波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

     思い付くままに   「年末  ①」

2016-12-15 09:03:31 | Weblog
私には子供が二人いるが振り返ってみて本当に子供を愛し、子供のことを考えて育ててきたかと問われれば「ノー」といわざるを得ないだろう。厳しかった兄の管理下で青春時代をすごし、その反動でその管理下から開放されると同時に自分の世界に飛び込み、なにもかもがじぶんのためであり、自分の欲望を満たすものであったと今にして思う。そんな背景の中で家庭生活を持った事オアって家庭を顧みる事は殆どなかった事を告白せざるを得ない。
そしてその罪の為に妻の発病と看病という試練を受ける。子供の生活管理はその時介護の役で着てくれた一人の女性に全てを託し任せ切りであった。それは子供たちの心の中に消える事のない傷となって残っている事であろう。
だから私は子供たちに今となっては何もいえない立場におかれている。従ってどんな状況に置かれても親の権威で命じる事はないし、全ての事は自分で責任をトラ泣けれ場ならないと覚悟をしている。そんなある日の事、娘夫婦が忙しい中を休みを利用して出かけてきた。一年ぶりくらいになる。一人暮らしの家の「大掃除」が目的であった。狭いアパートとは言え玄関から台所、便所、風呂場、応接間と全室を清掃する事は中々の肉体労働となる。
お陰で見違えるほどに気持ちよく明るくなった。中でも寝具をすっかり取り替えて新しくしてもらった事は何より気分転換になった。
お茶をしながら「少早めのお正月だね」と思わず言ってのだが、当に大掃除であり、年末行事が終わった感じだった。
思いがけない、全く予測していなかったこの申し出になんともいえない感動を覚えながら新しい住まいの環境で過ごしているが、子供たちの心境は計り知れないものであり、まして私への
親孝行とも思えないのだが、ただただありがたいと感謝のみである。