く~にゃん雑記帳

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<チョウジソウ(丁字草)> 草原の湿地などに群生する清楚な薄紫花

2014年05月13日 | 花の四季

【有毒植物、環境省は準絶滅危惧種として登録】

 キョウチクトウ科の多年草で、日本をはじめ朝鮮半島、中国など北東アジアに広く分布する。河原や沼地、草原の湿地などに自生、地下茎を横に伸ばして群落をつくる。花期は4~6月。草丈は40~80cmほどになり、茎の頂に清楚な薄紫色の花を集散状にたくさん付ける。切り花や茶花としても人気を集めてきた。

 花冠は長い筒状で、花びらが5つに分かれ平らに開く。その花姿を真横から見ると漢字の「丁」の字に見えることから「丁字草」の名が付いた。これとは別に、花の蕾が釘のような形をした香辛料の丁子(クローブ)に似ていることに由来するという説も。丁子は熱帯常緑樹のチョウジノキ(フトモモ科)の蕾を乾燥させたもの。貝原益軒の『大和本草』(1709年)にも「丁子草」として登場し「花ハ丁子ノ形ニ似テ浅葱色(あさぎりいろ)ナリ」と紹介されている。

 花姿は上品なものの、他のキョウチクトウ科の植物と同様、全草に有毒成分を含む。誤って葉や茎などを口にすると、血圧降下や局所麻痺などの中毒症状を起こすことも。吉野熊野国立公園内の大台ケ原はニホンジカによる植生被害が深刻で、多くの植物が食害で消滅している。その中でチョウジソウは逆に繁茂している場所があるという。調査した三重県は「有毒植物であるためシカの食害を免れた結果ではないか」と推測している。

 静岡県内唯一の自生地といわれる伊東市の「一碧湖」では5月18日に観察会が開かれる予定。島根県津和野町の「地倉沼」、さいたま市の「秋ケ瀬公園」などでもこの時期、紫花が一面を彩る。ただ全国的にみると自生地は減少の一途。環境省のレッドリストには準絶滅危惧種として登録されている。原因は河川の整備、湿地の開発、野草愛好家による乱獲など。都道府県段階では京都や富山、千葉などで既に絶滅したとみられ、絶滅危惧種に指定しているところも20を超える。「丁子草花甘さうに咲きにけり」(正岡子規)。

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