「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

安全な医療を目指して

2007-03-03 03:51:49 | 医療
以前述べましたように、来る新年度4月から、
第5次改正医療法が施行されますが、
その中の重要項目に医療安全の確保があります。

私が属します中央区医師会では、
それにむけ、医療安全講習会を実施してまいりました。
昨日3/2も同講習会が開催され、出席いたしました。
講師は、安福謙二弁護士。

1)医療事故数はどれくらいおこっているか?
財)日本医療機能評価機構の発表したところによると、
大学病院・国立病院等の主要な病院(272の病院)で
一年間に1063件(2004/10/1~2005/9/30)
うち死亡149件。

2)医療事故
医療事故の争点の一つに
『不可抗力』VS『予見可能』がある。

『不可抗力』とは、
医療の現場は、常にリスクと向き合い、
確立の中での業務から生じる事故であるという見方。

『予見可能』とは、
予見できる事態に備えなかったために事故が起きたという見方。
よって、医師には、刑法第二百十一条でいう
業務上過失致死傷としての事故として、刑事責任が問われることになる。

医師弁護側は、『不可抗力』を主張し、
検察側は、『予見可能』であったとし業務上過失致死傷を主張する。

医療の現場をしらない検察側は、
安易に予見可能とみてしまうが、
患者は、病気であり、その状態だけでもリスクがある。
それに治療を加えるのであるから、
リスクは常についてまわっている。
事故は、起こりうる状況なのである。

3)医療過誤訴訟は、増加
その背景には、患者が求めているものの変化がある。
患者の満足感が変化し、
診療契約にもとづくサービスの提供をする時代となった。
患者は、“顧客満足”を求めるのである。

4)この時代における医者と患者の関係は?
顧客満足の視点である患者と医療現場で向き合う場合、
『医療側と患者の協同』という関係になる。
チーム医療の中に、
患者が参加者になる。
もっといえば、患者が主宰者になるのである。

医師は、患者に病気のリスクを話す。
また治療・検査のリスクを話す。
そして医師と患者でリスクを共有する。

患者のニーズを医師が把握する。

患者のニーズに合った医療をする

5)不幸な事故が起こった場合
当事者の一方の被害感情が激しい場合、
その結果を乗り切るためには何が必要か。

①被害者側が忘れる。日本流で言う「水に流す」
②加害者側が、全面謝罪する。
③裁判 
責任限定論として、組織全員の責任としないで、
ある一人に責任を負わせるような形にする。
しかし、この裁判が増えると、
医療側がもたなくなるであろう。

6)これからの医療安全を確保できる社会に求められるもの、
それは、医療事故の“真相究明”のための
第三者機関を作ることである。
これは、医者側でもなく、しかし検察側でもなく、
まさしく独立した機関である。
今はないが、将来、是非、
作る必要のある機関であると考える。
創設に向け、
国レベルの働きかけが必要である。

文責:小坂和輝
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3/3 不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる

2007-03-03 00:45:35 | 子育て・子育ち
第三回 不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる

親から受ける暴力、虐待や無関心、
生死にかかわる病、
身近な人から受けるいじめなど、
子どもにとっては、
実に恐ろしい体験です。
毎日、そんな恐怖を感じていたら、
子どもはおどおどし、
いつも不安な気持ちでいることになります。
人ともうまく付き合えなくなり、
何事においても消極的になってしまいます。

子どもが怖いと言った時には、
親はばかばかしいと思わずに、
真剣に耳を傾けたいものです。
怖いと思っている子ども本人にとって、
恐怖は現実そのものなのです。

両親の離婚は、
子どもにとって最もつらい経験になります。
何よりも子どものことを優先すべきで、
離婚しても親が親であることにはかわりない、
これから先も両親二人で面倒を見ていくことを、
子どもにきちんと伝えなくてはなりません。

親は、子どもの自主性をのばし、
なおかつ危険にさらされることがないように
気を配らなくてはならないのです。
子どもにどれだけ自由を許すかは、
子どもの年齢に合わせて考えなくてはなりません。

子どもの話に耳を傾けます。
「幼稚園どうだった?」と聞くよりも、
「今日は、幼稚園でどんなことがあったの?」の方が、
具体的に話しやすくなります。

親だって不安な気持ちになる時があります。
大切なのは、その不安をどう表現するかです。
親の正直な姿をみれば、子どもは、
人間というものは不完全なものなのだ、
時には人の支えや励ましが必要なのだと言うことを
学ぶようになります。

文責:小坂和輝
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