着物が繋ぐもの 69

着物こそオートクチュール
着物を毎日着続けていると細かい寸法が気になってくる
袖幅と肩幅を足して「裄ーゆき」というが同じ裄の寸法でも袖幅を広くするか肩幅を広くするかで着姿がまるで違う

肩幅を広くすると脇に縦じわが出ることが多い
袖幅を広くすると手を 動かすときにしなやかさが失われる
同寸法にすると良いというアドバイスを先輩からいただくが
どうもしっくりしない

着物の寸法を動かすと長襦袢の寸法も変えなければいけない
うっかり寸法の違うのを着ていると着物の袖と寸法が合わないので
同じ裄の寸法であっても長襦袢袖が着物から覗いたりする
そうすると一日中ソコニ気がいくので人とあっても落ち着かず自信のないふるまいがマイナス思考になってしまう

一時着物と長襦袢の枚数が同じという時があり
「長襦袢分限者なの」と自慢していたがそれも裄の寸法が不安定なのでそのような無駄なことをしてしまう

きはじめて10年経ってやっと肩幅を狭くする裄の寸法に落ち着いた
そうするとなで肩に見えて脇のシワも目立たない

次に気になったのが袖付の寸法
袖付の寸法を長く取ると身八つが割れないですむ
しかも品の良いいい感じの膨らみが胸に出る

最近は帯の位置が下になってきたので更に袖付を長くした

学生の頃電車の中で若い母親が身八つ口からおっぱいを出して乳飲み子に母乳を与えている場面に出くわしたことがある
たまたま私はその若い母親の前のつり革にぶら下がっていたのだ
乳飲み子が泣き騒ぎおとなしくなったな？と思ったら子供の頭が母親の身八つ口のところにあった
びっくりした！

もちろん身八つ口という言葉も知らなかったので後で母に告げると
昔の人は着物の襟をわざわざ広げなくても脇からつまり身八つを広げて母乳を上げることは誰でもやっていたことだとーー
いや～～驚いた

身八つ口が大きく開くような仕立てになっていたのっだろう

3つ目の寸法は袖口
毎日電車を使っていたのでつり革を掴む
その時袖がずるずる下がり肘まで見えてしまう
別の手でたもとを持って押さえればそれは美しい仕草になるのだが、荷物を持っているそうはいかない
そこで考えたのが袖口の寸法
普通寸法より一寸詰めてみた　それだけでちょっと肘を張ると袖口は手首で止まり袖はスーーと落ちてこない当然肘まで見えない

ここまで寸法を考えたらオートクチュールだと友人たちに自慢した

＃オートクチュール　＃母乳　＃身八つ口　＃袖口　＃着物　＃裄　＃肩幅　＃乳飲み子