チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繫ぐもの 73

2018年12月24日 13時05分59秒 | 日記
着物の自己表現に終わりはない
着物を着始めた頃「ねばならない」という感覚が強くて
家から一歩外に出る時周囲を見渡し緊張した
電車に乗れば視線が集まりどこかおかしいのだろうかと心の中で密かに点検する

道中知り合いに会うと病気?(お化粧をすることの大切さを知る)
すっぴんで着物を着てはいけないらしい
それは着物を貶めることになるのだと教わった
化粧をして会社に行くと
「オレ オタクに つけ ないよね」と男子社員にからかわれる
会社に着物を着ていくというのは本当に勇気がいる

でも日常に着物を着続けるということを腹に決めているのだから「これも研究あれも研究」と言い聞かせる
そのかわりとにかく目立つのでお茶くみも率先して行い
居残っている人に手伝いましょうかと問う
そうやってなんのために着物を着続けてるかということが認識されると
もう誰も何も言わず平常になる

撮影やテレビなどの現場にも着物を着ていく
ある時有名な女優さんが「ナカタニさん着物かなんか着ちゃってどうしたたの?」
なんて陰口叩かれたりする
「陰口叩かれるのは大物の証拠!」
と自分を慰めるがなんとなく肩身は狭い
女優さんとの撮影のときはひたすら地味な着物を着ていくという配慮もする

ある時
テレビドラマの衣裳を担当したので例のごとく黒地に渋い黄色の細い縦縞の草木染め(山崎斌作)そして渋い無地の紬名古屋の帯を締めて衣裳合わせをしていたら、共演の男優さんが「ナカタニさんいい着物着てますね、うちのカミさんが好きそうだな今度遊びに来てよ」
ということでそちらの夫人とすっかり仲良くなりお二人がなくなるまで交友が続いた
着物のご縁

ある時若い女優の味噌の宣伝CMがありその時初めて
カメラマンから「チャコ着物での動きを教えてあげて、君ねナカタニさんの動きを見てると参考になるからね」
現場での着物姿を認められた瞬間だった。安堵感が前身に染み渡った嬉しかった1

肩肘張って「とにかく着物を着続ける」という思いに柔らかさと当たり前という感覚が湧いてより着物を通して仕草や言葉使いに注意するようになった

着物を着ているのが当たり前
という認識なるのに10年はかかった
その間気苦労もありまた必死で頑張って馬鹿みたいに自分に使命感を押し付けていたので病気にもなったりして
「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉がすんなりと胸に入ってきた

着物は色んな経験を私に与えてくれたと思うし人生の師匠でもある

#着物  #チャコちゃん先生 #中谷比佐子
コメント
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