My Audio Life (趣味のオーディオ)

真空管オーディオを中心に、私のオーディオチューンアップについて書いています。最近はPCオーディオにも取り組んでいます。

カセットデッキ再生ヘッドアンプの再見直し。~ようやく納得できる音質へ~

2023-08-06 11:48:12 | カセットデッキ

カセットデッキTEAC製V-5010の高音質化に向けて更なる改良をおこないました。

この1か月近く「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤を繰り返してましたが、漸く納得のいく音質に到達しました。

改良内容については、様々なメーカー、機種のヘッドアンプの回路を参考にして行ないました。

その詳細は以下です。

 

RLCフィルタのコンデンサ容量と抵抗値を変更。

 C109 0.001uF(1000pF)に146pFをパラってましたが、これを220PFに容量アップ。

 もう少し大きい容量も試しましたが、音質の上品さがなくなり良くない。

 抵抗値は、1.3kΩ→1.0kΩとしてQ値を大きくしました。

 これらの目的は、高域をもう少し持ち上げるため。

 RLCフィルタのカーブはこちら。 

 1kΩ+27mH+1220pFで、カットオフ周波数fc=27.7kHz、Q=4.7

 

 

NFB回路に小容量のコンデンサを追加。

 今までは無かったのですが、120kΩ//1MΩ=107kΩ(後に1MΩは撤去)に47pFをパラ追加。

 この目的は、急峻な波形の立ち上がりを滑らかにして聴きやすくするためと、発振を保護しオペアンプ回路を安定させるため。

 これで高性能なオペアンプも使用可能となりました。

 

オペアンプを交換。

 高性能なオペアンプが使用可能となったことで、BB製OPA627BPに代えてNS製のLME49710HA(CANタイプ)を使用。音質的に、こちらがスッキリ。

 LME49710はNS社が誇るハイパフォーマンス・オーディオ用オペアンプです。

 

NFB回路の電解コンデンサを撤去。

 ここの電解コンデンサは音質に大きく影響。

 様々な電解コンデンサを試してみましたが、電解コンデンサを使う限り、音の情報量は減り、スッキリしない音になると言う結論に達しました。

 この電解コンデンサの役目は、低音のカット(帰還量を増やす)なので、思い切って撤去しショートしました。

 その結果、スッキリと情報量の多い音となりました。低音が出過ぎる事もありません。

 

ヘッドに並列のコンデンサの撤去。

 このコバルトアモルファス14層のヘッドには、高域持ち上げの効果が無い様です。

 付ける事でノイズも拾い易くなるので撤去しました。このヘッドは元々高域特性が良いのが売り。

 

低域側のEQカーブを元に戻す。

 改造後、低域が足りない様に感じたので抵抗を121kΩに戻し、3,240uSとしました。

 

①~⑥を実施した回路図(赤丸部分が変更箇所)と写真。

(参考:メーカーオリジナル回路)

 

テープ・スピードの調整。

 同じ曲をCDと聴き比べると何となく遅い様なので調整しました。

 調整の様子。

 調整方法は、テストテープ(3kHz)があれば簡単ですが、持ってないので、実際にテープを再生し、片面の再生時間をストップウォッチで計測。

 タイトルジャケットに記載の時間と比較。 片面約22分で誤差1秒以内になったのでピッタリです。

 

この状態で、同じ曲をレコードとカセットテープで聴き比べましたが、ほぼ同等の音質となりました。

聴き比べ時の詳細については、後日投稿します。

さてさて、聴き比べたタイトルは何でしょう? 

上の写真に少し映ってますが、昨今話題の80年代のシティ・ポップです。

 

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カセットデッキのEQ時定数や高域補正など。

2023-06-10 15:18:40 | カセットデッキ

カセットデッキがもう少し音質改善出来るのでないかと、再生ヘッドアンプを見直してみた。

愛用のカセットデッキはTEAC製V-5010。

前回のBIAS TRAP回路に続いての検討になります。

 

カセットデッキにおいて、ヘッドでの高域減衰は仕方ないので、何かしら補正する必要があります。

1.再生イコライザの時定数(ノーマルテープの場合)

 <高域側>

   規定値は120uSですが、購入時は4.3kΩ(R106) x 0,027uF(C103) = 116.1uS

   過去の改造により現在の設定は、4.42kΩ x 0.027uF = 119.34uS。

   これを4.75kΩ x 0.027uF = 128.25uSとし、高域の減衰量を少な目に。

 <低域側>

   摩耗したヘッドを研磨した為か、コンターエフェクトで低音が若干うねってモヤモヤしてる。

   このうねりで高音を汚しているかも知れない。

   そこで、低域のEQを若干高めにシフトしてみる事に。

   今は、規定値3,180uSに対し120kΩ(R107) x 0.027uF(C103) = 3,240uS (購入時状態)。

   若干低めに設定してある。

   NFBの電解コンの容量が他社よりも大きい事からもかなり低域を攻めたのではと思う。

   本機スペックの周波数特性も「15Hz~」となっている。

   しかし、これではコンターエフェクトをまともに受けそう。

   それに15Hzが鳴らせるスピーカーってどんなの? 普通は必要ないのでは。

   これを120kΩ//1MΩ=107kΩとし、時定数を107kΩ(R107) x 0,027uF = 2,889uSに変更

     ※この様に設定しているメーカー、機種もある。

   目論見通り、低音がスッキリして、高域も綺麗になりました。

 

2.ヘッドの共振コンデンサ

 ヘッドの材質や種類にも依るので、機種によりこのコンデンサが有ったり無かったり。

 ナカミチやTEACの一部機種には付いています。このV-5010には無し

 これは、ヘッドのインダクタンス(L)とCを並列共振させて高域を補正するためのもの。

 取り敢えずディップ・マイカ・コンデンサ 100pFを追加しました。

 ヘッドのLが不明ですので共振周波数の計算が出来ません。シールド線の浮遊容量も。

 このコンデンサには、ヘッドの機械的共振による高周波ノイズを低減する役目も有る様です。

 

3.高域補正回路

 実は、バイアストラップ回路に秘密が有ったのです。

 RLCフィルタ回路が、高域補正の役目も担っていたのです。

 インダクタのおかげで30kHz付近にヤマが出来て、これで高域を持ち上げているのです。

   ※RLCフィルタの「カットオフ周波数」「周波数解析」には、「フィルタ計算ツール」を使わせて頂きました。

 現行は直列抵抗1.5kΩ(R109)でしたが、これに10kΩをパラって1.3kΩに。

 1.3kΩ(R109)、27mH(L101)、1,000pF(C109)で構成。

 fcは30kHzで変わりませんが、Qによるヤマが僅かに高くなりました。

 聴いてみると高域が持ち上がって良い感じです。

 さらに1kΩでも試しましたが、高域が持ち上がり過ぎて不自然、クセが強くなります。

 1.3kΩが適当な様です。

 

今回の変更は、2.、3.を実施しただけでは、濁った高域が持ち上がるだけで、煩く感じました。

まずは、1.の低域のうねりを対策してから、2,3を実施する必要がありそうです。

<変更前の回路図>

<変更後の回路図> 赤丸で囲んだ所が今回変更箇所。

 

変更後のヘッドアンプ部の写真。

 

今回、「テープ・レコーダーとその活きた使い方」(誠文堂新光社)を参考にしました。

今から40年前に購入した本です。

 

抵抗、コンデンサが潤沢にあれば、更に良い設定が見つかるかも知れませんが、手持ちの抵抗、コンデンサでは、こんな感じです。

テストテープは所有してないので、自分の耳だけを頼りに、同じ曲をCD、レコードと聴き比べながら、調整しました。

80年代中頃の同じ曲を比較した場合、端的に言えば、「CDの音は繊細で美音」、「レコードの音は抜けが良く空間表現が豊か」、「カセットテープは音が厚い」ですかね。

特にカセットテープは、音がギッシリと詰まっていると言った感じです。

 

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山下達郎『FOR YOU』カセットテープが届きました。

2023-05-03 15:55:12 | 音楽

5/3発売になった山下達郎2023年リマスター第一弾『FOR YOU』カセットテープ版が届きました。

Amazonで予約していたので、発売1日前の昨日5/2に我が家に到着。

本日、Amazonを覗いてみると、売り切れの状態で「再入荷の見込みが立っていない」となっています。

それほど人気?それとも生産限定盤なので、生産数少ない? 因みにレコード盤も在庫なし。今回はCDの発売は無し。達郎さんの拘り。

Amazonで発売しているものは「ジャケット絵柄メガジャケ付き」です。

届いたものが、こちら。

私が何故カセットを選んだかと言うと、ブログにも書いた様に、今年初めにティアックのV-5010を再修理、チューンアップしたので、これで最近の新品カセットテープを聴いてみたかったためです。

 

では、さっそくレビューしてみたいと思います。

内容については、これだけの名盤ですので今更と思いますし、他の方が沢山レビューされていますので、私はその音質について個人的な感想を書きます。

全体を通して、第一印象は派手さが無く、迫力やキレのない音と思いましたが、よくよく聴くと、細かい音まで入っており、音の厚み、奥行き感があります。高音と言うよりは、低音とか音の厚みに拘った感じ。確かに、これはデジタルでは味わえない音です。

その当時の様にドライブしながらガンガン聴く音では無いですね。家でじっくりと聴きたくなる感じです。

達郎さんの音作りの世界に没入します。ノリノリで聞き流す雰囲気ではなく、一音一音まで逃さず聴きたくなります。

A-06 FUTARIのイントロのビアノの音や、B-03 LOVE TALKIN'の奥行き感が特にリアル。

各曲の多重録音コーラスの厚みも良いです。楽器もどれだけの音を重ねているのだろうと考えさせられます。私が語るのは音楽関係者に失礼なので、各楽曲のコメントはこれくらいに。。。

 

余計なお世話かも知れませんが、今現在ミュージックテープを生産出来る場所はかなり限定されていると思いますが、いったいどこで作られたのでしょうね。磁気テープのメーカー、録音、複製、大量生産などの機材設備、技術を所有している会社。こちらにも興味があります。

そして出来上がった製品を山下達郎さん自身もチェックしたのでしょうね。

ウォークマンやラジカセなどの小型システムでの再生や、ナカミチの様な高級カセットデッキでの再生で、どの様に聴こえるか確認されているのでしょう。

このカセットテープの難点は、ドルビー・ノイズリダクション(Dolby NR)を使っていないので、ヒスノイズはかなり大きいです。これはカセットテープの宿命なので仕方ないですね。

これ、音量を大きくして聴くと割と気になります。これも構成の一部なのかな?

Dolby NRを使わない事も、達郎さんの拘りと見たことがあります。

 

 

このテープを聴いた後で、『OPUS』の同曲を聴いてみましたが、かなり煩く荒々しくメリハリが効いた音に感じました。

今回のものは一音一音を丁寧にリマスタリングされた感じがします。緻密な音です。

これがリマスタリングに依るものかカセットテープに依るものかはわかりませんが、音質がソフトで以前のものとは趣が異なります。

これが達郎さんが本来意図した音なのでしょうかね?。リスナーは好みが分かれるところでしょう。

 

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カセットデッキのバイアス・トラップ回路定数変更。

2023-02-23 14:09:28 | カセットデッキ

他にも音質改善に繋がる箇所があるのではと思い、少し弄ってみた。

ひとつは回路部品、もうひとつはヘッドの再研磨。後者は次回に投稿。

 

ティアックのカセットデッキ V-5010のBIAS TRAP回路を見直し。

この回路は、テープに録音する時に重畳させた高周波バイアスを再生時にトラップする目的のものです。

一般的なバイアス用発振周波数は、80kHz~100kHz、HX Pro搭載器で150kHz位だったかな?(←記憶が曖昧)

この機種の場合はHX Pro搭載なので、サービスマニュアルによると「150kHz」です。

そのため、カットオフ周波数は他社品(ソニー)と比べると少し高めに設定されています。

そこで、少し下げてソニー品に近づける様に定数変更。

(ソニー製品の場合)

TEAC V-5010では、L(L101に該当)=27mH、C(C108に該当)=39pFになっていましたが、部品箱にシルバーマイカ 75pFが見つかりましたので、Cだけをこれに変更する事にしました。

オリジナルは、円板セラミックコンデンサの39pF。←これでは歪っぽい音です。

インダクタ(コイル)での音質影響も気になりますが、これを取り除くにはGIC回路を使わなくてはなりません。

一時期ソニーがGIC回路を積極的に取り入れていた様ですが、片ch当たりオペアンプが2回路必要且つ複雑になります。ソニーでも後期モデルではLCフィルタに戻してる様です。コストの関係?

(SONY TC-K555ESG 回路)

 

ここでちょっとヘッドアンプの回路についても、調べてみました。

各社色々と違いがある様ですが、1980年代はDCアンプ構成が主流。

当V-5010のアンプ構成は、ソニー TC-K555ESGやK555ESA、TC-K666ESによく似ています。

当時、他社の製品を分解、回路解析、研究したのでしょうね。

TC-K55ESGはバイアストラップ回路がGICですが、ここをLC型にした感じ。

 

この状態で聴いてみると、今までよりも歪っぽさが後退したように思います。

バイアストラップのコンデンサをセラミック・コンデンサからディップ・マイカ・コンデンサに変更した効果と思います。

 

 

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カセットデッキ(TEAC V-5010)の再レストア。~ 回路系 ~

2023-02-17 13:18:18 | カセットデッキ

メカ系の再修理が完了したので、今度は回路系を弄ります。

2年位前に、一度ヘッドアンプ、EQ回路周りや部品の換装を実施していますが、再度同箇所を弄ります。

 

<差動回路用定電流回路>

ヘッドアンプの差動回路用定電流回路を弄ります。

今までは定電流回路用FETにSONY製2SK43を使っていたのですが、これを取り外して真空管プリアンプの差動回路定電流用に使ってしまったので、代わりに東芝製2SK170BLを調達しました。

因みに、2SK170には中華製の偽物も存在するらしいので注意。今回調達品は本物。

ゲート、ソース間の抵抗で電流調整しました。82.5Ωで良い感じになりました。

差動回路用FETは2SK389が使われていますが、ロードラインを引いてみると丁度良さそう。

 

回路図では、こんな感じです。

 

<オペアンプ>

次に、その後段のオペアンプIC。

さきほどの差動出力をダイレクトに受けています。

ここに使うオペアンプでかなり音質が変わります。

結論から言うと、さすがOPA627BPがずば抜けて良かったです。

手持ちのオペアンプを交換して出音を確認。

ここは元々2回路入りオペアンプを使う様になっていますが、1回路入りも自作の2回路化基板に挿して使ってみました。

試したのは以下。

 ・1回路入り:LT1028、LME49710HA、OPA604AP、OPA637BP、OPA627BP

 ・2回路入り:NE5532P、MUSES8920、LM4562NA、AD827

オーディオ用として、どれも良く知られたオペアンプですので、説明は省きます。

それに私自身も今まで散々比較試聴していますので、大体の傾向は掴めています。

注意が必要なのは、高性能オペアンプは使い方により高周波で発振するという事です。

実際にオシロで出力波形を確認した所、案の定、LT1028では1MHz付近で凄い発振が見られました。これでは使い物になりません。出力にゾベル回路でもつければ良いかも知れませんが、そこまでして使うほどの魅力もありません。

LME49710も少し発振気味。他のオペアンプでも発振はしなくても、ノイズレベルに差があります。

ノイズレベルが最も少なかったのは「OPA627BP」でした。音質もワンランク上です。流石です。

しかし実は、今回使ったOPA627BPはおそらく中華製です。本物のマスクをコピーして作ったのではとの噂があります。

US製は、CDプレーヤーのIV変換回路に使用しています。10年位前にUSのRS componentsから購入した物なので、正規品で間違いないと思います。

このOPA627BPは、今やとんでもない価格ですね。ビックリします。中華製でも高い。

本物と中華製は外観で分かりますが、中華製でも充分良い音がします。

「OPA627BP」はオーディオ用として最高峰のオペアンプですね。これ以上のものを知りません。

 

<再生ヘッドからのシールドケーブル>

この製品には、PCOCC巻線コバルトアモルファス14層ラミネート・ヘッドが使われています。

このヘッドからのシールド線の先端に「ベルデン(Belden)のヴィンテージ線 導体Φ0.3mm径 1950年代」を1cmほど付けて、コネクタを使わず基板端子に直接半田付け。

ここの信号は微小なので、ちょっとした事でも音質に影響があります。

レコードプレーヤーのシェルリードに似た感覚です。

おまじないとして、一応銅箔を巻いておきました。

 

これで、再生音質的にはナカミチのエントリー・クラス(48x、58x)よりも優っているのではと思います。

過去にナカミチも使っていたのですが、音質的には柔らかいイメージでした。

私は、30年以上前に録り溜めた音源を聴くのが主目的なので、再生だけできればOKです。

1980年代の録音はNakamichiのデッキ、1990年代はこのTEACのデッキです。

おそらく、この先録音することは無いでしょう。

録り溜めたテープは結構な本数が有ります。

NHKスタジオでのライブ生配信を録音したもの、ピットインでのライブ音源、中野サンプラザでのライブ音源、ライブ・アンダー・スカイ音源など、どれもFM放送を録音したものです。市販されていない貴重な音源です。

 

いろんなテープを聴いていて気が付いたのですが、このTEAC V-5010で録音した物は音質が良いです。

デッキ自体の性能が良いのか、「Dolby HX Pro」が搭載されているからか、テープが良いのか分かりませんが、とにかく音が良いです。

 

 

 

こうやって、デジタルの音やレコードの音に飽きたら、カセットテープの音を聴くのも良いですね。違った感覚で聴く事が出来ます。懐かしくも有り新鮮でも有ります。

今、巷でも一部のマニアの間でカセットテープが人気の様で、先日TVで放送してましたが、関東地方にはカセットテープの専門店もある様ですね。

近所の中古店でも見かけましたが、2年位前よりも値段が高くなっていました。

 

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カセットデッキ(TEAC V-5010)の再レストア。~ メカ系 ~

2023-02-11 15:30:44 | カセットデッキ

ティアックのカセットデッキ V-5010は、6年くらい前に修理した後、一応動作して音が出る様になっていたのですが、残念ながら完璧ではなかった。

メカが時々不可解な動作をする事があったり、音質に関しても更に改善できるのではと思い、再度修理する事にしました。

過去の修理歴は、画面左サイドの「カテゴリー/カセットデッキ」タブより。

 

記事が長くなるので、メカ系と回路系(音質改良)に分けて投稿します。

今回はメカ系について

時々動作不具合と言うのは、再生スタート時に、「ヘッドベースが完全に上がり切らずに、途中で止まる事があり、テープがぞろぞろと送り出される」といった症状でした。巻き取っていないのですね。

そこで、再度メカを取り出しました。

結果から言えば、ヘッドベースが途中で止まる原因は、右側にあるカムで動作するスイッチ3個(写真の①)の接点不良でした。

キムワイプにエタノールを浸み込ませスイッチに挟み清掃しました。やはり接点が黒く汚れていました。

これで動作不具合が解消しました。下の写真はスイッチをシャーシから取り外しています。

因みに、反対側のテープポジション検出用スイッチはケースに入っているので大丈夫の様でした。

 

この際と思い、他の部分もメンテナンスしました。

以下、写真内の番号と項目番号は合わせてます。

①は先ほどのヘッドベースの状態検出スイッチの箇所です。

 

②ヘッドベースのグリスアップ

 ヘッドベースとメカベースの間のグリスアップを行いました。

 古い黒くなったグリスを除去して、新しいグリスを塗布。

 動作がスムーズになり、機械的な動作音も小さくなりました。気持ち良い動作。

 グリスは、タミヤの「Fグリス(フッ素樹脂配合)」を使いました。

 

③キャプスタンの研磨

 元々は、スリップ防止目的で数ミクロンオーダーのエッチング処理が施して有る様ですが、テープ裏面の磁性体にダメージを与えそうなので、紙やすり#2000で研磨後、研磨フィルム#6000で鏡面仕上げ。

 

④ピンチローラーの研磨

 ここも紙やすり#2000で研磨してゴム質を復元しました。

 

⑤ヘッドの研磨

 音質向上には、ここが一番効果がありました。

 研磨フィルム#6000で研磨後、同#10000で鏡面仕上げ。

 平面を出す必要があるので、板状の消しゴムに研磨フィルム(ピンク)を巻き付けて磨きました。

 MONOの消しゴムでも良いと思います。

 こんなに音質が変化するとは驚きでした!。

 アルコールで拭くだけでは、経年でこびり付いた汚れは取れないですね。

 テープとヘッドは密着させる事が重要!!!。接触面が荒れていてはダメですね。

 鏡面仕上げで、こんなに綺麗になりました。光沢があります。

 

ヤスリ関係はこちら。

 

 

再組み上げ。

カセットホルダーの右側のスプリングは、無くしてしまったので、クリップで手作りしました(銀色)。

なんとか上手く出来ました。これでイジェクト時にホルダーが気持ち良く開く様になりました。

 

これでメカ系はほぼ完璧と思うので、次は回路系です。

次回投稿まで暫くお待ちください。

 

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今年の振り返り。

2020-12-31 14:18:43 | オーディオ

今年も残すところ数時間となりました。

この1年の私のオーディオ関連の取り組みを振り返りたいと思います。

 

①WE 421A PPアンプの完成。

 出力トランスの変更とWestern Electric製421Aの採用。

 遂に完成しました。ウェスタン・エレクトリックの音は格別ですね。

 音が明瞭で芯が有ります。音声を聴く人に確実に届けるって感じです。

 今はこのアンプでJBL LE14A+LE175を鳴らしています。

 LE14Aの重いウーハーを悠々と揺らします。WE421Aの低内部抵抗の成せる技でしょう。

 

②6C33C シングルアンプの音質改善。

 NFBの調整で音が活きてきました。

 今までは音質的には優等生でしたが、今一つ元気が無く、聴いていて心が弾まなかった。

 出力段のカソードパスコンも交換しました。今まで聴こえなかった音が聴こえる様になりました。

 

③AVアンプの導入。

 TV番組のAAC音源のデコード(AAC5.1chも)のため、中古のSONY製 DA-3600ESを購入しました。

 HDMI for Audioでの再生が可能になり、DTS-HDの音質を我が家のシステムで確かめる事が出来た。

 『Blu-ray Audio Disc』や『ネット配信ラジオ番組』も楽しみました

 

④カセットデッキの修理。

 ティアック製V-5010の修理に再挑戦しました。

 少しでも音質改善が出来ないかと、再生ヘッドアンプの改良にも取り組みました。

 差動回路と定電流回路の再勉強になりました。

 基板裏がこんな事になってしまいました。

 カセットテープの音は厚みがあり、懐かしい音がします。

 でも、同じアナログ音源のレコードと比較すると限界がある様に思いました。

 

⑤ビデオテープの映像をデジタル化。

 若かりし頃に録画したベータやVHSテープの懐かしい映像を見る事が出来ました。

 永久保存版はデジタル化完了。

 

⑥その他

 1)今年もまたひとつ音質の良い部品に出会いました。Sprague Extralytic 600D。高分解能です。

    2)音の良いレコードにも出会いました。

  ノイマン製カッティングシステムを使用したソニーのアナログ・レコード。

 

 こうやって振り返ってみると、今年も色々な取り組みが出来たと思います。

 

 来年は新しい真空管アンプ作りに挑戦です。すでに取り組み始めています。

 

 それでは良いお年を!。

 

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カセットデッキ音質向上のための改造。

2020-06-01 10:54:47 | カセットデッキ

全国の緊急事態宣言が解除され、やっと改造用部品を購入する事が出来ました。

今回、改造のために購入した部品は、主に抵抗とコンデンサです。

TEAC V-5010の回路図も何とか手に入れることが出来ました。

改造後の写真がこちらです。

抵抗は主にDALE製RN-55に交換。黒い抵抗はTRW製RN-55です。使い分けに特に意味は有りません。

手持ち分と新規購入分の違い位です。過去の経験から音質傾向も同じと思っています。

抵抗だけで22か所交換。

カップリング・コンデンサは電解コンからWIMA製フィルムコン(赤)に交換。容量は若干下げていますが、低音の量感に変化は有りませんでした。一応、カットオフ周波数を簡易的に計算してます。

SONY製DOLBY ICに外付けの0.56uFと0.33uFに電解コンが使って有ったので、これをERO製フィルムコン(緑)に交換。小容量の電解コンは嫌い。

その他のフィルムコンは東信製UPZ(PPコン、赤艶)に交換。

フィルムコンへの交換、22か所。

半固定VRをコパル製に交換。

 

ここまで作業をしてから音出しして聴いてみると、「おやっ?」何だか音が篭っていて死んでる。

全く冴えない音。。。

改悪になったかなぁ?と、この日はガックリと肩を落とし、疲れだけが残る。

次の日、朝から音出し、夕方小休止で電源オフ、再び夜に電源オン。

聴いてみると、高域も出る様になり、かなり音の見通しが良くなってきた。

アナログならではのシッカリと厚みのある音。これは期待できそう。更に鳴らし込みを続行。

 

今後、改造してみたい箇所が、初段のヘッドアンプ。

ここはディスクリート構成の差動増幅DCアンプになっているのですが、定電流回路になっていないのが気になります。

カレントミラーが良いのですが、石が2個追加になるのはちょっと面倒。

定電流ダイオード(CRD)は手持ちが無い。

部品箱を探していたら定電流源に使えそうなFETが見つかったので、これを使ってみることに。

ここは、後日報告。

 

それにしてもこのデッキ、ポテンシャルはナカミチより上かも知れない。

クローズドループ・デュアルキャプスタンDCアンプはナカミチを踏襲。

しかし14層積層コバルト・アモルファス・ヘッドはナカミチ以上と思う。

価格以上のポテンシャルが有りそう。弄るのがますます楽しくなってきた。暫く遊べそう。

プロ用機器を作ってきたティアックのカセットデッキ最期の威信をかけた渾身の機器だったかも。

コスト度外視? 音声処理回路部分は上位機種のV-7010と同じ。

 

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たまにはカセットテープの音を聴くのも良いもんだ。

2020-05-05 17:04:16 | カセットデッキ

4年前に修理して取り敢えず動作する様になったカセットデッキ

そしてその2年後にアジマス調整もしましたが、その音質は今ひとつでした。

当時の修理の様子は、ここに書いています。

あれから2年、今年の計画に書いた様に再度リペアする事にしました。

 

再修理後の音質については、最後に詳しく書きますが『カセットデッキって、こんなに良い音だったの?!』って驚きです。

 

私の持っているカセット・デッキは『ティアック製V-5010』です。1993年製。メイド・イン・ジャパン!。中級機ですかね。(写真は今回のリアレンジ終了後のものです)

しかし、ヘッドには高純度PCOCC巻線コバルトアモルファスが使用されているので、潜在能力が有るはず。

もっと良い音が引き出せるのではと可能性を信じて挑戦しました。信じるものは救われる?

余談ですが、ナカミチのN482も持っていたのですが、これはリールが動かなかったので4年前に産廃として捨ててしまいました。 今思えば、ベルト交換だけで復活していたと思うのに、残念⤵。悔やまれます。

 

さて、このティアック製V-5010の今回の修理内容です。

<メカ関係>

①回転ギアのグリスアップ。数か所。

 使用したオイルは「タミヤ Fグリス」です。ミニ四駆のギア等回転部分用。

 

②テープのオートポジション機能修理。

 テープの種類(ノーマル/クローム/メタル)を自動検出の不具合。

 検出部分の金具に貼るべきクッションを前回付け忘れていました。

 

<電気関係>

①メカ制御用ASICの電源に電解コンを追加。

 ここの電圧が不安定になるとメカ制御が不安定になり、テープを駄目にする可能性があるので念のため。

 

さて、ここからが音質に影響する重要な部分です。↓ ↓ ↓

その前に、

カセットデッキのアナログ部分は大きく分けて次のブロックで構成されています。

 電源回路、PB(PlayBak=再生)ヘッドアンプ、再生EQ

 再生Dolby回路(B/C type)、録音Dolby回路(B/C type)

 REC(録音)回路、REC EQ、バイアス回路(発振回路)

 その他SW回路、ミューティング回路、レベルメーター回路、ヘッドフォンアンプなど。

※この機種の回路図が手に入りませんでしたので、基板の追いかけと過去の経験で解析しました。

私の目的は、市販のミュージック・テープを再生する事と、過去若かりし頃に録り貯めた音源を再生するためだけなので、再生系を重点的に弄りました。なので、発振回路とHPA基板は取り外しました。

いよいよ作業内容です。

②取り敢えずアナログ基板は全て再半田しました。

 再半田後、組み直して音を出してみようと思うと、あれ?音が出ない。

 半田ショートさせた?壊した?ここはかなり悩みました。

 そしたら、ナント!意外な落とし穴がありました。

 おおもとのグランドとアナログ基板のグランドは、後面の銅シャーシから繋がる様になっていたのです。

 これは分からなかったなぁ~。オシロまで引っぱり出して、信号確認しました。

 この写真の左側と思いきや、なんと右側です。ならば右側の銅箔を出しておくべきでしょう~。

 無事音が出る様になって、音質確認すると、再半田だけでも音が良くなった様に感じました。

③カップリングコンデンサ(電解コン)に0.1uFフィルムコン(ERO製)をパラ追加。

 電解コンデンサは、おおもとの+-電源平滑ELNAのAUDIO用大容量以外は、全て松下のAUタイプ(オーディオ用?)が使われています。

 フィルムコンを追加することで高域が改善されました。

④再生ヘッドからシールド線の基板上コネクタ接続をやめて半田で直付け。

 ここのヘッドからの信号は、かなり微小でオシロでも見えないくらいです。

 接触抵抗等があると音質に直接影響します。かなりSensitiveです。これは現役時代にも経験しました。

⑤再生ヘッドアンプのデカップリング・コンデンサの交換、追加。

 再生ヘッドからの信号はNchのMOS-FET差動で受けている様です。ダイレクト・カップリング。

 ここの信号は微小なので、音質に与える影響大です。

 供給電源用電解コンデンサにニチコンの最高級品KZを投入しました。

 狙い通りこの効果は絶大でした!!!。

 低域から高域まで良く出る様になり、今までとは全く違う音質です。

⑥再生用EQアンプのオペアンプICをM5220からMUSES 8920に換装。

 これも効果がありました。張りの有るクリアーな音になりました。

 前段がFETならその受けもFETで決めました。

 さらにこの電源にもニチコンKZを追加しました。

 またEQ部も日ケミのオーディオ用470uFに換装しました。

⑦アジマス再調整、ヘッドクリーニング、ピンチローラーのクリーニング。

 特にアジマスとヘッドクリーニングは音質に直接影響するので重要です。

 

<試聴>

ここまで施して、実際に当時の市販ミュージックテープを聴いてみると、実に自然で気持ちの良い音です。

その音質は、周波数レンジ不足など感じません。(歳のため私の耳自体のf特性も落ちているとは思いますが)

CDやレコードとは、また違う音です。今まで聴いたことのない、ある意味、新鮮な音です。

私のシステムでの比較で言えば、CDはドンシャリ系で作られた様な音、レコードは抜けの良い鮮度の高い音、カセットは厚みのあるしっかりとした所謂アナログの音です。兎に角、音に厚みがあります。耳障りなところが無く、長時間聴いていても疲れません。

その昔、30数年前にFMからエアチェックした貴重なライブ音源等も聴いてみましたが、結構良い音です!感動!!! アナログ万歳ーーー!!!

 

古い機種に現在考えれるノウハウと部品を投入してリアレンジした成果です。

他にも弄るとすれば、カップリング・コンデンサにニチコンMUSEの緑やBC或いはフィルムコンを使って見る事くらいですかね。予想としては、もう少し抜けの良い音になると思うのですが。

取り敢えず、今の状態で鳴らし込みすれば、もっともっと良くなると思う。

 

順番が逆になりましたが、今回、ヘッドの表面の摩耗具合も確認しておきました。

こんなもんでしょうかね。まあまあ良いと思いますが、、、。

右側の斑点は光の反射です。

これが14層に薄膜積層化したコバルト・アモルファス・ヘッド。

 

ついでに、懐かしいカセットテープの写真も撮りました。マクセルをよく使っていたみたいです。

 

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今年の計画。

2020-01-12 12:41:44 | オーディオ

2020年、明けましておめでとうございます。と言っても既に10日以上が過ぎましたが、、、。

このブログも開設してから、今年で10年目を迎えます。

アクセス数が昨年末で280万PVを達成しました。今年中には300万PVを超える事でしょう。

開設した当初は、こんな他愛もないオーディオ・ネタでアクセスがあるだろうかと思いましたが、まあ自分のメモとして残しても良いやと思い始めました。

ところが、予想外にアクセスがあり、オーディオ好きなコアな方々が結構おられるのだなぁと感心しました。

アクセスが増えれば増えるほど、ワード検索の上位に位置するのか、次第にアクセスが増えていきました。こんなブログにお付き合い頂き有難うございます。

 

さて、年初にあたり今年の計画です。

 

5998 pp アンプの完成

年末から、この事に専念していました。ブログが更新出来ていなかったのも、この為です。

昨日、ほぼ完成しましたので、改造経緯や顛末を後日投稿したいと思います。

結果は、今迄にない良い音を奏でています。乞うご期待。

 

6C33C シングル・アンプの更なる音質アップ

昨年のシングル・カソード化とドライブ管の変更で音質アップが出来ましたが、更なる音質アップが出来ないかと部品交換等を目論んでいます。

 

JBL LE14A + LE175のネットワーク改良

アッテネータの新品への交換で音質改善がはかれました。今でも良い音で鳴っています。

次のステップとして、ターミナルの新品への交換、フィルタ・コンデンサの換装等で音の変化を楽しもうと思っています。

 

カセット・デッキのメンテに再挑戦。メカ動作の修理と音質の復活

3年前にメンテしたティアック V-5010ですが、その後、メカの動作に少々難があり、スタート時にテープが絡まる事があります。

メカ・ロジック基板の点検(電解コンデンサの交換が必要?)と、初期の音質を取り戻すために、アナログ基板の点検(こちらも電解コンデンサの交換が必要?)を検討中です。

アナログ・カセット・テープもブームの様ですね。

 

CDプレーヤー REVOX B226の更なる改良

今でも充分に良い音ですが、更なるチューン・アップを検討中です。

おそらく微変更になるでしょう。電源周りのフィルム・コンの交換くらい?

ひとつ気になっているのは、外部DACに接続する場合のデジタル出力波形のオーバー・シュートです。波形整形が必要かも?

 

オーディオ以外

年代物の機械式腕時計(スイス製)のメンテ。

結構な費用が掛かりそうなので、財布と相談が必要。

 

とまあ、ざっとこんなもんですが、途中で思いつきで色々なテーマが出てくるでしょう。

何はともあれ大前提となるのが、今年も健康で過ごせることです。

皆さまにおかれましても、健康で収穫多き年になりますように!

今年もよろしくお願いします。

 

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