く~にゃん雑記帳

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<トバタアヤメ> 葉丈より低く咲く超小型の〝伝説の花〟

2014年05月11日 | 花の四季

【日本固有のアヤメの新変種、5年前に学名決定】

 トバタアヤメは草丈が10~15cmほどで、普通のアヤメよりずっと小さくて愛らしい。小型のアヤメでは「三寸アヤメ」(チャボアヤメとも)がよく知られている。これは一般のアヤメと同様、花茎を葉の上まで伸ばすが、トバタアヤメは花茎が短く、葉陰に可憐な花を付けるのが特徴。2009年、日本固有のアヤメの新変種として認定され、北九州市戸畑区の地名にちなみ「イリス・サングィネア・バラエティー・トバタエンシス」という学名が付けられ、和名もトバタアヤメと命名された。

 トバタアヤメについては明治初期刊行の『福岡県地理全誌』に登場する。「俗ニ小杜若ト称ス。大ナルモ2、3寸ニ過キス。小ナルハ寸余ナリ。4月頃、紫色ノ花ヲ開ク。人愛シテ他ニ移シ植レバ其性変シテ、茎伸ヒ花も亦少シ」――。かつては自生地域から「小澤見野の小杜若(コゾミノノコカキツバタ)」と呼ばれ、明治末期まで原野で自生していたらしい。だが、その後絶滅したとみられ〝伝説の花〟とされてきたが、1958年、戸畑区大谷の農園で生き残っていたことが判明。以来、市民による保存・増殖活動が続けられてきた。

 トバタアヤメは紫花が一般的だが、変種に白花や、白地に紫色のぼかしが入った白絞りがある。花期は5月上旬から中旬にかけて。日当たりや水はけの良い場所を好み、寒さや病気にも強い。ただ水や肥料を与えすぎると、草丈ばかり大きくなって花付きも悪くなるという。トバタアヤメは1990年に開かれた大阪花の万博では「郷土の花部門」で銅賞に選ばれている。

 地元では「戸畑あやめ」として親しまれ、今では戸畑あやめ公園(1980年開設)をはじめ戸畑区役所屋上庭園、戸畑高校、北九州市立高校、明治学園、あやめが丘小学校などで大切に栽培されている。戸畑あやめ公園では見頃の時期に合わせて毎年「あやめ祭り」を開催。今年も今月6日、13回目の祭りが開かれ多くの市民でにぎわった。

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