チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

ガード加工

2011年11月24日 09時21分31秒 | 日記
かねてきものにガード加工をすることに疑問を持っていた
ガード加工の会社を3社取材したこともある
年々きものにガード加工をする人が増えてきているのも
聞いている

もともと海軍の軍服についているモールの飾り物が
海の潮風で変色し糸が切れるので
その保護のために布にガードをするという方法が
考案されたと取材で知った

防水加工より緻密なものでもある

ものの少ないものを大切に扱わねばならなかった時代
このガード加工は重宝されたと思う

このガード加工の手法をきものに施すようになったのは戦後だ

水周りの仕事をする人
病人や小さい子供の世話をする人
そういう人には役立つ

しかし素材を生かしその素材に気持ちよさを感じるきもの
コレにガード加工をするということに
チャコちゃん先生は納得がいかない

先日
結城つむぎを着て多くの人が集まったとき
その中のお一人が
「私のは本当の結城紬ではないのでしょうかごわごわしている
他の人たちはしなやかに体に添っているのに」

昔と違って結城紬の「のり抜き」の技術が発達し
結城紬は生まれた結城に戻ってもう一度着るために
「糊をぬく」作業することでしなやかにそして艶が出る

一般の湯のしでは繊維に入った微妙な糊は抜きにくい
そのため売る人は必ず
「一旦産地に戻します」
といって反物を結城に戻す

この方の場合糊抜きをする前にガード加工をされたらしい

ガード加工の会社にガードを取ってもらおうと電話をすると
「その日の薬品の種類によって取り方が違うので」
いつどこで誰れから買ってというデーターをきっちり整えてから
もう一度電話をよこせという

いま「日本の絹」国産のいい糸をもっと生産しようとか
塩漬けで糸をしなやかに着心地いいものにしようと
がんばって糸作りをしている人たちが大勢居る

こういう人たちの努力は
ガードをかけられたら何にもならない
着る人も汚さないようにと心配るから
仕草がやさしくなる

話は変わるが
携帯電話を如何に薄く軽くするかに企業間で競争しているが
使う人が重い携帯ストラップを付ければ
企業の努力は水の泡

文句が出ないように防御の方を先に考える
こういう風潮があらゆる場面でおきていると思う

怖い





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