宇宙のこっくり亭

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心を静める瞑想 ~ クリシュナムルティ

2010年04月10日 | クリシュナムルティ
 
クリシュナムルティが、霊的なヴィジョンについて語ることは少なかった。あるにはあるのだが、若い頃の話が多い。その代わり、クリシュナムルティの言葉は、インドやカリフォルニアの自然に対する、鋭敏な観察に満ちている。それは、散文詩のように美しい。
 
なぜ、これほどまでに自然を観察するのか。それは、意識の中であらゆる思考が静まり、心の中で沈黙しているから。人は、居酒屋で不平不満をグチグチ並べるときのように、頭の中で思考や言葉を垂れ流しているのが普通だ。それが、外界に対する感受性を鈍くしている。クリシュナムルティの場合は、瞑想によって、それを静めていた。内面的に沈黙しているから、その分、外界に対して異様なまでに鋭くなる・・・。
 
過去の記憶や、知識・経験といった、長い人生の中で積もりに積もったホコリを洗い清めて、リフレッシュする。クリシュナムルティいわく、

>乾いた土地への雨はとてつもないものですね。雨は木の葉を洗い清め、大地は生き返ります。そして、木が雨に洗われるように、私たちはみんな、心を完全に洗い清めるべきだと思うのです。なぜなら、心には幾多の世紀の塵や、知識、経験と言われるものの埃(ほこり)があまりに重く積もっているからです。

記憶からは、思考が生まれる。クリシュナムルティによれば、思考と記憶は切っても切れない関係。そもそも、思考とは、「記憶との応答」だという。風に飛ばされた塵やホコリが空中に舞い上がるように、「思考」は、意識の中に降り積もった「記憶」という死の灰を掘り返してかき回し、意識の中に舞い上がらせる。思考には、新鮮さのカケラもない。それは、記憶という死の灰が、形を変えたものにすぎない。

でも、クリシュナムルティは「思考を停止せよ」とは言わない。そもそも、思考とは、止めようとしても、止められるものではないから。それは意識の中で、自然に起きてくる。それは、自然界で風が吹いたり、雨が降ったりするのと一緒・・・。

クリシュナムルティが勧めるのは、「思考を観察せよ」ということ。いくら、頭の中の言葉を止めて、心を静めたといっても、「思考」は自然に起きてくる。その「思考」の動きを観察せよと言うのだ。自然界では、風が吹いたり、雨が降ったりしている。それと同じように、意識の中では、思考が巻き起こったり、記憶が降り積もったりしている。外では自然の動きを観察し、内では思考の動きを観察する。それが、クリシュナムルティの瞑想。

Kは、子供たちにも「思考の観察」を勧める。と言っても、難しい話ではない。静かに坐って、心の中で起きてくる思考の流れを眺めるだけだ。

>君たちは自分ひとりで散歩に出かけることがありますか。一人で出かけ、木陰に坐ることはとても重要です・・・。本も持たず、友人もなく、自分一人で、です。そして、木の葉が散るのを観察し、川のさざなみや猟師の歌を聴き、鳥が飛ぶのや、心の空間で自分の思考が互いに追いかけあい、跳んでいるのを眺めるのです。一人でいて、これらのものを眺めることができるなら、そのとき、君はとてつもない富を発見するでしょう。

でも、思考を観察するのは、意外に大変な作業だ。なぜかというと、思考は次から次へとドンドン起きてきて、あまりにも早く流れていくから。慣れないうちは、ついていくのが大変。「やってみれば、大変なのが分かる」と、Kも言っていた。

>やってごらんなさい。自分の思考のあらゆる過程に気づいていることが、どんなに困難なのか、わかるでしょう。なぜなら、思考は次々と、こんなにも早く積もっていくからです。
 
「やってみれば分かる」という、思考の観察の難しさ。でも、そこをあえて、取り組んでみる。もちろん、無理はせず、できる範囲で・・・。そうすれば、思考の流れがだんだん緩やかになってくるという。

>そのとき、あなたは、思考が緩やかになり、それらを眺められることに気づくでしょう。この、思考が緩やかになることと、あらゆる思考を検討するということが、瞑想の過程です。

このような瞑想のプロセスを経ることにより、「落ち着かない思考の格闘場」と化していた心の中が、沈黙し、静まり返ってくる。すると、今までは鈍くなっていた意識が、急に生き生きと、鋭敏になってくる。鋭敏になった意識の中で、「真理」が生じてくる。

>あらゆる思考に気づいていることにより、心がとても静まって、完全に静止することに気づくでしょう。そのときは欲求も衝動も、どんな形の恐怖もありません。そして、この静けさの中に真実のものが生じてきます。
  
心の静寂こそ、覚醒への第一歩。・・・とは言っても、はたして、落ち着きがないインドの子供たちに、この瞑想が実行できたのでしょうか?(笑)。


(引用部分は、J.クリシュナムルティ著「子供たちとの対話」 藤仲孝司訳 平河出版社 mind books)

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めまして^^ (シリウス)
2010-04-12 14:59:12
いつも拝見させて頂いております。
さりげなくブログタイトル変わりましたね!?笑

今回の記事を仕事の休憩の合間に読んで早速、K流瞑想術を実践してみましたが、案の定いつの間にか思考の波にのまれて思考に没頭しておりました笑
まぁそれに気付けただけでも一歩前進とポジティブシンキングで生きたいと思います(爆

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Unknown (コンサル星人)
2010-04-12 17:16:19
>さりげなくブログタイトル変わりましたね!?笑

内容が「コンサル」から離れていく一方なので・・・(笑)

>早速、K流瞑想術を実践してみましたが、案の定いつの間にか思考の波にのまれて思考に没頭しておりました笑

みんな、そうなるんですよ(泣)

>まぁそれに気付けただけでも一歩前進とポジティブシンキングで生きたいと思います(爆

「たった今、この瞬間に覚醒する」というのが、あるべき姿ですぜ!?

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そういえば (コンサル星人)
2010-04-12 22:24:57
映画の「アバター」に、主人公が「頭の中をカラッポにするように」と指示され、「・・・それは得意でしょ」と嫌味を付け加えられるシーンがありました(笑)

頭の中をカラッポにするというのは、やってみると想像以上に難しい。労せずしてそれを実行できたアバター男は、瞑想の達人だった!?

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