波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

思いつくままに     「面会日」

2017-05-01 09:19:57 | Weblog
今年になって急に日本を取り巻く近隣諸国で緊張感が高まってきた。いつの時代でも世界ではどこかで争いがあり、その影で苦しみ悲しむ人がいるのだが、このような状況を聞くたびに心が痛むのだ。
そして20年以上他国に拉致されて親子兄弟との絆が離れて会えないでいる人のことを思わずにいられない。
私はこのことを思うたびに自分の経験からあることを思い出すのである。それは10歳のときであった。第二次世界大戦がはじまり、学校として集団疎開をすることに成り、親元を離れることになったのだ。初めは遠足気分で楽しげに出かけたのだが、数日後には親元を離れた現実に大きなショックを受けることになり、その不自由さに寂しさを覚えたものであった。
そして親のありがたさ、暖かさを思い出しながら冷たい布団の中で寝たものである。そんな生活の中でひとつだか慰めがあった。
それは一ヶ月に一回の面会日が許されたことである。空襲のさなかでの面会日も楽ではなかったが、親たちはその日を待ちかねて大きな荷物に食料や必要なものを持ち込んで半日を子供たちと過ごすことができたのである。
今から70年も前のことであるが、そのときのことは忘れることができない。その日を待ちかねて夜もおちおち眠らずに親の来るのを待ち
親や兄弟と会うことでどんなに心が癒されうれしかったことか、分けても親が手作りで作った食べ物は何もかもがおいしくうれしかった。
中でもさつまいもにサッカリンで甘みをつけた饅頭は今でも忘れることのできない好物だった。
別れはつらかったが、そのときの満足感でしばらくはしのぐことができた。そして親子の家族との時間が是ほど喜びと平安をもたらすとは思えないほどの恵でもあった。
今、その苦しみを我慢して待ち浴びている家族がいることを知らされている。何とか家族の面会だけでももつことのできる時間を作ってあげてほしい。そしてその喜びの時間を持つことができるようになってほしい。
そのためになんとしても国と国の努力をして続けてほしいと心から願うものである。

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