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チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 65

2018年12月07日 12時12分05秒 | 日記
着物が8枚のパーツをつなぎ合わせて出来ていることに驚く
しかも布は捨てない
すべて折り込んでいく折り紙みたいだ
洋服の場合裁断するとへいきん20%は布を捨てるそうで
一ミリも布を捨てない着物の裁断はもう神業としか思えない

「見積もり」といって反物を長く伸ばして柄合わせをする姑
その傍で勝手にこの柄は襟に来るといいとか
いっその事下前に柄を持ってきて上前は無地っぽく着るのも洒落ていますよ
と言いたい放題嫁

姑は黙ってヘラで印をつけている
「ヒサ子さん着物の仕立てには法則があるのね、だから染めたり織ったりするひとも、寸法を気にして見積もりながらものづくりやってるのよ」
勝手のことは言わないものよという意味を言外に込めていて
「でも着る人にとってはこういう柄をもっと強調させたいと思ってもいいんでしょう?」
と嫁は負けていない
「まあね、着る人あっての着物だから」
姑は優しいからというより賢いので必ず折れる

ではとばかりいろいろと難しい注文して縫ってもらっていた
かと言って自分で着物を縫うという発想はまったくない

でも取材で教わった芸者さんたちの半襟付けは必ず自分でした
ある時姑が新しい長襦袢に半襟を付けてくれたのだが
「ありがとうございます」
と感謝し着てみたがどうも首の座りが悪い
糸目も美しく実に見事な半襟付け
しかし私のいい加減な大きい針目でつけた半衿のほうが着やすい

それを話すと
「そうかもね自分の体に一番フイットさせたいところですものね着る人の手なりの縫い方がいいでしょう。昔は自分が着る着物は自分で縫ったほうが着崩れしないと言っていたものよ」
「仕立ての人の手が変わるとなじまないときありますよね」
生意気にも「それでは縫い方教えて」という言葉は出ない

上はゆったり裾窄まりに着たい
着装だけでもできるけど自分の寸法でそれができないかと難問を押し付ける
抱幅を狭くして襟のカーブをきれいに収め裾幅を斜めに細くする
その場合は布を切り捨てるのではなく
すべて畳みこんでカーブを作っていく

無理難題の中でこれだけはだめと厳しく言われたのは
寸法をとって身頃で余った布は胴に折り込んで縫い付けるのが仕立ての基本なのだが
「それでは胴回りが太く見えるので切り取ってほしい」
「余った布は別にしておくと必ずなくすから一緒にしておいたほうがいいの」
「気をつけるのでスッキリさせてください」しかしノー

その後裾が切れるほど着こんだ着物は
仕立て直す時縫い込んだ布を下げることによってまた着物が生き返った
姑の忠告を聞いておいてよかったと思う

#着物 #仕立て #見積もり #寸法 #姑 #嫁 #仕立直し


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