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日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

ことばの温度

2006-12-13 06:56:24 | フランス語
フランス語を母語としない外国人がフランス語の手紙を書いた場合、
どうしておかしい文章になるのか?

思うにそれが何語であったとしてもひとつひとつの言葉には
気温というか温度があって、均整の取れた滑らかな文章というのは
それぞれの単語やフレーズが温度差なく、いわゆる同じ温度で
まとまっているのだと思う。
例えば、「少し」という単語と「ちょっと」や「少々」という単語は
それぞれ同じことを意味しているのに、温度が少しずつ違うのだ。
フランス語でも同じ「待つ」という意味でも、
「attendez」と言うのと、「patientez」というのでは全然感じが違う。
「怠惰な」という意味の単語も「paresseux」と「fainéant」では違う。

この単語やフレーズの温度というのが外国人にはつかみづらく、
例えば文章を書くときに、全然違う温度差の単語を放り込んだりするもんだから
奇異な文章になってしまうんだと思う。逆にネイティブは無意識に
同じ温度の単語を選択して文章を組み立てているのではないか。

などと真剣に考え事をしていたら、パリ在住の日本人コーディネーターが
書いたフランス語のメールが僕にもCCで送られてきた。
いろいろ難しく考えている自分が馬鹿みたいに思えるようなすごいメールだった。
つーか、ああいうメール書いててパリでコーディネーターってできるのか?
いや、他人のことは言うまい。つーかなんかむかついたんで書いてしまったぜ。


辞書にない言葉(2)

2006-12-09 16:57:56 | フランス語
辞書にない表現なんてそれこそ掃いて捨てるほどあって、
一々気にしていたらキリがないのだけれど、最近二つ
気になったのでここに書いておく。

de la confiture aux cochons(豚にジャム)

これはまさに日本語の「豚に真珠」と同じ意味。
ある大学の先生が(日本人)、言語は違っていても
比喩表現はそう変わらない、と言っていたけれどその好例かも。
ていっても、家畜との関わり方は文明が違ってもそう
変わらない訳だから、当たり前とも言えるけれど。

il n'y a pas le feu au lac.(湖に火事は起きていない)

これ、「慌てることはない」という意味になるんだが、なぜどうなるのか
ちょっと不明。確かに辞書にはil n'y a pas le feu à la maison
(家は火事じゃない)という同じ意味の表現が載っているが、
もっぱら聞くのは「湖」のほう。

何よりも悪いこと

2006-11-19 06:31:10 | フランス語
C'est pire que tout!
それは何よりも悪い!

と同僚のバレリーが会話の中で言っていた。
何かプロポジションを受けて、受動的に考えて
考えた結果、結局何もしないこと。
いや、僕がそうだったという訳じゃないんだけど。
アクションを起こさないこと、ただ黙って
手をこまねいて待っていること、そんなのは
彼女には我慢できないんだろうな。僕も同感。


自分の限界(今のところ)

2006-11-09 08:02:24 | フランス語
まったく私事なのだが本日、某フランスのメディアに
取材されるという誉に預かった。つーか取材はもう1ヶ月ぐらい
前から分かってきた、話を持ってきた同僚で姉貴のようなバレリーと
打ち合わせとか、予行演習というか特訓を重ねていたのだ。
こういう質問が出たらこういう風に答える、とか、
引用はこういう風に、こういう作家を出して、とか、
できるだけ自然体で話す、とか。

で、いざ取材。実感としては、

「特訓しすぎて失敗した」

つーか、なれない取材。しかもフランス語の質疑応答。
カメラを前にしてなんか自由に答えようとするけれど、なんか
緊張してしまうのだ。しかも質問は想定内のもの。そうすると
特訓のときに頭に入れてしまった単語やフレーズがそのまま
暗記しているみたいに口から出てくる。一見スムーズに思えるけど、
実は質問の意図と軽くずれていたり、本当はほかの受け答えがしたいのに
ついつい覚えている、楽なほうの答えに流れていったり、と散々だった。

取材が終わってからバレリーに怒られる。
「全然、自然体になってなかったじゃない!緊張しすぎ」
「少なくとも2人の作家を引用するって言ったのに一人も引用しなかった」
「掘り下げて答えないといけない質問にそっけなく単純に返事した」
と不満の塊のようであった。
つーか、俺、外国人なんだし、フランス語で一生懸命答えたんだから
そこまでで堪忍してくれよ。つーか要求水準高すぎ。
といいつつ、自分も自分の限界を感じてちょっと落ち込んだのだ。
どうしたら取材にうまく答えられるようになるんだろうか?
こういうフランス語力って進化しないのか?やっぱムラがあるんだよ、俺。

翻訳なんて

2006-10-27 06:16:52 | フランス語
僕は翻訳家でもないし、通訳でもないし、仕事のうえで
仕方なくその真似事をやることがたまにあるが、基本的な訓練を
受けているわけでもないし、真剣に取り組んでいるわけでもないので
たいてい失敗に終わる。もともと適性も才能もないし。

来月、日本の漫画についてフランス人にフランス語で説明しないと
いけない機会がありフランス語の資料をたくさん与えられたのだが
なんだか読んでいるだけでげんなりしてしまった。日本の漫画なんて
よく知っているし、慣れ親しんだテーマなんだがそれを果たして
フランス語で説明するとき、たとえば手塚治虫の「鉄腕アトム」を
説明したくてもそれをフランス語言うと何になるのか?
(astro, le petit robotと言うらしい)とかいろいろ考え出したら
知らないことだらけだし、どうも居心地が悪いのだ。

翻訳者というのはバイリンガルである必要はない、と思うのだが
ひとつひとつの単語のその向こうにある意味の重さを考えると
僕なんてとても翻訳なんてできそうにない、なんて思ってしまう。
例えばフランス来る前、bizarreという単語は「奇妙な、おかしな」という
意味でしか認識していなかったけど、こっちでun type bizarreというと
本当に、「変わっていて手のつけられない人間」となんか救いようのない
人間というニュアンスに変わる。日本語の「変な人」ってなんか
変わってるけど憎みきれないやつ、なんてニュアンスがあるけど
それとは全然違うのだ。そういうこと考え出すと翻訳なんて
できなくなっちゃうんだよな。

植民地主義という言葉

2006-10-23 05:04:27 | フランス語
植民地主義とはいわゆるcolonialismeの訳だ。
六月に新しくできたケー・ブランリー美術館の市民大学では
植民地主義の世界史を考える市民講座をシリーズでやっていて
フランスから、ポルトガル、スペイン、イタリア、ロシア
オットーマン帝国からなんと日本の植民地主義まで取り上げる
壮大な講座を来年の春までやっているのだが、「植民地主義」
という言葉を出したとたん、アレルギー的反応をするフランス人が
僕の周りには多い。というか、5人ぐらいと話して、5人とも
「フランスが最悪なわけじゃない」とか、「最近の流行のテーマだ」
とか、険しい表情をしてあまり話をしようとしないのだ。

日本人の思うところの「植民地主義」は、自国の歴史と照らし合わせると
19世紀末から20世紀前半の、いわゆる短い期間に起こったことなのだが、
たとえばフランスやポルトガルの植民地主義は17世紀から延々と続き
かつ戦後も植民地の内戦、独立など辛酸をなめさせられた経緯がある。
つまり、「植民地主義」と一言で言っても言葉の重さ、
その背後にある言外の意味、集団意識が国民によって違うのかな、
などとぼんやり思った。

頭を冷やして

2006-10-15 19:04:59 | フランス語
金沢の鏡花ゆかりの川は浅野川でした。友達から指摘が。
ほんと、記憶力っていい加減ですな。

週刊誌を読んでいたらフランスを代表する美人女優
エマニュエル・ベアールのインタビューが掲載されていた。
彼女が仕事に関して次のようなことを言っていた。

le métier, c'est 98% de concentration, 2% de talent.
仕事の98パーセントは集中力、残りの2パーセントは才能でなされる。

本当にそうだと思う。たいていの仕事は集中力で解決されるのだ。
面談録を作る、という仕事がある。フランス人とのフランス語での
面談を日本語になおし、レジュメを作るのだ。
あとフランス語のビジネスレターを作る、という仕事もある。
これは最初からフランス語で展開させていく。
どれも集中すればものの1時間ぐらいでできるはず・・・なんだが。
才能の問題か・・・。ルーティンだけで手一杯だからか。

昨日の真実

2006-10-07 05:43:57 | フランス語
「昨日の真実は今日のそれと違う」
la vérité d'hier n'est pas celle d'aujourd'hui;

今日の同僚との会話の中に出てきた表現だ。
たしかにそうだよな。こないだ言ってたことと違うことを
いう僕に対し、非難するようなコンテクストだったんだが。

あと今日読んでいたnouvel obs出ていた
laurent bayle氏(salle pleyelのディレクター)の記事から。

il monte des projets, analyse des erreurs, synthétise
les situtations.il déteste qu'on regarde les choses
par le petit bout de la lorgnette.

彼はプロジェクトを立ち上げ、失敗を分析し、
状況を把握する。そして視野が狭いことを嫌悪する。

やっぱ失敗を分析しないことには先に進まないんだろうな、
と感心。社会人の基本ですな、ってできてないけど。



たまにはフランス語口語表現でも

2006-08-31 06:27:07 | フランス語
最近旅行記というか日々の印象を記すことが多いので
ここらでフランス語表現の話など。しかも辞書に載ってないやつ。

elle est de Marseille!

直訳すると「彼女はマルセイユ(南仏の大都市)出身だ」
となりますが、意味は「彼女はそうとう大げさだ」というらしい。
マルセイユ等南仏の方々が誇張して話すことが多い、という評判から。

il est complètement à l'ouest.

これは直訳すると「彼は完全に西の方にいる」だけれど
実際の意味は「(疲れていて)彼は完全にボーとしている」
なんてニュアンスか。
同僚にいるんだよね。そういうやつが。

あとは今日読んだ新聞の中に美しい文章があったのでただ単に
記しときます。ミッシェル・ウェルベックの小説が原作の
映画評から。

deux quarantenaires en crise dans un monde en crise,
marqué par leur enfance difficile et qui essaient de trouver
des réponses à leur angoisse à travers la recherche de l'amour.
mais l'amour est-il vraiment un remède?
N'est-il pas plutôt une souffrance?

危機的な世界に生きる危機的な状況の二人の40代の男。
彼らは苦難に満ちた少年時代を過ごし、ともに愛の模索を通じて
この苦しみの答えを探そうとする。
しかし愛は本当に癒しの薬なんだろうか?
本当のところひとつの苦しみではないのか?

アテンド通訳(の真似事)

2006-08-29 13:07:33 | フランス語
出張者を連れて機関訪問、通訳のようなことをやった。
話の内容が専門的過ぎて途中まで話についていけず。
というか専門用語(言葉にすると単純なことなんだけど、
それぞれの関連性が見えず)が満載でひたすら理解に苦しむ。

例えば、「項目」(ITEMS)の話をしたかと思えば
その後「項目編集」(VERSIONS)の話。
要は統計の取り方のトピックだったんだけどね。
itemsもversionも言葉としては知っているけど、ある研究試行において
項目をいくら作って、それを組み合わせたものを「項目編集」
と呼ぶ、ということに全然気がつかなかった。
話者は「いくらの項目がありますか?」とか
「編集の時の問題はなんですか?」とかバンバン質問するし。
そのあと「○○モデル」とか出てきてますます会談は
ドつぼにはまるのだった。つーか、事前に資料渡せ。

あとフランス語話者が長すぎてとてもノートしきれず、
自分の記憶力不足を実感。訳すとき、
最初の方に言った言葉忘れてるし、自分。
ということで今日はボロボロ。いやあ、謙虚にならないといけないよな、自分。
フランス語またやり直しかい。



大人になっていいこととは

2006-08-28 05:20:06 | フランス語
大人になっていいと思えることは
長い間解けなかった謎がある日、解けたりすることだ。
例えば最近、フランシス・レイ作曲のグルノーブルオリンピック
を描いたドキュメンタリー映画のテーマ、「白い恋人たち」
の話を雑談でする機会があった。

日本でも有名なこの曲、タイトルを知らなくてもメロディー
を聞けばみんな分かってしまうはず。
その曲の原題は13 jours en Franceというのだ。
中学生の頃、この曲の楽譜を練習していたときこの原題を目にしたのだが、
当時もちろんフランス語なんて分からないから、
「なぜ、『白い恋人たち』の元のタイトルが13だの
フランスだのそんな単語が入っているんだろう?」
とずっと不思議に思っていた。

今、この原題を見ると、直訳すれば「フランスの13日間」
グルノーブルオリンピックの13日間を追ったドキュメンタリー
だから全然不思議ではないタイトルなのだ。
というか「白い恋人たち」なんて邦題のほうが変。

この曲、下のサイトで聞けます。


http://www.francis-lai.com/fr/films/60s/13jours.html

こんな毎日だからこそ

2006-07-19 14:56:03 | フランス語
J'essaie de croire qu'il y a un bon Dieu
Je lui dis pourquoi as-tu fais le monde
Si c'est pour le défaire peu à peu

神様がいることを信じてみる、そして尋ねたい
どうしてこの世界を作ったのか
少しずつ壊してゆくために作ったのか

イスラエルの空爆、空港、港湾、インフラ破壊
避難する外国人、などの映像をテレビで見ていたら
上のような、ジョルジュ・ムスタキの歌詞を
思い出してしまった。

自衛のための防衛も、自衛のための攻撃も
何も変わらない。





仕事の合間に

2006-07-16 06:10:15 | フランス語
仕事の合間に某、日本に関するパネルディスカッションに
出席することになった。つーか代役だったんだけど。
フランス人の聴衆相手にまたフランス語でつたない説明を。

前回のスピーチの二の舞を踏むまいと思って、原稿を用意していったんだけど、
なんか原稿読み上げていて、ただ単に何かの朗読をしているような雰囲気に。
やっぱこういう場と言うのはメモだけ用意して、
聴衆の顔を見ながら話すのがライブ感があっていいのかも。
ちなみに質疑応答のコーナーは、周りがうるさくて
はっきり言って質問者が何言っているのかまったく聞き取れなかった。

スピーチ恐怖症

2006-07-14 02:22:48 | フランス語
そもそもスピーチというものは緊張するものである。
知らない不特定多数の人を前に視線を浴びながら話すのだから
無理もない。原稿を用意していったとしても緊張する。
しかも、母語ならまだしも、外国語であるフランス語ならなおさら。

そんな悪夢のようなスピーチ。
某レセプションの手伝いに行ったら、どうもスピーチする人が
遅れているらしく、いきなり関係者から
「○○君(僕の名前)、○○についておおまかでいいんで
フランス語でスピーチして。場がもたないから」だってさ。
突然言うなああああ!
何の用意もしてないっつーの!

とっさに頭の中で、考えを整理して壇上に立つけれど
知らない人(日本人プラスフランス人)40名ほどを前にすると
頭の中、真っ白。
支離滅裂なスピーチになっちまったぜ。くそ。
スピーチの時にはやはり簡単なメモなどを
手元に用意しておくべきですね(教訓)。

日本語とフランス語

2006-05-27 18:21:51 | フランス語
certaines choses qui s'expriment bien dans une langue
n'ont pas d'équivalent dans l'autre.

ある種の事柄は、ある言語でうまく表現できても
別の言語ではそうはいかない

最近、フランス語の理論性と日本語のニュアンスに重きを置く
言語構造にはさまれてうんうん言っています。
つーかそんな大変なことじゃないけれど。

引用文はジャン・ピエール・ヴァルナーの
「文化のグローバリゼーション」から。