小学生)
朝日新聞11月8日付の調査記事では、公立の小中高校の約15%の学校が修学旅行を中止したという。これは全国の121自治体に実施状況を尋ねたところ、全国の約2万4千校の状況を回答したという。全国の学校は約3万3千校ということなので、3分の2に当たる。その中止したところでも、校内キャンプや日帰り旅行に変更したところが多いという。予定通り実施した学校は約12%だったと出ている。感染者が多い東京都では中止の割合が高く、「東京では全中学校が中止した区が複数あった」とのことだ。
確かに東京から集団で出掛けることを心配する向きもあると思う。いちいち書いてないけれど、新聞の地方欄を細かく見ると(あるいは東京都教委のホームページを見ると)、毎日のようの教員や生徒の感染が報じられている。状況によっては休校する場合もあり、なかなか完全な安心感が持てないまま「第三波」に入ってしまったらしい。各学校の状況はそれぞれ違っているし、何にしても「苦渋の決断」を迫られる。出された結論について、あれこれ言うつもりはないけれど、僕はそれでも「出来れば何らかの形で旅行行事を実施して欲しい」と思う。
新聞やテレビを見ると、各学校のいろんな苦心もあるようだ。東京や大阪を避けて、もっと身近なところに変える。しかし、「Go To トラベル」を使って普通なら泊まれない豪華旅館を借り切ってゆったり宿泊した例なんかはうらやましい感じ。東北地方からは、東京まで行かず栃木県などに泊まる。確かに那須や日光・鬼怒川には素晴らしい旅館、ホテルがいっぱいある。見どころも多いし、ディズニーランドもいいけれど、遊園地的な観光地はどこにでも見つかるものだ。学校の苦労が通じるのであれば、どこへ行っても楽しいのが旅行行事だと思う。
来年3月卒業予定の児童生徒については、もう旅行行事の実施時期は終わっている。あるとするなら「卒業遠足」だが、これは無理して実施しなくてもいいかなと思う。しかし保護者とも連携して何らかの文化・スポーツ行事は出来ないかなあと思う。全日制高校では冬休みや3学期半ばに修学旅行があるところも多い。実施学年は2年生で、進路学習で忙しくなる3年を避けて2年で行うわけだ。2年生の秋に行ってしまうことも多い。一方、中学や定時制高校では、卒業学年になって修学旅行に行くことがほとんどだろう。
東京の街には、5月になると班活動で回っている制服姿の中学生が一斉に出現する。一種の風物詩だが、今年は見なくて寂しかった。最近は「学習」を兼ねて、出身県のアンテナショップで売り子をしたりアンケート調査をする中学生を見たこともある。今は子どもの数も減ったので、多分中三の秋に修学旅行に行く学校はほとんどないだろう。「第二次ベビーブーム」時代には生徒数が多く、一度に新幹線を取れない。抽選で負けると秋実施ということもあった。東京では公立はほぼ中学は新幹線、高校は飛行機を使うことが多い。その希望日時をめぐって校長会と旅行会社で調整が行われた。今もそんなことをやっているのだろうか。
自分の時は中学でも高校でも5月頃に京都・奈良へ出掛けたものだが、現在は行き先も時期もバラエティがある。書き出せば切りがないんだけど、「修学旅行」に関しては僕も思い入れが深い。「文化祭」「運動会」(体育祭)では、まとまらない場合も時にはあるが、「修学旅行」はさすがにまとまることがほとんどだと思う。大きな事件・事故が起きることが絶対にないわけではないが、自分としては今まで一度も悪い思い出になった旅行行事はない。
「日本型学校文化」には善し悪しがあるけれど、どんなに大変でも「清掃」と「修学旅行」は後世に残して欲しいと思う。「道徳の教科化」なんかより、自分の学校は自分たちできれいにする方がずっと大切だ。旅行行事はなんといっても「宿泊」するわけだから、生徒のいろんな面、教科学習では判らなかった面を見ることが多い。それは生徒どうしでも同じだろう。「ヴァーチャル修学旅行」ではそれが適わない。教師が旅行行事を避けるようではオシマイだと思っていて、来年度は100%実施になるように何らかの工夫を望んでいる。

最近教育問題に関する記事をほとんど書いていない。いじめや体罰、長時間労働や部活動、教員免許更新制や全国学力テストなど、大体今までに一般論は書いてしまった。何回書いても変わらないんだから、また書くべきだという考えもあるだろうが、僕も次第に判らないことが多くなってきた。「オンライン授業の進め方」「デジタル教科書をどう考えるか」なんかは、もう僕には何も判らないのである。しかし「修学旅行」だったら書きたいことがある。
事故にあった小学生は香川県坂出市のもので、本来ならもっと遠くに行く予定が「地元発見」に切り替えたものだった。そういう学校も全国には多いと思うが、こんな事故が起きるとは予想もしなかっただろう。検索してみたら、やはり香川県で多度津町にある「四国水族館」を訪れる学校が多くなっているという記事があった。今年は2月末から5月頃まで「休校」せざるを得なかった学校が多いだろう。ちょうど春の修学旅行期間に当たっている。そこで「延期」した後、そのまま「中止」とするか、場所を変えたりして何とか実施するか。難しい決断があったことだろう。

朝日新聞11月8日付の調査記事では、公立の小中高校の約15%の学校が修学旅行を中止したという。これは全国の121自治体に実施状況を尋ねたところ、全国の約2万4千校の状況を回答したという。全国の学校は約3万3千校ということなので、3分の2に当たる。その中止したところでも、校内キャンプや日帰り旅行に変更したところが多いという。予定通り実施した学校は約12%だったと出ている。感染者が多い東京都では中止の割合が高く、「東京では全中学校が中止した区が複数あった」とのことだ。
確かに東京から集団で出掛けることを心配する向きもあると思う。いちいち書いてないけれど、新聞の地方欄を細かく見ると(あるいは東京都教委のホームページを見ると)、毎日のようの教員や生徒の感染が報じられている。状況によっては休校する場合もあり、なかなか完全な安心感が持てないまま「第三波」に入ってしまったらしい。各学校の状況はそれぞれ違っているし、何にしても「苦渋の決断」を迫られる。出された結論について、あれこれ言うつもりはないけれど、僕はそれでも「出来れば何らかの形で旅行行事を実施して欲しい」と思う。
新聞やテレビを見ると、各学校のいろんな苦心もあるようだ。東京や大阪を避けて、もっと身近なところに変える。しかし、「Go To トラベル」を使って普通なら泊まれない豪華旅館を借り切ってゆったり宿泊した例なんかはうらやましい感じ。東北地方からは、東京まで行かず栃木県などに泊まる。確かに那須や日光・鬼怒川には素晴らしい旅館、ホテルがいっぱいある。見どころも多いし、ディズニーランドもいいけれど、遊園地的な観光地はどこにでも見つかるものだ。学校の苦労が通じるのであれば、どこへ行っても楽しいのが旅行行事だと思う。
来年3月卒業予定の児童生徒については、もう旅行行事の実施時期は終わっている。あるとするなら「卒業遠足」だが、これは無理して実施しなくてもいいかなと思う。しかし保護者とも連携して何らかの文化・スポーツ行事は出来ないかなあと思う。全日制高校では冬休みや3学期半ばに修学旅行があるところも多い。実施学年は2年生で、進路学習で忙しくなる3年を避けて2年で行うわけだ。2年生の秋に行ってしまうことも多い。一方、中学や定時制高校では、卒業学年になって修学旅行に行くことがほとんどだろう。
東京の街には、5月になると班活動で回っている制服姿の中学生が一斉に出現する。一種の風物詩だが、今年は見なくて寂しかった。最近は「学習」を兼ねて、出身県のアンテナショップで売り子をしたりアンケート調査をする中学生を見たこともある。今は子どもの数も減ったので、多分中三の秋に修学旅行に行く学校はほとんどないだろう。「第二次ベビーブーム」時代には生徒数が多く、一度に新幹線を取れない。抽選で負けると秋実施ということもあった。東京では公立はほぼ中学は新幹線、高校は飛行機を使うことが多い。その希望日時をめぐって校長会と旅行会社で調整が行われた。今もそんなことをやっているのだろうか。
自分の時は中学でも高校でも5月頃に京都・奈良へ出掛けたものだが、現在は行き先も時期もバラエティがある。書き出せば切りがないんだけど、「修学旅行」に関しては僕も思い入れが深い。「文化祭」「運動会」(体育祭)では、まとまらない場合も時にはあるが、「修学旅行」はさすがにまとまることがほとんどだと思う。大きな事件・事故が起きることが絶対にないわけではないが、自分としては今まで一度も悪い思い出になった旅行行事はない。
「日本型学校文化」には善し悪しがあるけれど、どんなに大変でも「清掃」と「修学旅行」は後世に残して欲しいと思う。「道徳の教科化」なんかより、自分の学校は自分たちできれいにする方がずっと大切だ。旅行行事はなんといっても「宿泊」するわけだから、生徒のいろんな面、教科学習では判らなかった面を見ることが多い。それは生徒どうしでも同じだろう。「ヴァーチャル修学旅行」ではそれが適わない。教師が旅行行事を避けるようではオシマイだと思っていて、来年度は100%実施になるように何らかの工夫を望んでいる。