イラン人にしては小さいが、俺の強化プロジェクトを生き残った男だ。
俺が率いるイランナショナルチーム、アジア選手権でメダルを取る為に必要なメンバーの一人だった。しかし試合場にシナの姿は無かった。
代表に選んだのに何故と聞くと。
俺達日本人にはわからない宗教の派閥問題のようだった?
必死に練習をこなし、代表の座を取ったのに、落胆したシナは決断した。イランに居ても先が無い、隣国のトルコに行き、難民申請の後USAにたどり着いた。
コロラドでは、スキーの板にワックスかける仕事をしながらMTBレースにも参戦した。
そして遂にビザがおり、永住権を取得できた。
つい数か月前にも、元チームメートのミズバー二にUSAビザ取得の推薦状を書いた所だった。
しかしガデルはまだイランから出国できていない。
イランは制裁を受けているから経済が悪く、身動きが取れないでいる市民が多い。